道路法等改定案が可決/大規模開発を後押し
衆院国交委で共産党が反対
国土交通省が推進してきたバス、タクシー、トラックの複合的バスターミナル(バスタ)を公共施設として整備し、運営を民間企業に委ねる(コンセッション方式)などの道路法等改定案が8日、衆院国交委員会で採決され、自民党、公明党、日本維新の会と、立憲民主党などの共同会派の賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。
日本共産党の高橋千鶴子議員は討論で「特定企業を優先的に優遇する大規模再開発事業を後押しするものになりかねない」と表明。バスターミナルは法律に基づき民間事業者自身が運営しており、公営の必要もなく、コンセッション方式が「公費の節約」に資するとの政府の説明は理由にならないと指摘しました。
高橋氏は質疑で、800億円をつぎ込む東京・品川駅西口駅前事業計画や、総事業費1000億円超の神戸三宮駅前事業計画を示し「バスターミナルは全体の再開発計画の一部だ」と指摘。国交省の池田豊人道路局長は、バスターミナルと再開発は「別モノ」だとしつつ、品川も三宮も「同時に進められている」と認めました。高橋氏は、国の事業費負担が「巨大開発の呼び水にならざるを得ない」と批判しました。
高橋氏は政府が人手不足対策としてトラック隊列走行(先行車が無人の後続車を誘導し走行)の実用化を急いでいるが、トラックドライバーは過労死請求件数がトップの職種であり、さらに極度の負荷がかかるとして「長時間労働の是正、処遇改善こそ取り組むべきだ」と主張。赤羽一嘉国交相は「低賃金や長時間労働が相まって人手不足が深刻だ。このまま放置するわけにはいかない」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2020年5月10日付より)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
冒頭、一言述べさせていただきたいと思うんですが、今回の道路法、皆さんさまざまおっしゃっているように、余りにいろいろな要素が盛り込まれております。全体三時間で終わらせるには不十分ではないでしょうか。しかも、前回やった地域公共交通、そして次に来る都市再生特別措置法ともリンクをしています。そういう意味でも十分な審議が必要だと思います。
新型コロナウイルスで緊急事態宣言が延長されたばかりです。こうした中、これだけのボリュームの法案審議を短時間で粛々と進めることはやはり考えるべきだ、これは理事者の側も、また両筆頭、各理事の皆さんも、ぜひ今後の運営について検討していただきたい、このように要望しておきたいと思います。
では、本題に入ります。
まず、特定車両停留施設、いわゆるバスタについて質問します。
資料の一枚目にありますように、先ほど紹介もありましたけれども、バスタプロジェクト、全国展開をしてきました。二〇一六年開業のバスタ新宿は、十九カ所あった各社のバス停留所を集約し、コロナ問題が表面化するまでは、日に平均約三万人が高速バスを利用、年間三千万人に達するなど、利便性が上がったと歓迎されていることは承知をしています。
今回は、バスタを特定車両停留施設と呼び、道路法上の道路附属物に位置づけるといいます。所有者である道路管理者、大概、国道なので国だと思いますが、その所有権を残したまま運営権を民間事業者に設定する、いわゆるコンセッション方式を採用するということです。
そこで伺いますが、これまで、バスターミナル、トラックターミナルなど、自動車ターミナル法で規定されていたと思いますが、民間事業者がやっていたものをどうして国などが整備する公共施設にするのか。しかも、公共施設でありながら特定車両にのみ停留を認めるというのは矛盾していると思いますが、いかがでしょうか。
○池田政府参考人 お答えいたします。
今御指摘ありましたように、鉄道駅周辺におきまして、高速バスのバス停の分散などで利用者にとっての利便性が低く、また、そのバスの乗降などで周辺の道路の混雑や事故などの課題が発生しているところが多くございます。こういった社会的な課題の解決をするために、分散するバス停を集約した施設を今回の改正で特定車両停留施設として道路附属物といたしまして、公共施設に位置づけることでございます。
今回、この特定車両停留施設について特定車両に利用を限定いたしましたのは、一般車両とバスなどが混在しまして、施設の中での渋滞、周辺の渋滞、あるいは事故、こういったもののリスクを減らして、より利便性の高い公共施設としてのバスターミナル、特定車両停留施設とするための措置として限定を考えたところでございます。
