厚生労働大臣 舛添 要一 殿
2008年8月26日 日本共産党国会議員団
全国で14万戸、35万人が住む雇用促進住宅を全廃する方針のもとで、居住者の入居契約打ち切りがすすめられ、まともな説明もないまま、早ければ今年中の退去を迫られる人たちもうまれている。
雇用促進住宅は、建設当初の目的の「移転就職者向け」から「仕事と住まいを求める人達を対象」に拡大され、公営・公団住宅と同様に国の住宅政策5カ年計画にも位置づけられてきた。しかし、特殊法人改革の中で住宅の建設・管理から撤退し、全廃させ売却する方針が採られた。それでも当時は三十数万戸という規模の大きさや居住権などの問題を踏まえ「30年程度を目途に」と一定の年月をかけることを明記し、居住者に対して配慮をせざるを得なかった。
その後、2005年末の規制改革・民間開放推進会議第2次答申での見直しで「30年かけて」と言う方針を撤回し、「民間事業者のノウハウを活用し」、「できるだけ早期に廃止」すると変更して以降、次々に前倒しし、ことし4月にはいっきょに全住宅の半分程度まで一方的に廃止を決定してしまった。
今回の突然の退去を求める通知に、居住者からは「通知の紙一枚で何の説明もない」「市営住宅はいっぱいで入れず、目の前が真っ暗」「民間は高くて今の収入ではとても移れない。ホームレスになれと言うのか」などの怒りの声が寄せられている。
日本共産党は、これまでも居住者の声を政府に伝え、実現を求めてきたが、今回改めて厚生労働大臣に以下の通り申し入れる。
1、入居者の理解を得ない一方的な住宅廃止決定を白紙に戻し、「入居説明会」の開催に連動した再契約拒絶通知を中止すること。
2、定期契約者を含めて入居者の声を十分に聞き、事情をよく理解した上で納得のいく話し合いを行い、一方的な住宅廃止や入居者退去を強行しないこと。
3、 種々の事情で雇用促進住宅からの退去が難しい入居者には、入居継続を認めるほか、納得を得て同一住宅内の別棟や近隣住宅への移動により居住権を保障すること。
4、 地方自治体への売却が適当と認められる場合は、固定的な価格提出に固執することなく、柔軟な態度で自治体当局と協議をつくし、入居者にとって最善の結果得られるようにすること。
5、 ワーキングプアと呼ばれる人たちをはじめ、低賃金等によりアパートなど住居を確保できない人達の住宅対策の一環として、耐震補強など大規模修繕を前提にした雇用促進住宅の新たな活用方法を早急に検討すること。
以 上