国会質問

質問日:2024年 4月 10日 第213国会 国土交通委員会

物流二法案について

運転者に適正運賃を

衆院国交委 物流関連法案で高橋氏

写真
(写真)質問する高橋千鶴子議員=10日、衆院国交委

 日本共産党の高橋千鶴子議員は10日の衆院国土交通委員会で、物流関連2法改正案について、実運送を担うトラック運転者に適正な運賃が届く仕組みとなるよう求めました。

 高橋氏は、全国商工団体連合会(全商連)のアンケートに寄せられたトラック運転者の荷待ちの実態について「納品先で、混雑時は2~4時間以上待たされ、路上で待機せざるをえない。トイレにも困り、女性には簡易トイレを渡している」との事業者の声を紹介。「やむを得ず路上で待ち、トイレに中座したら駐禁キップを切られた例は日常茶飯事だ」として、対応をただしました。斉藤鉄夫国交相は「女性ドライバーの話は初めて聞いた。相談窓口などで声を聞き、そういうことがなくなるようにする」と答弁しました。

 高橋氏は、改正案で元請け事業者に作成を義務付ける実運送体制管理簿について、「最終的に実運送するところに標準的な運賃が届くようにするのが荷主と元請事業者の責任だ」と指摘。国交省の鶴田浩久物流・自動車局長は「実効性が重要だ。実運送事業者にしかるべき運賃が届くよう取り組む」と答えました。

 高橋氏はトラックを持たず、荷物の情報で手数料を得る運送業者(水屋)は法規制の対象になるが、実運送体制管理簿では明示されず、「中抜き」の実態も把握されないとして、「見える化してこそ、法改定の意義がある」と訴えました。

 高橋氏は「運転の中断時は『原則休憩』を徹底し、荷役をした場合は労働時間に入れるべきだ」と指摘。厚生労働省の梶原輝昭審議官は「契約にない荷役も、使用者による指示、黙示による荷役として労働時間として取り扱うよう是正勧告する」と答えました。