○高橋(千)委員 道路はみんなのものであって、だからこそバスタ新宿は一般車両を断ることができなくて、それで、混在しているからということで、今回、特定車両ということで位置づけたんだと思います。ですから、コンセッション方式を今やるわけですけれども、コンセッションというのは、もともと公共であるべきものがスタートなわけですよね。
私たち、水道法改正、記憶に新しいわけですけれども、命の水という表現もあったように、水道は生きるために絶対必要なものである、本来公共が管理するのが当然だという立場に立って、外資などに運営権のみ売却するということに対して大きな反対がありました。
しかし、バスターミナルは、もともとバス事業者自身が建設、運営するものだったわけですよね。停留施設にした場合、利用料金は他の一般の停留施設と比較して不当に高くても安くてもならないし、また、特定の車両に不当な差別的取扱いを行ってはならないとあるわけです。
この原則と折り合いをつけて、どう契約をしていくのかということが問われていくと思うんですが、運営権の設定は何年と考えているのか、また、設定する運営権の中身に何を盛り込み、どのような試算のもとにその料金を決めるのでしょうか。つまり、駐車料金のみではなくて、商業施設などがありますので、そのテナント料など、それを回収するという形で設定をするのか、あるいは、もう運営権はお任せしたんだよというふうにしちゃうのか、そういうことも含めて大臣に伺いたいと思います。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
今回のコンセッションに際しまして、道路管理者と運営権者が契約をすることになります。
この契約の内容につきましては、運営事業の内容や期間などを定めていくわけですけれども、この期間につきまして、特定の、何年までというような限定はございません。
そのほか、今おっしゃられましたような内容につきましても、包括的にこの契約の中で料金とあわせて決めていくということを想定しております。
○高橋(千)委員 なので、これは大臣に通告をしておりました。
つまり、水道法とかは国で法律のスキームは決めるわけですけれども、じゃ、契約をどういう中身にするのかということをやはり県議会とかで議論するわけですよね。そういうものが何もないわけですよ、これは国営なんだから。国の施設を、運営権を売り渡す、だけれども、それがどうなるのかというのが全くわからない、白紙委任になるわけです。なので、考え方を大臣に伺います。
○赤羽国務大臣 ちょっと済みません、正確に理解しているかどうかわかりませんが、高橋委員の懸念は、運営権者が公共性に反して営利的に走るということはよくないのではないかというような御指摘ではないかというふうに、ちょっとこれは間違っているかもしれません、そこを懸念されているのであれば、これは、まず運営権者の選定というのが非常に大事だというふうに思っております。
これは、今回、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法に基づく手続にのっとって、公共性の確保に留意して選定を行うということが一つと、そして、この運営権者が利用料金なんかを定めるわけでありますが、先ほど局長が答弁したように、その料金については、さまざま法律的にも規定が明確にされているということでございます。それで、不適切な料金設定になったら命令、変更できるということを書いている。
また、運営事業者の事業内容や事業期間などについては、道路管理者と運営権者との契約において個別案件ごとに定められることになっておりますけれども、この契約自体も、道路管理者としては、先ほど述べたような適切な利用料金を前提に、また、回収可能な投資に基づいて締結されることになっておりまして、多分、ちょっとこれは踏み込んで言う話じゃないかもしれませんが、コンセッションで、いわゆる回収の対象が運営に関する部分のみになる公設民営のケースが多くなるのではないかなというふうに考えているところでございます。
また、契約におきましては、利用料金のほか、公共性の確保の観点から、災害時における緊急輸送の確保等の必要な措置についても定めるということにしておりまして、今回、特定車両停留施設の運営を民間に委ねる場合であっても、公共性の確保を最優先として進めていくという考え方で行っていきたい、こう考えております。
○高橋(千)委員 前提であると。まあ言ってみれば、任せてくださいという話なんですよ。そこが問題だと言っている。どこもチェックできないじゃないですか。公共性をどうやって発揮していくのかということなんです。
