【5/22地こデジ特委】こども性暴力防止法案(日本版DBS)質疑・討論
後日質問についての詳報を載せますが、取り急ぎ、討論の全文です。たくさんの懸念を指摘しながらの賛成討論です。ぜひ見てください。
こども性暴力防止法案に対する賛成討論
日本共産党 高橋千鶴子
私は、日本共産党を代表して、こども性暴力防止法案にたいする討論を行います。
子どもが日常的に過ごす場での性暴力は後をたちません。わいせつ行為により教員が懲戒処分となった件数は2022年度で119件、教員性暴力防止法に基づく教員免許状失効者に関するデータベースにはすでに2498人が登録されています。
性暴力は、子どもの尊厳を深く傷つけ、その人生に与える影響は計り知れず、決して許されない犯罪です。性被害当事者や家族らの声にこたえ、日本版DBSの制度は待たれていました。先行しているイギリスの制度などと比べても限定的で不十分、課題もありますが、本制度をはじめることが、最大の抑止効果となることを期待して、賛成とします。
参考人質疑でも強調されたように、本法案が子どもの最善の利益にてらしてどうなのか、が問われていると思います。
本法案は、学校設置者等及び民間教育保育等事業者に対し、その教員等及び教育保育等従事者による児童対象性暴力等の防止につとめるとともに、被害児童等を適切に保護する責務を規定しています。被害にあった子どもたちの多くは、それを被害と認識することができず、また嫌だと思っても信頼する先生、あるいは力関係により訴えることもできません。また、勇気を出して訴えても学校等が取り合ってくれないことによってさらに傷つくことになります。
絶対に事実をうやむやにしない、子どもが相談しやすい環境と体制づくりが急がれます。
性犯罪歴確認を行うことで、児童性暴力を行うおそれのある者は本来業務につくことができなくなり、政府は、事実上の就業制限とみとめています。職業選択の自由との関係で、制限される範囲を限定的に絞っていますが、恣意的な運用にならないよう、基準を明確に示すべきです。一方、限定したがために、犯罪事実確認等児童性暴力防止のための措置が義務づけられる施設とそうでない施設があって、これで全ての子どもが守れるのか、という強い懸念が出されています。子どもへの性暴力は絶対に許さないというメッセージを地域・社会と共有し、国が本気でとりくむときです。
なお、犯罪履歴は、きわめて機微な要配慮個人情報であって、膨大なデータベース化とその活用により、人為的ミスも含め、漏洩や目的外利用などの重大な懸念がぬぐえません。厳格な制度設計、運用を求めます。
3年後の見直しに向け、本人が犯罪歴のないことを証明する、いわゆるホワイトリストの研究、イギリス型のDBSに近い手厚い人員体制と予算確保にもとりくむべきです。
おわりに、子ども自身がこれは性被害だと気づけることや包括的性教育をしっかりと位置付けること、ワンストップ相談支援センターの体制・予算の拡充、子どもを見守る複数の目がある体制を社会全体でつくるためにわが党も力を尽くすことを述べて、討論とします。
【5/22質疑】
① #こども性暴力防止法案 各国における性暴力の発生件数は10万人あたり日本5件、イギリス265.6件、アメリカ43.5件。諸外国でDBSが早かったのはそのため?日本が少なすぎるのは、表面化していないからでは?大臣「この数字が性暴力に対する国の姿勢かどうかはわからない」再度聞いたが同じ答弁。
②教員性暴力防止法には通報制度あり。具体的にどのような仕組み?文科省「相談をうけた教職員や学校が、学校設置者(教育委員会)や警察への通報義務がある。児童生徒や教職員「対する定期的な調査行う。相談受けやすい体制整備も」 https://mext.go.jp/content/20240426-mxt_syoto01-000033180_02.pdf
③被害当事者がネット調査で、被害時が一番多かったのは授業中。最初被害と認識できなかった77.9%、誰にも相談できず、相談しても「まともに取り合ってくれなかった」と!文科政務官「私自身も話を聞いた。あしき仲間意識や組織防衛心理から事なかれ主義に陥ってはならない、と指針で」
④文科省の指針にある性暴力についての通報は、児童生徒からは想定していない。調査をしてもそれを公表しないではいつまでたっても初犯のまま。加藤大臣「ご指摘のとおり、初犯のところで押さえられていなければ制度も確認できない。データベースによる再犯対策のみならず厳しく対応する」
冒頭、審議時間が短すぎる、と指摘しました。この日私は15分。全体10時間プラス参考人一回で採決は早すぎます。初動の対策について、とりあげました。最初の対応、きちんと処分しなければいつまでたっても初犯のまま。子どもを守れない。