2015年8月27日
経済産業副大臣・内閣府副大臣
原子力災害現地対策本部長
高 木 陽 介 様
日本共産党国会議員団
日本共産党福島県委員会
避難指示解除など福島第一原発事故後の
当面の課題についての緊急申し入れ
政府は、9月5日、福島県楢葉町への避難指示を解除しようとしている。自治体全域の解除としては楢葉町が初のケースとなるが、ここでの対応が帰還困難区域以外の地域の避難指示解除にも強く影響するため、住民の意向を尊重した慎重な対応が求められる。6月12日の新福島復興指針では、事故から6年後に解除として集中期間を設けているが、一律に6年後として線引きすること自体が不合理である。そもそも避難指示解除と賠償をリンクさせるべきではない。全県民が被害者であるとの認識のもと、終期ありきではなく実態に見合った賠償を最後まで継続させるべきである。
さらに、8月25日に閣議決定した「子ども被災者支援法基本方針」には、「避難指示区域以外の地域から新たに避難する状況にはなく」と明記されているが、これは国の避難支援「打ち切り宣言」であり、到底認められない。
日本共産党国会議員団と福島県委員会は、8月9日、10日、住民や首長からの聞き取り、東京電力・福島第一原発視察などの現地調査を行った。原発事故から4年5カ月以上が経過するなかで、被害は複雑化、深刻化しており、国の果たすべき責任はむしろ重くなっている。避難を選択しても、帰還を選択しても、最後の一人まで必要な支援が受けられるように国と東電が責任を果たすことを求めて、以下、申し入れる。
1.避難指示解除をめぐる問題について
① 避難指示解除先にありきではなく、国が示した3要件整備はもちろんのこと、住民の納得を優先させること。
② すぐには帰れない人が避難先で生活できるよう支援策を具体化すること。解除と賠償を切り離し、実態に応じて賠償を行っていくこと。
③ 自宅が津波で流された人、自宅を解体した人等の住宅確保について、実態を把握し要望に対応すること。
④ 避難指示解除準備区域(旧含む)も、復興公営住宅の入居対象とすること。川内村など、公営住宅の見通しのない人への対応を具体化すること。県外避難も含め、みなし復興公営住宅を活用すること。
⑤ 改定した基本方針にある「避難指示区域以外の地域から新たに避難する状況にはなく」という一文を削除すること。
2.賠償をめぐる問題について
① 避難指示を受けていないすべての県民についても精神的損害を含む被害が存在することを認め、一律に賠償を行うこと。
② 営業損害賠償を年間逸失利益の2倍相当額で終わりにするのではなく、被害が継続する限り賠償を継続すること。相当因果関係の判断はこれまで通りの方法で行い、被害者の負担とならないようにすること。
③ 避難指示が解除されても帰還できない住民が存在する現状や、帰還しても事故前の状況に戻ることにはならない実態を踏まえ、精神的損害賠償を2018年3月末で終了しないこと。
④ 原子力損害賠償紛争審査会が、インフラ整備や住民の帰還の状況を踏まえて判断するとした旧緊急時避難準備区域の精神的損害賠償についても再開すること。
3.原発労働者の安全確保について
① この間相次いでいる死亡事故について、原因等を調査し結果を公表すること。
② 労災が増えている現状を踏まえ、手順書の徹底、現場責任者の確実な配置と対策の水平展開を行うこと。
③ 多重下請構造の末端まで被ばく手帳を持たせ、管理を徹底させること。原発と除染などを渡り歩いている場合の被ばく管理を徹底すること。
④ 危険手当の現状を把握し、末端まで届いているのか調査すること。
4.東京電力・福島第二原発の廃炉について
避難している住民が安心して帰還するためにも、福島県と同県内全自治体・議会が求めている東京電力・福島第二原発の廃炉を決断すること。
以上