(「しんぶん赤旗」2024年4月11日付)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 物流の二〇二四年問題と騒がれながら、既に四月になってしまいました。
 五日の参考人質疑では、全日本トラック協会の馬渡副会長が、労働時間短縮とドライバーの待遇改善という要請に応えたいと決意を述べていただきました。
 具体の施行日はいつと考えているでしょうか。物流が止まることはないし、止めない、そういう力強い声もありました。そのことが、違反やリタイアが次々出るという意味ではなくて、ちゃんとドライバーの労働時間短縮と処遇改善が進んでいく、そういう理解でよろしいでしょうか。
○斉藤(鉄)国務大臣 この法案の施行日につきましては、一部を除き、公布後一年以内の施行としております。
 この法案の施行前におきましても、昨年六月の政策パッケージなどに基づき、政府一丸となって、即効性のある設備投資の支援、業界、分野別の自主行動計画の作成、実施、トラックGメンによる荷主等の是正指導の強化、標準的運賃の引上げ、拡充などの施策を講じているところでございます。
 また、労働時間につきましても、運送事業者への監督時にその遵守状況を確認、指導してきたところでございまして、新たな改善基準告示についても確実に遵守されるよう、引き続き関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 公布後一年以内というのは、法律に書いているから当然知っています。その上で、四月になっちゃったんだよという点でどうするのかということを大臣に決意を含めて聞きました。
 だから、公布が延びるという意味ではないはずなんですよね。そういうことも含めて伺います、もう一度。
○斉藤(鉄)国務大臣 この公布が、一年以内に公布いたしますけれども、それまでの間に、先ほどおっしゃったようないろいろな問題点、基準告示を守れないとかそういうことがないように、また、賃金が上がっていくように、しっかり取り組んでいきたい、このように思います。
○高橋(千)委員 本会議でも、一九九〇年の物流二法改正による規制緩和の影響についてただしました。
 資料の二枚目を、ごめんなさいね、順番が違っていたんですが、見てほしいんですけれども、トラック運送事業者数の推移ということで、スタートは、これは四万八千六百二十九者から始まっているんですけれども、何度も言われているように一気に一・五倍になったと。令和四年度が六万三千百二十七者になっているわけです。
 それで、私がずっと疑問に思っていたのは、これは六万を超えてから二十年たってもほぼ横ばいなんだと。これは下の色、オレンジが新規参入でグレーが退出事業者数、オレンジの方が上回っているのが最近でもありますし、大体、一千者以上が入り、一千者前後がリタイアする、こういうふうになっている。何でそうなのか。なぜトラック業者の数は、規制緩和でこんなになっちゃったのに、結局、今も横ばいになっているのか、この点について、まず伺います。
○鶴田政府参考人 御指摘ありましたように、平成二年の規制緩和後、当時約四万者だった事業者数が、平成十九年頃までにかけて増加をして、その後は六万二、三千者ぐらいで横ばいになっているということでございます。
 当初、平成十九年頃まで増加したのは、これは、新規参入が容易となったことや、それから、その後、近年のEコマースの拡大などがあるかと思います。その後、横ばいになっている要因は必ずしも明らかではありませんけれども、まさに、参入者数と退出者数が今拮抗して横ばいになっているというふうに認識をしてございます。
○高橋(千)委員 参考人質疑の中でもいろいろな議論があったわけですけれども、優良な事業者が撤退を余儀なくされて、残念ながらそうではない事業者が増えている、そういう理解もできなくはないわけですよね。そこの分析がないのかと。
○鶴田政府参考人 今御質問ありました、どういう事業者が参入をして、どういう事業者が退出しているかということについての網羅的な分析というのは今ないかと思いますけれども、ただ、大事なことは、ちゃんとルールを守ってやっている事業者、中には、それが守られていない事業者というのもあるかと思います。そういった悪質な事業者に対する対応を強化していくということが大切だと思っていますし、そのようにしていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 やはり、これからこの法案を、さっき施行日いつですかと聞きましたけれども、徹底していこうとするのであれば、この点もしっかりと分析をして、優良な、真面目な事業者がきちんと続けられる、そうではないところはやはり遠慮してもらう、そのような決意もなければならない、このように思っているんです。
 参考人質疑の中でも、物流二法の影響は大きく、規制緩和には社会的規制が必要だが、市場競争に追いついていないという指摘もありました。
 実際に、中小零細のトラック事業者では、荷主に運賃交渉はできないし、すれば、もっと安いところがあるからいいんだ、そっちへ頼むよと言われるわけです。だから交渉もできない。許可制になって、最低五台以上と駐車場があれば事業が始められます。その車両とは、必ずしもトラックでなくても、セダンでなければバンやワゴンタイプ、つまりは家庭で走っている自動車と同じでも構わないわけですよね。
