農林水産大臣
小泉進次郎様
「むつ湾からのアピール」について
9月13日青森県平内町において、生産激減が叫ばれているホタテ養殖を持続可能なものにと、「むつ湾ホタテシンポジウム」を開催し、地域住民、生産者、漁協関係者、行政、議員など文字通り党派を超えた約150名の参加で成功させることができました。
過去最低の生産量という危機に瀕し、率直な質問や提案が交わされましたが、ホタテ養殖をいかに続けていけるか、という共通の思いを確認する場となりました。シンポジウムの開催、成功にご協力いただいた皆様に心から感謝を申し上げるとともに、主催者として、頂いた声に応えて、以下に提案、要望を「むつ湾からのアピール」としてまとめ、実現のために奮闘してまいります。別紙申し入れるものです。
2025年10月15日
日本共産党青森県委員会
同 県議団
同東青地区委員会
同陸奥湾沿岸自治体議員団一同
むつ湾からのアピール
陸奥湾ホタテ養殖の危機を打開し、持続可能な産業に
青森県の陸奥湾は、白神山地や八甲田などから注がれるミネラルたっぷりの水により豊かな植物プランクトンが育ち、海のゆりかごとも言われる穏やかな湾内で良質のホタテを育ててきました。先人たちは、これまでの10~20年に一度大発生ではなく、安定的な生産を確保したいと試行錯誤を重ね、陸奥湾にホタテ養殖が定着するようになって半世紀以上になります。ホタテ養殖は県内漁業・養殖業の5割近くを占め、生産量は全国2位、100億円産業として発展し、加工、卸、観光など関連産業とあわせ青森県の地域経済を担ってきました。ホタテ養殖発祥の地、平内町の船橋茂久町長は「単なる水産物ではなく地域の宝」(9月13日ホタテシンポ)と述べています。
陸奥湾ではこれまで2010年、12年、13年、23年と高水温によるホタテガイの大量へい死が起きました。ここ数年は高めの水温が続き、青森県は「陸奥湾ホタテガイ総合戦略」(2024年~2034年)を発表、官民挙げての研究などにとりくんできました。しかしながら採苗不振による親貝確保の難しさなどから今年の生産量は過去最低と見込まれています。ホタテ生産者はピーク時1984年には1962経営体だったものが2023年867経営体に激減し、まさに待ったなしの局面といわなければなりません。
9月13日のホタテシンポジウムでは、「高水温で親貝もどんどん死ぬ。こんなことが続くなんて今までなかった」という声があがり、「稚貝が全滅だ」「耳釣りがタイの食害にあった。」「北海道から稚貝をもらえないか。陸上養殖は考えられないか。」「水温を下げるために雪の活用はできないのか」などの率直な意見が出され、県当局や水産総合研究所の職員も現状認識を共有し、意見交換ができました。
今年5月下旬頃は、昨年に比べて稚貝が多く付着しているとの状況がみられ、安堵や期待する声もありました。しかし9月下旬、平内町漁協小湊支所による調査では最も生存率が高い籠でも5割弱、最も被害が大きい籠では1割弱しか残っていない。横浜町漁協でも、ほとんどが死んでいることがわかりました。水総研の調査では、30m層の深いところでも平均水温25℃を超える日が多かったなど、夏場の高水温による大量死の可能性が明らかとなりました。(9月30日東奥日報)青森市漁協でもへい死率100%が4つの支所、全体では93.8%に上りる(10月6日青森朝日)など、危機的状況となっています。
シンポジウムでは、「陸奥湾のホタテ養殖を続けたい」、「危機打開のため党派を超えて取り組んでほしい」という熱い思いを強く感じました。この思いになんとしても応えるため奮闘していく決意とともに、国をはじめ関係機関に対して特段の取組みや支援を求めてまいります。
記
1,高水温対策に科学的知見を
これまでの対策としては、カゴの中の貝の密度を緩和すること、比較的低温の深層部までカゴを下げることなどの指導がされてきた。しかし生産者の経営体数が減る一方で、一人当たりの施設数は1.6倍にもなり、手間がかかるゆえの詰め込みとなっていることも否めない。また、深層部はエサが少ないというリスクもある。
