地域医療が見えなくなる/衆院委で高橋氏 「ビジョン」追及
日本共産党の高橋ちづ子議員は29日の衆院地方創生特別委員会で、「地方を考えるとき、地域医療はその重要な要素の一つだ」と述べ、地方創生と地域医療の関係をただしました。
先の国会で成立した医療・介護総合法では、各医療機関からの病床機能報告をもとに、医療圏ごとの必要量を地域医療ビジョンに示します。
高橋氏は、データは国が委託する、みずほ情報総研が一括して集約することを指摘。データだけでは医師不足による病棟閉鎖などの実情が見えなくなると追及しました。そのうえで、北海道の人口10万人あたりの医師数、圏域を超えて他市に通院や入院する患者の実態も示しました。
塩崎恭久厚労相は地域医療に関する今後の議論について「現状を前提にやるということであると(札幌と旭川に集中するという)間違ったことになる可能性も十分ある」と述べ、地域の実情を考慮する考えを示しました。
高橋氏はまた、07年から医学部の定員を増してきた国の対応について、恒久化措置を求める各地の要望を下村博文文科相に伝えました。下村氏は「関係自治体の意見も参考に検討していきたい」と答えました。
(しんぶん赤旗 2014年10月30日付より)
――議事録――
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
本日は、地域医療について質問をさせていただきます。
まず、石破大臣に伺います。
地方創生とはどういう意味なのでしょうか。再生ではなく創生なのはなぜか。
私は、地方を考えるときに、地域医療はその重要な要素の一つであると考えておりますけれども、本法案との関係で地域医療がどういう意味を持っているのか、認識をお聞かせください。
○石破国務大臣 地方創生というのは、今までの考え方、価値観、そういうものを改めていかねばならないという思いを込めて創生と言っております。
再生ということになりますと、だめになったものを直しましょうみたいな話でありますが、今までいろいろな政策をとってきて、委員とは見識、考え方が違うのかもしれませんが、日本の国は世界でもまれなる成功をおさめてきたと思っております。しかし、その政策が時代に合わないものが出てきた以上は、そこはもう時代に合わせて政策を変えるということが必要だと考えております。
ですから、だめになっちゃったものを直すというよりも、考え方を変えて、さらに日本をいい国にしていきたいという願いを込めて創生という形にしたと私は認識をしております。
本法案との関係でどうかということですが、本法案の第二条に基本理念というものを定めております。そこには、「日常生活及び社会生活を営む基盤となるサービスについて、」地域医療も含みますが、「その需要及び供給を長期的に見通しつつ、かつ、地域における住民の負担の程度を考慮して、事業者及び地域住民の理解と協力を得ながら、現在及び将来におけるその提供の確保を図る」というふうに定めておるものでございます。
法律でございますので、無味乾燥で恐縮でございますが、現在のみならず将来においても医療も含みますサービスの提供の確保を図るということは、この法案に明記をしておるところであります。
○高橋(千)委員 地域医療の将来の姿を考えていくということが、この基本理念、今大臣がおっしゃった中に盛り込まれていると思うんです。いろいろな要素が組み込まれている。
例えば、日本創成会議人口減少問題検討分科会、ストップ少子化・地方元気戦略には、医療・福祉分野の行方が重大な影響を与えるとして、多くの産業が人口、需要の減少に伴いマイナス産業となるけれども、経済圏の規模のいかんを問わず大きな成長が見込まれるのが医療・福祉分野、こう書いているわけですね。その上で、医療・福祉分野は、地方自治体を初めとする財政負担にも大きな影響を及ぼす、こうも書いている。
つまり、成長分野であるという位置づけと、しかし、さっきの第二条の中にもあったんですけれども、地方財政負担に大きな影響を及ぼす、これはある意味矛盾しているとも思える表現なんですけれども、この描き方によって、どこに力を入れるかということになってくるわけです。
医師不足と医師の偏在が叫ばれる中で、少ない医療資源を集約して効率化を図ろうという議論はこれまでもされてきました。私は、その中の公立病院をどう考えるかというのが鍵の一つになるのであろう、このように思っているわけです。