 ライドシェアではないけれども、全体として質を上げていくことも重要です。その問題意識がありますか。
○鶴田政府参考人 質を上げていくということも大変重要だと思います。こういった問題意識に立って、先ほどお話ありましたような、例えば、中小の事業者ですと、特に価格交渉力が弱い、そういったことではいけないということで、それを変えるための仕組みを今回、法律に盛り込んで、御審議をいただいているところでございます。
○高橋(千)委員 先ほどの資料の上の段なんですけれども、トラック運送事業者の車両に応じての内訳が書いてあります。
 これを見ると本当によく分かるんですけれども、半数以上は十両未満の零細業者になっております。五四・七%。そして、その上の方を見ても、圧倒的に中小業者が多いということになります。
 それで、今回、貨物自動車運送事業者のうち、大臣から指定される特定事業者、この基準と指定される事業者数、どのくらいになりますか。
○鶴田政府参考人 この法案では、運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加を図るということで、改正後の物流効率化法第三十七条に基づきまして、今御指摘ありましたように、一定規模以上のトラック事業者を国土交通大臣が指定をするというふうにしてございます。指定をされますと、中長期計画の作成などの義務づけがかかるということでございます。
 御質問のありました、この指定の対象となるトラック事業者の基準につきましては、具体的には今後政令で定めることとなりますけれども、考え方として、日本全体の輸送量のうち半分程度をカバーすることができるように、保有車両数で申しますと、上位四百者程度を指定することを想定しております。
○高橋(千)委員 上位四百者程度と今おっしゃいました。二百両以上の車両を持つ事業者ということを聞いてあったのですけれども、それとはまた別ですか。
○鶴田政府参考人 同じでございます。上位四百者ぐらいが車両数で見ますと二百両以上ということでございます。
○高橋(千)委員 同じだというので安心しました。資料を見ていただくと、大体そうなっているわけです。それで、合わせると〇・六%くらいということで、全体の量は半分カバーしているわけだけれども、業者の数でいうと本当に一握りの大手のところなんだということです。
 だから、大手の業者の方にちゃんと模範を示してもらうというか、率先してやっていただくというのもとても大事なことだと思うし、同時に、最初に言った中小零細の業者の人にしてみると、今度の改正は自分たちのことじゃないんだというふうにおっしゃっているんですよ。やはりそこに応えていく施策でなければならないなと思っております。
 それで、貨物自動車運送事業者等は、三十四条で、運転者一人当たりの一回の運送ごとの貨物の重量の増加を図るための措置を講ずる、この努力義務を書いています。
 確かに、営業用貨物自動車の積載率を見ると、三九・七%にすぎない。物流件数自体は増えているのに、貨物一件当たりの貨物量は、二〇二一年でいうと〇・八三トンと、小口の多頻度化が進んでいる。これがもっとまとめられれば、効率もよくなるし、ドライバーの負担も減る、これは分かりやすい話ですよね。
 とはいえ、先ほど来言っている中小の事業所では、貨物をまとめられるかは、それは発注側の荷主だとか、あるいは元請次第ともなって、自らの努力ではなかなか難しいとおっしゃっている。どのように進めていきますか。
○鶴田政府参考人 今御指摘ありましたような努力義務、これを中小の事業者にも課しているところでございます。
 ただ、同じくお話ありましたように、こういった輸送の効率化を中小のトラック事業者だけで行うということは大変難しいと思っております。したがいまして、この法案では、荷主等に対しまして、特に大規模な荷主等に対しては、計画作成の義務づけも含めて取り組んでいただくということを盛り込んでおります。また、元請トラック事業者に対しましては、荷主の取組に協力するという努力義務も課している、そういった規制的措置を盛り込んでおります。
 さらに、令和五年度の補正予算などの支援も活用しながら、中小事業者を含めて、しっかり物流が持続的に成長するように取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 荷主とそれから元請の役割といいましょうか、ここに対する指導だとか規制だとかが進んでいくということが大きな鍵なんだなということは、もう今日の議論の中でも明らかになってきたなと思うんですけれども、運ぶ荷物が分散されて効率が悪いだけではなくて、倉庫によって理不尽に待たされている現実があります。荷待ち、荷役に要する時間が長時間労働の温床になっていることは既に指摘をされてきたことです。
 実際にドライバーがどのような状態で待たされているか承知をしているでしょうか。全国商工団体連合会が会員の運送事業者から集めた実態アンケートに寄せられた自由意見、それは大変厳しい、先ほど言った、大手ばかり見ているんじゃないか、全てが的外れだ、そういう意見さえ出ているんです。
