ちづ子へのエール住民とともに(質問のエピソードと会議録など)
政策と提案

東北農業を崩壊させる小泉「農業構造改革」に総選挙でストップをかけ、東北農林漁業の発展への道に舵を切ろう-食料自給率の向上と地産地消・食の安全安心そして地域経済の振興のために-

【05年8月 日本共産党衆議院・参議院比例東北ブロック事務所】

はじめに

 自民・公明両党は、2007年度から米・小麦・大豆をはじめあらゆる農産物価格支持制度を全廃し、一部の担い手だけに品目横断的経営安定対策を採り、残りの圧倒的多数の農業者を市場原理の世界に放り出し離農に追い込むという小泉農業構造改革を推し進めようとしています。多くの農業関係者は、このままでは、米をはじめとする東北農業は崩壊してしまうと不安感を強めています。しかし、今、このような弱肉強食の小泉農業構造改革にストップをかける絶好のチャンスが到来しました。なぜなら、品目横断的経営安定対策の導入をはじめ価格支持制度の全廃もすべて来年の通常国会で法案を成立させなければ実施できないからです。総選挙で小泉農業構造改革を推し進める自民・公明両党を国会の少数に追い込み、日本共産党を躍進させれば、小泉農業構造改革法案は、確実に成立を阻止することができるのです。今こそ、総選挙で、東北農業を崩壊させる小泉農業構造改革にストップをかけ、東北農林漁業発展への道に舵を切ろうではありませんか。

  農業つぶしの農政を大もとから転換して、東北農業の発展への道に

 -輸入規制と価格保障を柱に-

 東北農業の発展を進める上からも財界言いなりの小泉農業構造改革路線をきっぱりと転換させなければなりません。

 今回の衆議院選挙は、その大きな第一歩となるものです。日本共産党は、農業潰しの農政を大もとから転換するために全力をあげます。

 また、東北農業の発展を進めるためには、日本の農業生産の枠組みを決めてしまうWTO農業交渉において、日本の米を自由化の対象から外すなど農業協定を改定させ、食料主権を回復するよう全力で取り組みます。どこの国であれ、国内の農業の維持・発展を考慮するのは当然です。アジア諸国との間で「多様な農業の共存を前提とした経済連携の強化や農業協力の発展」を目指します。このような中で私たちは東北農業の発展を目指して次のような政策を提案します。

1、価格・所得保障で安心して農業生産できる条件を作ります

 東北農業は、日本の水田面積の約4分の1、米収穫量の27%を担っているだけでなく、リンゴの約7割、さくらんぼの8割を生産し、肉用牛の15%を飼養するなど北海道とともに国民の食料供給の中で欠かせない位置にあり、日本の食料自給率向上の牽引車であります。旺盛な農業生産が展開できれば、地域経済の振興にも結びつくことは言うまでもありません。

 旺盛な農業生産を展開するためには、農業生産をすることが所得に結びつかなければなりません。農業生産を拡大すればするほど所得が増えるというのであれば、農業者も元気になり新規参入者も拡大し農業後継者も着実に増加していくことになります。

 これがEU諸国が食料自給率を向上させた道筋でもありました。農業生産をすることが所得に結びつくためには、農産物価格が汗水流した労働にふさわしい形で十分保障されなければなりません。
(1)安心して米づくりを続けるための保障の確立

 東北農業の柱はなんといっても米づくりです。生産者が安心して米づくりに取り組めるようにならなければなりません。そのためには、政府の米の需給と価格を安定させる役割をまもり、不要な米の輸入を削減させるとともに、米つぶしにつながる米「改革」を直ちに中止し、政府の100%拠出による不足払い制度を創設して、米の品質の向上を図りながらコストに見合う生産者価格(60キロ当たり平均1万8000円程度)に近づけます。

 また、中山間地の直接支払いを平地まで拡大することにより、中山間地以外の米生産者にも直接支払いが及び、これと不足払いをあわせると60キロ当たり2万円程度の価格が保障されることになります。日本共産党は,国会での質問で、ミニマムアクセス米が輸入義務でないことを明らかにするとともに、農産物価格支持を現在以上引き上げてもWTO協定上許されることも政府に認めさせてきました。輸入米の削減と米の生産者価格の引き上げでゆとりのある米生産が実現するのです。このことは,地域経済を活性化させるうえで東北経済にとってきわめていい影響を与えることになります。また、山形でも取り組みが始まった飼料米の生産を援助するとともに、国の備蓄米を拡充させます。
(2)小麦生産の振興と食料自給率の向上

