政策と提案

航空自衛隊車力分屯基地へのXバンド・レーダー配備に関する質問主意書

提出者 高橋千鶴子

 

二〇〇五年十月二十九日、日米両政府は日米安全保障協議委員会(「2プラス2」)を開催し、「日米同盟:未来のための変革と再編」(以下「合意文書」)に合意した。合意文書では、「新たな米軍のXバンド・レーダー・システムの日本における最適な展開地が検討される」ことが明記され、青森県つがる市にある航空自衛隊車力分屯基地への配備が検討されている。十二月には、すでに米軍による現地調査も実施されたと聞いている。

政府は地元関係自治体や住民に対する説明を行なっているが、そもそもXバンド・レーダーとは何か、生活環境への影響はないのか、なぜ車力分屯基地が候補地にあげられたのかなど、基本的な問題について十分な説明がないことに対し、とまどいや不安の声が上がっている。こうした中、二〇〇六年二月六日、三月の最終報告を前にして、米国防総省ミサイル防衛庁高官が、今後六ヶ月以内の配備の意向を示したと伝えられたことも、住民の不安をいっそう広げている。

従って、次の事項について質問する。

一 Xバンド・レーダーについて

1 Xバンド・レーダーとは何か。その役割・機能・特性などについて明らかにされたい。

2 政府が弾道ミサイル防衛の一環として導入を予定している新型の警戒管制レーダー(FPS-XX)と、どのような違いがあるのか。

3 Xバンド・レーダーは、どういう目的・経過で開発されたものか。米国防総省ミサイル防衛庁が発行するブックレット(「A Historic Beginning」)は「多目的の前方展開移動型Xバンド・レーダーは、大陸間弾道ミサイルと中距離ミサイルの脅威から米国を防衛するという国家目標にかなうように開発され、配備される」と明記しているが、政府はこの点を承知しているのか。

二 車力分屯基地への配備について

1 日本へのXバンド・レーダーの配備について、米側からいつ、どのような要請があったのか。

2 日本以外に、米国が米国内外においてXバンド・レーダーを配備又は配備を予定している事例はあるのか。

3 政府は航空自衛隊車力分屯基地への配備を検討しているが、車力基地が「最適な展開地」である具体的な理由は何か。また、その検討経過についても明らかにされたい。

4 既存の在日米軍基地内ではなく、自衛隊基地内に配備する理由は何か。

5 米国の有力軍事研究機関「グローバル・セキュリティー」のXバンド・レーダーに関する情報資料(「Forward Based X-Band Transportable (FBX-T) Rader / TPS-X / Forward Deployable Rader (FDR)」)によると、受入国はXバンド・レーダーを防護する責任を有すると指摘しているが、政府はこの点を了解しているのか。車力基地への配備が検討されている理由には、航空自衛隊の地対空ミサイル部隊が駐屯している点もあるのか。

6 Xバンド・レーダーには陸上配備型、海上配備型、移動型があると伝えられているが、車力基地には、どのレーダーの配備が予定されているのか。また将来、その変更はありうるのか。

7 Xバンド・レーダーの管理・運用にはどの程度の人員が必要になるのか。また、どの程度の支援要員が必要になるのか。全体として、車力基地にはどの程度の米軍人が駐留し、またその宿舎はどうなるのか。所属部隊・機関はどこか。

8 政府は新型の警戒管制レーダー(FPS-XX)を、大湊をはじめ、下甑島、佐渡、与座岳の四ヶ所に配備する予定と聞いているが、これらに加え、Xバンド・レーダーを配備する理由は何か。また、今後、車力基地以外への配備もありうるのか。

9 合意文書では、「米国は、適切な場合に、日本及びその周辺に補完的な能力を追加的に展開し」とあるが、「補完的な能力」とは何か。PAC3ミサイルやSM3ミサイルなどを配備するということか。「適切な場合」とは、どういう場合をさすのか。

10 十二月には、米軍が車力基地で現地調査を行なったと聞いているが、調査の目的、内容、調査にあたった機関及びその結果(主要調査事項ごとに)について明らかにされたい。

三 生活環境への影響について

1 Xバンド・レーダーから生じる電磁波の影響について、例えば、米国防総省ミサイル防衛庁の情報資料(「FACT SHEET / X-BAND RADER」二〇〇〇年六月公表)は、家庭のテレビやラジオへの影響が生じる可能性について指摘しているが、どのような被害が生じる可能性があるのか。基地内及び周辺地域の人体・動植物への影響、テレビやラジオなどの家庭用電化製品、民間航空機の運航等への影響、大気汚染及び騒音発生の有無等について、具体的に示されたい。また、その影響について、どのような対策をとるのか。

2 Xバンド・レーダーの配備にあたっては、環境アセスメントの実施が義務付けられ、すでに米本土で行なわれた環境アセスメントの結果が米国防総省ミサイル防衛庁のホームページに公開されている。米軍が車力基地で実施した現地調査(電波環境調査、通信関連調査、測量調査、施設関連調査)は、この環境アセスメントの一環なのか。そうでない場合、調査の目的は何か。今後環境アセスメントは実施するのか。調査結果は日本国民に公表されるのか。

四 運用について

1 Xバンド・レーダーは、米軍の専用施設になるのか、日米の共同使用施設になるのか。

2 合意文書では、「このレーダーは、適時の情報共有を通じて、日本に向かうミサイルを迎撃する能力、及び、日本の国民保護や被害対処のための能力を支援する」としているが、「適時」とはどのような場合をさすのか。同文書の「弾道ミサイル防衛(BMD)」の項で「不断の(constant)情報収集及び共有」を強調する一方、「適時の(timely)情報共有」とした理由は何か。

2 レーダーが収集した「情報」は、どのような仕組みで「共有」されるのか。日米両政府間で「共有」されるのか、もしくは米軍・自衛隊間で直接「共有」されることになるのか。「情報」は、米本土の指揮中枢である北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)を経由して日本側に提供されるのか、それとも合意文書で横田飛行場に設置するとしている「共同統合運用調整所」に直接提供されるのか。すべての「情報」が、日本政府又は自衛隊に提供されるのか。

3 「不断の(constant)情報収集及び共有」とあるが、日本が独自のレーダーによって取得した「情報」は、米軍のどの組織・機関に提供されるのか。在日米軍だけでなく、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)にも伝達されるのか。

五 地元への説明について

1 政府の説明に対し地元自治体や住民からはとまどいや不安の声が上がっているが、この間、政府はどことどこへ説明をしたのか。

2 今後どのような地元説明を行なっていくのか。地元の理解が得られなかった場合には、導入すべきではないと考えるがどうか。

右質問する。

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