 その中で、待機の様子を紹介しますと、納品先では混雑時は二時間から四時間以上待たされたりもする、待つにしても、構内は狭いとの理由で、結局は路上で待機せざるを得ない。その路上が通学路であったりするわけですから、邪魔者扱いされると。しかも、トイレにも困ります。女性ドライバーを少しずつ増やしてきているわけですが、その女性ドライバーがトイレがないから大変なわけで、このアンケートに答えてくれた会社は女性に簡易トイレを渡しているということです。大変驚きました。やむを得ず路上で待つ、それで、トイレにどうしても行けないから中座したら駐禁切符を取られちゃった、こういう例は日常茶飯事になっている。大臣、どのようにお感じですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 私も、地元に小規模零細トラック事業者がたくさんいらっしゃって、地元に帰ったときに御挨拶回りする等のときにそういうお話を伺います。今の女性ドライバーのようなお話は今初めてお聞きしましたけれども、例えば、まさに道路で待たされる、その上に、ばら積み、ばら降ろしまで全部要求されるというような状況について、私自身も把握をしているところでございます。
 今回、荷主、着荷主、発荷主、共に連携をして、こういうことがなくなるように頑張っていきたいと思っておりますし、国土交通省としても、そういう御意見を伺う場、相談窓口、それから目安箱、こういうものを設けて、また、トラックGメンのプッシュ型の情報収集等を行って、しっかりそういう声を聞き、また、そういうことがなくなるように頑張っていきたいと思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 警察庁に伺います。
 貨物自動車の駐禁違反、年間どのくらいあるでしょうか。本来なら駐車許可証をもらえばよいはずなんですよ。だけれども、毎回最寄りの警察署にもらいに行く、それはその分の時間もかかるわけですから、余りにもドライバーにとっても負担です。何か工夫すべきだと思いますが、いかがですか。
○小林(豊)政府参考人 お答えいたします。
 駐車違反の車両には放置車両確認標章を取り付けるということになりますけれども、その取付け件数については、令和五年中、全体では七十八万八百二十九件でありました。このうち貨物自動車については十四万九千八百四十七件、さらに、このうち営業用の貨物自動車については三万一千四百七十一件となっております。
 また、貨物集配中の車両の駐車スペースの確保につきましては、物流の効率化のための課題の一つであって、警察におきましては、駐車場の整備等について地方自治体等への働きかけを推進してきたほか、駐車禁止規制の対象から貨物集配中の車両を除外するといった駐車規制の見直しを進めております。
 また、駐車許可についてでありますけれども、道路交通法に基づきまして、駐車禁止場所であっても駐車することを可能とするものでございますが、その判断について、交通に与える危険性を考慮に入れつつ、ほぼ同一の全国の条件で警察署長が行っております。この駐車許可について、申請される方の負担軽減の観点から、駐車が可能となる時間や場所の柔軟な設定や、申請手続の簡素化に取り組むなど、運用の改善に努めてまいっているところでございます。
 今後とも、運用の実態を把握しながら、関係団体の御意見を伺うなどして、更なる改善に努めてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 更問いしないと約束していたんですが、やはりちょっと一言聞きたくなって。
 営業用の貨物自動車が三万一千というお話だったと思います。実際に、かなりの数字だと思うんですよ。いない、中座しちゃまずいと思って頑張っているんだけれども、どうしようもなく離れたときに、離れた瞬間を狙って切符を切りに来る、そういう実態も聞かれていますよ。これは絶対おかしいし、そもそも理解が足りないんだと思うんです。
 そうせざるを得ないこと、また、そういう、ちゃんと許可証という仕組みもあるということ、これを、本当に、切符を切る人も含め、そして倉庫業の人も含め、しっかりとした理解を進めていかなきゃいけないし、少なくとも、だから、労働時間も増えるけれども、切符を切られてその料金まで発生しちゃうと、これはもう二重に負担なわけですよね。これを全部ドライバーに押しつけちゃうのかって、それはあってはならないですよね。
 この点で、再度の努力が必要だと、関係者に対しても周知していく必要があると思いますが、もう一言。
○小林(豊)政府参考人 お答えいたします。
 取締りについてでございますけれども、現場においては、なるべく、悪質かつ危険なものに重点を置いて取締りを行うようにしておるところでございます。
 また、先ほども申しましたが、まずは駐車ができる環境をつくるということにしっかりと力を使っていきたいと思いますし、また、駐車許可の制度そのものについての理解であるとか、どのような条件で駐車許可が行われているかということについての周知はまだまだしっかりしていく必要があると思いますので、警察庁からも都道府県警察に対して、その旨、これまでも指導しておるんですけれども、更にしっかり指導してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 はい、お願いします。これは国交省側もしっかりとお願いしたいと思います。
 それで、契約にない荷役をさせられるということは、参考人質疑でトラック協会の馬渡副会長が、これは実は日常茶飯事であり、やめさせてほしいという告発がありました。スーパーの売場に並べるところまで求められている、だけれども、スーパーなので監視カメラで持ち出ししていないかとチェックまでされると。本当にひどいなと思いました。
