ちづ子へのエール住民とともに(質問のエピソードと会議録など)
政策と提案

子どものアレルギー対策に関する質問主意書

子どものアレルギー対策に関する質問主意書

2008年11月7日

提出者  高橋千鶴子

 

 平成一九年四月、文部科学省が「アレルギー疾患に関する調査研究報告書」を発表した。全国の公立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校三万六八三〇 校を対象とし一二七七万三五五四人の児童生徒から回答を得たうち、アレルギー疾患有病率はぜん息で五.七%の七三万四六六人をこえ、食物アレルギーは二. 六%の三二万九四二三人にのぼっている。ぜん息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギーを合計すれば、のべ三三八万二 一四三人にものぼり、どこの学校や学級にもアレルギーをもつ子どもはいる、という前提に立った取り組みが求められている。

 とりわけ、アレルギーの中には、アナフィラキシーなど、場合によっては生命に関わるという重大な疾患、特性も含まれており、緊急時の対応などができるよ うに学校全体で認識を共有しておく必要がある。こうした点で、(財)日本学校保健会が今年三月発表した「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライ ン」は、わかりやすい工夫もされており、重要な試みと受けとめるが、各学校には二部ずつ配布されるのみであり、それも市町村段階では八月末で半数の学校に は届いてさえいなかったという。縦割り行政の弊害で、幼稚園には配布されるが保育所には配布されておらず、最も大事な乳幼児期の対応が後手にまわるおそれ がある。

 抜本的な改善と対策の強化を期待して、以下、質問する。

一 「ガイドライン」の活用と徹底について

 1 ガイドラインが、どこにどのように普及されているか、またその費用はいくらか。

 2 学校全体、地域全体でアレルギーについて理解し、支えていくためには普及版を全保護者や学校保健関係者に配布し、学校説明会やPTAなどで随時説明や、相談体制をとる必要があると思うがどうか。

 3 アナフィラキシーなど緊急時の対応などについては医療行為を含む場合もあり、法的整備や、教職員の研修についてはどのようになっているか。

 4 「一〇月の入学時検診のとき、子どもがアレルギーだと話すと『ここはアレルギーの話をする場ではない』と言われ、話し合いの場が直前までもたれな かった」など、保育所や幼稚園から小学校、そして進級進学、と変わるたびごとに一から説明して理解を求めなければならない。連携体制について検討するべき ではないか。

 5 長期継続的に治療を必要とする保護者の経済負担を軽減するために、アレルギー疾患を学校病指定とすべきと考えるが、どのような検討がされているか。

二 乳幼児期の対応について

 1 乳幼児検診は今、どのようになっており、その中でアレルギーを発見したり、相談を受ける体制はどのようになっているのか。もしなければ、検討するべきと考えるがどうか。

 2 幼稚園、保育所などにおいてもガイドラインを徹底し、生かすべきと考えるがどうか。

三 アレルギーの子どもをもつ家庭の負担軽減について

 アレルギーの子どもを抱える保護者は、毎日の食事に気を抜けないために、経済的精神的負担がはかり知れない。そのうえ、周囲の理解がないために、たびた び保護者自身の同行や努力を求められ仕事を続けられなくなる。保護者のアンケートなどを実施し、悩みや要求に即した相談体制や支援体制をとるべきと考える がどうか。

 都道府県や市町村などで独自にアレルギーの子どもに係る医療費などについて補助しているところがあるか。国としてはどのような支援をしているか。

四 負荷試験など、専門医療機関の普及と周知について

 現在、アレルギーの原因物質を特定するための負荷試験を実施できるところは全国にどのくらいあるのか。身近な医療機関で、負荷試験を可能にするために国としてどう取り組むのか。

 現在では、遠隔地に出向き、入院を要するということで保護者の負担も大きいがどう考えるか。

五 学校などがアレルギー対策で行う設備や人員配置に対する国の支援について

 アトピー性皮膚炎にとって、温水シャワー浴が効果的であるということ、温水シャワーを設置している学校の割合は一四.八%に留まっていることが報告されているが、こうした設備については学校の判断にまかせられ、財政支援もない。何らかの支援策を検討する考えはないか。

 アレルギー対策において、養護教諭の役割は非常に大きいと思うが、増員や位置づけについてどのように考えているか。

六 学校給食について

 1 献立表に使用食品を表示している学校は、小学校で六七.一%、中学校で五三.一%に留まっている。一定の目安を示し促進するべきと思うがどうか。

 2 代替食、特別食で対応しているのは小学校で二〇.八%、中学校で一五.〇%に留まっている。そもそも、これらは完全給食を行っている学校に限られ、 中学校では完全給食が七六.三%に留まっていることも反映している。こうした結果をふまえ、文部科学省は、複雑化し、今後も増える可能性の高い食物アレル ギー対策のため、今後の学校給食について、

 (1) 新規のものは、単独校方式とする。

 (2) センター方式でも、外注や外部委託を見直し、安全安心の食材購入や、アレルギー対策においても目の届く体制とする。

 (3) 燃油高騰や食材費の高騰で、給食そのものを一部弁当に置き換えたり、メニューを変えるなど、現場でも苦労している(そういう中で特別食などの対応はますます困難になる)状況をふまえ、給食に係る補助を増やす。

 など父母の負担増にならない支援策を、検討する考えはないか。

 右質問する。

▲ このページの先頭にもどる

© 2003 - 2024 CHIDUKO TAKAHASHI