そこで、二〇〇七年から二〇一三年度までの公立病院改革ガイドライン、これに基づく改革がやられてまいりました。このことについては、二〇〇九年二月二十日の予算委員会で、私、当時の麻生総理に質問しているんですけれども、「改革の究極の目的は、公立病院、民間の病院の適切な役割分担のもと、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることである」、こういう答弁をいただいております。そのときの総務大臣が、実は今委員長席にいらっしゃる鳩山大臣でございまして、「公立病院というものは不採算であってもやらなければならない、地域医療のためにどうしても必要だ。」こういう答弁をいただいたわけであります。
そこで、きょうは高市総務大臣に、この地域医療を支えている公立病院の役割について、認識に変わりはないのか、伺いたいと思います。
○高市国務大臣 総務省におきまして、平成十九年に公立病院改革ガイドラインを策定しまして、地方公共団体に対しましては、公立病院改革プランの策定を要請しております。ここまで、経営の効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直し、三つの視点に立った経営改革に取り組んでまいりました。
公立病院でありましても、やはり経営の効率化を図ることで持続可能な病院経営を目指すということは非常に重要なことでありまして、これによって、良質な医療を継続して提供することができると考えております。
この公立病院改革ガイドライン、総務省が策定したものですが、この中に、委員がおっしゃったとおり、改革の究極の目的は、公民の適切な役割分担のもと、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることであると明示しておりますので、今でもその認識に変わりはございません。
○高橋(千)委員 確認ができました。公立であろうとも経営の効率化は必要だとおっしゃった。ただ同時に、不採算の医療を抱えているですとか、地域によってどうしても担わなければならない役割についてもぜひ確認をしたかったなと思って、そこはちょっと残念に思うんですが、しかし、基本は変わらないということを確認させていただいたと思います。
そこで、骨太方針の二〇一四で、今年度中に新たな公立病院改革ガイドライン、これを策定すると書かれております。つまり、さらに改革が足りないということでしょうか、どのように進めるのでしょうか、伺います。
○佐藤政府参考人 平成十九年に策定いたしました公立病院改革ガイドラインに基づいて取り組みがなされてまいりまして、例えば、黒字病院の割合が平成二十年度の二九・七%から平成二十五年度には四六・四%になるという結果もあります。また、病院の再編に取り組む病院が百六十二病院あるというような成果も上がっておりまして、全体とすれば、このガイドラインのもとでの取り組みで一定の成果があったものと考えております。
ただし、依然として半分以上の病院が赤字であるということも事実でありますし、また、社会経済情勢の変化に伴って、この改革というのは継続的に不断に行っていくべきものとも考えております。
そうしたことから、総務省におきましては、骨太の方針に基づいて、今年度、新たな病院改革ガイドラインを策定することといたしまして、現在その検討を進めております。現行のガイドラインに基づく取り組みの成果や課題について公立病院改革関係者や有識者などからヒアリングを実施しておりまして、さまざまな意見を伺っております。
また、現在、厚生労働省におきまして、地域医療構想に関するガイドラインの策定に向けた検討も進められておりますので、この有識者からのヒアリングでの御意見や厚生労働省の検討結果も踏まえて、今年度中に新しいガイドラインをつくってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 例えば、今おっしゃった黒字化が四六・四%、数字を見るとかなり改善しているというか、そういうふうに見えるんだと思うんですね。
