宮城・放射性廃棄物処分場建設 / 3候補地 全て「反対」
宮城県で、東京電力福島第1原発事故で発生した放射性廃棄物の最終処分場建設を環境省が選定した3候補地=栗原市、加美町、大和(たいわ)町=の一つに押し付けようとしている問題で、日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は5,6の長日、3候補地を視察し、首長や地元住民らと懇談しました。視察には、横田有史県議、内藤隆司県議候補、地方議員らが参加しました。
高橋議員視察 首長らと懇談
地震で崩落した地盤である栗原市の深山嶽(ふかやまだけ)では、地元で温泉施設「さくらの湯」を営む大場武雄さんの案内で山林に入り、2008年の宮城・岩手内陸地震で起きた地割れや、がけ崩れの現場を見て回りました。
地盤の弱さが指摘されている加美町の田代岳では、同町の熊谷和寿危機管理室長から、候補地がダム建設の砕石場であったものの地盤が崩れやすく途中で砕石をやめたことや、強風地帯であることの説明を受けました。
陸上自衛隊王城寺原演習場に近い大和町の下原地区は、沖縄駐留米海兵隊の実弾射撃訓練の同演習場への移転に伴う緩衝地帯として、同地区の26世帯を集団移転させ、防衛省が買い上げ無人化されています。集団移転した「権現茶屋」の店主、早坂冨士夫さんは、同地区は誤射の危険があると強調しました。
懇談した3候補地の首長らはいずれも、候補地が水源地であり、処分場建設に反対であると表明しました。
加美町の猪股洋文町長は、町の測量では、現地の面積が1.96ヘクタールで、環境省の求める2.5ヘクタールに満たないことや、勾配30度以上の傾斜地があり、本来候補地から除外される地域であることを示し、「環境省に問い合わせているが、いまだに回答がなく、詳細調査を受け入れるわけにはいかない」と訴えました。
栗原氏の佐藤勇市長は、市内に多くの放射性廃棄物を抱え、やむなく詳細調査を受け入れたが、正確なデータで、栗原市指定の専門家も交えて検討することや、3市町そろって詳細調査を受け入れることなどを条件にしたと話しました。
大和町の圓藤幸則副町長は、「実弾演習の緩衝地帯として買い上げた土地であり、処分場の建設は目的外使用ではないか」と、町長と町議会議長で、防衛省に問い合わせることを語りました。
高橋議員は、加美よつば農協やそれぞれの反対する住民団体と懇談しました。
適地でないこと実感
高橋議員の話 3候補地とも、適地とは言えないことを実感、確認できました。さらに、詳細調査をする以前の問題として、自治体が投げかけている疑問点に環境省が誠実に応えていません。住民説明会を全く開いていないことや、期限を区切って急いで進めていることなども問題です。8000ベクレル以下の放射性廃棄物は自治体に丸投げするという、国の責任を曖昧にした「放射性廃棄物汚染対策特措法」の見直しも要望されましたが、これまでも反対し、取り上げてきたこともあり、各党や政府に働きかけていきたい。
(しんぶん赤旗 2014年8月8日付「北海道・東北のページ」より)