日本共産党の高橋ちづ子議員は十八日の衆院予算委でBSE(牛海綿状脳症)と鳥インフルエンザウイルス問題をとりあげました。
高橋氏は同日、米下院政府改革委員会で「BSE感染牛がダウナー(歩行困難牛)ではなかった可能性を示す重要な情報が隠ぺいされている疑いがある」と報告されたことをとりあげ、米国の感染牛調査の信頼性を疑わせるものだと指摘。中川坦農水省消費安全局長は「報道は承知している。関心があるので注視したい」と答えました。
高橋氏は「問題のある検査体制だということが明らかになった。現時点で輸入の再開はありえない。全頭検査の実施と危険部位の除去を強く求める」とのべました。
山口県に続いて大分県下でも確認された鳥インフルエンザについて高橋氏は、感染発覚による移動制限などで打撃を受ける農家や観光業者にたいして山口県と同様の財政支援などを講じるよう求めました。亀井善之農水相は「問題が生じるその都度、必要に応じて対策を講じてまいりたい」と答えました。
また高橋氏は、防疫のためにおこなう農家に対するモニタリング調査について「昨年九月に防疫マニュアルを作成しておきながら実施が遅れていたのではないか」と指摘しました。
中川坦農水省消費安全局長は一月十九日付で通知を各都道府県に出したことを明らかにし、調査が遅れていたことを認めました。
(2004年2月19日(木)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
最初に、鳥インフルエンザの問題でお伺いをいたします。
きのう、大分県九重町というところで鳥インフルエンザの感染が確認されました。個人が庭でペットとして飼っていたチャボが十四日から七羽続けて死亡したことから通報があり、病性鑑定が行われたと聞いております。一月十二日に国内で七十九年ぶりに発生が確認された山口県阿東町があすにも終息宣言をするという予定になっていただけに、非常に残念であります。
FAO、国連食糧農業機関アジア太平洋地域事務所は、きのう声明を出し、鳥インフルエンザをめぐる危機的な状況は終息にはほど遠いとして、各国関係機関に対し、新たな感染拡大や再発生に十分注意するよう呼びかけました。日本においても、山口県の感染ルートがまだ解明もされていない中ですので、早急な対策を求めるものです。
党国会議員団は、先月十六日に山口県に入り、これに基づき、二十三日に申し入れを行いました。
防疫マニュアルに基づいて半径三十キロの移動制限が行われたのでありますが、そのとき対象飼養農家は十一市町村三十戸、採卵農家十七戸、約百万羽、ブロイラー十三戸、二十二万羽が対象になり、鶏は一万五千羽が死亡したのと合わせると三万四千羽が殺処分され、卵は回収対象とされた二十一トンのうち回収できた五トンが焼却処分となりました。
当時はまだ、本当に起こった直後でありましたので、どれだけの損害になるかという心配よりも、まず回収をきちんとやりたい、感染を食いとめたいということで、役場やたまごセンターの皆さんが大変な努力をされておりました。しかし、鶏の処分については家畜伝染病予防法に基づく費用補てんがあるものの、三十キロ圏内の移動制限に伴う卵の出荷自粛に対し財政措置がないということで、申し入れでもこれを求めてまいりました。今回、国と県が半額ずつ、ブロイラーについては山口県が単独という形で実現しました。
そこで、今回の大分県でありますが、九重町を中心とする三十キロ圏内には熊本県も入ります。すぐ近くには湯布院などの温泉、観光地も入ります。地鳥を飼い、地産地消ということで大変喜ばれている、そういう温泉地に出荷をしている農家の皆さん、あるいは観光産業そのものにもダメージを与えることが予想されます。今回の措置は山口県に限ったものでありましたので、同様の措置をまずお約束いただきたいと思いますが、いかがかということです。
あわせて、風評被害も含め、地域産業に与える影響についても財政支援をするべきと考えますが、大臣のお答えをお願いいたします。
○亀井国務大臣 今委員からもお話しのとおり、私どもも、実は、きょう十八日に移動制限区域内で発生が見られなければ、十九日の午前零時に山口県の移動制限を解除する、この予定でおります。そういうやさきに大分県で発生をいたしましたことは、本当に残念でならないわけであります。今日まで、山口県の関係の皆さん方が大変御努力をいただきまして、その対応に万全を期していただきましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。
