国会質問

質問日:2016年 4月 1日 第190国会 厚生労働委員会

放課後児童クラブ(学童保育)の施設拡充を

学童保育の施設拡充を
高橋氏 1.7万人が利用できず

 日本共産党の高橋千鶴子議員は1日の衆院厚生労働委員会で、国が子ども・子育て新制度で位置づけた放課後児童クラブ(学童保育)について、利用できない児童が昨年1万7千人で前年比1・7倍だと示し、施設拡充と職員の待遇改善を求めました。
 厚労省調査によると、非正規雇用が広がりクラブの常勤職員は3割を切っています。高橋氏は、全国平均の月基本給が全産業より13万円も低い17万7千円という建交労学童保育部会の調査をあげ、「国が実態調査し、処遇改善を急ぐべきだ」と迫りました。塩崎恭久厚労相は「処遇の問題はさまざまな課題がある」と認め、実態調査を行うと述べました。
 高橋氏は、低賃金の背景に、公の施設を民間事業者などに管理させ、コスト削減を図る指定管理者制度があると追及。総務省は、政令指定都市ではクラブの7割に導入されている実態を示しました。
 高橋氏は、指定管理料が毎年減らされ、4年間で常勤職員が5人減、賃金が1人当たり約100万円減になった自治体の実態を示し、「人件費が経費の大部分である仕事に、この制度はなじまない」と指摘しました。
(しんぶん赤旗2016年4月4日付より)

 