今大臣おっしゃったのは、公設民営の部分だけと。ですから、バス、タクシー、トラックの停留の料金のところで回収するんだよという趣旨で確認をさせていただきたい。
○池田政府参考人 お答えいたします。
コンセッションをした場合に、運営者に任せっきりということではなく、利用料金の設定については、あらかじめ道路管理者に届け出ていただいて、不適切な場合には道路管理者が変更を命ずることができるような仕組みにしております。
また、利用料金のほかにも、公共性の確保がきちっとできるように、管理者が運営権者に対して必要な措置がとれるというようなことをしております。
事業の内容や事業の期間、それとその料金、そういったもの全体を道路管理者と運営権者が合意をするということでもって、公共性の確保を最優先にした運営を考えていきたいと思います。
○高橋(千)委員 これは、これ以上してもかみ合わないので。
これは問題だと思うんです。要するに、道路管理者がやるんだと言っていますけれども、公共性の確保について、どういうふうに確保するのか、どうあるべきなのかを議論ができないんですよ。議会のチェックが全くない、それを指摘しているわけ。
つまり、水道法だって、命の水は大事ですよと言っているけれども、でも、企業がやめると言ったらどうしますかとか災害になったらどうしますかといったときに、結局、水道管は、建設インフラは全部公共が持ちますから、最悪の場合は公共が引き取りますから、そういう議論をしてやったわけですよ。じゃ、何のために民間にやるんですか、新しいところだけ、楽なところだけ運営をやらせるんですね、そういう議論だったんです。
これは逆に、もともと民間が責任を持ってやるべき運営を、国が一部引き受けて、コストを軽くしてあげてやるわけですよ。だけれども、料金が安ければいいというものじゃないですよ、それは運転手にだって響くわけですから。そういうこと全体を見て、本当に公共性があるのかどうか、透明性が確保されるのかということをきちっと報告をしていただかなきゃならないと思うんですね。これはまたいずれかの機会でやりたいと思うんです。
資料の二枚目にあるんですが、上の方は品川駅の西口広場。バスタの事業費は、聞いたら八百億円と言っているわけですね。ただし、道路改良事業ということで盛り込まれているんですよ、道路の附属物だから。そういう扱いなんです。それに、民間事業が、デッキとか商業施設、それから次世代型ターミナルというのが含まれて、これが五百億円と言われている。それプラス、二〇二七年にはリニアが地下に、駅になるというふうな計画になっています。
また、神戸の三宮は西日本最大級のバスタになりますけれども、国費は幾らですかと聞いたら百八十億円だという答えがありました。これは見込みです、あくまでも。ただ、これは一期計画で、三菱地所などが整備する高層ツインタワーの核となることで、官民総事業費は一千億円とも言われています。
つまり、確認したいんですけれども、結局、国としても、バスタ単品だということではなくて、全体のこうした再開発の中の一部である、そういう位置づけをわかった上で、そしてそのために一定の負担をするということでやっている、それは当然ですよね。
○池田政府参考人 今回の特定の停留施設ですけれども、これは、冒頭の御質問のときに答弁させていただいたとおり、バス停の分散によって非常にいろいろな交通上の問題が起こっていることを解決するための公共施設ということで、公共事業として行うべきものという認識の中で位置づけをしております。
その上で、民間事業者が参画をした形でのコンセッションがもしあり得る場合は、そういうことで、柔軟な運営と効率的な管理ということで民間事業者に入っていただくことも考えている、こういうような全体の考え方で進めております。
それと、今、再開発との関連のお話がありました。基本的には再開発とバスタというのは別のものでありますけれども、実際には品川におきましても三宮におきましても再開発と同時に現在進められておりまして、そこは、上手に連携して行うことで、よりコストも下がり、効率的な施設になるようにということで進めているものでございます。
○高橋(千)委員 お認めになったと思います。
コンセッションは国の事業費の縮減、効率化につながるということが道路分科会では説明されているんですよね。だけれども、本当にそうかということなんですよ。
結局、今、再開発と一体となってやると報告がありました。そして、これは自治体からも要望が出ています。そうすると、このバスタの部分は事業費を国が持つということになったとすれば、その分自治体が楽になるわけですよね。でも、今度はそうすると、大きなこともやれますよねということで、全体として結局巨大開発の呼び水にならざるを得ない。もともとそういう計画ができているということはやはり指摘をしておかなければならない、このように思っております。
