2月17日、高橋千鶴子衆議院議員は、衆議院予算委員会の集中質疑で、安倍首相や加藤厚生労働大臣らに質問しました。
第2は、新型コロナ肺炎問題についてです。 公立・公的病院の再編・統合対象として424病院のリストを昨年厚労省が公表。3月まで遅くとも9月まで答えを求めています。病床削減に全額国庫補助。しかも一年限りという露骨な誘導策ではないか。厚労相は、「限られた医療資源の中でどういう病床を確保するか決めた。十分に、本来の、当初の地域医療構想の姿にならないとご指摘もあり..」 と答弁。 2年め以降は法改正して消費税財源で病床を削減と!ベッド減らしに消費税とはタコの足食いじゃないか。ご指摘とは誰だと聞くと、厚労相は「最終的には経済財政諮問会議でもご指摘いただいて、、」と。
424リストでのチェック項目は2つです。A:急性期の診療実績少ない。B:近くに似た病院ある。しかし、全てにあてはまる岩手県奥州市国保まごころ病院は、新幹線の隣駅まで訪問診療。保健師、社福法人と連携しており、厚労省が推奨する地域包括ケアそのもの。評価すべきではありませんか。厚労相「訪問診療が項目にない。地域の中でしっかり評価して残していただく」 と。訪問診療が項目にないことが問題です。
元々は2014年の地域医療介護総合確保法がはじまりです。当時、病床減らしに従わない場合、医療機関名の公表もするのか?と法の強制力を質問したとき、原医政局長は「懐に武器を隠している」と答えた!刀を抜いたね? 加藤厚労大臣は、「その答弁の意味は制裁措置として、、」と答弁したが、制裁に使うことをやったではないですか!名前公表したのですから!と批判しました。加藤大臣は、「出し方において批判があったことは重々承知。これで縮減してくれではなく、個々の地域の事情も含めよく議論いただいて、地域でお決めになった地域医療構想を進めて」と答弁。私は、「だったらリストを撤回すべきではありませんか」と迫りました。加藤大臣は、「限られた医療資源でこれから更に高齢化が〜」などと答弁。全く説明になっていません。
北海道の二次医療圏ごとの医師数全国平均超えは札幌と旭川だけ。人口流出と患者流出がリンクする中、これが固定化されれば過疎化進む。安倍総理「既に病院が少ない医師も少ないところで更に過疎化を招くとは考えていない。偏在是正が大事」と答弁。総理、ポイントはずさないで!偏在対策じゃダメなのです!
09年に質問した宮城県登米市。当時、9つの町が合併し5病院2診療所が3病院4診療所になった。合併協で集約すれば医師が集まり、学会に出たり休みもとれると思っていたのに、患者も集約されるから忙しいと医師は移らなかったのです。それが今度は3病院(2つ分院)1診療所にするというのです。しかし、統合しても医師は集まらないのは明らか。悪循環を防げと総務大臣を質しました。 高市総務大臣は、「最後の砦としての公立病院の役割ふまえ、過疎地など経営条件厳しい地域の中核病院へ特交措置を創設。拠点病院からの医師派遣のための特交措置も。医師不足や過疎化で患者の減少などで非常に厳しい経営状況。公立病院が地域の実情に応じた役割果たせるよう連携、対応する」 と答弁。
医師の4割が過労死ライン超えの長時間労働。なのに今後も、医師は年960時間残業、地域医療に必要なら1860時間まで時間外労働を認めるという。おかしくないか。なぜ命守る医師が自らの命削ってまで働かせるのかっ!加藤大臣「4割が960時間、働き方改革していかなければならないが、一方医療の提供もしていかねば」と。だから医師を増やして!
論戦ハイライト 公立・公的病院再編統合問題
高橋議員の質問 地域無視のリスト撤回を
医師不足の解消こそ
17日の衆院予算委員会で日本共産党の高橋千鶴子議員は、厚生労働省が再編統合の議論を求める全国424の公立・公的病院名を昨年9月に公表した問題で、地域の実情や努力を無視した機械的な病院名リストは撤回すべきだと追及。地域医療を深刻化させている医師不足の解消こそが必要だと迫りました。
病院名の公表をめぐっては、厚労省が、統廃合や病床削減を行う病院に全額国庫負担の新たな補助金を1年限りで出すことを20年度予算案に盛り込んでいます。高橋氏は、医療現場や地域に対して統廃合や病床削減の決断を迫る厚労省の手法は「露骨だ」と厳しく批判しました。
財界主導の削減
加藤勝信厚労相は、病床削減を進める地域医療構想の「当初の姿にならないとの指摘があった」と答弁。「だれの指摘だ」とただした高橋氏に、経済財政諮問会議での指摘だと認め、病院名公表や財政支援で財界主導の医療費削減を進める姿勢をあらわにしました。
公表された病院の分析基準には全国から批判が集中しています。基準は「脳卒中や救急などの診療実績が特に少ない」「似ている診療科が近くにある」の2点ですが、厚労省の分析データが古いうえ、雪道や山道などの地域の特性を無視しているからです。
高橋氏は、リストで名指しされた岩手県奥州市の国民健康保険まごころ病院を紹介。48床の小規模病院ですが、月約130件の訪問診療に取り組み、がんを早期発見した患者を近隣の医療機関につなげるなどの役割を発揮しています。
高橋氏は、救急など高度医療だけで分析するのではなく、行政や法人と病院が連携しているのは、厚労省が提唱してきた「地域包括ケアシステム」そのものであり、ここを大いに評価すべきだと強調しました。
そもそも厚労省は2014年当時、病床削減や再編を迫る強制力としての「医療機関名の公表」について「懐に武器を忍ばせている」「実際に使うことを想定しているわけではない」と高橋氏の質問(4月23日)に答えていました。高橋氏は「まさにいま刀を抜いた」と声を強めました。
厚労相 この答弁は勧告に従わないときの制裁という意味だ。
高橋 制裁としてやる予定だった名前を今回出した。
厚労相 (リストで)個々の地域の事情すべてを反映はできないので、地域でよく議論してほしい。
高橋 それならリストは撤回すべきだ。
抜本増員求める
続けて高橋氏は、「地域医療が深刻化している最大の要因は医師不足だ」と追及しました。北海道の場合、21の圏域のうち人口10万人対医師数の全国平均を超えているのは札幌と旭川の2カ所だけで、絶対数が足りないのは一目瞭然です。医師が足りないから患者は都市部に集まり、過疎化につながる―。高橋氏は「地域医療は地域経済や、地域の未来にとっても重要だ」と認識をただしました。
しかし、安倍首相は過疎化にはならないと居直り、医師が都市部に集中する「偏在是正が重要だ」と述べるにとどまりました。
「偏在是正だけでは問題は解決しない」と強調した高橋氏。統廃合しても統合病院への患者の集中で多忙化し、医師が集まらない事例を示し、さらなる統廃合や病床削減へと悪循環になる懸念を表明。新型肺炎対策を考えても公立・公的病院を守る必要性を訴えました。
さらに、医師の4割が過労死ラインを超えた長時間過密労働を強いられていると告発。「なぜ命を守る医師が、自らの命をけずってまで働くことを認めるのか」と述べ、医師の需給について検討しているいま、抜本的増員をすべきだと求めました。
(2020年2月18日付「しんぶん赤旗」より)