――議事録――

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 本日は、放課後児童クラブについて質問いたします。
 放課後児童クラブは、子ども・子育て新制度に位置づけられており、野党が先週提出した法案、保育士等の処遇改善の中でもちゃんと入っております。こちらも極めて深刻な状況だという認識を持っていただきたいと思っております。
 この放課後児童クラブの実施状況については、昨年十二月十八日に公表され、また、ことし二月二十三日に追加の詳細調査結果の公表がございました。この詳細調査というのが、これまではやられてこなかった、新たに公表されたものだなと思って注目をしております。
 そこで、資料の一枚目なんですけれども、まず、クラブ数の増加について書いております。放課後児童クラブは今や二万二千六百八カ所、登録児童数百二万四千六百三十五人。ともに年々伸びております。そして、利用できなかった児童数は一万六千九百四十一人。グラフで見ていただくとわかるように、何と前年より一・七倍もふえているわけです。
 政府の放課後子ども総合プランでは、平成三十一年度、二〇一九年度末までに約三十万人を整備する、全小学校区で一体的にまたは連携して実施するとあります。
 大臣に伺いたいんですが、利用できなかった子供の数が大幅にふえております。また、小学校区の八二%しか実際はカバーできておりません。どのように進めていくのでしょうか。
○塩崎国務大臣 放課後児童クラブについても大変大事な問題だと思います。
 平成二十六年七月に、文科省と共同で放課後子ども総合プランを策定いたしました。学校施設を徹底利活用して、平成二十六年度から平成三十一年度末までに新たに約三十万人分、合計で約百二十二万人分の受け皿を確保することによって、小一の壁、これを打破するとともに、利用できなかった児童の解消を目指すこととしています。
 このため、平成二十七年度からは、放課後児童クラブの量的拡充に向けて、学校施設内で設置促進を図るために、施設整備費補助基準額を引き上げるということをやってまいりました。十人未満の小規模クラブにも補助対象を拡大する、それから、学校の余裕教室など市町村における公有財産の貸し付けを積極的に促進するといったことをやってまいりまして、整備を今鋭意促進しているところでございます。
 本年度、二十八年度の予算では、こうした従来の取り組みに加えて、余裕教室等の既存施設を改修して整備をする際の国庫補助基準額を引き上げる、それから、受け入れ児童数を増加させるために、実施場所を移転する際に必要な移転関連費用というのを補助するというのを新たに導入いたします。
 こういった新規メニューも盛り込んで、受け入れ児童数のさらなる拡大を促して、利用できない児童の解消に向けた取り組みをより一層強化していただけるように市町村を支援してまいりたいというふうに思います。
    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕
○高橋(千)委員 せっかくこの質問を大臣に聞いたわけですから、メニューはよく承知しておりますので、もう少し、意義といいますか、そうした観点から御紹介いただければよかったなと思っております。
 保育所の待機がこれほど問題になっておるんですけれども、やはり、せっかく保育所を卒園したのに、今、小一の壁とおっしゃいました、放課後児童クラブに入れないという新たな壁が待ち受けて、頑張って保育所に預けながら仕事を続けてきたのに、小学校に入って退職に追い込まれる方も少なくありません。
 大分前の話ですが、私は、息子の小学校に学童保育がありませんでした。隣の学区にお世話になって、しかも、小学校ではなく公民館だったんですね。ですから、本当に小学校区ごとにというのは大事だと思っているんです。しかも、隣の学区なので一定距離があります。入学当初は担任の先生が引率していくんですけれども、担任も新任だったので、途中で道に迷ったと電話が来るという、本当に日々はらはらで、また余りいい思い出がないなと思っております。ただ、その後、自分たちが運動してつくって、学童保育ができました。やはり一体的ということが本当に大事だと思っておるんですね。
 それで、そういうこともあって、学童保育の設置基準をつくれということも繰り返し質問をしてまいりました。二〇〇七年にガイドラインができ、昨年、放課後児童クラブ運営指針が策定されました。
 二年前の四月の厚労委員会で、その運営指針の案段階だったので、それに基づいて質問をしているんですね。そのとき、こういうことを指摘しています。子供の専用区画は一人当たり一・六五平米以上、畳一畳分とされて、その専用区画をカウントするときに、トイレとか洗面所とか指導員の事務机なんかもカウントするのかと聞いたわけなんですね。
 何でそんなことを聞いたかというと、それは当然ヒアリングのときに否定されなかったわけなんですね、それもあり得ると。つまり、そういうものを全部ひっくるめちゃうと、実際は子供たちのいるスペースはもっと狭いんだけれども、間に合っていることになっちゃう、だからこういう質問をしたわけなんです。
 そのときに、当時の石井局長の答弁は、児童の生活の場としての機能が十分に確保される場所を想定しているものでございますので、少なくともトイレといったようなものは含まない方向と答えたわけなんですね。ああそうか、トイレは含まないんだ、当然だねと思ったけれども、ただ、そのほかは否定をしなかったので、大変心配をしておりました。
