国会質問

質問日:2004年 2月 26日 第159国会 災害対策特別委員会

学校や社会福祉施設など耐震性確保対策の抜本強化を

 日本共産党の高橋千鶴子衆院議員は二十六日の災害特別委員会で、学校や社会福祉施設などの耐震性確保対策を抜本強化することを求めました。

 高橋氏は、全国の公立小中学校の約七割が、現行の耐震基準が制定された一九八一年以前に建てられ、そのうち耐震性が確保されているのはわずか18・2%で、体育館では12・6%にとどまっていることを指摘。「いまの耐震診断補助制度は、診断の結果改修が不要な場合は補助対象とならないことが自治体に二の足を踏ませている。診断そのものに補助すべきだ」とのべました。

 近藤信司・文部科学省初等中等教育局長は「(耐震補強は)引き続き努力するが、耐震診断は補助金でなく地方交付税措置で対応する」とのべました。高橋議員は「耐震診断がなければ改修の必要性も判断できない」として補助の制度化を重ねて要求しました。

 高橋氏は、八一年以前に建てられた社会福祉施設の耐震化率は17・7%でもっと深刻だと指摘。小島比登志・厚労省社会・援護局長が「老朽化した施設の改修等については優先的な国庫補助を講じている」と答弁しました。高橋議員は、社会福祉施設には耐震診断計画すらないことを追及しました。井上喜一防災担当相は「学校や社会福祉施設の耐震化工事は大事。文部科学省とも連携してとりくむ」と答えました。
(2004年2月28日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私も、東北ブロックの選出でありますので、昨年は、五月の三陸南地震、七月の連続した宮城県北部地震に直接出会い、現地も歩きました。十二月に改めて被災地を訪ねましたが、吹き飛んだ屋根などを押さえたブルーシートの数が目立たなくなったことや、新築しているお宅もふえているなど、少しずつ復興が進んでいるということは感じることができました。

 とはいえ、今回の被災地は、災害救助法の適用になった五町を中心に、ほとんどが農村地域であります。死者こそ出なかったものの、冷害とのダブルパンチでありました。ことし一月末現在の応急仮設住宅の入居者は、百四十六戸、四百四十九人。災害公営住宅の建設に取りかかる予定の町もありますが、二年後、仮設住宅の期限が切れたらどうするか。高齢世帯で保証も受けられず、融資を受けられるめどがない、途方に暮れている世帯もあること、改めて、住宅再建への保障が要望されておりました。

 そうした点でも、今国会に住宅安定支援制度が提案されたことは、阪神・淡路の被災者の皆さんを初め、長年の運動が実ったものと受けとめております。

 そこで、今回の法案を出すに当たって、長期避難を強いられている三宅島の皆さんへ配慮をした支援策なども新たに盛り込まれておりますが、仮設暮らしなどが長く続いた場合も、こうした考え方によって、避難を強いられているんだ、そういう形で支援を検討するべきと考えますが、その点についてまず見解を伺います。

○井上国務大臣 三宅島につきましては、松原委員の方から御質問がありましたけれども、その中で、三宅がまだ災害が続いているんだというようなことがございまして、私どもも、三宅島につきましては、まだ災害が続いている、こういう認識でございまして、したがいまして、この災害に関連する施策につきましてはそのような考え方で対応していきたい、こんなふうに考えるわけでございます。

 したがいまして、住宅支援等につきましても、今、国会に提案しております法案が成立をいたしまして、早々にもこの施行ということになりますと、そういった法律の支援の対象にもなってくるというふうに考えているわけでございます。

○高橋委員 済みません。先ほど住宅安定支援制度と言いましたけれども、居住安定支援制度、訂正いたします。

 大臣がおっしゃる災害が続いているという状態、全くよくわかります。先ほどの質問の中にも出てきてあったように、シロアリやネズミが出ている問題だとか、三宅島の皆さんの声も十分私も聞かせていただく機会がありました。ですから、新法ができたら、本来は遡及できない、そうした決まりがあるけれども、しかし三宅島は続いているじゃないか、そういうことで、政府としてこれを踏み込んで、長期に避難した方にも支援ができるという仕組みをつくった、そういうことを本当に大いに歓迎したいと思うんですね。

