自衛隊情報保全隊による住民監視訴訟が17日、仙台高裁で一人の原告に対するプライバシー侵害が確定したことを受け、原告・弁護団、支援する会とともに防衛省に申し入れを行いました。
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「国民監視は違法」確定
国・防衛省が上告断念
自衛隊のイラク派兵に反対する市民運動を陸上自衛隊情報保全隊が監視・情報収集したのは違法だとして、東北地方の市民らが損害賠償や差し止めを求めた訴訟で、男性1人に10万円の賠償を国に命じた2日の仙台高裁判決について国は17日、上告を断念。原告勝訴の判決が確定しました。
控訴審判決は、原告のうち公表していない本名や勤務先の情報を収集された男性について、憲法13条(個人の尊重)で保障するプライバシー権を侵害しているとして違法性を認定しました。
自衛隊の国民監視差し止め訴訟原告・弁護団、支援する会は同日、仙台市内で記者会見を開いて声明を発表。「国の上告断念は、自衛隊自身が国民のプライバシー侵害という違法行為を行っていたことを認めたものであり、国民の基本的人権擁護の重要な成果」だと強調しました。
防衛省は、「国の主張について一部裁判所の理解が得られなかったが、判決内容を慎重に検討し、上告を行わないことにした」とのコメントを出しました。
原告のうち75人が15日、賠償や監視差し止めが認められなかったことを不服として上告しましたが、この男性は上告していません。
情報保全隊による国民監視の実態は、2007年に日本共産党が同隊の内部文書を公表。違法な活動を告発して明らかになりました。
(「しんぶん赤旗」2016年2月18日付)