ただ、それがどういう状態になっているのか、つまり、例えば、集約をしたことによって、集約されたもとの病院はどうなっているのかですとか、黒字を図ったことによって、要するに職員の問題がどうなっているのかとか、さまざま検証することがあると思うんですが、これが、また今年度中に新しいものをつくるって、それはちょっと早過ぎるなという印象を強く持ったわけですね。そこで質問させていただいたわけなんです。
続けて、それがこれからは、地域医療ビジョン、厚生労働省がさきの通常国会で成立させた医療介護総合法の中で都道府県が策定する地域医療ビジョンの中で当然検討されていくことになるわけですので、それについて少し質問させていただきたいと思うんですね。
今、十月一日から、医療機関による病床機能報告制度が始まっています。締め切りは十一月十四日です。病棟ごとに、どんな現状か、将来はどうかという実態と構想を聞くわけですけれども、高度急性期、急性期、回復期、慢性期、この四つの区分でそれぞれの医療機関から報告を求めることになっております。
資料の一枚目は、これは、国会中に、さきの国会で出されたものなんですけれども、その流れ、ビジョンをつくるまでの流れを示しています。協議の場を設置するんだと。二次医療圏ごとに必要な医療の機能、何をどのくらいやるのかということを決めていくわけですね。
そのポイントは、真ん中に、協議が調わず、自主的取り組みだけでは機能分化、連携が進まない場合、知事は、医療審議会の意見を聞いて、不足する医療機能に係る医療を提供することを要請する、一方、稼働していない病床の削減、使っていないんだからベッドを削減しなさい、これを要請するというふうにあるわけです。
しかし、現在、医師不足のために病棟を閉鎖しているところも多くあります。ベッドが動いていなければ削減するとなれば、やはり、医療過疎を追認して拍車をかけることにならないかと思いますが、厚労大臣の意見を伺います。
○塩崎国務大臣 先生御指摘のように、地域医療構想で病床機能報告制度によって医療機関から報告をされた情報等をもとにいたしまして、将来の医療需要と、そして各医療機能の必要量というものを決めていこうということを、それぞれで、都道府県でやっていただくということになっています。
この病床機能報告制度においては、地域の医療提供体制の現状を把握するということで、そういう意味では、先生今御指摘になられたように、稼働していない病床というのもあるわけで、その数も当然報告をしていただくことになります。
しかしながら、この地域医療構想は、都道府県の実情というものをちゃんと踏まえて、それに応じた医療提供体制というものを構築することを目的として行われるわけでございますので、今後、それからどうするかということについては、それは今後の地域医療構想ガイドライン策定作業というのをそれぞれ地域でやっていただくわけでありますので、その中でしっかりと検討をしていかなければならないというふうに思っております。
ですから、稼働していない病床数も当然報告はされますけれども、本当に必要な医療というのはどういうふうな形で提供すべきかということは、またこのガイドラインの策定作業の中で考えていくということでございます。
○高橋(千)委員 本当に必要な医療を誰がどうやって決めるかということなんですね。
今、ガイドラインの検討会でさまざま議論していますけれども、二割減らそう、三割減らそうと、目安となる数字を決めているんですね。それに合わせて実態を見ていくことになるわけです。
そこが何が問題かといいますと、資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、この報告制度における報告、集計の仕組みであります。
これは、法律には、都道府県が報告を受けて都道府県が決めるとなっているんですが、全国共通のサーバー、つまり、一括でデータを集めることになる。これは、みずほ総研に委託をされます。
そうすると、今いろいろ言った、稼働していないけれども、それも含めて議論するんだという答弁をしていても、数字しか出ない。そうすると、数字というのはわかりやすくなっちゃいますから、機械的に処理されることになりかねないんですよ。
なぜ一括なのか、そして、機械的に処理されることにならないか、これはいかがですか。
