ちづ子へのエール住民とともに(質問のエピソードと会議録など)
政策と提案

東北の農林水産業を再建して、地域経済の振興に全力をあげます。

2003年10月24日

日本共産党前衆議院議員 松本善明

日本共産党東北ブロック事務所

高橋ちづ子

               五島 平

佐藤秀樹

日本共産党秋田県委員会 最上健造

東北の農林水産業は、国民の食料を確保し、地域経済を活性化していくためにも、また国土・環境の保全のためにも、なくてはならない基幹産業です。東北の総農家数は、49万2,300戸(2002年1月現在)。耕地面積は、北海道に次いで全国の18.8%を占め、米の生産量は全国の約4分の1(2002年産で242万4千トン)、畜産や果実で約2割など、わが国の食料基地としての役割はますます重要になっています。これらは、豪雪や冷害などきびしい自然条件とたたかいながら、農民や研究者など多くの先達のたゆみない努力によって成しえたものです。

しかし、この東北の農林水産業が、自民党農政のもとで、たいへんな危機に直面させられてきました。1992年に50万6千戸だった東北六県の販売農家数は、2002年には42万5千戸となり、7万戸以上も減少しました。また、中山間地のみならず平場でも耕作放棄地が増加し、この10年間で、4万4千?(秋田県の水田面積の約1/3にあたる)と2倍にもなっています。宮城県や福島県では、県の食料自給率が100%を下回るなど、生産県としての落ち込みが深刻になっています。

─東北になくてはならない日本共産党の議席─

日本共産党は、みなさんのお力で1996年に衆議院比例代表・比例ブロックで議席を獲得して以来、多くの関係者と力をあわせて「東北の農林水産業をまもれ」と、全力で取り組み多くの成果をあげることができました。主なものとして、次のものがあります。

(1) WTO協定のもとでも「米価2万円の保障は可能」「関税項目を『穀物』に大くくりすれば、ミニマムアクセス米の削減・廃止は可能」と、政府がやる気になれば米の輸入が削減・廃止できることを農水省に認めさせた。

(2) BSE(牛海綿状脳症)の発生をめぐり、「BSEの発生は政府の責任」と認めさせ、ほかの野党と共同してBSE特別措置法を提案、制定させる。畜産農家のみなさんの声を結集して損害補償を充実させるために力を尽くした。

(3) セーフガード(緊急輸入制限)の発動をねばり強く要求。全国的な運動のなかで、政府は、2001年4月、長ネギ・シイタケ・畳表の3品に暫定発動した。

(4) 青森県では、1999年度から生食用りんごの価格安定制度がスタート。日本共産党が主催した「りんごシンポジウム」が契機となった。

(5) 秋田県湯沢市・羽後町の農業者大会に、連続して毎年参加。米価2万円の保障などを提案して、参加した農民を激励。

(6) 宮城県塩釜市の魚市場水揚げ岸壁の修復では、水産庁長官に早期改修を要求。「一気にやれるようにしたい」と、予算が付けられた。

(7) 宮城県気仙沼などでおこったマグロ漁船の減船問題では、政府の減船補償金を銀行優先ではなく、仕込みや塗装など関連する地元の業者救済に活用するよう、国に要求。その結果、関連業者の債権のうち72%を回収させた。

(8) 岩手県山田町の大沢漁協では、長年つとめてきた元組合長が職権乱用などで組合から除名、県漁連会長も辞任に。この件で、多くの漁民の声を聞き、漁協の民主的運営に力を尽くす。

日本共産党は、この成果をまもり発展させるためにも、衆議院比例代表・東北ブロックで議席を何としても守りぬき、さらに躍進するために全力をあげます。

一、被災農家が意欲を持って営農を続けられるようにするため、冷害対策に力を尽くします。

東北地方は、いま収穫の秋を迎えました。しかし、この夏の低温・長雨、そして台風等により、農水省が発表した9月15日の水稲作況は、東北全体で「86」と10年ぶりに「著しい不良」となりました。その後の経過から、さらに低くなることは必至です。ももやぶどうなど果樹の品質低下、暴風雨によるりんごの落下など、さまざまな農作物に被害が出ています。被害に見舞われた農家の皆さんに心からお見舞い申し上げます。農業が、自然災害に見舞われることは避けられません。この時に、来年以降も意欲を持って営農が続けられるよう、万全の対策をとることは、政治の責任です。