 先ほどの紹介した全商連のアンケート調査でも、荷役があると答えたのは八三・八%に上ります。その分を運賃に転嫁できているかという問いに対して、ほぼできていないと全くできていないを合わせると七割を超えているわけです。
 本来、これはドライバーにさせるべきではないと思いますが、いかがですか。
○斉藤(鉄)国務大臣 最初にちょっと私の修正をさせていただきたいと思います。
 最初の御質問に、公布後一年以内に施行と答えるべきところ、一年以内に公布というふうに言ってしまいました。これは修正をさせていただきます。
 今の質問でございますけれども、荷役作業をするかしないかということにつきまして、これは、荷主とトラック事業者間の契約に基づいて行われるべきものであると思います。もしするのであれば、契約にきちんと書いて、その分、対価を払う。しないのであれば、しない。そういうことを明確にすることが必要だ、このように思います。
○高橋(千)委員 そのとおりだと思うんですよね。はっきりさせる。ただ働きをしたり、労働時間に割り込むようなことがあってはならないと思うんですね。
 昨年六月に、公正取引委員会が、令和四年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況についてを発表しました。三万名の荷主と四万名の物流事業者に書面を送り、一万八千四百五十九名、そして物流事業者一万七千九百二名からそれぞれ回答を得たと。その後、百一の荷主に立入りを、調査を行っています。一番多いのが買いたたき、二六・八%。次が支払い遅延、二三・一%。代金の減額、二二・一%。一つ一つ驚くわけですよね。
 ある荷主は、物流事業者から引上げの要請がなかったことから、労務費、原材料費、エネルギーコストなどの上昇分の反映の必要性について明示的に協議することなく据え置いていたと。これは令和元年からそうだということです。
 中には、また別のところですが、物流事業者との運賃値上げ交渉に応じず、三十年ほど前に定めた運賃表に基づく内容で毎年契約更新をして据え置いていたと。三十年も据え置いていたという、本当に驚きました。三十年間賃金が上がっていないというのも、全体、失われた三十年がまさにそうなわけですが。
 それで、やはりトラックGメンも今頑張っているわけですが、今年になって二件だけじゃないかという話もあるんですが、やはりこういう連携をしているのは分かるんです。経産省や農水省などとも連携してパッケージも作り、法案にも、それぞれの大臣が判断の基準を定め、勧告、公表、立入りなど厳しい措置を書きました。その実効性を図らなきゃいけないんです。
 国交大臣は、その上で、五十一条の中で、運転者の運送及び荷役の効率化と、特に必要があると認めるときは所管大臣に意見を述べることができる、こういうふうに書いていると思うんですね。やはり最終的には、国交大臣として、本当にこれが無理が起きていないようにちゃんと見て、意見をして、前に進める特別な役割があるんだ、このように思うんですが、いかがでしょうか。
○鶴田政府参考人 今お話がありましたように、各荷主所管大臣がしっかり取り組む、こういう規定を盛り込むと同時に、物流を所管しています国交大臣には、さらに、それらの荷主所管大臣に対して意見を述べることができるという規定を盛り込んでございます。
 これは、今お話もありましたように、しっかりと、物流所管の立場から荷主に対して、荷主サイドでこういうふうにしてほしいということに気づくことのできる立場でもありますし、その際には、しっかりと意見を述べて連携を強めて取り組んでいくということだと考えております。
○高橋(千)委員 お願いします。連携するだけではなくてしっかりと意見も述べていただきたい、こう思います。
 それで、厚労省にも伺います。
 改善基準告示の中で、連続運転時間は四時間以内、運転の中断を一回十分以上、合計三十分以上としています。この運転の中断は原則休憩とすべしとなったわけですが、実態は、今まで話してきているように、荷役の時間も含まれている。でも、これじゃ全然休憩にならないわけで、むしろ大変だと。
 これは、原則休憩ということをちゃんと休憩にするということを徹底することと、荷役をした場合はちゃんと労働時間としなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
○梶原政府参考人 お答えをいたします。
 委員から御指摘がありましたとおり、四月一日から運用しております新しい改善基準告示においては、原則として休憩を与えることというふうに明示をしております。労働基準監督署の監督指導等においては、事業主からの提出資料や説明により運転の中断時における休憩の取得状況を確認をしまして、中断時に荷役作業等を行っている場合は原則として休憩を与えるよう指導することとしております。