 そういう努力をされたということを踏まえると、例えば阪神の皆さんも、今九年目になりまして、先日、メモリアル集会に先駆けての全国交流集会というのに私も参加しましたけれども、今、災害復興公営住宅での孤独死が十一月末で二百五十一人にもなっており、仮設住宅での孤独死を上回る数になっております。自殺者が三十二人、災害援護資金の滞納者が二八%、八%の方は自己破産や死亡などでもう全然返す見通しがない状態になっている。そういう中で、家賃が上がって、行く先のめどが立たないのに退去を迫られている、そういう現状も今あるということをるるお聞きいたしました。

 そうした点では、せっかく今回一歩踏み出した、そういう点を考えたときに、さらにもう一歩踏み出すことを次には考えるべきではないかと。被害の大きさ、あるいは、長期に続いているという長さの程度に違いはあるんですけれども、一人一人の被災者にとってみれば、大変な被害、暮らしていけない、住むところがないという点では同じではあります。そういう点での検討をされることを求めますけれども、もう一度お願いいたします。

○尾見政府参考人 三宅島の特例の件でありますが、考え方としては、火山の噴火被害の一つの態様として、自然現象としての火山ガスが続いている、そのために解除ができないというので、災害そのものが続いていると。

 それで、災害によりましては、それからの復旧復興ということで、まだそこが完全にいっていないというケースはいろいろとあると思いますが、この境目はやはり災害というところに置きますので、ですから、決して新しい考え方を取り入れたというよりも、三宅島災害というものを見たときに、やはり、火山ガスによっていろいろ今のような状況が続いている、災害が継続しているというところに重きを置いてそういう特別措置を考えさせていただいた、こういうことでございます。

○高橋委員 ですから、説明の御趣旨は大変よくわかります。でも、今まではそういう概念がなかったものを、やはり災害が続いているんだということで今回踏み込まれたということを踏まえて、新たな仕組みについても今後検討していただきたいという要望ですので、ここはそれにとどめたいと思います。

 次に、阪神・淡路大震災の教訓を経て、平成七年に地震防災対策特別措置法が制定されて、地震防災緊急事業五カ年計画、その後さらに平成十三年から五年間延長をされました。

 先ほど、私の前の石田委員の方から、学校の耐震診断や耐震化率を高める問題について質問をされていたと思いますけれども、そこで、全公立小中学校の約十三万棟のうち、昭和五十六年以前に建築されたのは七割であります。耐震性が確保されている建物が約六万棟、四六・六%の耐震率というお話だったと思うんですね。それで、三カ年の診断計画を十五年度から開始をしているというお答えだった。

 そこから続けていきたいと思うんですが、昨年一月に内閣府防災担当がまとめた全国調査では、昭和五十六年以前の建物のうち、耐震化率は一八・二%にとどまっています。ですから、四六・六%というのは全体の数字ですので、昭和五十六年以前の何とかしなければならない建物でいうと、一八・二%だと。体育館は一二・六%にとどまっています。これは本当に深刻な数字だと思いますが、この原因についてどのようにお考えでしょうか。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。

 なかなかこの問題が進まないと。一つは、市町村のそういった財政状況が厳しい、あるいは統廃合の計画があるとか、あるいは、どうしてもほかの市町村の公共施設と比べますと学校施設のそういう優先順位がこれまでややもすれば低かったとか、そういったいろいろな理由があるんだろうと思っております。

 いずれにいたしましても、私ども、これは大事な事柄でございますから、各市町村に今後ともお願いをしてまいりたい、指導もしてまいりたいと考えております。

○高橋委員 統廃合の計画、確かにそれはそれで、耐震計画の中に、五年以内に統廃合、改築など九千七十一という数字がございますので、それはそれですけれども、それ以外の実態からいって、深刻だということをやはり見なくちゃいけないということですよね。

 それから、市町村の財政が厳しいというのは全くそのとおりであって、しかしそれでいいのかというお話を一つちょっとしたいと思うんですけれども、宮城県北部地震で河南町というところの北村小学校が全壊となり、今回改修することが決まりました。

 それで、ちょっと写真を見ていただきたいんですけれども、私も現地に入りましたけれども、文科省はいち早く立入禁止の指示を出しましたね。七月二十六日の朝だったということで、夏休み中子供たちがいなかったことが幸いをしたわけで、万が一授業中とかであれば大災害になっただろうということは、もうだれもが口々に言っていることであります。案内してくださった教頭先生は、建物を見るだけでももう子供たちの心は傷つくんだということをおっしゃって、本当に気遣っていたのが非常に心に残っております。