日本共産党は、次の救済策を実施させるよう、力を尽くすものです。

1、 天災融資法の発動と激甚災害法の適用を早期に実施する。

2、 農業共済では、公正な損害評価と年内までに満額支給を行う。また品質低下と収量の両面で損害を評価する特例措置を行う。

3、 来年度作付け用の種籾代に助成する。規格外米は、国が適正な価格で優先して買い上げる。

4、 果樹の樹勢回復のための肥料代、改植のための苗木代に対して助成する。

5、 土地改良負担金の減免や既借入金の償還猶予など、農家負担を軽減する。

6、 被災農家に仕事を確保して就労促進をはかる。

7、 県や市町村が独自に行う冷害対策に対して、財政支援を行う。

8、 農業の多面的機能、農地の有効利用をはかるため、水田・畑作10アールあたり1万円の所得保障で、農家の経営を支援する。

二、安心して米づくりを続けるために

東北六県の米の生産額は、減反の拡大と米価の下落で、10年前の9,100億円余り(1992年)から3,300億円余りも減額して、5,800億円(2001年)になってしまいました。それでも、米生産額は、総生産額の4割を占めています(2001年度)。

政府はいま、米価が暴落しても野放しにし、4ヘクタール以上の農家と法人経営だけを農政の対象にする米「改革」を推し進めようとしています。しかも農家が苦しみ、米価の乱高下がおきているのに、さらに減反を拡大しようとしています。この政策で対象となるのは、東北で36万7千戸の農家のうち、わずか6.5%、2万6千戸にすぎません。これでは、東北農業の大黒柱である稲作が崩壊してしまいます。

※ 4ヘクタール以上の農家-青森:3,600戸、秋田:6,200戸、岩手:2,800戸 宮城:4,500戸、山形:6,000戸、福島:3,100戸

日本共産党は、政府がいますすめている米「改革」を中止します。米の需給と価格の安定に、政府が積極的な役割を果たし、政府が100%資金手当てする不足払い制度を創設し、再生産に見合う米価-全国平均で60キロあたり約1万8千円程度-を保障することをめざします。こうした対策は、WTO協定のもとでも政府にやる気があれば十分できることは、欧米の政府が実施している政策からも明らかです。

三、輸入規制と価格保障を柱に、東北の農林水産業を再建します。

東北の農林水産業をまもり発展させるためには、とめどもない農産物の輸入拡大を抑えると同時に、農産物の価格・所得保障を充実させ、家族経営を支える農政の確立と食の安全を守るたたかいが求められています。

そのために、日本共産党は、東北地方を国の重要な食料基地として位置付け、地域の条件に見合った農業の発展と食料自給率を回復させるために、以下に掲げる政策を提案します。

1、 WTO農業協定の改定を求め、食料主権を確立します。わが国の食料自給率を早期に50%に回復させ、60%をめざします。農産物の輸入急増には、セーフガードの発動を求めます。

東北でも、これまでにサケ・マスやワカメ、ホタテ、しいたけやにんにく、りんご果汁などの輸入急増による価格下落に対して、関係農家や漁民、そして自治体からセーフガードの発動がつよく求められてきました。

2、 ムダな広域農道や大規模林道などの公共事業を削り、価格・所得保障を農業予算の主役にします。小泉内閣は、米や大豆、なたねなど、次々と農産物の価格政策を投げ捨ててきました。市場まかせの農政では、営農は成り立ちません。

東北でも、青森県の生食用りんご価格安定事業(現在は、国の果樹価格安定制度に移行)や地域肉豚価格差補てん事業、秋田県の米価下落10割補てん制度、山形県の加工原料用さくらんぼ価格安定制度、福島県の畜産物価格補償事業や青果物価格安定制度など、各自治体が価格安定制度を実施しています。こうした自治体の事業を支援します。

3、 株式会社による安易な農地取得は、農業で利益が出なければ撤退したり、ほかの目的に転用するなど、農地の荒廃につながります。株式会社による農地取得をねらった農地法の改悪には、反対します。

4、 農政による支援の対象を、大規模農家や認定農業者に限らず、兼業農家も含め家族経営を基本に多様な担い手を応援します。東北の新規就農者数は、2001年度でわずか721人(新規学卒者:286人、Uターン就農者:353人、新規参入者:75人など)でした。月15万円(年間180万円)を支給する新規就農者支援制度を創設します。また、県や市町村が独自に行う後継者対策を支援します。