 また、荷役の関係の御指摘がございました。仮に、あらかじめ運送契約に入っていない場合であっても、現場で荷主の指示に従って運転者が行う荷役の作業は、通常、使用者の明示又は黙示の指示により行われるものと考えられます。その時間は労働基準法上の労働時間に該当いたします。これを労働時間として取り扱っていない事実が確認された場合には、労働時間として取り扱うよう是正勧告等を行ってまいります。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。はっきりした答弁だったと思います。原則休憩というのがきちんとできるように指導するということと、契約に明示されていなくても、これは指示があってやったということでは労働時間となるということで、是正勧告もあるということでありました。しっかりと貫いていただきたい、このように思います。
 もう一つ、今度は経産省に伺いたいと思うんですが、コンビニチェーンに限って質問いたします。
 同じ企業のコンビニが市内に集中していて、これをトラックが回って朝昼晩とお弁当などを届けているというのが大体のシステムなのかなと思います。受け取る側の店舗は第二種荷主になるのかと思うんですが、問題は、ここに指示を入れているフランチャイズチェーンの本部が、今回、連鎖化事業者として荷主と同様の規定が設けられていると思います。
 それで、商品の入替えを一日三度から二度に減らすなど、各チェーン店でも自主的取組が始まっているようですが、自主的行動計画をもちろん尊重しつつも、やはり国として、これを思い切って改善するという考え方を示していただきたいと思うんです。
 それで、さっき駐禁の話をしました。聞いていただいたと思うんですけれども、コンビニには、トラックドライバーが休めるような広い駐車場を持っているコンビニもある一方で、駅ビルの中にもたくさんコンビニはあるわけですよね。そうした場合の待機場所、どのようになっているのか。ドライバー任せにしないで着荷主が確保すべきと思いますが、いかがでしょうか。
○山影政府参考人 お答えいたします。
 荷待ち、荷役時間の削減、これは、物流効率化に向けまして、運送事業者のみならず、荷主等の関係事業者、この場合、先ほど委員からも御指摘ありましたとおり、フランチャイズの本部のことでございますけれども、その方々の取組も極めて重要と考えてございます。
 本法案では、コンビニエンスストアを始めとするフランチャイズ業態につきまして、貨物の受渡しにつきまして指示を行うフランチャイズ本部を連鎖化事業者と捉えまして、必要な義務を課していきたいと考えてございます。これに基づきまして、本法案成立後はきちっと指導助言等をしていきたいと考えてございます。
 その上で、先立ちまして、昨年になりますけれども、昨年六月に、非効率的な商慣行の是正に関するガイドラインを経済産業省としてお示ししました。これに基づきまして、コンビニ業界を含めまして、業界あるいは分野別の自主行動計画の策定を呼びかけたところでございます。
 これに基づき、大手コンビニ各社が加わります日本フランチャイズチェーン協会、昨年末、十二月になりますけれども、自主行動計画をお作りいただきまして、この中で、委員御指摘のような配送回数の削減といったものについても含めまして、効率化の取組が盛り込まれてございます。
 なお、この行動計画を作る際には、経済産業省も一緒になりまして、どういうふうにしていったらいいんだろうかという形で一緒に作らせていただいてございます。
 こういう計画に基づきまして、既に、委員から御指摘がありましたとおり、配送回数を減らすといったような具体的な取組が始まってございます。私どもとしても、こういう取組を各者だけにとどまらず業界内でも広げていただく、あるいは、もっといい方法はないかといった形で意見交換を進めていきたいと思っていますので、こういった中で必要な助言あるいは指導というのをやっていきたいと考えてございます。
 それから、もう一つの御質問でございますけれども、店舗に商品を配送する際のトラックの待機場所でございます。これも、各業者にお聞きしますと、今御指摘がありました駅ビルといったところ、確かに各施設ごとに荷降ろしする場所が決まっていたりします。これは、どちらかというと、施設の管理会社の方が、ここでこの時間でやってくださいと言っているようなケースがあるようでございまして、大体それに従っているケースが多いというふうに伺ってございます。
 他方で、全てのケースがそこまで丁寧にされているわけではございませんので、それぞれ業態によって、あるいは場所によっていろいろな事情がございます。それを一概には決められないんですけれども、それぞれの実態に合わせて対応していきたいと考えてございます。
 その際、やはり駐車場の確保、これが前提でございますが、それが確保できない場合、先ほど警察庁からも御指摘ありましたが、路上に駐車する場合であっても、駐車規制に従って適切な場所にトラックを置いていただく、こういうことをすべきだと考えてございますので、いずれにしましても、荷主側、フランチャイズ店、本部、それから運送事業者、この四者が全てでよく話し合っていただくことが大事だと考えてございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
 改善が始まっていると思いますし、今最後におっしゃった駐車の問題は、よく連携をして、ドライバーの負担にならないようにお願いしたい、このように思います。
 それで、資料の一枚目に戻りますけれども、実運送体制管理簿、これが、下の方がイメージ、あくまでもイメージであって、よくよく見ますと、様式が特に決まっていないし、電磁的記録でもいいよというふうに書いています。それと、流れが上の方にあるわけですけれども、ここに書き込むことが何で、これにより得られる情報と期待される効果は何かを伺います。
