〈日本共産党の修正案の内容〉
(1) 労働契約は期間の定めのないものを原則とし、臨時的・一時的な業務に限る。
(2) 合理的な理由のない雇い止めに対する規制に関して、労働者からの契約更新の申し込みを要件とせず、更新されたとみなす。
(3) 契約の通算期間が1年を超えれば、期間の定めがない労働契約とみなす。労働条件は同種業務の労働者と同一。クーリング期間の規定を削除。
(4) 労働条件の相違に関して考慮すべき事項から「当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情」を削除。
(5) 有期労働契約の期間は原則1年を上限。専門的知識等を有する労働者との有期契約の上限は5年から1年に改める。
――― 議事録 ――――
○高橋(千)委員 ただいま議題となりました労働契約法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本共産党を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
二〇一一年平均で、正規職員、従業員は三千百八十五万人と、前年と比べ二十五万人減少する一方で、非正規職員、従業員は千七百三十三万人と四十八万人増加しています。雇用者に占める非正規の割合は三五・二%と拡大傾向が続いています。
非正規労働者の約七割、一千二百万人にも上ると推計される有期契約労働者は、年収二百万円未満が七四%を占めるなどの低賃金や、正規雇用労働者との差別的な処遇格差が大きな課題となっていました。二〇〇八年秋のリーマン・ショック以降、雇いどめや解雇が激増する中で、使い捨てを許さないための有期労働契約の締結事由の制限や均等待遇の確保など、抜本的な規制強化が待ったなしとなっています。
政府案は、有期労働契約の規制に初めて踏み込むものとして注目されていました。しかし、入り口規制は見送られました。五年を超えて有期労働契約が反復更新された場合に無期雇用に転換させる仕組みは創設するものの、クーリング期間を挟むことで契約期間の通算を回避し、事実上、無期雇用転換制度を機能させずに有期労働契約を利用し続けられるなど、さまざまな問題があります。
日本共産党は、こうした政府案の問題点や不十分さを改め、真に有期契約労働者の雇用の安定に資するために必要な措置を講ずるため、この修正案を提出した次第であります。
以下、この修正案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、題名を労働契約法及び労働基準法の一部を改正する法律に改めることとしております。
第二に、労働契約は期間の定めのないものとして締結することを原則とし、有期労働契約は、臨時的または一時的な業務に係るものに限るなど、有期労働契約の締結事由に規制を設けることとしております。
第三に、いわゆる雇いどめ法理の規定について、労働者からの有期労働契約の更新の申し込みを要件とせずに、労働契約が更新されたものとみなすこととしております。
第四に、有期労働契約の契約期間について、契約を更新した場合の全ての契約の通算期間が一年を超えたときは、通算期間が一年を超えた日以後においては期間の定めのない労働契約とみなすこととするとともに、みなされた労働契約の内容である労働条件は、同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結し、同種の業務に従事する労働者と同一の労働条件とすることとしております。また、クーリング期間に関する規定を削除することとしております。
第五に、期間の定めがあることによる労働条件の相違に関して考慮すべき事項から、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を削除することとしております。
第六に、有期労働契約の期間は原則一年を上限とし、また、専門的知識等を有する労働者との間に締結される有期労働契約の契約期間の上限について五年から一年に改めるよう、労働基準法第十四条を改正することとしております。
最後に、検討条項について、検討時期を施行後八年から施行後三年に改めることとしております。
以上であります。
何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。