※ 県別の新規就農者数-青森:147人、秋田:106人、岩手:106人、宮城:82人 山形:152人、福島:128人

5、 10月6日、福島県葛尾村で肥育されていた肉用牛から、国内で8頭目、東北でははじめてBSE感染牛がみつかりました。今回の感染牛は、生後23ヶ月と若く、新型の異常プリオンであること、さらに肥育農家が畜産会社と委託契約をして、えさも供給されていたことなど、これまでとタイプが異なっています。一刻も早い原因究明と全頭検査体制の強化、法律で義務付けられていない輸入牛も含めた牛肉のトレーサビリティ(生産履歴)を徹底して、消費者に安心できる農産物を届けます。

また、来年11月までに整備が義務づけられている家畜排泄物処理・保管施設整備については、資金面でどうしても困難な畜産農家に対して、延長の特例措置を講ずるとともに、糞尿の有機肥料化を支援します。

6、 中山間地域は、東北地域面積の6割以上を占め、約3割の人が住んでいます。2004年度で期限が切れる中山間地域への直接支払い制度を改善・拡充し、さらに継続します。     東北地方では、対象市町村364のうち、281市町村で交付金が支払われ、その交付額は85億7,500万円(2001年度)にのぼります。

この制度を地域住民が使い勝手のある制度にするために、対象農用地を平場まで広げ、支払い単価の引き上げ、高齢化率や5年間の耕作維持要件などを見直すよう求めます。

7、 地域の特徴を生かした特産物の振興をはかります。東北には、りんごやぶどう、もも、なし、さくらんぼなどの果樹をはじめ、メロンやすいか、きゅうりなどたくさんの特産物が生産されています。しかしこうした特産物は、日照不足や長雨・低温、豪雪そして霜の被害など、つねに自然災害に脅かされています。ところが、農業共済への加入率は、「掛け損」でメリットが少ないために低くなっています。

これら特産物の価格安定をはかるとともに、自然災害による損失を補てんするために、国庫負担を以前の3分の2(現行2分の1)に戻し、農家の掛け金負担を軽減するなど、加入しやすい共済制度に見直します。

8、 地産地消の取り組みを応援します。多くの自治体で、「地場産品学校給食」が実施されています。また産地直売施設は、岩手県の107ヶ所をはじめ東北全体で386ヶ所にもおよび、地元の生産者と消費者の顔のみえる交流の場となり、地域経済を活性化させ農村集落に活気を取り戻しています。また、秋田県中央卸売市場で行われている朝とり野菜の午後競りの取り組みも注目されます。

こうした取り組みを林産物や海産物にも広げ、学校に限らず病院や福祉施設、そして家庭の食事にも広げる取り組みをおおいに支援します。

9、 地元産・国産材を活用した地域おこしの取り組みや木造住宅の建設に対して、国の補助率を引き上げ、住宅融資の条件を見直すなど、予算の使い方をあらためておおいに応援します。

岩手県紫波町では、南部アカマツなど地元の木材を活用し、さらに地元の大工さんが仕事をするなどして工事費の8割を地元が受注して、小学校や駅舎などを建設して、地元業者や地域経済に活力を作り出しています。

また、宮城県の金華山や秋田県の日本海側などで松林に被害が広がっているマツクイムシを防除するために、必要な支援を行います。

10、木材や畜産(家畜の糞尿)を活用したバイオマス(生物資源)は、再生可能でクリーンなエネルギー源です。この開発・活用を支援します。

11、三陸沖などのわが国200カイリ内の漁場をさかなの豊かな海にするために、乱獲の防止、漁場・藻場の再生など漁業環境の整備と、水産資源の有効活用に力を入れ、沿岸漁業の振興をはかります。

また、国際協定にもなっているマグロの便宜置籍船からの買い入れ禁止を徹底します。

水産加工では、ねり製品の原料の高騰を抑えるため、加工業者の共同購入や漁業者との長期契約の取り組みなどに対して、国の支援を強めます。

12、消費者参加とチェック体制の強化で、食の安全を守ります。

輸入食品の検査を行う検疫所は、全国に32ヶ所、東北地方には、仙台検疫所(塩釜市)及び出張所として仙台空港検疫所があるだけです。輸入食品の届け出件数が急増しているにもかかわらず、監視と検査を行い国民の健康を守る業務を行う食品衛生監視員は、仙台検疫所に4人。仙台空港にはわずか1人しか配置されておらず、しかも仙台空港には検査機器さえありません。

国民が求める食の安全を保障する食品検疫を確立し、輸入農産物のチェック体制の強化、原産国表示の徹底をはかります。

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