 私は、まだ当時、そのとき候補者でしたけれども、この写真を持って地元の議員の皆さんと、河村文部科学大臣、当時は副大臣に訴えに、要望に行ったときに、何でこんなになるまでほっておいたんだろうとおっしゃいました。私は、逆にそれを言い返したいなという気持ちであったわけです。実は、この小学校は耐震診断をやっておりませんで、五月二十六日の三陸南地震を受けて、いよいよこれは耐震診断をするべきだという決断をしたやさきの七月の被災であります。

 この事情をもう少し詳しく伺いましたら、この河南町は、日本共産党の阿部加代子さんという議員がおりまして、耐震診断をしなさいと議会で前から求めておりました。そのときの答弁などを見ますと、この今紹介した北村小学校は、昭和四十七年築で三十一年経過をしているんだけれども、もう一つあると。和渕小学校というのは昭和三十一年築だと。四十七年もたっているわけです。だからそっちが先ですということで、とりあえずそっちの耐震診断をやりましょう、北村はその後ですよと言っていたわけですね。それでこういうことになってしまった。

 だから、こうした学校がまだ放置をされている、かなり猶予がない事態だと思いますが、その点についてお考えを伺いたいと思います。

    〔委員長退席、達増委員長代理着席〕

○近藤政府参考人 お答えをいたします。

 私どもは、先ほど申し上げましたように、各都道府県に、三カ年間での耐震診断計画を行うように、こういう指導も行っているわけでございますが、私どもが公立学校施設整備費で補助金で補助をする、こういった場合には、補助事業実施年度の前々年度までに実施した耐震診断経費につきましては補助対象にしているわけでございます。

 さらに、平成八年度からは、地震防災緊急事業五カ年計画に計上されております耐震補強事業につきましては、計画期間内に行った耐震診断経費についても補助対象としているわけでありますが、先生御指摘のように、確かに、この耐震診断経費がかかる、こういったことからちゅうちょされるという市町村もあるわけでございまして、先般、私ども、文部科学省の中に学校施設の耐震化推進に関する調査研究協力者会議というものを設けまして、そこで、地方公共団体がどの学校施設から耐震診断を実施すべきか、その優先度を簡単に、簡易に判定することを主な目的といたしました耐震化優先度調査というものを新たに開発をしていただいたわけでございまして、この調査費用によりますと、一棟当たり約十万から二十万円程度で行うことができる、こんなものもございます。

 こういったようなものも活用していただきまして、より多くの学校施設で耐震化の推進が図られるように、私どもまたお願いもしてまいりたいと思っております

○高橋委員 優先度調査ということを取り組むというお話がありましたけれども、こうした今紹介したような待ったなしの事例が一刻も早く解決できるということに資するものを期待するわけです。

 そこで、今、一棟十万から二十万というお話がありましたけれども、校舎全体でいうとかなりの額で、実際には二百万から三百万かかるというのが現地の声であります。それで、そのときに経費がかかるというだけではなく、自治体が二の足を踏む理由の一つに、診断をして改修がもし不要となった場合、その診断料は補助の対象にならないわけですよね。国の調査でも、五・七%、診断したけれども不要というのがありました。万が一そうなった場合、いや、全部持ち出しはきついな、その点も非常に二の足を踏んでいる理由になっているということを承知しています。

 そこで、改修が要、不要を問わず、耐震診断そのものに補助をするということが考えられないのか、伺いたいと思います。

    〔達増委員長代理退席、委員長着席〕

○近藤政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のようなこの補助事業にのらないものにかけます予備的な耐震診断に要する経費でございますが、私ども、交付税措置という形で総務省にお願いをしておるわけでございますが、残念ながら今回お認めをいただかなかったわけでございますけれども、御指摘も踏まえ、さらに引き続き交付税措置要望を行ってまいりたいと考えております。

○高橋委員 その交付税措置については、私も総務省に事情を伺いました。特別交付税という意味ですよね。それはやはり、ちょっと恒常的にというものにはなじまないのではないのかなと私は思います。ですから、やはり仕組み自体を変える以外にはないのではないかと。やはり耐震診断は、地元の業者に仕事が回るという点ではむだ遣いにはならない。たとえ改修につながらなくても非常に効果的な事業でもありますし、診断をしてみないと結果がわからないということでもありますので、もう一度、診断そのものに補助する仕組みを検討する考えがないか、伺いたいと思います。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。

 一つは、国の補助制度としてやはり零細な補助金についてはこれはいかがか、こういったような問題もございます。したがいまして、私どもは、一定の規模のそういった補助要請があった場合につきまして耐震診断経費を補助対象にしておるわけでございます。そういった中で対応してまいりたいと思っておりますし、交付税の要望につきましては引き続きまた行ってまいりたい、こういうふうに考えております。