次の法案にまた関係しますから、きょうはここまでにしておきたいと思います。
それで、特殊車両の新たな通行制度について伺います。
道路法四十七条第二項、道路は一定の規格の車両が安全、円滑に通行できるようにつくられており、この規格を超える車両は原則として通行できないとあります。この規格を超える車両が特殊車両と呼ばれていると思うんですけれども、この特殊車両の通行がなぜ許可制になったか、その意義と、現在、無許可走行や過積載などについて、どのような形で取締りが行われ、どのような指導をしているのか伺います。
○池田政府参考人 お答えいたします。
道路は、一定の重量や寸法の車両を想定して設計されております。そのことから、橋梁の耐久性確保、交差点での安全通行確保、この観点で、一定の重量や寸法を超える車両の通行は原則禁止ということとしております。
一方で、いろいろなニーズから、やむを得ず通行せざるを得ない大きい車両がございます。こういった車両については、事前にその経路を道路管理者が確認をしまして、当該車両のみで橋梁を通行するなどの義務づけをして通行を認めること、こういったことをするために許可制度を従来より設けているところでございます。
そのような観点で考えますと、許可された経路と違うところを走る車両については確実に取締りを行って、道路の保全や交通の安全を図っていく必要がございます。
取締りにつきましては、現在は、通行中の車両を道路に隣接する敷地に引き込みまして重量を計測して取り締まる現場の取締りと、道路上に設置されました道路重量計測装置で計測した結果に基づいて取締りを行うもの、大きくこの二種類がございます。
直轄国道での取締りにつきましては、平成三十年度に、先ほど申しました現地での取締りは六百九回実施をしまして、違反を確認して警告や措置命令を行った件数は千百四十三件でございます。
○高橋(千)委員 直轄国道の一番直近の数字で六百九回、それから違反が千百四十三件ということでありました。
資料の3につけているんですけれども、実は、上の方に書いているのは、通行する特殊車両の約三割が過積載車両であって、道路に悪影響を及ぼすだけでなく重大な事故を引き起こす要因になっているという指摘がある。これは本当に重大なことだと思うんですね。また、下の方にあるように、老朽化も進んでいるということで、道路を守るということは非常に大事なことではないか。
ですから、今度の改正を評価するに当たって、いろいろなポイントがあるとは思うんですけれども、道路の保全、そしてドライバーの安全、安心が担保されるのか、このことをやはりポイントにしたいなと思ったわけです。
それで伺いますが、ETC二・〇搭載を条件として登録制度にし、通行可能な経路をカーナビやスマホなどで受信できる事後チェック制度になると聞いています。ETCというと料金収納や割引などのイメージがあるんですけれども、次世代型ETC二・〇は、双方向の通信機能を持って、全国の高速道路一千七百カ所のITSスポットと呼ばれるアンテナから道路情報を受信することで、落下物や渋滞や追突注意や事故や、規制中、災害時の迂回路などの情報が得られると聞いております。
そうすると、このETC二・〇の特性というか安全情報を生かして特殊車両の通行可能経路も随時更新されていくようになるのかということ、それから、違反走行については、その記録を残しておいて後でチェックをするということなんですが、常時でなくてもいいので、リアルタイムで監視することも可能なのか、伺います。
○池田政府参考人 お答えいたします。
事故や災害などによります通行どめが発生した場合は、通行どめ箇所の情報が全国の道路管理者から日本道路交通情報センターの方に集約されることになっておりまして、その集約された情報を、カーナビやテレビやラジオ、こういったものを通じてドライバーや利用者の方に広く提供をされております。
ETC二・〇でございますけれども、このカーナビへの提供の際に活用をされておりまして、ETC二・〇で情報提供を受ける場合は画像による提供を受けるというようなことがございますけれども、情報提供の迅速性については、現時点では、ETC二・〇が他よりも優位になっているというような状況は、現時点での技術ではございません。
それからもう一つ、今回の新制度で、ETC二・〇を搭載していただいて通行した経路を収集できるシステムですので、それを用いて事後の経路違反の確認をする、そういう仕組みを考えております。
今御指摘ありましたリアルタイムでということでございますけれども、現在の技術では、同時に多数通行する特殊車両をリアルタイムでフォローしていく、モニターしていくという技術については、まだ極めて困難な状況でございます。