○二川政府参考人 病床機能報告制度についてでございますけれども、病床機能報告制度は、全国知事会初め都道府県からの御要望、あるいは、法案策定に当たりましての検討会を行っておりますけれども、その検討会での議論を踏まえ、できるだけ都道府県、あるいは報告をする医療機関、そういったところの事務負担が軽減される方法で実施するということにしたところでございます。
そういったことで、医療機関から、厚生労働大臣の委託を受けた者を経由して都道府県に提出をしていただくということでございまして、具体的には、みずほ情報総研株式会社でございますけれども、そちらを経由して都道府県の方に情報が提供される、こういった仕組みでございます。
○高橋(千)委員 自治体が事務負担が大変だというのは当たり前なんですね。だけれども、それを理由にして、一括、サーバーに集約されて、本当に実態がわかるのか、機械的にしか出てこないじゃないか、そのことを重ねて指摘をしているんです。
明確な答弁ではなかったと思いますが、これは次の質問でまたちょっと関係をしていきますので、時間の関係で、続けていきたいなと思います。
それで、先に総務大臣にもう一回聞きたいんですけれども、先ほどの流れの中で出てきているんですけれども、これは、調わなかった場合、民間の病院に対しては要請なんですが、公立病院に対しては都道府県が指導という形になっております。そうすると、やはりベッドを削減しなくちゃいけないねとなったときに、真っ先に公立病院が削減のツールになるのではという懸念がありますが、どうお考えですか。
○高市国務大臣 公立病院でございますけれども、やはり、民間病院の立地が非常に困難な僻地などにおける医療ですとか、それからまた、周産期、救急、災害、こういった不採算もしくは特殊な医療を担っていただいております。これらの医療を提供する役割というのは非常に重要でありますから、これからもその役割を適切に果たしていく、これが必要だと考えております。
さきの通常国会で成立しました医療介護総合確保推進法、これに基づく取り組みは、公立病院だけが先行して行うようなものにはなっていないと理解をしています。民間病院、国立病院機構など、あらゆる設立主体の病院が医療機能のあり方を検討して、関係者が参加をする協議の場を活用して、連携協力をして、地域における効率的で質の高い医療体制を構築する、これを目指すためのものだと考えております。
○高橋(千)委員 利害がぶつかり合う病院同士で協議をしたときに、そうしたことが起きないかという懸念でありました。まさかここで、そうです、先行してやりますとはおっしゃらなかったので、当然だと思いますけれども、ただし、非常に懸念があるということは申し述べておきたいと思います。
県立病院が二十ある岩手県では、やはりビジョンをつくるときに、うちはもともと県立病院が多いので、そもそもそうなるんだということをおっしゃっていたわけですね。
ただ、本当にそれで、必要な医療というのがどうなっていくのかということに大変危惧を持っております。
そこで、資料の三を見ていただきたいんですね。これは北海道なんですけれども、二次医療圏ごとの人口十万人当たりの医師数が地図に落とされております。これは、左の資料の一番下を見ていただけるとわかるんですけれども、十万人当たりの医師数が、全国が二百二十六・五人に対し、全道は二百二十四・六人。この数字だけを見ますと、全国平均と全道平均というのは遜色がないんです。ところが、二十一ある医療圏のうち、上の二つの地区、上川中部、これは旭川を中心とした地域ですけれども、三百十四・九人。札幌が二百七十四・八人。ここに集中して、平均を上げてくれているんだけれども、三位以下は全部、平均より下なわけです。一番下の宗谷は九十・八人。これは深刻な事態になっているんですね。
この地図を見ると、どういう地域が少ないか。人口が二十万人を割っているというところで絵を描いても、同じような絵になります。これは、北海道に行ってもらってきたものですけれども。これが、患者の流出が二割以上というところとも大体リンクしていて、医師がいるところに集約されていくのではないかということになるわけです。
資料の四を見ていただくと、そのうち、日高地方を地図に落として、これは二次医療圏の中で患者がどこの病院に行っているかという図なんです。そうすると、外来はまだ線が少ないです。ところが、入院になると激しく移動しております。地域の中で、自治体の中で入院がほとんど完結されないからなわけです。