なお、このたびの大分県の制限区域内の農家に対する支援措置につきましても、損失の内容等、あるいは規模、発生した家畜伝染病の種類、畜種、地域により異なることもありまして、問題が生じます都度、必要に応じてその対策を講じてまいりたい、このように考えております。
○高橋委員 必要に応じてということでしたので、やはり防疫体制を確立するためにも協力をいただく、そのためにも必要な措置でありますので、よろしくお願いしたいと思います。
また、自治体独自で取り組む支援策などもさまざまあるかと思いますが、例えばそうしたものに対して交付税措置などという援助もあると思いますので、関係大臣との協議も含めて、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
次に、感染ルートの解明が急がれると思いますが、まず、山口県の場合がどうなっているのか伺います。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
山口県の例でございますけれども、現地におきまして分離をされましたウイルスにつきまして、その遺伝子の解析を行いますとともに、関連農場などでの疫学調査も今続けているところでございまして、こういうことによりまして、感染経路の究明に今鋭意努力をいたしております。
分離をされましたこの山口の鳥インフルエンザのウイルスでありますが、動物衛生研究所におきます遺伝子解析の結果、これが鳥類由来のものであるということはわかっておりますし、それから、香港やベトナムで鳥から人に感染した、そういったウイルス株とは違うということもわかってきております。
それから、現地におきます疫学調査でありますけれども、人あるいは車両といった動きに着目をいたしまして、発生農場を含めた疫学調査、山口県の方で現在進められているところでございます。
こういった調査結果、それから先ほど申し上げました遺伝子解析の結果などをもとにしまして、専門家の方々の御意見もお聞きしながら解明をするということになりますけれども、あわせまして、最近、高病原性鳥インフルエンザ対策に関する緊急調査研究というものも始まっております。これによりまして、野鳥の調査も行うことになっております。
こういったものを全部あわせまして、感染原因、あるいは感染経路の究明に努めたいというふうに思っております。
○高橋委員 先日お話を聞いたときは、山口県が主体となって調査をしているという説明でありましたので、国の責任で、今回の大分県も含めて、きちんと感染経路、感染源を追求するんだということで確認をしたいと思いますが、次の質問の中でお答えをお願いします。直接関連がないにしても、共通点があるということも予想されますので、非常に大事なのかなと思っております。
今回、民間の方がまずこういうことになったわけですけれども、最初の三羽ですぐに届け出をされたというのは非常に迅速だった。これは、山口県の場合は、十二月の二十八日から最初は少しずつふえていって、最初は、インフルエンザかなということよりも、マニュアルどおりにニューカッスルを疑ったということで、年を越すまでちょっと対処がおくれたということがあったわけですね。そういう教訓が生かされたんだというふうに私は思うんです。
ただ、山口県に行ったときに、そこは法人が経営している農場だということで、では、個人の農家や、あるいは庭先で飼っている農家、まさか今回こうなるとは思わなかったんですから、どのくらいありますかということを質問したら、一切把握をしていなかった、調査の対象にもなっていなかったということなんです。その後、大変な苦労をされて、全戸調査というところまでやられております。
ですから、大分県の場合は、熊本も入りますが、影響を受けるこれらの対象数、どの程度把握をされておりますか、お願いします。
○中川政府参考人 今回、高病原性鳥インフルエンザということが確定いたしましたので、半径三十キロの圏内を移動制限しているわけでございます。この半径三十キロメートルの範囲に該当いたします養鶏農家の方々ということでございますが、大分県におきましては、採卵鶏とブロイラー、合わせまして四十九戸の方がいらっしゃいます。また、この半径三十キロの中には一部、熊本県もかかってまいります。こちらの方では十六戸の養鶏農家の方がいらっしゃるというふうに承知をいたしております。