 ただ、それが、指針を見ますと、「子どもが安全に安心して過ごし、体調の悪い時等に静養することができる生活の場としての機能と、遊び等の活動拠点としての機能を備えた専用区画が必要である。」と、ちゃんと二つ分けて書いてあります。そして、今紹介した昨年の調査にも、専用区画のほかに静養スペースを置いているかどうかを聞いてくれているんですね。ただ、一一%ですけれども。ただ、分けているんだということがわかりました。
 また、指針には、「子どもの遊び及び生活の場の他に、放課後児童支援員等が事務作業や更衣ができるスペース等も求められる。」と書いてある。ああ、これでちゃんと机も分けているんだなというふうにわかった。これで少し安心したんです。
 それで、ちょっと香取局長に、申しわけありません、通告はありませんけれども聞きたいんですが。指針と実態は、今言ったように、そうはいっても一一%とか、かなり乖離をしています。ただ、これを目指していくんですね、確認したい。
    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕
○香取政府参考人 今先生お話がありましたように、放課後児童クラブについては、保育所のように昔からきちんと法律でつくられたものではございませんで、むしろ、地域の現場でそういったものが必要だということで、制度の外でできてきたものを制度に入れ、予算をつけ、ガイドラインをつくり、指針をつくってきたというものでございますので、その意味では、今回、子ども・子育て支援法の中できちんと法律に事業として位置づけまして、運営指針等についても省令できちんと定めるということで今回の形をつくったものでございます。
 そういう意味でいいますと、現実の、いわばクラブの実態が先行している後から指針をつくって整備をしていっているということがございますので、我々としても、専用スペースの問題にしても職員配置の問題にしてもお願いをして、きちんとこれをできるだけ守っていただくということで御指導は申し上げますが、基本的には、強制的にできるというものではない部分もどうしてもございますので、できるだけその方向で各施設が運営ができるように、いろいろな補助金等、支援も行っております。
 考え方はそういうことでございますが、強制をしてやるということではないので、そこはできるだけお願いをし、私どもも指導なりあるいは助成相当で、補助金等々で御支援申し上げるということでやってまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 今、外にあったものから位置づけられたというお話をされた。児童福祉法に位置づけられたところからやはりスタートしていると思うんですが、今でも保護者会が運営しているクラブがかなり多いわけですよね。そういう中で頑張ってここまで来たというのは、本当に私は評価をしているんです。
 同時に、今おっしゃったように、実態からいうと相当乖離があって、だからなかなか強制できないよ、それはそのとおりなんです。だけれども、この指針に書いているんですが、クラブの運営の多様性を踏まえ、「「最低基準」としてではなく、望ましい方向に導いていくための「全国的な標準仕様」としての性格を明確化」する。これは、「「最低基準」としてではなく、」と、何かとてもいいことのように聞こえるんですが、実は、理想は高いけれども、最低基準ではないから、逆にできなくてもよいということになっちゃうわけですね。これは、いつまでもその状態が続いてはまずいということで、本当に目指していく、しかも早く近づけていくということをお願いしたいと思うんです。
 それで、最も困難なのは支援の単位の問題なんですが、四十人以下が望ましいと設置運営基準を決めました。それを超しているのがどのくらいで、基準に合わせるためにどのような支援をしているのか、簡単にお願いします。
○香取政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、毎年五月一日で調査を行っております。
 二十七年度の調査でいきますと、今御指摘のありました四十一人以上の規模のある支援単位の放課後児童クラブが一万八百三十九ございます。先ほど全体で二万三千幾つという数字がございましたが、全体の中での約四〇%ということでございます。
 私どもは、先ほどお話ありました設置運営基準の中では、おおむね四十人以下でお願いしますということでお示しをしています。これは、今先生お話ありましたように、私どもは参酌標準としてお示ししていますので、今回、放課後児童クラブにつきましては、各市町村で条例で基準を定めていただいて、それに基づいて運営していただくとなっておりますので、各市町村において決めるということになっております。
 私どもとしては、市町村が定めます条例のいわば参酌基準の中では、考え方として、放課後児童クラブ運営指針の中では、「子どもが相互に関係性を構築したり、一つの集団としてまとまりをもって共に生活したり、放課後児童支援員等が個々の子どもと信頼関係を築いたりできる規模」ということで、この四十ということをお示ししています。
 なので、基本的にはこの四十に近づけていただけるようにお願いをする、あるいはいろいろな支援も申し上げるということで、特に、最近利用者数がふえてまいりましたので、実は分割をお願いしているんですが、分割するにしても、同じ場所でなかなか分割ができないというケースがございますので、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、引っ越し、場所をかわるとか、あるいは既存の施設を改修するといった形で分割ができるような御支援ということで、補助金等々で支援を行っております。
