公的年金の受け取り開始時期を60~75歳(現行70歳まで)に拡大することなどを盛り込んだ年金制度改定法案が、14日の衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の宮本徹議員が質疑に立ち、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、「なぜ今なのか。すべての知恵と力を新型コロナ対策に振り向けるべきだ」と批判。安倍晋三首相は「『全世代型社会保障』改革は待ったなしだ」と強弁しました。
同法案は、受け取り開始時期の選択肢を75歳まで広げ、確定拠出年金の年齢要件を企業型、個人型ともに5歳ずつ延長。厚生年金加入義務がある企業の規模を段階的に引き下げ、2024年10月に「従業員数51人以上」まで拡大します。
宮本氏は、「マクロ経済スライドという年金削減の仕組みを放置する一方で、国民に自助努力を求める法案だ」と指摘。基礎年金へのマクロ経済スライドの適用をやめるよう求めました。
受け取り開始時期についても、「公的年金で足りない人は体力の限界まで働けと求めるに等しい」と述べ、65歳になれば働かなくとも暮らせる年金制度をめざして大企業・富裕層に応分の負担を求めるべきだと主張。「公的年金の削減を進めながら、元本割れのリスクのある確定拠出年金を推奨するのは無責任だ」と批判しました。
安倍首相は「マクロ経済スライドを廃止する考えはない」「高額所得者と大企業だけに特別に負担を求める考え方は、慎重な検討が必要だ」と応じませんでした。
野党提出の法案
高橋議員が答弁
宮本氏は、立憲民主党などの共同会派と共産党が共同提出した年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)法等改定案についても質問。高橋千鶴子議員が答弁に立ち、「安倍政権になって以降、高リスク株式の運用割合が高まり、損益の幅が非常に大きくなっている」と指摘し、「年金積立金の資産額に占める株式の構成割合を『おおむね20%を超えない範囲で定める』こととする」と同法案の意義を述べました。
(「しんぶん赤旗」2020年4月15日付より)