私はこの浦河というところにことしの冬に行ってきたんですけれども、札幌に入院をさせると車で二時間。家族がお見舞いに行くのも本当に大変だ、そういう状況なわけです。こういう現状を機械的に見てしまうと、どこかに行っているから間に合っているとなったら困るんですよね。
そうすると、今、三次医療圏というのは五十二あって、二次医療圏は三百四十四なんです。北海道は六なんですね。つまり、地域医療をどうするかというときに、今、ガイドラインの検討会で、まず、区域をどう設定するかを考えています。そこから検討を始めると、つまり、自分たちの圏域を超えて病院に行っていると。では、それを全部、圏域にしちゃったら、間に合っていることになっちゃうわけですよ。言っている意味、わかりますよね。それでは大変なことに、北海道は六つになっちゃう、そんな意味ではないと思うんですけれども。
地域医療ビジョン、地域医療をどういうふうに、こういう現状を反映していくのか、伺います。
○塩崎国務大臣 この地域医療構想というのは、二〇二五年を見据えて、都道府県が、その地域の事情に応じた医療機能の分化、連携を進めて、質が高く、また、効率的な医療供給体制を構築するために策定をするわけでありますけれども、今先生御指摘のように、現状どうなっているかということと、地域で望ましい医療体制はどうあるべきかというのは、やはりいろいろな議論があると私も思うところでございまして、この地域医療構想では、将来の医療需要と各医療機能の必要量を定める。しかし、それは、どう定めるのかというのは非常に議論のあるところだと思うんです。
ですから、ちょうど地方創生ということで、石破大臣のもとで、地方を本当に、みんなが東京に集中しないで地域で生き生きと暮らせるようにするためには、やはり医療がちゃんとしていなければいけませんし、今御指摘のように、札幌と旭川に集中して、そこにみんなが、患者さんが行っているという現状を前提にやるということであると、それは間違ったことになる可能性も十分あるんだろうと思うんです。
ですから、その際に、病床機能報告制度によって報告された地域の医療供給体制の現状とともに、患者の受診状況の客観的なデータというものをもとにした、地域間の患者の流出入などの実情を、先生御指摘のとおり、やはり考慮しなければいけないわけであって、先ほど来お話が出ているように、数字だけ、データだけを見てもわからないというところは私も全く同感でございます。
では、具体的にどう反映していくのかということでございますけれども、これについては、医療関係者とか、それから有識者、都道府県、患者の代表などで今検討会というのが検討しているところでありまして、流出入などの実情の反映に当たって、地域の医療ニーズに的確に応えられる医療供給体制を構築する視点がこの検討会で不可欠になってくるというふうに思っております。
こうした患者の流出入の反映方法を含め、地域医療構想策定のためのガイドラインについては、政府としてこの年度内に取りまとめて都道府県にお示しをしたいというふうに思っておりますので、先生、極めて大事なポイントだと思います。
○高橋(千)委員 今、大臣、間違ったことになりかねないという趣旨の答弁をされたことはとても重要だと思っております。それこそ、札幌、旭川に集中して、現状はこうだからそれでいいというふうになっちゃうと困るということを言っています。
地方創生は東京一極集中の打破と言っていますが、結局、地方の中で中心に寄せてしまうというだけではまずいだろう、しかし、今手を打たなければそうなってしまうということで問題提起をしています。
そこで、その中の打つ手の一つとして、きょうは下村文科大臣にもおいでをいただいております。
こうした中で、東北に医学部の新設が決まりました。資料の五に認可までの流れをつけましたけれども、現在、東北地方における医学部設置に係る構想審査会が、仙台市内の民間大学一校を認可することが可能だということで絞り込みました。
民間大学では、やはり、仙台のひとり勝ちになるのではないかとか、学費が高いためにやはり偏って地域になかなか残らないのではないかとか、教員の確保などで人材が引き揚げられてしまうのではないかということで、いろいろな懸念が大きいし、むしろ反対だという声が東北の医師会などからは非常に多いんですね。