○高橋(千)委員 これはぜひ検討していただきたいと思うんですね。毎日ずっと見ていろという意味ではなくて、やはりそういう監視があるんだよということが大きな抑止力にもなるということが言えるのではないかということで、指摘をしておきたいなと思います。
資料の四は、大型車通行適正化に向けた関東地域連絡協議会の資料ですけれども、「首都圏大規模同時合同取締を実施しました」とあって、頑張っているなと思ったんですね。違反を放置すると、写真のように、道路に穴があいて損傷するということが紹介されていますし、一昨年度は、首都圏だけで八十九台計測し、三十台が違反をしていたということで、これは地図もついております、どのようなところで取締りをやったかというのも書いているわけです。
それで、質問は、こうしたこれまでの取締りは引き続き行うということで確認をしたいということ、指定登録確認機関に審査などを委託したとしても国の責任は変わらないし、そもそも違反走行をなくすためにどういう取組をしていくのか、大臣に伺いたいと思います。
○赤羽国務大臣 先ほど局長からも御答弁させていただきましたが、特殊車両の通行に関しましては、御指摘のように、過積載などの違反車両が横行しておりまして、道路の老朽化を加速させてしまう要因となっております。ですから、これをなくしていく必要がある。違反車両の減少には現場での取締りが最も効果的であり、今後も、回数をしっかりふやすなど、強化してまいらなければいけないと考えております。
こうしたことにつきまして、今、国などの道路管理者としての権限や責任は変わらないのかという確認がありましたが、これは全く変わりません。
そして、指定登録確認機関は、もうこれは御承知だと思いますが、この新たな制度におきまして、主に、道路構造等についての電子データをもとに、登録を受けた車両が通行可能な経路を判定する事務を行うということでございまして、無許可、違反通行などの車両に対して現場で直接行う取締りなどの事務をこの指定登録確認機関に行わせるということは予定をしておりません。
こうした指定登録確認機関制度を設けることで事務を効率化することによって、現場での取締りに注力できる体制の確保を図ってまいることができる、そう考えております。
また、ETC二・〇は通行した経路を事後に確認できるシステムでもありますので、新たな制度では、ETC二・〇を活用して違反通行の抑止を図ってまいることも効果的だというふうに認識をしております。
以上です。
○高橋(千)委員 責任は変わらないという御答弁でしたので、しっかりとお願いしたいと思います。
それで、ちょっと時間が迫ってまいりましたので、自動運転の問題で質問したいんです。
昨年十一月の自動運転に対応した道路空間に関する検討会の中間取りまとめでは、「インフラ整備は、規制や制度等による社会的課題の解決とは違い、意思決定してから効果を発揮するまでに時間を要する。ついては、規制等の検討に先んじてインフラに係る基準等を整備し、その効果を早期に発揮させる必要がある。」というふうに書いているんですね。つまり、インフラが先行して整備していけば実社会への導入を促進させることができるという。私は、これは実は非常に気になる書きぶりではないかなと思っております。
そこで伺いたいのは、高速道路におけるトラック隊列走行、これは、二〇二〇年に新東名高速での後続車無人走行を技術的には実現し、二〇二一年までには後続車有人の商業化、二二年度以降に後続無人の商業化を実現するという政府目標があります。そうすると、高速道路にも今回の法案になっている磁気マーカーを整備するんでしょうか。その際、単価がどのくらいと見ていて、その費用を誰が払うのか、お答えください。
○池田政府参考人 お答えいたします。
高速道路におけるトラックの隊列走行はGPSなどによる自動走行を基本とすることを考えておりますけれども、その際に、防護フェンスや橋梁の下ですとかトンネルでGPSの測位精度が低下するという課題がありまして、この課題に対して、磁気マーカーやそのほかの技術で、このGPS測位精度の低下の解決策の一つになるのではないかということで、さまざまな検討や実証実験がされております。
しかしながら、現時点では高速道路でこのGPSなどを補完する技術は確立ができておりませんので、高速道路の整備については今具体的なものを想定ができておりません。そういったことで、実用化を前提とした整備コストについても現時点ではお示しできる段階にはないと考えております。
