国会質問

質問日:2018年 7月 19日 第196国会 東日本大震災復興特別委員会

仮設住宅入居の柔軟運用を、大災害に乗じた流用と増税横滑り(復興特別住民税と森林環境税)

仮設入居 柔軟運用を
高橋氏 災害救助の改善要求 / 衆院復興特

 日本共産党の高橋千鶴子議員は19日、衆院東日本大震災復興特別委員会で、損壊した自宅を応急修理した被災者が仮設住宅入居の対象にならない問題を取り上げ、西日本を中心とした豪雨の被災者に対して制度を柔軟に運用するよう改善を求めました。
 現行制度では、半壊以上の被害を受けた住宅を災害救助法に基づき応急修理(補助上限58万4000円)した被災者は“住宅がある”とみなされ仮設住宅に入居できません。
 高橋氏は、2016年の熊本地震で応急修理制度を利用したものの、建設事業者が見つからず自宅や生活の再建のめどが立たない被災者が取り残されているとの報道を紹介。「『応急修理』か『仮設住宅入居』か二者択一を被災者に迫るのは厳しすぎる。柔軟に見直しをすべきだ」と要求しました。
 赤間二郎内閣府副大臣は「応急修理に時間がかかる場合、ホテルや旅館、公営住宅を二次避難所として利用できる」と答弁。応急修理と仮設住宅の併給は想定していないとしましたが「検証を踏まえ検討したい」と述べました。
 高橋氏は、政府が7月17日に仮設住宅の入居対象者に「半壊」世帯を含む方針を示したことについて再確認を求めると、内閣府の米澤健審議官(防災担当)は「半壊世帯の方が仮設住宅に入居することも含め、避難所にいる方を早期に縮小したい」と答えました。
(しんぶん赤旗2018年7月20日)