○高橋委員 政府は、昨年の九月に、高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルなるものを作成しました。今回の三十キロ移動制限や埋設処分なども、これに基づく措置と承知をしております。
そこで、このマニュアルの、最初が「目的」、次がどんな病気かということ、三つ目に「モニタリング」というのが出てきます。「本病の発生を迅速に発見する監視体制を構築し、本病の防疫措置を適切に実施するため」にやるということを書いてあるわけです。その内容が、各都道府県一農場、十羽、毎月または二月に一回検査をし、毎月二十日までに報告するとなっておりますが、この実施状況はどのようになっていますか。
○中川政府参考人 全都道府県から報告をいただいております。したがいまして、マニュアルに従ったモニタリングが行われているというふうに理解しております。
○高橋委員 予想どおりのお答えでした。
といいますのは、一月十六日に私たち山口県に伺ったときはまだ二十二から二十三県、一月二十八日の参議院の農水委員会で紙智子議員の質問に対しては四十一とお答えになって、今、全都道府県ということが言われました。ということは、後々になって確認したわけですね。
つまりは、これは、私、山口県で直接聞いてきたことなんですが、九月にモニタリングの指示を出しておきながら、実際には点検をしていなかったと。問題が起きて、年を越してから実際にはやっと全都道府県がそろったということですね。ここを確認します。
○中川政府参考人 モニタリング調査を行うためには、養鶏農家の方々の御理解、御協力が不可欠でございます。そういう意味で、各都道府県で農家の方々に御説明をして、理解をいただいた上で御協力いただく、その手続に若干時間がかかった、そういう意味で、県によっては少しおくれたところがあるのは事実でございます。
○高橋委員 御理解いただくために半年もかかったと。徹底させるための指導が弱かったと思いますが、いかがですか。
○中川政府参考人 山口県での鳥インフルエンザの発生を受けまして、改めて一月の十九日付で、私、消費・安全局長名の通知を各都道府県に出しまして、モニタリングもきちっとやるようにということでお願いをしたところでございます。
○高橋委員 一月十九日付でとおっしゃいましたので、やはり遅かったというか弱かったということを認めたことになりますね。
このマニュアルは、BSEの発生のときには一切こうしたものがなかった、そこで、非常に、最初に発生したときに大慌てをした、その教訓から出されたものでありますので、やはり、せっかくそうやって生み出されたものをきちんと指導していなかったということを、まずひとつ反省してほしい。
次に、やはりこれも私たちが申し入れした内容なんですけれども、もっとこれを有効なものにする。一県に一農場ですからね。今回のケースから見てもいろいろなケースがあるんだと。法人もあるし個人もあると。そういうことを考えると、もう少し細分化するなど、これを実効あるものに改善強化することが必要と考えますけれども、見解を伺います。
○中川政府参考人 山口県の事例につきまして、きょう新たな発生がなければ、そちらについては一応処理が終わり、清浄化の確認ができるわけでございます。
この最初の山口県の事例を踏まえまして、今先生おっしゃいました防疫マニュアルについて何か改善する点がないかどうかということにつきましては、きちっとそこはチェックをし、改めるべきところは改めたいというふうに思っております。
○高橋委員 ぜひ具体的に実効あるものにするようにやっていただきたいことを要望いたします。
次に、防疫体制の問題ですけれども、現在、日本が輸入停止措置を講じている国などは十三カ国あります。一番早いのが香港で、平成十三年の五月から、ことしに入ってからだけでも、ベトナム、タイ、インドネシア、カンボジア、ラオス、パキスタン、中国など七カ国もあります。昨年、輸入停止解除した国は、チリなど五カ国です。
こうした国との人的な交流は大変著しいものがあると思いますが、空港や港湾などで人に対する検疫対策は何かされておりますか。
○金田副大臣 感染国で、特に鳥、養鶏場等に立ち入った後海外から日本に帰ってこられるお客さんには、空港であるいは港で消毒に協力していただいており、足の裏と申しますか靴底の消毒等々をお願いしております。
○高橋委員 もう少し具体的におっしゃってくださいね。