以上のことから、
① 高水温は今後も課題となるが、水総研と大学、国の研究機関による原因究明を深めること。
② 県が行う湾口での採苗試験や調査ポイントの増加をうけ、生産者と漁協の意向をふまえつつ、漁業法による漁業権の区域について変更も検討すること。
③ 陸上養殖と北海道などからの稚貝が使えるか可能性調査を支援すること。
2,エサ不足対策と残さの活用の可能性について
ホタテ残さについては、各市町村が処理費用について何らかの補助を漁協に対して行っている。しかし今般のように半成貝を引き上げてもほとんどが死んでいるか、とれても小粒が特徴であり、かわりに籠に付着したゆうれいボヤなどの付着物の処理が経済的にも精神的にも負担になっている。平内町だけで8000万円の負担増ともいう。
そこで、
① 県が残さをエサとして活用することについて研究すると発表した。これを財政的、技術的にも支援すること。
② 海上で処理すれば問題ないが、陸に上がれば廃棄物となる、という整理について海上保安庁など関係機関と調整すること。
③ タイやカニによるホタテガイの食害について、これらもエサ不足が原因と思われるが、原因究明を行うこと。
3,漁業者の生活支援と新規就業漁業者について
陸奥湾のホタテ生産者は、これまで大量へい死が続いたこともあり、9割以上が漁業共済に加入している。しかし共済の支払いが2020年20億強から毎年支払いが続き昨年分が30億近い支払いが見込まれるもとで、「減収に対する補てん」では、今年分の支払いが所得を補償するものになりえない恐れがある。
① 生産減が続いたためによる減収額が大きくない、もしくは少しでも上回れば、漁業共済ではカバーできない。共済とは別の所得補償制度について検討すること。親貝確保の基金を県が漁協と拠出して設置する際、その間(親貝の成長を待つ間)の所得補償をセットにするなど。
② 若い世代がこの先続けていけるのか、年内にも廃業を決断するか、という声もある。既往債務の繰り延べや学費、国保の減免などきめ細かい支援が必要である。
③ 新規就業支援策について、増額や対象期間の延長、卒業後の初期投資等への支援など拡充を検討すること。
4,水産加工会社も生産者と一体の支援を
陸奥湾のホタテ中心で頑張ってきた水産加工会社などが、原料を転換するにも施設の更新や技術の変更など過大な負担となる。陸奥湾のホタテ生産の回復を待ちつつ、原料の調達先を一定期間変更するなどして、取り扱い量を減らしながら営業する場合、雇用の維持が課題となる。
① 雇用調整助成金をコロナ時に準じて要件緩和を行うこと。
② 生産者も加工会社も輸送関係にとっても切実な、燃料代への支援を行うこと。
5,陸奥湾で生業を持続できるために
海水温の上昇は、世界的な気候危機の中で起こっている環境変化でもあり、政府をあげて諸外国とも連携して取り組む課題でもあり、国民も産業界もともにとりくんでいかなければならない。一方、海洋混合学の創設など、鉛直混合と植物プランクトンの関係、ブルーカーボンを増やす取り組みなど、学術的分野、自治体単位の取り組みも進んでいると思われる。
① 瀬戸内海特措法に準じた閉鎖性海域特措法のような枠組みを検討すべきではないか。
② 学術分野の研究が生産者に還元されるために、水総研や県との連携を深めるべきである。そのための予算の拡充についても再度要望したい。
**長官には、全体の感想と特に下線部について答えていただきたい。6問だが、1①と5②は6月と同じ趣旨。
1,③については、県が可能性調査を行う際の補助という趣旨。
2,②の残渣について、県が研究すると言っているので応援してほしい。海保との調整をぜひ。
3,①漁業共済、積み立てプラスも有効だが、毎年続いているという場合の支援はどう考えるか
5, ①特措法で閉鎖性海域の役割、理念や目的、調査などを位置づけることで、水質や植物プランクトン調査などをより詳細にできるのでは、との問題意識。



