 四十というのは、何度も申し上げますが、強制をするものではありませんが、私どもとしては適正規模としてその規模をお願いしていますので、できるだけそれに近づけていただけるように、私どもとしてもできる限りの御支援を申し上げたいと思っております。
○高橋(千)委員 参酌基準だから、確かに強制はできない。だけれども、目指すためには補助を出すわけですよね、今おっしゃったように分割すると。そこの補助の出し方で指導はできるわけなんですね。
 例えば、ガイドラインのときは七十人以内、これはクラブ単位で計算をしていたわけですよね。ですから、七十一人以上の場合は、今現在五%残っておるわけですけれども、これはいわゆる補助金、国庫補助を減額するという形で差をつけて、なるべく一定誘導をしてきました。
 実は、例えば東京都のある市では、一から三年生までは全員入会ということで今まで対応してきたんですが、定員が四十五名だそうです、四十三のクラブ中、守られているクラブは七カ所しかない。実際は、八十名以上が在籍しているのが二十カ所、百名以上いるのが九カ所、百二十名以上は五カ所もあるんですね。それで、実際は、トイレ、台所、手洗い場が分かれていないのに、パーティションで仕切って、これで分室です、二つのクラブです、こうやって補助をもらうことになるわけですよ。そして、学童クラブ数、これは、市全体としては四十三クラブなのに、箇所数は六十三カ所、こうなっちゃっている。
 これはやはり許しちゃいけないですよね。今回これは支援の単位となったわけですから、これまたパーティションで区切ったら倍下さいという話になるんですか。これではちっとも子供にとってもいいことでもないし、厳密に見ていただきたい。
 ちょっと一言、お願いします。
○香取政府参考人 御指摘は私どももよく理解しておりますが、現実に、非常に人数が多くなってしまった施設は、例えば、今の例でいくと、八十人、九十人をいわば一単位でクラブとして運営するという形ですと、おっしゃるように、先ほど私どもが申し上げました指針の考え方にもそぐわないことになりますので、クラブの中に、いわば二つ単位を分けてくださいということで、二つにする、あるいはそのために改修が必要であれば補助金も出します、いよいよ狭いとなりますと、広げるか半分どこかに移転するかということになりますので、そこは御支援申し上げますということなんです。
 やはり、一単位一クラブということで全部ができるかといえば、そうでもないので、申し上げたように、一つのクラブの中で二つの単位を置くという形で運営する。そのときの分割の仕方ということでいえば、もともとの四十人単位の考え方というのがありますので、二つになった場合でも、それぞれの四十人の単位において適切な集団生活が行えるように御指導申し上げる、そのために補助金等々も用意をしてお願いしているということでございます。
○高橋(千)委員 かなり抑えた表現ではあったと思うんですが、適切な対応をしていただきたいという意味だと思っております。
 それで、後の方、またこの間みたいに問いを残しそうなので、一つ飛ばして、指導員の問題なんです。
 低賃金が大変問題になってきているわけですけれども、なってきているというか、ずっと言われてきているわけですけれども、実態をつかんでいるでしょうか。
○香取政府参考人 私ども、先ほど申し上げた実施状況調査というのを行っているんですが、これはクラブ単位に、そもそも補助金の出し方が、一カ所幾ら、定員で幾らという出し方をしておりますので、その積算も、人件費幾ら、物件費幾らということではなくて、クラブ単位の経営ということでお話ししているものですから、この実態調査の中では、これまで個々のクラブの職員の方の賃金まで完全にはつかんできておりません。
 これにつきましては、国民生活センターが二〇〇八年に調査をしてくださっていまして、私ども、直近だとこの数字を持っております。
 これによりますと、放課後児童クラブの常勤の方の平均月給は、賞与、交通費を除くいわゆる月給ベースで大体十五万から二十万という方が全体の六割、それから、非常勤の方がいらっしゃいますが、非常勤の方についても同様に、平均の月給を調べますと五万から十万という方が四割ということで、放課後児童クラブは、午前中は皆さん学校に行かれているものですから、午後あくということで、非常勤とかパートの割合が高いのでこういったことなのではないかと思っています。
 放課後児童クラブの方の処遇につきましては、私どもも、保育所の職員と同じように問題意識を持っておりまして、消費税が引き上げになりましたときに、基本的に、保育園の先生と同様に、放課後児童クラブの指導員の方の処遇改善ということでも一定の予算を積んでおりますが、こちらにつきましても、今後、財源もきちんと確保しながら、できる範囲で手当てをしてまいりたいと思っております。
○高橋(千)委員 やはり、周りの人が言うのはともかくとして、局長がそうおっしゃるのはよくないと思うんですよ。というのは、学童保育は放課後のわずかな時間を預かるだけ、だからパートで仕方ないんだという認識がだめなんですよ。