 食料自給率を引き上げるには、小麦生産の振興が不可欠であり、生産者が積極的に小麦生産に取り組めるように所得の確保が必要です。そのためには、麦作経営安定資金の廃止をやめさせ、逆に麦作経営安定資金を抜本強化し、単価引き上げによる生産者手取りの増額を図ります。また、新たに小麦生産に取り組む生産者を増やすために、麦作経営安定資金の実績主義を改め、新規参入生産者も対象とするようにさせます。国による麦の買い上げ数量を抜本的に引き上げ、麦生産の振興を進めます。国産小麦の利用を拡大することは食料自給率向上のカギです。各県の奨励品種の普及拡大を進め、学校給食パンでの利用拡大や地産地消として利用拡大する製パン業者への支援を進めます。
(3)大豆生産の促進と地産地消の展開

 大豆生産の促進も食料自給率引き上げのカギです。そのためには、生産者が積極的に大豆生産に取り組めるように生産者の所得が増えるようにしなければなりません。そのためには、大豆交付金制度及び大豆作経営安定対策の廃止どころか抜本強化が必要です。大豆交付金制度は、生産費の6割しか助成しておらず、助成額を生産費の8割まで引き上げることによって大豆生産の取り組みを拡大します。

 また、大豆作経営安定対策の補填水準を補填基準価格の8割から10割に引き上げ、その財源については国の拠出割合を高めることによって確保します。国産大豆の需要を拡大することは生産振興とともに大切です。学校給食における国産大豆加工品の利用の拡大及び地産地消として国産大豆を利用拡大する大豆加工業者への支援を行います。

 また、遺伝子組み換え大豆を使用した食品は、原材料表示によりすべての食品について「遺伝子組み換え大豆使用」との表示をさせます。
(4)リンゴなど果樹生産の力強い展開のために

●安心してリンゴ生産を進めるためには果樹経営安定対策の抜本強化がどうしても必要です。そのために、a.国の助成額を増やすことによって補填額を100%補填にする b.わい化リンゴの生産力はあがっており、生産調整の義務付けはわい化リンゴ生産者を はじめとするリンゴ生産者の生産意欲を失わせるものであり、果樹経営安定対策と生産調整とのリンクを外し、生産調整は自主的な取り組みとする c.加工用リンゴも果樹経営安定対策の対象とし生食用リンゴの下支え機能を持つものにするなどの措置を盛り込ませる。

●国産リンゴ果汁と輸入リンゴ果汁の区別を消費者が加工品の段階においても分かるように、輸入リンゴ果汁の原料原産地表示を義務付けさせます。

●国産果樹の需要を拡大することが生産者を励まします。学校給食でのリンゴなどの果 樹利用の増加や果樹輸出体制の強化など消費需要の向上を目指します。

●火傷病検疫体制の強化と防除体制の確立で安心してリンゴ生産にいそしめるようにします。

●果樹共済を見直し霜被害も対象にします。また、果樹共済を利用しやすくするために、農家の掛金負担を軽減するために国庫負担を3分の2にします。
(5)畜産の振興のために

 BSEの全頭検査体制を引き続いて堅持するとともに、ピッシングの中止などで安全・安心な国産牛肉の供給を促進します。

 家畜排泄物の堆肥利用を促進するために、耕種農業に対する堆肥利用を推進するための支援措置を強めます。飼料自給率の向上は、日本の食料自給率の引き上げに直結します。飼料米の生産拡大や稲わらの飼料流通を拡大するなどの取り組みを支援します。

 鳥インフルエンザは東北地方の養鶏業者にも深刻な影響を与えています。家畜伝染病予防法は改正されましたが、地鶏生産者や安全性にこだわった鶏卵生産者に対する保障は十分ではありません。きめ細かな補償基準の碓立を実現します。
(6)安心して野菜生産に取り組めるように

 野菜生産は、米・畜産と並ぶ日本農業の3本柱の一つです。安心して野菜生産に取り組めるように、野菜価格安定制度の充実改善を図ります。補償基準価格を引き上げ、対象品目を広げます。

 また、野菜価格安定基金に対する国の補填割合を65%までに増やします。中小産地を含め地域の特産を生かした野菜生産を発展させます。大企業の横暴を規制し、卸売市場の民主的運営と機能の強化を図ります。

 また、開発輸入にメスを入れ、野菜の輸入動向を的確に把握し、輸入急増時には、セーフガードが適切に発動できるような体制の確立に努めます。

    2、地産地消の流れを大きくし、食の安全安心の確立を

(1)地産地消の流れを大きく

 地産地消のような地域循環型の食生活と食料生産のあり方は、食料自給率向上の点でも、農産物生産流通の本来あるべき姿としても、きわめて大切であり、大きな流れになるように援助を強めなければなりません。

