厚生労働大臣
上野 賢一郎 様
2025年12月17日
日本共産党中央委員会 障害者の権利委員会
日本共産党国会議員団 厚生労働部会
障害年金不支給倍増問題の検証と再発防止対策、
障害年金の改善求める緊急要求
―障害者の所得保障にふさわしい障害年金制度めざして―
障害年金については、憲法25条と障害者の権利条約にもとづき障害者の所得保障にふさわしい制度として見直し、拡充が求められています。厚労省は、2024年7月30日の第17回社会保障審議会年金部会に、「障害年金制度の見直しについて」を提出、「初診日要件」についてなど論点整理を出していました。障害年金制度については近年には制度改正がなかったとしながら、2025年の第217回国会に提出した年金法改正には盛り込むことを見送りました。
9月19日の社保審年金事業管理部会には「障害年金業務統計 令和6年度決定分」が提出されました。審議会では、「障害年金の不支給倍増か」との報道を受けて6月に行ったサンプル調査との比較を行い、ほぼサンプル調査と同様の結果であることが報告されました。同時に原因については不明とされ、6月に行った対応策を追認するにとどまりました。2018年には障害年金再認定にかかわる不支給事案があり、この時も再調査と不支給処分の取消しを行いました。障害年金業務統計がこの翌年度から公表されるようになり、年金の種類別、障害種別に申請数と非該当数を知ることができます。
あらためて本来支給されるべき人に、正しい等級で支給されるよう、検証と再発防止にとりくむこと。かつ、当面急がれる制度改正について、申し入れるものです。
記
1 障害年金不支給倍増問題の検証と再発防止を
障害年金が必要とする人に適正に支給されるために、不支給倍増事案を検証し、再発防止につとめること。今回、点検を行い処分の取り消し、支給決定を行うというが、令和6年7月分までの点検による支給決定は4.3%にすぎない。必要とされる人に届いているのか、懸念が残る。
(1)9月19日に公表された令和6年度の障害年金業務統計によれば、非該当の割合は13%で、6月に行ったサンプル調査と同様の傾向がみられた。職員へのヒアリングを行い、部分的見直しを行っているが、なぜなのか、明らかにされたい。
(2)特に精神障害・知的障害においては、不支給のうち「精神の障害にかかわる等級判定ガイドライン」の目安より低い等級にされている案件が75%もあること。同様に支給となったが目安より低い等級に下げられている案件が25000件もあること。同ガイドラインでは、目安だけでなく「総合評価の際に考慮すべき要素」を明記しているにもかかわらず、機械的に不支給もしくは降級にされているのはなぜなのか、明らかにされたい。
(3)今回の事案うけ、障害年金センターの審査体制としては405人から444人へ増員、日本年金機構本部も13人増となった。しかしながら再調査と新たな審査を同時に取り組んでいかなければならず、十分とはいえない。さらに体制強化をすべきである。
2 認定基準とシステムの改善を
障害年金業務統計が公表されて6年になった。内部疾患の非該当が多く、特に循環器疾患は基礎年金で6割を超えているなど障害の種別、地域別、障害基礎年金と厚生年金の違いなどに着目し、認定基準とシステムを当事者参加のもと、改善をはかるべきである。
3 年金受給を決定的に左右する「初診日」について、当事者の立場にたち、柔軟に見直しを
(1)「初診日」を特定できず、無年金となるケースが少なくない。国は、年金加入要件の可否のために初診日の特定を申請者に求めているが、特定できないために必要な人が無年金になることは絶対避けるべきである。本人や家族の申し出と当時の診察券など何らかの合理性ある申し出は基本的に認めるべきである。
(2)「初診日」が国民年金加入中であっても、厚生年金被保険者期間が一定ある人について、障害の支給を行う「長期要件」をもうけること。退職後一定期間に「初診日」がある場合も障害厚生年金の支給を行う「延長保護」を実現すること。
4 障害認定基準、認定システムの根本的な見直しを
支援の必要な人に障害年金が支給されるよう、医学的所見を中心とした障害者認定基準、認定システムを根本的に見直すこと。認定に社会福祉士などを加えるなど、社会モデルの視点を入れ、総合的に認定すべきである。
5 基礎年金3級の創設を
同じ程度であっても障害基礎年金であるために非該当や降級=不支給になってしまう差別をなくし、障害者の所得保障の拡大のため、基礎年金3級を創設すべきである。
6 マクロ経済スライドによる減額の中止を
物価高騰が暮らしに直撃するなか、障害年金額を大幅に引き上げること。少なくとも障害年金に対するマクロ経済スライドによる減額はただちにやめること。
7 審査基準と審査方法の抜本的見直を
特別児童扶養手当や障害児福祉手当、特別障害者手当は、医学的所見を中心とした審査基準と審査方法を抜本的に見直して、本人および保護者の日常生活と社会生活における障害の程度に見合ったものにすること。所得制限を廃止し、それぞれの額を大幅に引き上げること。
以上



