○鶴田政府参考人 実運送体制管理簿には、この図にありますように、荷主ごとに整理をして、書き込む情報としては、実運送事業者の名称、それから、その事業者が何次請なのかの下請次数、さらに、貨物の内容及び運送区間などを記載することとしております。
 もう一つ関連しまして、今般、標準的運賃を見直しました。その中で、新たに下請手数料を設定したところでございます。
 この二つ、すなわち、管理簿と手数料、この二つを組み合わせますと、元請事業者においては、その実運送事業者が収受すべき運賃の総額に下請手数料の総額を上乗せして、その金額を荷主に求めるということが可能になります。一方で、荷主の側からしますと、運送コストを適正化すべく、過度な下請構造の回避を元請事業者に求める、これが可能になります。
 これまで、こういったことをやろうとしても、いわば手段がなかったわけですけれども、今般、この手段を整えた上で、今申し上げましたような取引の中で運賃交渉を続けていただくことによって、多重下請構造の是正が図られるというふうに考えております。
○高橋(千)委員 間に何次請まで、自分のところが何次請なのかなというのは、上から来ますと、今二次だわというのは分かるわけですけれども、最終的にどこまでいったかというのは、最後に運送する実運送の方しか分からないわけですよね。
 これが全体として、あっ、いや、実は六次までいっちゃったわとか、例えば分かったときに、今おっしゃったように、じゃ、荷主がそれを把握して多重下請にならないように要請ができるとおっしゃったけれども、そのことのインセンティブがあるんでしょうか。
 つまり、今までも、元請も含めてですよ、頼んだら、その先、最終的に誰が運んでくれたのかも分かっていない、そういう実態があるということが議論されてきたんだけれども、これを正していかなきゃいけないんだということが、元請にも荷主にもちゃんと伝わるのか、それが分かったことだけでは伝わらないんじゃないかと思うんですよね。だって、払うものを払っちゃったと、それで済むわけですから。
 そうじゃなくて、最終的にはきちんと実運送のところに標準的な運賃が届いていて、そうなっているかどうかに対して、まず、荷主も元請も責任があるという理解でよろしいのかということを。
○鶴田政府参考人 まさにその実運送をしている人のところに標準的な運賃が届くということが大事で、それをしっかりやっていかないと、これから運び切れなくなってしまうかもしれない、そういう危機感をみんなで共有をして、今回、この道具を作るわけですけれども、これをどういうふうに使っていくかということ、実効性が重要ということは、御指摘のとおりだと思います。
 したがいまして、荷主サイド、それから元請事業者サイド、両方に対して、これを使ってこういう形で、実運送事業者にちゃんとしかるべき運賃が届くように、これをみんなで取り組んでいくんだということを、関係省庁とも連携して進めてまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 ちょっと最後は精神論になってしまうような気がして、やはり、ここまで見える化をしたんだったら、それが強制力になるくらいの仕組みをつくらなきゃいけないと思うんですね。
 これは、真ん中ら辺、ちっちゃく書いているんですけれども、オレンジの囲みのところ、「いわゆる「水屋」や「マッチングサイト」等を使って下請に出す行為を行う場合も、当該事業者は、適正化に係る努力義務を負う」、大事ですよね。これはこの中にちゃんと見えるようになりますか。
○鶴田政府参考人 マッチングをする事業者自体はこの管理簿の中には登場しないわけですけれども、ただ、これが、マッチングということは、つまり取次ぎですので、必ず発注者と受注者がいる、この構図を明らかにするということでございます。
 その上で、それを単なる精神論で終わらせないために、トラックGメンとそれから関係省庁との連携をしてこれを進めていく、しっかりと是正していくということとセットで進めていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 ずっと最初からこの水屋の問題が議論されてきて、やはり登場しないというのはまずいと思うんですよ。なくしてしまえというと、そこまではできないと、事業者の方もいろいろな今の実態があるというのは、それは了解しました。その上で、でも、やはりきちんと役割を果たしてもらうという意味では、管理簿の中に登場できる仕組みをつくるべきだと思います。
 燃料費が、例えば一リットル十円上がった際に、月の負担増は十八万五千五百七十円になると、さっきの調べの中で出てくるんですね。結局、それが転嫁できているのは二三・六%にすぎないと。だから、実運送事業者がその分丸かぶりするのでなく、最後まで届く仕組みをつくるべきだ。結局その分が水屋に取られているだけだよという声もあるんです。こうしたことを見える化してこそ、本当の意味での今回の法改正の意義があると思います。
 今日は時間をふだんより多くもらったのでいっぱい質問を用意したら、逆に質問を余してしまいまして、残念ながら、ここは強く指摘をして、要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。