 特に、国が会議費の補助程度しか財政支援しない状況を改めさせ、地産地消に取り組む農業者の「産地直売所」や農産物加工業者あるいは学校給食をはじめとする各種給食などに財政面で支援を強める必要があります。

 また、中央、地方卸売市場においても地産地消農産物の取り扱いを位置づけさせ、小売業者も地産地消の取り組みに参加できるように援助します。それぞれの地域で、地産地消の促進のための協議会が取り組まれていますが、それらの東北地方段階での交流を進め、取り組みを広げます。

(2)食の安全・安心の確立

 鳥インフルエンザの山口県・大分県・京都府での発生と米国でのBSEの発生は、私たちに新たに食の不安を広げました。

 昨年、食品安全基本法と食品安全委員会が成立しましたが、消費者を取り巻く食の安全に対する不安は、解消していません。その最大の原因は、食の安全を確保するためのリスク管理体制が全く不十分な状況のままであるというところにあります。

 食料の6割は輸入に依存しながらも、その輸入検査体制は、検査率が7%足らずで93%の輸入食品は、全く検査も受けず輸入されているのです。そして、その検査率は年々低下しています。現在検疫所に300名しかいない食品衛生監視員を1000名にまで増員し、当面検査率を25%までに引き上げます。

 また、各地の保健所に配置されている食品衛生監視員も増員を図り、地域での食品安全監視を強めさせます。日本のBSEの全頭検査体制は、国民の9割以上が支持しており、世界的なプリオン研究者も支持しているものです。これを引き続いて堅持していきます。

 鳥インフルエンザやBSEは、ともに人畜共通感染症です。この人畜共通感染症に統一的に対応する法律は現在ありません。現在の家畜伝染病予防法を抜本的に改めて、人畜共通感染症に対応できる法律にする必要があります。

 また、現在の大規模養鶏の現状に見合うような家畜経営者の報告義務の確立なども必要です。そして、食品安全委員会に消費者代表も参加させ、縦割り行政をなくし、食品安全庁として食品安全行政を一本化して、消費者も信頼できる食品安全行政を確立します。
3、家族経営を発展させ、基礎的生産条件の整備で食料自給率を引き上げます

 日本の食料基地とも言える東北農業、日本の食料自給率を引き上げる上からも東北農業の発展がどうしても必要です。そのためには,東北農業の基礎的な生産条件の整備が不可欠です。

 小泉農業構造改革は、農業生産を特定の担い手に集約しようとしていますがこれでは農業生産が縮小することはあっても拡大することはできません。農業生産に携わっているあらゆる生産者が営農意欲を持ち生産に取り組めるような基礎的な生産条件の整備とそのための支援が必要です。そして、生産の中心に家族経営をおき、それを発展させなければなりません。

 また、農地の確保は、最も重要な問題です。中山間地での耕作放棄地の拡大を防ぎ、農業生産を拡大するためにも中山間地の直接支払い制度の拡充は急務です。さらに、株式会社による農地所有制度を認めることは、農地所有者と農業経営の分離を招き集落の共同作業の土地改良施設の維持管理の破綻や農地の産廃処理場化を引き起こすことは必至であり、決して認めることは出来ません。
a.家族経営を守り発展させるために、規模の大きな農家も中小農家も担い手として位置づけ、支援を強める。

 東北の農業生産を多様にかつ旺盛に展開するためには、東北の農業者の総力を挙げる必要があります。そのためには、家族経営を守り発展させる立場で規模の大きな農家も中小農家も農業の担い手としてきちんと位置づけ、支援を強めなければなりません。特定の大規模農家だけの施策の集中は、東北農業の縮小になってしまいます。
b.集落営農への支援を強める

 東北農業にとっても集落営農は、重要な営農形態です。品目横断的経営安定対策では、集落営農の法人形態への移行がなければ、集落営農を担い手として認めないとしています。しかし、法人形態に移行できない集落営農は、経営安定対策対象からはずれ所得保障もなされず、集落自身が崩壊しかねません。

 また、法人形態に移行することを決めた集落営農でも、経営の一本化や農地の担い手への集約が課題になり、新たな困難を抱えることになります。

 今、集落営農にとって求められているのは、それぞれの集落営農が抱えている課題を自治体行政や農業委員会が具体的に掌握し、その改善点に即して具体的に改善支援することです。

