昨年一二月二三日の米国におけるBSEの発生及び今年一月一三日に明らかになった山口県阿東町での高病原性鳥インフルエンザの発生は、国民に大きな衝撃を与え、日本の食の安全と国民の健康の確保のための取り組みの一層の強化が求められている。
山口県発生農場の半径三〇キロ圏内の養鶏業者は、鶏卵の移動禁止命令の下で、経営的に困難な事態を迎えている。また、日本の牛肉消費の三割を占める米国産牛肉の輸入中止は、それに依存してきた流通・外食関係企業の経営を直撃している。これらの関係中小業者に対する救済対策は緊急に求められている。
日本共産党国会議員団は、山口県での高病原性鳥インフルエンザの発生後いち早く調査団を派遣するなど食の安全と国民の健康確保のために全力を挙げてきた。それらの調査に基づいて、対策の強化のために以下申し入れる。
記
BSE対策について
一、日本がBSE対策として実施している全頭検査は、FAOも「全頭検査が消費者の信頼向上策になる」と評価している。国民の安全・安心の確保のためにも米国政府などの圧力に屈することなく米国産牛肉に対しても全頭検査体制を求めること。
二、昨年米国から輸入された危険部位を含む牛肉製品の回収を徹底すること。
三、牛肉の需給状況が悪化する中で、便乗値上げや不当表示が横行するようなことがあってはならない。牛肉価格の監視、指導や在庫米国産牛肉を国産牛で販売するなどの不当表示を規制すること。
四、米国産牛肉輸入中止によって打撃を受けた流通・外食関係中小企業に対する経営支援に万全をつくすこと。牛タンなど特殊部位を使用している外食関係中小企業が特殊部位の供給を確保できるよう情報提供を含め努めること。
五、国産牛の増産のための支援措置をとるとともに、長期的に牛肉の国内自給率を引き上げ、国内需要に応じた国産牛供給体制を確立できるように畜産政策を抜本的に転換すること。
高病原性鳥インフルエンザ対策について
一、三〇キロ圏内の病死鶏に対する鳥インフルエンザ検査を完全実施し、安全を確保すること。
二、全国の鳥インフルエンザのモニタリング検査を完全実施させ、また、検査対象を広げるなど検査精度を上げること。
三、高病原性鳥インフルエンザの感染ルートの解明に全力を挙げること。また、予防のためのワクチン等の研究開発を早急に進めること。
四、三〇キロ圏内の移動・搬出制限に伴う周辺養鶏農家の損失に対する経営支援措置を行うこと。また、風評被害を被った山口県内養鶏農家に対する経営支援措置を講ずること。
五、地方自治体が独自に行う高病原性インフルエンザ対策に要する経費について、特別交付税による財政措置を講じること。
二〇〇四年一月二三日
日本共産党国会議員団
内閣総理大臣 小泉純一郎 殿