 もう既に、ガイドラインや指針と言われる過程の中で、学校よりも子供たちがいる時間が長いんですよというところをきちんと認識して始めてきたじゃないですか。今は、学校の休みの日は一日八時間を基本としております。土曜日も夏休みもほとんど休んでいません。ですから年間総労働時間は千七百時間、地域父母会委託などでは二千時間前後も働いているんですね。
 しかも、今おっしゃったように、非常勤は大変給料は安いし時間も短いわけですが、時間が短いけれども、本当は子供たちが来る前に、当然、教材の準備だとかおやつの準備だとかいろいろしたいんですよ。だけれども、早く来るなと言われる。早く来れば、その分の給料が出ないから、子供が来る三十分前に来ればいいんだ、残業もするなと言われる、これが実態なんですね。そういうことをちゃんと見て、本当に指針で言っているようないい指導ができるのかという立場に立たなければだめなんじゃないでしょうか。
 今回の厚労省調査の中には雇用形態の調査はあります。常勤職員は二六・八%、三割を切っている。残りは、非常勤職員三五・一%、次に多いのがパート、アルバイト二七・七%。でも、ここまで調べたんだったら、逆に賃金も調べればいいと思うんですよ。
 資料の三枚目につけたんですけれども、これは建交労全国学童保育部会の調査です。
 先ほど紹介いただいた国民生活センターの調査も本当に低いなと聞いたと思うんですが、指導員の全国平均は、勤続年数十・一年、基本給十七万七千円ですよ。一番低い新潟は十二万九千円。平均ですから、もっと低い人がいるということですよね。ですから、全産業と比べて十三万円弱、保育士と比べても六万円も低いんですね。だから、指導員の悩みのトップは、賃金が安い、六七・三%、突出して多いです。
 大臣に伺いますが、やはりもっとこういう実態を把握して、処遇改善を急ぐべきだと思いませんか。
○塩崎国務大臣 先ほど局長の方から答弁申し上げたように、この制度の生い立ちが、最初から公的なものとして始まったものではないというところがあって、いろいろ改善に改善を重ねて今日まで至っているということでありまして、そういう意味で、処遇の問題についてはさまざま課題があるということはそのとおりだというふうに思います。
 一方で、時間が必ずしも、平日の場合には特に八時間労働ということで、標準的な働き方とは少し違うので、ここのところをどうするかということですけれども、やはりこれも、言ってみれば、大事な放課後の子供さんを預かって、働く女性たちが安心して働けるようにということを考えてみると、多様な正社員的な働き方で一定程度の専門性を持ちながら御指導いただけるような、そういう人たちをちゃんと確保できるような賃金体系があるということが大事なんだろうというふうに思います。
 なお、今申し上げたように、実態をつかんでいるのかというお話もさっきございましたけれども、なお一層これについてもよく考えて調べてまいりたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 よろしくお願いします。
 ちょっと時間の関係で、また一つ飛ばします。
 資料の二枚目に、設置・運営主体別クラブ数の状況というのがあります。
 これは、公立公営が三八・二%で、公立民営が四三・六%なんですね。さっき保護者会が多いですねと言ったのはここに出てくるわけなんですけれども。この公立民営の中に含まれていると思うんですが、厚労省は分けていない、カウントしていないんですね。それで聞きたいのは、この公立民営の中に指定管理者制度がどのくらいあるのかということをちゃんと調べるべきだと思います。
 それで、総務省に直接伺いますが、放課後児童クラブを指定管理者制度で行っている自治体がどのくらいあるのか、また、ふえているのか、お願いします。
○宮地政府参考人 お答え申し上げます。
 地方行政サービス改革の取組状況等に関する調査というものを行っておりまして、平成二十七年の四月一日時点で、児童クラブ、学童館等という分類で調査をしておりますが、この児童クラブ、学童館等の指定管理者制度の導入状況は、都道府県で十四施設中十二施設の、割合でいいますと八五・七%、指定都市で一千六十五施設中七百五十九施設の七一・三%、市区町村で一万一千三百八十三施設中二千五百六十三施設の二二・五%となっております。
 なお、この調査は二十七年度に初めて実施をしておりますので、増減については把握をしておりません。
○高橋(千)委員 総務省からいただいた資料を五ページにつけておきました。指定都市と市区町村の割合、これは初めての調査だということを伺ったんですが、正直驚いたのは、介護支援センター一〇〇%、そして、児童クラブが指定都市だと七一・三%ということで、非常に普及が多いんですよね。
 それで、ふえているかどうかわからないとおっしゃったんですが、全国学童保育連絡協議会の二〇一三年の調査では、二千三百九十三団体、一一・一%という数字があるので、着実にふえていると思います。
 この指定管理者制度は、二〇〇三年、地方自治法改正により創設されて、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに経費の縮減等を図ることとあって、初めからコスト縮減を狙いとした制度なんですね。
 自治体のガイドラインを見ますと、各市が発表していますけれども、必ずコスト縮減効果という言葉が入っています。毎年議会で予算を決めますので、シーリングがかかって予算が減り、もう運営は限界という声が聞こえております。