 将来的にも集落営農を維持発展させなければなりません。そのための総合的な取り組みを国に行わせます。
c.農業生産法人への支援

 農業生産法人も半数以上が家族経営として位置づけられます。それらの農業生産法人が安定的に農業経営を営めるようにすることは、家族経営を守る点からも重要です。

 農業経営の特質に即した新たな準備金の創設など税制上経営上の支援を強めます。
d.農業後継者育成プロジェクト

 農業後継者が育成・定着されなければ、東北の農業生産基盤は縮小の一途になってしまいます。

 県・市町村・農協・農業委員会・教育委員会・ハローワークなど関係者による農業後継者育成プロジェクトチームを結成し、総力を挙げて地域における宣伝、勧誘をはじめ、それぞれの自治体ごとの後継者育成プロジェクトを策定し、実施する。また、月15万円(年間180万円)を支給する新規就農支援制度を創設します。
e.自治体による農林水産業支援措置に対する特別交付税措置の実現

 農林水産業の地域における展開を進める上での地方自治体の役割はきわめて重要です。 それぞれの地域の特質にあった地方自治体による農業支援措置を厚く展開するためには、財源問題は避けて通れません。

 そのためには、自治体による農林水産業支援措置については特別交付税で対応する仕組みを創設します。
f.中山間地直接支払い制度の改善と拡充

 中山間地域の直接支払い制度は、採択要件が厳しいなど使いづらい制度となっていますが、その役割は重要です。採択要件を緩和し、どの中山間地域でも利用できるようにするとともに、営農による国土・環境の保全など「農業の多面的機能」を評価して、平場地域も対象に加えます。

g.農業予算を公共事業中心から価格・所得保障中心に変える

 日本の農林水産予算の5割は公共事業予算です。必要のない広域農道や自動的に農道建設を進める農免農道など日本農業が衰退するのに反比例するように建設が進められてきました。

 この公共事業中心予算を切り替え、価格所得保障中心の予算にすれば、東北農業の振興のための施策は十分確保できます。

 また、必要な公共事業は進めなければなりませんが、無駄な必要以上に規模の大きな事業はさけなければなりません。地元関係者への意見公募など住民の知恵を集めて適正規模の公共事業になるようにチェック体制を強めます。

 
4、東北林業の再生のために

 

 東北林業の再生のためには、間伐もなされていない荒廃した山を放置することは出来ません。

 国による治山治水事業の一環として、緊急を要する除伐間伐を位置づけ、国の責任で除伐間伐を推進させます。

 また、林業再生の主体となる民有林経営を支えるために、造林経費控除を経費全額に引き上げるなど税負担の軽減を図ります。国産材需要を拡大することは東北林業の活性化につながります。

 そのために、地元産・国産材を活用した地域興しの取り組みや木造住宅の建設に対して国の補助率を引き上げるなど国の支援を強めます。

 また、地元公共施設や公共事業での国産材利用を促進するとともに、東北地方のガードレールの木造化に取り組み、木造化率を当面50%をめざす。

 さらに、木質バイオマスによる間伐材や木屑の燃料化、バイオマス発電の推進など山村地域での新たな事業を促進して、山村地域の活性化を図っていきます。

  5、東北漁業の振興のために

 東北漁業の振興を図るためには、豊かな海が不可欠です。乱獲により資源の枯渇を防ぎ、資源管理を着実に進めるとともに、漁場・藻場の再生など漁業環境の整備が必要です。

 そのためにも休漁・減船補償を国の責任で充実させます。また、漁業経営の安定のためには魚価の安定が求められています。

 そのためにも、政府の責任で価格安定対策を強化させます。

 また、漁業者の後継者が広がるように、青年漁業者支援制度を創設します。水産加工業者の支援を強め、練り製品の原料の高騰を抑制するための加工業者の共同購入や漁業者の長期契約の取り組みに対する国の支援を強化します。

 

6、多くの実績作ってきた日本共産党ともに東北農林漁業の新しい展開を

  日本共産党は、第22回党大会では農林漁業と食料問題を21世紀の国民の生存と生活の基盤に係る課題として重視することを決議し、第23回党大会で決めた新しい綱領では、「国の産業政策の中で、農業を基幹的な生産部門として位置づけ」奮闘してきました。

 そして、これまで農業つぶしの悪政と真っ向から対決し、再建の道筋を示すとともに、数々の実績を積み上げてきました。特に米の問題ではミニマムアクセス米が輸入義務でないことを政府に認めさせ、穀物セクターとして米を位置づければ全く輸入を回避できることも認めさせてきました。

 さらに、WTO協定のもとでも60キロ2万円米価を保障しても可能であることを農林水産省に認めさせました。

 また、BSE問題では、BSE発生が政府による「重大な失政」であったことをいち早く明らかにし、BSE特別措置法を野党全体でまとめあげ、与党も含む全党一致で国会で成立させました。

 さらに、鳥インフルエンザ問題でもいち早い現地調査と政府に対する要請を積み重ね、国会質問を通じて、家畜伝染病予防法改正による移動制限農家に対する補償を制度化させました。

 日本共産党は、これらの成果を守り発展させるためにも、全力を挙げます。

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