※質問後半については議員コラム「大災害に乗じた流用、横滑り、便乗予算にメスを!」ご覧ください。

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 大阪北部地震から一月、西日本、東海地方を広範に襲った平成三十年七月豪雨から既に二週間がたちました。この間被災された皆様に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 連日の猛暑の中、捜索や救援活動に携わっている多くの皆様にも、心から敬意を表したいと思います。どうか、二次被害にならないように、水分、衛生、心のケアなど、政府におかれては最大限の支援をお願いしたいと思います。
 さて、既にみなし仮設住宅の受け付けですとか、東京でも都営住宅の提供などが報じられるようになりました。暑さと乾いた泥と闘いながらも、住まいの再建に被災者が今既に踏み出している、そういう状況になっているのではないか、このように思います。
 そこで、まず、簡単にお答えください。今、災害救助法の住宅の応急修理が活用できると思いますけれども、その基準が幾らで、また、周知徹底をするべきと思いますが、いかがでしょうか。
○米澤政府参考人 御指摘の住宅の応急修理の基準額につきましては、一世帯当たり五十八万四千円でございます。
 このことも含めまして、災害救助法の運用につきましては、発災直後から、私ども、職員を派遣して、各都道府県、市町村に周知を行っているところでございます。
○高橋(千)委員 災害救助法の活用については、やはり、自治体からいろいろな提案もあると思うんですが、国の方から本当にいろいろな活用ができるんだということを支援していくことが非常に大事だなと思っております。
 それで、実は、現状では、住宅の応急修理をすれば仮設住宅に入れないということになっております。これを知らないと大変なことになるので、まずちゃんと知らせないといけないんですけれども、私は、これはもうこの際見直したらいいのではないか、このように思うんです。
 資料の一枚目を見ていただきたいんですが、左側は熊本地震についてのやつなんです。四月八日付の西日本新聞「軒先・在宅避難 今なお 熊本地震二年」です。
 「現在も全半壊」、今、アンダーラインのところを読んでおります。「全半壊した自宅や軒先の倉庫などで暮らし、修理や再建の見通しが立っていないとして町が見守り支援の対象とする世帯が五百四十八世帯ある。」と。
 真ん中を見てください、アンダーラインのところ。仮設住宅への入居申込みは二度落選した。庭に風呂やトイレを設置するため、やむなく応急修理制度、このときは五十七万六千円だったんですね、を利用した。補助を受ければ仮設には入居できなくなると。これは本当に、この方の事情は、一刻も早く自宅を再建するつもりだった、だけれども、復旧工事の集中で建築業者が見つからなかった。当時、覚えていらっしゃると思うんですが、解体さえも思うように進まない、こういう状況があったと思います。
 それで、右側は河北新報四月二十六日付の社説です。やはり東日本を経験した立場から、教訓踏まえた支援の拡充をということで呼びかけています。
 真ん中のところを読みますけれども、震度七の揺れに二度見舞われた熊本県益城町の場合、大規模損壊した自宅や軒先の倉庫で暮らす被災世帯が今なお五百以上ある。公的支援で応急対応したために仮設住宅に入れず、復旧工事の集中で修理のめどが立たない。こういうふうなことになっているわけですね。
 政府は、直せば住めるんだから、応急修理をした人は仮設は必要ないというふうにおっしゃいます。だけれども、ここで言われている事例のように、そう思ってもすぐに修理に入れないという方たち、それは自分の都合ではなくて、全体の、工事の業者の関係ですとか、そういう方がいるわけなんですね。あるいは、今回も多分そうなると思うんですけれども、河川が氾濫したために立入禁止区域になる場合もある。そうすると、思惑だけでは決められない。
 その決められない人たちに、いきなり、仮設に入るんだったら、申し込むんだったら応急修理はだめよ、応急修理を受けるんだったらだめよと二者択一をたった今この瞬間求められるというのは非常に厳しいのではないか。ここは柔軟な見直しをするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○あかま副大臣 お答えをいたします。
 今冒頭に、先生の方から、応急修理の趣旨また応急仮設住宅の供与について、この周知というものが必要だという御指摘を賜りました。それらについては、今後、しっかりと各関係自治体には周知、また被災者にわかりやすくということを心がけてまいりたい、そういうふうに思っております。
 応急修理、それから応急仮設住宅の供与の併給という話でございます。
 まず、応急修理でございますけれども、住家が半壊等の被害を受け、そのまま住むことがかなわない、できない、その破損箇所に手を加えれば何とか日常生活を営むことができるようにするものであること、これは委員御承知だと思っています。
 他方で、応急仮設住宅の供与というものについてでございますが、住宅が滅失、みずからの資力では住宅を確保できない者に対して仮の住まいとして提供されるものであるため、制度上、併給は想定されていないわけでございますけれども、さまざまな事情という話がございました。
 その中で、応急修理に時間がかかる場合などという話であれば、二次避難所としてホテルであるとか旅館を利用することができるほか、また、それらにあきがない場合でございますけれども、そうした場合には公営住宅などを避難所として利用すること、これもできるという中での対応というふうになっております。