 放課後児童クラブあるいは介護など、生身の人を扱う仕事、しかも人件費が経費の大部分である労働集約型の仕事は、やはり運営費削減はすなわち人件費カットにつながります。指定管理者制度になじまないと思いますが、総務省の考えを伺います。
○宮地政府参考人 指定管理者制度の運用につきましては、平成二十二年の十二月に地方公共団体に対して通知を出しております。この中で、「指定管理者制度は、公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの提供者を、議会の議決を経て指定するものであり、単なる価格競争による入札とは異なるものであること。」と助言をしております。
 また、あわせまして、「指定管理者が労働法令を遵守することは当然であり、指定管理者の選定にあたっても、指定管理者において労働法令の遵守や雇用・労働条件への適切な配慮がなされるよう、留意すること。」と要請をしているところでございます。
 各自治体におかれましては、こうした点も踏まえながら取り組んでいただいているものと考えておりまして、指定管理者制度の導入が、必然的に不当な人件費の削減などに直結するものではないと考えております。
 また、この通知におきましては、「指定管理者制度については、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときに活用できる制度であり、個々の施設に対し、指定管理者制度を導入するかしないかを含め、幅広く地方公共団体の自主性に委ねる制度となっていること。」を示しております。
 地方公共団体におきましては、質の高い行政サービスを効率的、効果的に提供する観点から、地域の実情に応じて、直営あるいは民間委託、指定管理者制度等といった事業の実施方法から適切に選択をしていただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 今紹介いただいた通知は資料につけてあるんですけれども、その翌年に、当時の片山総務大臣が年頭会見で、指定管理者制度が導入されてから今日までの自治体の制度の利用状況を見てみますと、コストカットのツールとして使ってきた嫌いがありますとおっしゃって、指定管理者制度というのは一番の狙いは行政サービスの質の向上にあるはずなんです、ところが、アウトソースすることによって、いかにカットするかということに力点が置かれてきたような印象を持っておりますということで、軌道修正を図ったということがあって、今そうなっているんだと思う。
 ところが、今現在も、このクラブは、直営を指定管理者制度にするとか、あるいは、随契だったのに公募にして、短い単位で競争して、人もかわる、こういう状態が起こっているんです。
 大臣、この資料、最後のところを見ていただきたい。これは、指定管理者制度によって何が起こっているかということなんです。
 このK市の場合なんですが、指定管理委託料、二〇〇九年度と二〇一二年度を比較してください。一千三百四十一万六千円減っています。常勤指導員がそのため五人減らされ、賃金が千九百四十一万九千円減っている。これは、単純計算して一人頭百万近く減給しなきゃやっていけないんですよ。
 こうやって毎年毎年委託料を減らされるから、それで、あわせて指導員を減らすとか賃金を減らすとか、それ以外に道がないんですよ。これで運営指針は継続性とか安定性とか言っているわけでしょう。できるわけないじゃないですか。これは指定管理者制度になじまないとはっきり言うべきだし、クラブはやるべきじゃないと思います。いかがでしょうか。
○塩崎国務大臣 先ほど総務省からもお話ありましたけれども、指定管理者制度そのもの自体については、いろいろな知恵の中から出てきた制度だろうというふうに思いますが、大事なことは、公の施設の設置目的にちゃんと合った運営がなされるかどうかということが大事なんだろうというふうに思います。
 一方で、選ぶのは、要するに指定管理者制度を導入するかどうかというのは、一義的に地方公共団体の自主性で選んでいるわけでありますから、そこの自治として、今申し上げた公の施設の設置目的、今回であれば放課後児童クラブ、この設置目的に合った運営がなされているかどうかというのは絶えずチェックをしていただかなければいけないというふうに思います。
 我々にとって大事なことは、放課後児童クラブの設備運営基準とかあるいは運営指針、ここに質の確保ということが明示をされているわけでありますから、これにのっとって、運営をされるべきところがそのとおりになっているかどうかということについては、やはり市町村についても、責任を持って、この質の担保を図るということはやってもらわなきゃいけないなというふうに思います。
○高橋(千)委員 残念ながら時間が来たので終わりますが、これを見て質の担保ができると答えられるはずがないと思うんですね。そこはきちんと、なじまない、やめるべきだと、何でもいいから言ってくださいよ、そのくらいのことを。人ごとのような答弁を繰り返さないでいただきたい。
 これは後で続きをやりたいと思います。
 終わります。

 

――資料――

【資料1】放課後児童クラブの実施状況(概要)

【資料2】放課後児童クラブの実施状況(詳細)

【資料3】学童保育指導員の労働条件の実態

【資料4】指定管理者制度の運用について

【資料5】指定管理者制度の導入状況

【資料6】K市の指定管理料と指導員体制

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