「息子にもうやめれば?と言われたよ。難儀する必要ないべと」。能代市山谷地区。7月14日からの梅雨前線で、かつてない被害を受けた能代市を訪れました。
7ヘクタールある田んぼのうち約半分が被害を受けたというSさん。収穫を待つばかりだった青々とした稲をなぎ倒し、びっしり敷き詰めた砂利と流木。「もうどうにもできないべ」と言いました。
私は、耕作している田んぼなら災害復旧事業の中で処理できます。激甚災害指定になればさらに上乗せもされると言いました。これまで何度も農水省に確認してきたことです。ただし休耕田は対象外という理不尽さは残りますが。Sさんは、「でも自己負担はあるべ?」「それがどのくらいか。この、資材から何から高い一方、米の値段は下がって、という中で、これ以上の負担はできない。だったらこのまま放置するほうがよいのかも」と言ったあとに、「でも、このまま放置していていいのか?」と。
私は、「このままにしたくないのでしょう?」と迫りました。そうだ、このままにしたくないのだ。続けたい、でも、冒頭の息子さんの言葉が刺さります。自己負担を減らすために県や市が支援する、国はさらに自治体を支援すればいい、と私。Sさんは、「今まで誰もそんなことは話してくれなかったよ。見ても、大変だね、で終わりだから」。「あきらめないで」と励ましつつ、それは自分自身に対しての言葉でもありました。
月曜日、谷公一防災大臣に直接ぶつけます。
※しんぶん赤旗2023年7月29日付「北海道・東北のページ」のコラムのタイトルを変更して掲載しています。