 ただ、被災者の個々別々、いろいろな事情、これらに対してどのように対応がということは、今後、検証も踏まえながら、検討する課題があるかどうか、それらも踏まえてまいりたい、そう思っています。
 以上です。
○高橋(千)委員 少し検討の趣旨が入ってくださったかと思っております。
 今、併給はできないとおっしゃったんですけれども、厳密に言うと、併給というのはやはり違うかなと思うんです。つまり、たった今住宅を直した人が、わざわざ仮設には入らないんですよ。みんなはできるだけ自宅に戻りたいと思うわけですから、それで直せるんだったら仮設は必要ない。だけれども、それができないから今困っているという議論をしているわけなので、どっちもどっちも受けるよなんて思っている人の話をしているんじゃないんだという立場で、ぜひ検討を進めていただきたいと思うんですね。
 七月十七日に、資料の二枚目にありますけれども、今回の「平成三十年七月豪雨に係る応急仮設住宅について」の事務連絡が出されて、この入居対象者の三番目のところに、半壊であっても、水害により流入した土砂や流木等により住宅としての再利用ができず、みずからの住宅に居住できない方、この方たちを仮設住宅に入ってもいいよということを決めたという通知が出されました。私は、これは歓迎したいと思います。
 熊本地震のときは、同じ文面なんだけれども、最後に、だから壊さなきゃいけない方というふうに書いてあって、大規模半壊の人は仮設に入れるよというふうに書いてあったんですね。でも、これだと、またかなり限定をされるということです。
 ここまで来ますと、やはり対象が全然今までは違うんだよと言っていたことではなくなった。仮設住宅に半壊の人でも入れると決めた以上は、ではどうするのかということがいよいよもって問われると思いますので、先ほど言ったように、事情があって、修理をしたいんだけれどもまだ時間がかかる、待っても待っても、一定、その周辺が整わない、あるいは業者が来ない、そうした事情で待たなきゃいけない人たちの、しかし、さっきおっしゃっていただいた二次避難所として確保がきちんとできればいいんですけれども、そこもよく相談に乗りながら柔軟な対応をしていただけるということで確認をしたいと思いますが、もう一言、よろしいでしょうか。
○米澤政府参考人 今般の災害に際しましては、政府全体といたしまして、不便な避難所にいる方を住まいの方にできるだけ早く移っていただくという取組を行っているところでございます。そのために、被害認定調査を早期に行うことですとか罹災証明書を早期に発行することなどにつきまして、被災県、市町村と協力して進めているところでございます。
 その上で、委員御指摘のように、半壊であっても、水害により流入した土砂や流木等により住宅として再利用ができず、みずからの住居に居住できない方を仮設住宅に入居していただくことも含めまして、全体として、避難所にいる方を早期に縮小する取組を加速してまいりたいというふうに考えてございます。
○高橋(千)委員 一定、趣旨を踏まえていただいたので、ここは要望で抑えたいと思います。
 応急修理は、本来は、直せば住めるというのがその名のとおり応急修理ですから、もともとは一部損壊が対象だったのかなと思うんです。一部損壊には今何の支援もございませんので、少し今後検討していただいて、一部損壊は応急修理、そして半壊以上は支援法で、額は一定差がついたとしても、これは私は十何年同じことを言っておりますが、ぜひ検討を今後していただきたい。そして、本当に二者択一を今迫られて困るということがないようにお願いをしておきたいと思います。
 それでは、次のテーマに移りたいと思うんです。
 月曜日の河北新報、多分これは共同通信ではないのかなと思うんですが、こんな記事が載っていました。西日本豪雨、大阪北部地震、相次ぐ大規模災害、その後に、参院選にらみ歳出圧力、自民党内で災害に強いインフラ整備による国土強靱化を求める声がここに来て高まっていると。きのうの読売新聞も同様の記事がありましたが、ここまではっきりは書いていなかったかなと思います。
 毎年、大きな災害がどこで起きるかわからない状況だ、ハードとソフトをあわせ、どう備えるかを考える時期を迎えていると十四日、新潟市内の会合で竹下総務会長が強調したと。口火を切ったのは二階幹事長で、十日の記者会見で、財政的な問題も無視できないが、今は万全の対策をとっていくことが優先されるべきだと。十二日には細田博之元幹事長が、大規模ダムが必要だと大雨で確認された、こうおっしゃったと。
 私は、これはちょっとあんまりだと思う。ダムが必要だと大雨で確認されたと。そうではなくて、国交省は今、愛媛県のダムの検証委員会を始める、放流が問題であったのではないかということが今議論をされていたり、ため池の決壊ですとか、砂防ダムをつくったけれども役に立たなかった広島ですとか、さまざまなことが今問われていると思います。大震災のときも、世界一の湾口防波堤、釜石が決壊して一千名の死亡につながった問題や、田老の防潮堤、万里の長城とも言われたこの防潮堤が崩れてしまって大きな犠牲を出した問題など、さまざまあるんです。コンクリートだけで人命を守ってくれるのではない。冷静な検証が必要であります。
 私は、でも、このことは今は指摘するだけで、論じるつもりはありません。
 問題は、資料の最後を見ていただきたいんですが、東日本大震災のときも、この際だからと、復興予算のつもりが全国防災の名で、六のところです、これは一覧表がありますけれども、全国防災の名で流用が認められたということで、二十三年度千三百七十六億、二十四年度六千九百十一億、二十五年度四千八億、二十七年度までで一兆六千六百七十三億円です。