ペーパーで見ましたら農場立ち入り者と書いておりますけれども、こうなると、あくまでも本当にそこに接近した人だけに限られると思うんですね。そうなると、今回のベトナムの死亡者なんかも、鳥小屋に行ったという人ではない人も亡くなっているわけですし、ああいう地域は、市場があって非常にオープンに接触できる場所もあるんだとなると、自分が農場に近づいたとか接触したという自覚がない人でも、そういういろいろな経路で感染する可能性がないとは言えない、ルートがわからない以上はないとは言えないわけです。
そうすると、やはり本人が申告するだけでは不十分なわけですね。口蹄疫のときはきちんと、そうした国から帰ってきた人、入る人には靴底の消毒などがやられていたと思いますが、検疫対策をこうした点で強化するべきと思いますが、もう一度伺います。
○中川政府参考人 海外に渡航された方々に対しては、鳥インフルエンザ発生国にいらっしゃった方々については、帰ってきたときにきちっとそういった注意をするようにということと、それから、入国に当たりまして、動物検疫所の方で靴の裏を薬液につける、そういったことはきちっとやるように情報提供をいたしてございます。
○高橋委員 注意をするようにと。私が今言ったのは、口蹄疫のときと同等の対策をやってくれということですが、やっているということですか、それともやってくださるということですか。もう一度確認。
○中川政府参考人 その点はきちっと旅行者の方々に注意喚起をしているところでございます。
○高橋委員 非常に不十分な答弁だと思いますね。これは、今感染ルートがわからないから注意喚起という話になっていますが、今後、万が一日本に持ち込まれた場合、どこで責任をとるかという問題になりますので、そのことを真剣に受けとめて、先ほどお話ししたような対策を徹底していただきたいということを指摘しておきたいと思います。
次に、今大変恐れられているのは、今現在は人から人へは感染することはないことになっていますけれども、これがいろいろ変異をして新型インフルエンザウイルスが発生すること、また、これによって流行するということが非常に恐れられているところであります。指摘をされているところと思います。
平成九年の十月には、新型インフルエンザ対策検討会というところがこのように報告書も出しております。いわゆる災害でいうところの防災対策のように、万が一のことがあったらどのような態勢をとるのかということがかなり詳しく書かれておりますけれども、その後の情勢の変化はかなりあったということで、昨年の十月にもう一度この検討会を開催していますね。山口県の発生の前であります。
そのときに、たくさんの資料があったと思いますが、国立感染症研究所ウイルス第三部長の田代眞人さんの新型インフルエンザ大流行の問題点ということが紹介をされております。
先日、田代部長に直接会ってこの趣旨を伺ってまいりました。この当時、まだ発生する前であるけれども、これまでも、九七年、香港のH5N1型、強毒のウイルス、患者十八名、死者六名、九八年、広東省、香港、H9N2型、患者二十名など、こうした過去の例を引いて、このウイルスが変異をして、大きな、人から人への感染になるおそれがある、万が一それが世界的規模での大流行、パンデミックということがあり得るというお話をされて、未曾有の健康被害、ここだけ強調する必要はないですけれども、人類の存亡にもかかわってくるような問題だという指摘をしているわけです。
ただ、これは別に田代部長だけが指摘をしているわけではなくて、二〇〇二年にはWHO自身が新型インフルエンザ総合計画ということを決定して、パンデミックに備えろ、各国が計画をしろということを言っていますので、日本でもそれなりの計画を今やっているんだろうと、それを前提に私は伺いますけれども、決め手となるのがワクチンと抗インフルエンザ剤です。
ワクチンについては、今ワクチン株を取得して研究開発をされていると聞いています。
問題の抗インフルエンザ剤、現在いわゆるインフルエンザの薬として使われているタミフルが有効だと聞いています。タミフルはスイスのロシュという会社のみが製造して、日本では中外製薬一社のみが扱っていると聞いています。ですから、絶対量が足りないわけですね。きのうまでの情報で、厚生労働省の要請を受けて中外製薬が国内生産を検討しているということでありますが、どの程度のものなのか、伺いたいと思います。