また、同様の段階で、同じことですけれども、コスト負担についても今後の大きな検討課題ではありますけれども、現時点では、道路管理者や民間事業者、さまざまな主体が想定されるといったことで、今検討が進んでいる状況でございます。
○高橋(千)委員 現時点で技術は確立しておりませんというお答えでした。
そうすると、やはり昨年十一月二十日の基本政策部会で、部会長が、政府目標が近過ぎる、要するに目前に迫っているということで、本当にここで議論するにふさわしい場かしらという発言までされているわけですよね。これは、インフラ整備を先にするというふうな取りまとめになっているけれども、ちょっと急ぎ過ぎなのかなということを指摘したいと思っています。
それで、昨年八月の第二回の検討会で、日本自動車工業会から、後続車無人による隊列走行の実証実験について報告がされています。時間の関係で資料は後で見ていただければと思うんですけれども、資料の六に、そのとき自工会が出した資料、有人の場合と無人の場合のそれぞれのメリット、それからデメリットを記してあります。
そのときの自工会の発言で、後続車有人では政府目標にはならないかもしれない、だけれども、事業者から聞くと、走行中のドライバーの運転負荷が軽減されるので、結果としてドライバー不足対応になるし、臨機応変に隊列を編成、解除も可能なので、非常にメリットがあると発言をされております。
ですから、このメリットを見ていくと、有人だと隊列を解除したり、さまざま、要するに休憩に入るときなんかも臨機応変にできるんだけれども、とにかく無人だと隊列を整えておかなきゃいけないので、割り込みもあるし、先頭車のドライバーの大変な技術が必要である、熟練でなければならない、そういうことがあるんですよね。
大臣に最後に伺いたいと思うんですが、実は、自工会が指摘しているように、有人の方が臨機応変に対応できて、またドライバーのストレスがなくていいんだということはすごく大事に受けとめるべきだと思うんです。トラックドライバーはずっと過労死トップです。働き方改革による上限規制も五年間猶予されて、それ以降も一般労働者よりも長い時間働いていいということになっちゃうわけなんですよね。このままでは人手不足が解決するわけはないと思うんです。
やはりドライバー不足を本当に解消するためには、働き方そのもの、長時間労働を下げていくということと処遇改善で取り組むべきだと思いますが、伺います。
○赤羽国務大臣 基本的に、高橋委員の後段の部分はおっしゃるとおりだというふうに思っております。
トラック業界は我が国経済を支える大変重要なインフラでありますけれども、なかなか、トラックドライバーの賃金水準が低いとか長時間労働だということと相まって、人手不足が深刻だ、このまま放置するわけにはいかないということで、平成二十九年に、荷主とトラック事業者の間の取引のガイドラインでございます標準運送約款の改正を行いました。
ここで、適正な運賃を講じて、かつ運賃と料金の区分けをするとか、また待機時間もしっかり反映させる、こうしたものが書かれたわけでありますが、なかなか約款の改正だけでは実効性が十分に得られないということで、一昨年の秋の臨時国会で議員立法により貨物自動車運送事業法が改正をされ、荷主を所管する関係省庁、農林水産省、経済産業省等々も入って荷主に働きかける制度をつくり、また、国土交通大臣が望ましい適正な運賃水準を標準的な運賃として告示する制度、これは先日やらせていただきましたが、創設をさせていただいたわけでございます。
こうした取組をしながら、今、荷主の皆さんに向けてのセミナーの開催などをしながら、取引適正化を浸透させて、ドライバーの皆さんの労働環境の改善につながるような取組を進めているところでございます。
技術革新につきましても、現状、いろいろな課題があると思いますが、しかし、やはり人手不足を乗り越えるためには技術革新による生産性の向上というのは必要だと思いますし、また、取引適正化をしっかりやりながら、冒頭申し上げたような、大変大事な産業でございますトラック運送業の持続的な発展と担い手不足の解消に取り組んでまいりたい、こう考えております。
○高橋(千)委員 物流の専門紙カーゴニュースでは、今、海外コンテナがほとんどとまっておりますから、逆にそれを要するに振り分けて、過積載しなくてもちゃんとやれる、休みもとれるというふうなこともありだよね、それで大臣が言うようなV字回復のときに活躍するのを確保しておくというふうなことが書いてあります。
私は、ポストコロナもそういう意味では大事な見直しのチャンスだと思うんです、働き方そのものを。そういうことも提起をして、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
ー資料ー