野党5党(共産・民主・維新・生活・社民)は「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」(介護職員等の処遇改善法案)を衆議院に共同提出しました。
介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案新旧対照表
介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案 助成金の金額・予算規模の総額
介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案 ポンチ絵
5野党の介護職員処遇改善法案
人材・サービス確保に力
日本共産党、民主党、維新の党、生活の党、社民党の野党5党が2日提出した「介護職員等の処遇改善法案」は、労働者はもちろん、安心・安全のサービスを求める利用者や家族らの願いに応えるものです。
介護現場では、全産業平均の月額賃金(常勤労働者)が33万3千円に対し、ホームヘルパー22万5千円、福祉施設介護員22万3千円と約10万円も低く、深刻な人手不足が生まれ、利用者にも深刻な影響を与えています。
ところが、安倍政権は、介護事業者に支払われる介護報酬を、2015年4月から過去最大規模に匹敵する2・27%の引き下げを強行しました。
その結果、介護事業者の倒産件数は昨年1年間に前年比1・4倍の76件に達し、2000年の介護保険制度開始から最多となりました(東京商工リサーチ調査)。訪問介護と通所介護事業者の40%以上が赤字となるなど経営を直撃しています。報酬引き下げのさい厚労省は、賃金改善に取り組む事業者には報酬を上乗せする措置を取ったので、賃金が増えると説明していました。しかし、全労連の調査(約4千人)では、賃金が増えたとする職員は21・7%、5人に1人にとどまっているのが実態です。
これに対し、5野党が提出した処遇改善法案は、報酬とは別に助成金を支給し、賃上げに確実に結びつく仕組みです。対象者も、直接の介護処遇に従事する労働者だけでなく、ケアマネジャーや事務職なども含めて幅広い労働者を対象にしています。安心のサービス確保を求める国民の願いに応える内容です。
厚労省は、2025年までに新たに100万人の介護職員が必要になると推計していますが、まったく見通しはたっていません。
安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」構想では、「介護離職ゼロ」に向けて施設整備を打ち出しましたが、介護職員の待遇改善は何もなく、「介護離職ゼロ」は名ばかりです。5野党が掲げる処遇改善こそ人材確保の確かな力です。
(「しんぶん赤旗」2016年3月3日付)