知床遊覧船沈没事故から1ヶ月、国は「再び重大な事故を起こす蓋然(がいぜん)性が高い」として、事業許可の取り消しを決めました。
25日の国交委員会で私は、「これだけ大きな犠牲を出さなければここまで至らなかったということは国自身の責任」と強調し、1995年ごろからの規制緩和で「事業者の参入は自由に。規制は必要最小限に」としてきた国そのものに問題があると指摘しました。
驚くのは、経営トップと安全統括管理者、運航管理者が同一人物、桂田精一社長だったこと。気象条件などの情報を共有し、二重三重にチェックする仕組みをつくったはずが、社長一人で掛け持ちなら何の意味もありません。
しかしもっと驚くのは、運航管理者が不在時には運航管理補助者が職務を代行しますが、そこには船長の名前が書いてありました。特別監査の処分理由には、「運航補助者は事故当日、船舶の運航中営業所に不在であった」と書いてあります。
私は、「当たり前でしょ。船長だもの。それが分かっていてなぜ認められるのか!」と迫りましたが、兼務も「認められる」「補助者が船舶側と常時連絡を取る体制にしなければならなかった」と平然と答えました。委員会室も騒然となり、「そうだ!」と激励のヤジが飛び、たびたび「速記止めて!」との声も。
本当に二度と犠牲者を出さないためには、絶対に国の責任をあいまいにすることはできません。
※しんぶん赤旗2022年5月28日付「北海道・東北のページ」のコラムのタイトルを変更し、掲載しています。