 

ー修正案ー

○高橋(千)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 五年間猶予されていた自動車運転者への時間外労働の上限規制が、本年四月から始まり、物流の二〇二四年問題への対応として、政府は、流通業務総合効率化法及び貨物自動車運送事業法の一部改正案を提出しました。
 トラック運送事業は、一九九〇年の物流二法の施行による需給調整規制の廃止、二〇〇三年の貨物自動車運送事業法の改定による営業区域規制の廃止等、大幅な規制緩和により新規参入が相次ぎ、事業者数は一・五倍に増え、過当競争による運賃の低下、長時間労働という劣悪な状態に置かれてきました。トラック運送事業の危機を招いた原因は、政府の規制緩和路線にあることは明白です。
 政府案は、荷主、物流事業者への荷待ち・荷役時間削減のための取組、元請事業者への実運送体制管理簿作成の義務づけや運送契約締結時の書面による交付等の義務づけなどを盛り込んでおり、一歩前進と言えます。
 しかし、トラック運転者は、全産業平均に比べ、長時間労働、低賃金で、過労死が最も多い職種であり、その改善のための取組としては不十分です。過労死を一日も早くなくすとともに、トラック運転者が、人間らしく安心して働き、残業なしでも生活できる賃金が保障される職業となるよう政治が責任を果たすべきです。
 このようなことから、本修正案を提出するものであります。
 次に、修正案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、国土交通大臣は、事業用自動車の運転者の労働条件を改善するとともに、一般貨物自動車運送事業の健全な運営を確保し、及びその担う貨物流通の機能の維持向上を図るため、荷主及び一般貨物自動車運送事業者が締結する運送契約における運送の役務の内容及びその対価等に関する実態の調査を行い、その結果を公表するとともに、必要な施策を策定し、及び実施するものとします。
 第二に、荷主は、自己の取引上の地位を不当に利用して、一般貨物自動車運送事業の能率的な経営の下における適正な原価及び適正な利潤を基準として定められる運賃の金額を不当に下回る金額を運賃の額とする運送契約を締結してはならないこととします。また、一般貨物自動車運送事業者と運送契約を締結した荷主がこれに違反した場合において、特に必要があると認めるときは、国土交通大臣は、その荷主に対して必要な勧告をすることができることとし、その勧告に従わないときは、その旨を公表することができること等とします。
 第三に、一般貨物自動車運送事業者には、営業区域の制限がなく、その事業用自動車の運転者に過重な負担がかかるおそれがあること、競争の激化に伴い輸送の安全性の確保等の重要性が高まっていること等を踏まえ、政府は、この法律の公布後三年を目途として、一般貨物自動車運送事業の許可について営業区域の制限を再度導入すること、一般貨物自動車運送事業の許可について更新制度を設けること等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとします。
 以上が、本修正案の趣旨であります。
 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

 

2024.4.10 国土交通委員会 提出資料

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