私は、ただ反対だという議論はしておりません。もし設置するんだったら、東北の地域医療に貢献できる、自治医科大学の東北版、そういうイメージであってほしいということを強く述べてきましたし、公立大学に近い経済支援が必要だということも強く述べてきたところであります。
そこで、八月二十八日の構想審査会では条件をつけての認可というふうな形でおっしゃっているようですけれども、考え方を伺いたいと思います。
○下村国務大臣 御指摘のように、今回の医学部新設、三十六年ぶりでありますが、既存と同じような形でのコンセプトではなく、東北地区、特に被災地の方々に対する貢献という特別な事例として医学部新設を認めるということにしたわけでございまして、そのために、有識者による専門的、客観的な審査を行ったことによって一つに絞り込むということをしたわけでございます。
選定に当たっては、東北六県全体の医師偏在解消につながるという観点、それから、教員等の確保に当たり地域医療に支障を来さないかという観点も含めて審査が行われました。この点については、三校からというか、三カ所から応募がありましたが、どの応募者の構想も一定の配慮がなされていたというふうに承知をしております。
今回選ばれた東北薬科大学の構想については、石巻サテライトの設置や、南三陸、登米等での地域医療実習の実施を通じた地域医療への貢献、東北六県への医師の定着を促す奨学金の設置などが盛り込まれております。
また、選定に当たっては、教員等の確保に当たり地域医療に支障を来さないことや、卒業後の地域への定着を担保するため、各県、各大学等の代表者による運営協議会を設けて協議を行い、東北六県の医師偏在解消の枠組みを構築し、仙台、宮城への医師の集中とならないようにすることを条件としたところでございます。さらに、地域医療の実習に当たっても、宮城県内だけでなく東北各地域において滞在型の教育ができるよう、体制等を整備することも条件といたしました。
同大学の医学部設置が、仙台市だけでなく、東北地方全体の復興に寄与するという条件でございますので、そうなるということを期待しているところであります。
○高橋(千)委員 結構高いハードルを設けたと思うんですが、しっかりとこれが担保されるように、文科省としても指導、援助をお願いしたい、このように思うんです。
それで、下村大臣にもう一問伺いたいと思うんですが、資料の最後に、この間、医学部の定員をふやしてきた経緯、全国の経過を書いておきました。全国では千四百四十四名、東北では二百十九名なわけです。
先日、実は、福島県当局に医師不足や地域医療の問題で実情を伺いに行ったときに、修学資金で援助をする地域枠を五十二名までこの間ずっとふやしてきて、初めてことし卒業生が出たと。ですから、定員の話はずっと議論してきて、そんなすぐには医師は誕生しないんだ、十年かかるんだとか、そういう議論をしてきた中でも、頑張って頑張ってふやしてきて、とうとう最初の卒業生がやっと出た。だから、これから地域に貢献するというときなんですね。だから、その芽が出たときに、いやいや、もうこっちでは医学部ができるんだしということで、これが断たれては困るというのが共通した要望なんです。
ですから、定員の枠をふやしてきたものをぜひ恒久的な措置にしてほしい、打ち切らないでほしいという強い要望がありますが、いかがでしょうか。
○下村国務大臣 医学部定員増の恒久化につきましては、御指摘がありましたように、幾つかの自治体から、期限到来後も定員を維持してほしいという要望はいただいております。
医学部定員については、毎年度、関係自治体等の要望を踏まえ増員を行ってきており、来年、平成二十七年度についても十八大学、六十五人の増員を行う予定で、各大学から増員計画を受け付けたところであります。
文科省としては、臨時定員の扱いについては、期限が到来した時点での医師養成数の将来見通しや地域への定着状況等を踏まえ、今後、厚労省と連携し、関係自治体等の意見も参考に検討してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
残念ながら時間が来ましたので、続きは、厚労大臣、委員会でまたお願いしたいと思います。終わります。
――資料――