○坂口国務大臣 今お話をいただきましたのは新型インフルエンザに対する対策でございますが、これは、昨年はSARSで大変な騒ぎになりました、そうしたことも踏まえまして、この新型インフルエンザ対策をもう一度見直そうということで、昨年来検討会をしていただいているというふうに思っております。
鳥インフルエンザにつきましては、一番大事なことは、鳥から人間へうつらないようにするために、まず鳥の処理をしていただくということをしているわけでございますが、中には人にうつっているケースもあるわけでございますから、そうしましたときに、人にうつりましたときに、今までありましたインフルエンザと共生することになりまして、そしてそこに新しいインフルエンザが発生するということが一番恐れられているわけでございます。
今いろいろお話をいただきましたように、それを起こさないためにどうするかということでございまして、これは動物の体の中でも人間の中でも起こり得るというふうに言われておりますので、我々はそのことに対する厳重な調査、それからそういうことが起こっていないかどうかということに対するアンテナをひとつ高くしておかなければいけないというふうに思っている次第でございます。
そうした上で、今御指摘いただきましたように、ワクチンの問題でありますとか薬の問題をどうするかということでございます。
ワクチンの方の問題は、これは新しいウイルスが発生していない段階でございますので、完全なものを、今そこをつくり上げるというわけにまいりませんので、前段階のところまで用意をして、そして万が一のときにはそれに対応できるところまでしておくということが大事でございますので、その準備をWHOを中心にしながら今進めていただいているところでございます。
もう一つの方のタミフルの問題でございますが、これはもう今お話にございましたとおり、スイスの方で使用したもので、日本の中には一千四百万人分ぐらい輸入をいたしております。それに対しまして、もしも足らないことがあってはいけないというので、もう少しプラスアルファできないかということを要請をし、そしてまた日本の中でも行えるようにしたいということで、関係の製薬会社にお願いをしている、こういうことでございます。
○高橋委員 結論のところが結局明確じゃないわけですね。
一千四百万人分では全然足らないと思うわけですね、この対策としては。それで、世界の、一つしかないこのインフルエンザ剤の五割を日本が使っているという状況なわけです。そうすると、WHOは、途上国にちゃんと配慮しなさいということを今言っているわけですね。で、途上国から蔓延したときに、もう回っていかないと。そういうことを含めて、日本が社会的役割も問われてくるわけですね。
だけれども、メーカーだって、国がそこを保証するよと言わなければ、ふだんつくっている以上のものをつくるというわけにはいかないわけですから、一定、国家として責任を持って備蓄するよと言ってくれなければ先には行かないわけで、今の答弁だと行かないわけですよ。その覚悟を、ちょっと坂口大臣、もう一度お願いします。
○坂口国務大臣 一部備蓄をしてでも何とかならないかということを今言っているわけでありまして、しかし、今お話しのように、一カ所しかつくっていないわけでございますし、各国ともにこれは強力な要請をしているということもございまして、急にお返事はいただけない状況にございますが、お願いをしているところでございます。
○高橋委員 なかなか予算が絡むことであれかもしれませんが、再度これは強く要望したいと思います。
あわせて、やはり本来なら、金がかからない問題として、日常的な予防衛生活動がきちんとされていて、いろいろな伝染病が出たときにも対応ができるということが本当は一番の基本だと思うんですね。山口県においても、今回、周辺農家に対する訪問指導や健康診断などで、本当に健康福祉センターや保健師さんが共同で奮闘をされました。
日常的な保健衛生指導に当たる保健所、保健師などの役割は大きいと思いますが、この間は、国は保健所の統廃合を進め、この九年間で八百四十七から五百七十六にまで保健所が減らされております。あるいは、結核・感染症などの専門医療を担う国立病院の統廃合も進め、今年度までに、昭和六十一年の再編計画による統合が三十一、移譲または廃止による減が三十三、平成十一年の見直し計画と合わせて、統合、移譲または廃止、合計で七十三施設が減らされ、来年度以降は十六、十七、十八というふうに年を追って統合を進めていく計画です。