 しかし、これは当時はいろいろ騒がれましたが、この五年分の支出はどこに何をやる目的で使われましたかと聞くと、わからないと答えられました。それどころか、復興庁と内閣府防災とどっちが答えるかで譲り合いになってしまったわけです。大臣、本当にこれで予算の意味があったか、わからないじゃないですか。これは本当に受けとめていただきたい。何に使ったのか、はっきりわからないということなんです。
 そこで質問は、同じ復興という名前がついていますが、復興特別住民税について総務省に伺います。これはどういう趣旨で、いつからいつまで幾ら課税し、使途はどのようになっているのか、伺います。
○稲岡政府参考人 お答え申し上げます。
 個人住民税均等割の標準税率は、東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律の規定に基づいて、平成二十六年度から平成三十五年度までの間、千円引き上げられております。これは、東日本大震災を教訓として、全国的にかつ緊急に地方公共団体が実施する防災のための施策に要する費用の財源を確保するため講じられたものでございます。
 この措置は普通税である個人住民税均等割の標準税率の引上げとして行われているものであり、目的税とは異なりまして、その税収の使途について特定されているものではございませんが、この措置によりまして全国の地方団体において防災のための施策が進められたものと考えているところでございます。
○高橋(千)委員 次に、資料の三を見てください。
 今おっしゃったように、私、復興特別住民税についてと聞いたんですが、そう呼んではいるんだけれども、この左の太字で書いているのは「東日本大震災を教訓として」、だから、大震災の費用ではなくて、全国で実施する防災施策対応分なんですね。これが平成二十六年から三十五年までということで、まず、復興ではなかったということです。
 そして、問題は、三十六年度からは今度は、この資料の右側の方を見ていただきたいんですけれども、これは森林環境税を開始すると。先ほどの玄葉委員の答えになるのかもしれませんが、国民の負担を伴わずに森林整備に要する財源を確保、確かに千円がスライドしています。だから、今まで千円もらっていて、それが終わるから、終わったら次は森林環境税ね、負担を伴わずにと言っているんです。でも、これは実はこっそりやっているのと同じ意味になってしまう。
 資料の四を見てください。
 森林環境税は、平成三十一年度からもう始まるんだと。それで、その財源は、このグラフを見ていただくとわかりますように、五年間借入れなんです。前倒しで、後から入ってくるお金を先に借り入れておく。だから、初期は二百から三百億というスキームになっているんだけれども、そこから復興住民税が終わると返していくというので、これはやはりおかしいと思うんですね。
 先ほど、防災に資するものだったと思うと言われたんですけれども、何に使われましたかと言われると、わからないです、答えが返ってきません。
 一人千円が何に使われたのか。では、逆に、これはスライドしちゃって、もう要らないのか。森林環境税は一人千円が適切なのか。これは一つ一つ精査する必要があると思います。単なる横滑りではありませんか。総務省、林野庁にそれぞれ伺います。
○稲岡政府参考人 お答え申し上げます。
 森林環境税は、国民に対して広く定額の負担を求めるものでありますことから、国民の負担感というものに十分配慮する必要があり、平成三十一年十月に消費税率が八%から一〇%への引上げが予定されていることや、東日本大震災を教訓として全国の地方団体による防災施策の財源を確保するため個人住民税均等割が平成三十五年度まで千円引き上げられていること等を勘案し、三十六年度から課税することとしております。
 また、委員御指摘のとおり、平成三十五年度まで行われる個人住民税均等割の引上げは、全国の地方団体による防災施策の財源を確保するためのものでありますが、森林環境税は、パリ協定の枠組みのもとでの我が国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する、そういう観点から創設するものでございまして、その目的が異なっているということでございます。
○織田政府参考人 お答えいたします。
 森林環境税につきましては、先ほど総務省の答弁にもありましたけれども、パリ協定の枠組みのもとでの我が国の温室効果ガス削減目標の達成あるいは災害の防止ということを図るために森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、今国会で成立しました森林経営管理法を踏まえまして創設することとされているところでございまして、譲与は平成三十一年度から、課税は平成三十六年度からとされているところでございます。
 林野庁といたしましては、この税によりまして、市町村が主体となった森林整備等が進められ、森林の公益的機能等が維持増進されることを期待しているところでございます。
 なお、森林環境税の課税を開始する時期が復興特別住民税の終了後の平成三十六年度とされているところでございますけれども、これは国民の負担感にも配慮して設定されたものと承知してございます。
○高橋(千)委員 時間ですのでこれで終わりますが、異なるものだったら、横滑りじゃだめなんです。一つ一つ、ちゃんと意味があるのか。まして、何に使われたのか説明もできない、こんな形で導入することは認められないし、どさくさ紛れではなくて、必要なものだったら、これこれこんなものに必要なんだということをきちんと示していただきたいと思います。
 終わります。

 

――資料――

2018年7月19日衆院東日本大震災復興特別委員会提出資料

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