内閣衆質一六三第三六号
平成十七年十一月四日
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 河野洋平 殿
(1)及び(2)について
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律二百十七号)第一条において、医師以外の者で、あん摩、マツサージ又は指圧(以下「マツサージ等」という。)を業としようとする者は、あん摩マツサージ指圧師免許を受けなければならないこととされており、これに違反する行為は、処罰の対象となる。
そのため、厚生労働省においては、「免許を受けないであん摩、マッサージ又は指圧を業とする者の取締りについて」(昭和三十九年十一月十八日付け医発第千三百七十九号厚生省医務局長通知)及び「医業類似行為に対する取扱いについて」(平成三年六月二十八日付け医事第五十八号厚生省健康政策局医事課長通知。以下「平成三年通知」という。)を各都道府県知事等に通知し、これらの通知については厚生労働省のホームページにおいても広く周知を図るとともに、毎年開催している全国医政関係主管課長会議を通じて、あん摩マツサージ指圧師免許を受けていない者がマツサージ等を業として行っている場合には、必要な指導等を行うことを求めているところであり、「認可をうけない養成施設・学校」に対して何らかの対応を行うことは考えていない。
なお、お尋ねの「無免許者の営業行為、技術取得講座の件数、内容などの実態調査」は行っていない。
(3)について
御指摘の「顧客の身体に対して直接施術する多様な「類似行為」」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、マツサージ等、はり、きゆう及び柔道整復以外の医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがある医業類似行為は問題があると考えており、平成三年通知において、そのような医業類似行為が処罰の対象となることを示しているところである。
また、医業類似行為に係る医学的検討については、厚生労働省において、いわゆるカイロプラクティック療法に関し、平成二年度に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設け、検討を行ったところであり、同研究会が平成三年三月にとりまとめた報告書では、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価はいまだ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識が示されたところであり、平成三年通知において、同報告書の内容を踏まえ、カイロプラクティック療法に係る取扱いを示したところである。
(4)について
厚生労働省においては、「無免許あん摩師の取り締り等について」(昭和三十二年十一月二十日付け発医第百六十六号厚生省医務局長通知)を各都道府県知事に通知し、旅館、料亭等の営業者の積極的な協力を要請し、無資格者と知りながらこれを客に仲介し、施術を行わせることのないよう徹底した指導を行うことを求めているところである。
また、御指摘の「責任が及ぶようにする」とは、何を指すのか必ずしも明らかではないが、マツサージ等が行われていない施設において「マツサージ」等と広告することは、当該施設においてマツサージ等が行われていると誤認されるおそれがあり、公衆衛生上も看過できないものであることから、全国医政関係主管課長会議を通じて、このような広告が行われることがないよう、必要な指導等を行うことを求めているところである。
(5)について
公共職業安定所において、職務内容が「あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを行う」ものである求人の受理に当たっては、求人票の「必要な免許資格」欄に該当免許を必ず記載させるとともに、求人票等の職務内容等に関し、求職者に誤解を招くおそれのある記述がある場合は、明確な記述に修正するよう、求人者に対し指導しているところである。
また、公共職業安定所の職業相談窓口においては、当該求人に応募を希望する求職者に対し、免許保有の必要性や職務内容の詳細を説明し、適切な職業選択が可能となるよう支援しているところである。
(6)について
マツサージ等、はり及びきゆうを業として行う場合には、原則として、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許を受けなければならないとされているとともに、これに違反した場合には処罰の対象となるなど、既に公衆衛生上必要な措置が講じられており、新たに御指摘のような免許の提示等を義務付ける必要はないと考えている。
(7)について
御指摘の「無資格者による「類似行為」の拡大」が何を指すのか必ずしも明らかではなく、その影響も必ずしも明らかではないため、これが視覚障害者の自立及び生計の維持を圧迫する一要因となっているかどうかについて、一概にお答えすることは困難である。