こうした中で、新たな伝染病に備える、あるいは国民の健康を守るということは、そもそもできないんじゃないのか。その点、一体どのように考えているのか、もう一度大臣に伺います。
○坂口国務大臣 医療機関というのは、公的な医療機関だけではありません。私立の医療機関も多いわけでございまして、これはもう公私ともに連携をしながらやっていかなければならない問題でございますので、連携をして進めさせていただくようにいたしております。
また、保健師さん等で御活躍をいただいておりますことは十分に存じておりますが、これは市町村の保健師さん等にもお願いをして、全体で進めていかなければならないというふうに思っておりますし、その関係者、すなわち鶏を飼っておみえになったところ、そして、その危険性のあるところにつきましては、前もって予防的にお薬をお飲みいただきましたり、手洗い等のことにつきましても事細かく御説明を申し上げているところでございます。
○高橋委員 この問題は大きなテーマですので、ここでは論戦はしないで指摘だけをしておきたいと思いますが、保健所の保健師さんの問題も、今市町村との役割分担のお話もされましたけれども、今市町村合併だとか統合の問題などがある中で、役割分担、県がやっている保健所は専門的な任務をやるんだということがうたわれているわけですよ。国立病院もそうですよね、専門的な医療を担うんだと。不採算の部分を担わざるを得ないのも国立医療なんです。
そういう中で、地域医療をしっかり守っているところを統合してきた、切り捨ててきた、それで今民間にという話ではないだろう。民間の皆さんは医療の改悪で大変な思いをされているわけですから、そこは国の責任を逃れちゃいけないということは指摘をして、次に行きたいと思います。
残された時間でBSEの問題をやりたいと思うんですが、実は、先ほど山田議員の方からステータス評価の問題が出ましたので、これは私、一月二十七日の農水の委員会で質問しておりますので、ちょっと不問にできない問題があるので確認をさせていただきます。
私は、農水の委員会のときに、このステータス評価について技術検討会に報告されていないという認識を持っていました。そういう説明を受けていたからであります。それで、そのことは「非常に問題があると思うんですね。大臣は承知されていましたでしょうか。」と質問したのに対して、大臣は「承知をいたしておりません。」と答えました。そうしたら、きょう、山田議員に対して、技術検討会に報告したことを承知しておると答えました。どっちですか。
○亀井国務大臣 いや、あの時点で、通告と同時にそのことのお話もなかったわけで、ただ、アメリカに回答を求める、それがいつどういうことか、こういうようなことが中川局長との間で議論されておったと承知をいたします。そういうようなことで、その点については私は承知をしていない、こう申し上げたわけであります。
○高橋委員 承知していなかったのはどの点ですか、もう一度。
○亀井国務大臣 今申し上げましたとおり、アメリカの回答がいつどうというような議論が、あの時点、一月二十七日の委員会でなされておったと思います。私は、そのことを尋ねられた、こういうことで、それは承知していない、日程等々の問題については承知していない、こう申し上げたわけであります。
○高橋委員 実は、この農水委員会のときは、このステータス評価がいつ戻ってきたのか時系列で質問をしますということで、私、通告をしております、わざわざこの点は。日にちをメモしていないと困りますので。それに対して局長は、「データを持ち合わせておりません。」と答弁したわけです。そうすると、まあ、言いたくなかったとしか受け取れませんよ。どういうことですか。では、局長に伺います。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
先生の方からの御質問の資料、一覧表がございましたが、その中に、アメリカに対するステータス評価の質問書に対する回答日がいつであったかというところまで当日委員会でお聞きになるというふうには私ども承知をしておりません。そういうふうなお申し出があったというふうには理解しておりませんでした。したがいまして、そのときには、「データを持ち合わせておりません。」ということでお答えした次第でございます。
○高橋委員 私は通告をしました。でも、今それでやりとりする時間がもったいないので。
ただ、承知をしていないと言ったけれども、その後、次の日また参議院で紙議員が質問してちゃんと答えていますので、きちんと承知をしたわけですね。それで今、山田議員に対して答えた。そうすると、説明はきちんと大臣は受けている。
そうすると、大臣の感想として、アメリカの報告はどのように受けとめられましたでしょうか、リスクが高いと思われたのではないでしょうか、伺います。
○亀井国務大臣 技術検討会の中身、内容等々について私は承知をしているわけではないわけでありまして、先ほどの話のとおり、その時点、十月の時点で回答書がどうだった、こういうことの承知をしておるということでございます。
○高橋委員 ですから、私が質問をして、次の日にまた聞かれて、さらにきょうも通告されて、山田議員からも聞かれて、説明を全く受けていないということはどういうことですか。
○中川政府参考人 先般の農林水産委員会での私の答弁に対しまして、その経緯につきましては大臣に御報告を申し上げましたが、アメリカからの回答書の具体的な中身については、当時、技術検討会の方には資料は出しておりますけれども、大臣にその中身について御報告するものではございませんので、その時点ではいたしておりませんでした。
○高橋委員 その時点でなくて、今、質問を受けるに当たって当然説明を受けているはずだ、その上で、中身が相手方の了解が必要なのであれば、感想でいいから聞きたいと言っているんです。大臣に聞いています。
○亀井国務大臣 この問題、いわゆるBSEのステータス評価、我が国に畜産物を輸出している国のうちBSE未発生国を対象として、発生国からBSEが侵入した可能性、あるいは肉骨粉の給与状況、サーベイランス体制の整備状況、これを総合的に国別にステータスの評価をするわけでありますが、この点、BSE発生国からの生体牛、肉骨粉の輸入量は多くない、あるいはまた早期にフィードバン措置を実施していること、OIEの基準を超えるサーベイランスを実施していること等があるわけでありまして、今日、アメリカの調査団の評価、これもいろいろ不十分なところを持っておるわけでありまして、やはり当時のことが正確に本当に反映されておったのかどうか、こういう疑問を持つ次第であります。
○高橋委員 先ほど来指摘をされているように、そうやって日本がアメリカの調査をあいまいにしてくる中で、脳の四十キロとか入ってきているわけですね。今それが潜在していても、いずれその責任は明らかにされるわけですよ。これはあいまいにできないことじゃないんですか。
脳は、全身の感染性の六四・一%が存在すると言われて、BSE発生牛の脳を経口投与すると、〇・一グラムの脳で発症が見られる。極めてわずかの混入でも感染の成立する可能性があるわけです。そういう一番危険な部分ですよ。それに対してきちんと調査をしない、あるいは、しているんだけれども吟味しない、わかっていたけれども明らかにしない、この責任が問われるんじゃないですか。
それで、時間がないのでもう一つだけ。
二月十五日の農業新聞で明らかになったように、アメリカの発生した牛が実は歩いていたと。ダウナー牛だから検査したと言っているんだけれども、実際は歩いていたということが明らかになっています。アメリカの農業委員会で食肉会社の元従業員が証言しています。この事実、御存じですか。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
二月の十七日でございますけれども、米国下院の政府改革委員会の方で、米国のBSE感染牛は、農務省の説明と異なり、歩行困難ではなかったとの複数の目撃証言があるというふうなこと、それから、それが事実ならば、BSEの監視体制の妥当性と農務省への信頼性に深刻な影響が生じる、そういう疑念を表明いたしまして、即時調査が必要であるというふうに、この政府改革委員会の方でそういった内容の書簡をベネマン農務長官に送付したというふうな、そういう報道があることは承知をいたしております。
当然、我が国としましても関心を持っている事項でありますので、この農務省の動向につきましては注視をしていきたいというふうに思っております。
○高橋委員 そのような非常に問題のあるアメリカの体制が改めて明らかになったわけです。
ですから、とてもじゃないけれども、そういうところに対して再開などということはあり得ない、今の段階ではですよ。きちんとアメリカに対し全頭検査、危険部位の除去を強く求めていくことを要請しまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。