○高橋委員 今の、零細なものはいかがかという話になると、ちょっと総務省の考え方に対しての質問になりますので、ここについては引き続き検討をお願いしたいということで、お話を次にしたいと思うんです。

 もう一つの事例ですけれども、これは青森市の新城中学校というところなんですけれども、こちらの方は昭和四十三年築なんですけれども、新興住宅街が非常に伸びてきておりまして、生徒数が現在六百五十二人、もっともっとふえると言われております。建て増しや増改築で、ごらんのように校舎はプレハブであります。それで、青森は雪も降る大変寒いところですが、石油ストーブをいまだに使っていて、戸もきちんと閉まらない教室にポット式の古いストーブでは、教室が暖まらず、コートを着て授業をしている。これは赤旗新聞の記事ではなくて、学校基本調査という、れっきとした教育委員会の文書の中で紹介をされているところであります。名誉のために言っておきますが、石油ストーブは、とてもそれじゃもたないので、二校だけであります。あとはちゃんとした暖房になっております。地元紙の投書の中に、「窓はテープで補強がしてあり、壁はカビだらけ。現代の中学校とは思えません。」「情けなくて涙が出た。三年前、母校の青森市新城中学校を訪れた私は「これはとても学びやとは言えない。青森市の恥だ」」など、地元紙に投書が相次いでいます。

 鉄骨づくりの校舎の場合、耐用年数の目安となる国の財産処分制限期間が四十年、新城中学校は、校舎の延べ床面積の約四割に相当する建物が二十五年以下の状況になっているというのが市の説明であります。こうした学校は、実は全国にもいろいろあると思うんですね。一部改修を重ねたために年数が新しい部分がある。そういう学校も実態に合わせて大規模改修ができるように補助できないものかどうか、考えを伺いたいと思います。

○近藤政府参考人 私どもも、今、学校施設の状況、耐震化の問題、あるいは老朽化が大変進んできておる、こういうことにつきまして大変深刻な状況にあるということは認識をいたしておるわけでございます。

 先ほども申し上げましたように、なかなか市町村の財政状況は厳しいということから、どうしても、そういった学校施設の、特に老朽化施設等々の時期に応じた改修というものが進んでいかない、こういう状況もあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、各市町村の御要望を十分にお聞きをしながら、また一方では、限られた予算でございますから、優先的な採択を図っていく、こういった方向で今後とも各都道府県からまたよく事情をお伺いしていきたい、こういうふうに考えております。

○高橋委員 ぜひ、実態に合わせて優先的に採択していただきますよう、その節はよろしくお願いいたします。

 今、耐震診断をやって、改修の必要性あり、そうなったところでもまだ未改修のものが一万四千三百九十三ある、そういう実態であります。

 先ほども、予算は大丈夫かという話がありましたけれども、各県から出された耐震診断実施計画を見ますと、平成十五年から十六年度への計画で千七百七十六校プラスになっております。あるいは、十六年度から十七年度で、一万二千六百五十六校プラスになっております。三カ年でやれという計画ですから、当然そういうふうに、後には残すけれども、ふえていくとなるわけですよね。

 しかし、今の予算のつきぐあいからいうと、これを担保できるものになっているのか、絵にかいたもちにならなければいいがと思いますが、その点伺います。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。

 現在の大変厳しい財政状況の中、とりわけ三位一体の改革の中で、私どものこの公立学校施設整備に係る予算も、前年度と比べますと減額になっているわけでございます。

 ただ、御指摘のように、こういった耐震補強でありますとか、あるいは危険改築の耐震関連経費につきましては、これは対前年度四億円ということでございますから、大した金額ではございませんけれども、増額の予算を計上させていただいておるわけでございます。そういった予算を活用いたしましてこの問題について対応してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

○高橋委員 大変訴えたいことはわかるんですけれども、先ほど言った未改修の一万四千三百九十三も入れて、十七年度になると予定がかなりふえるわけですよね。それも踏まえて十分に予算措置ができるのかということでありますが、これはちょっともう一度お願いいたします。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。

 公立学校施設整備費、地方向けの補助金でもございます。しかも、公共事業的と申しましょうか、なかなか厳しい予算の構造になっておるわけでございますが、私どもは、とりわけ耐震事業、これはやはり緊急性があるわけでございますから、そういったことに重点を置きまして必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

○高橋委員 これは強く要望しておきたいと思います。

 次に、厚生労働省に伺いますが、同じく社会福祉施設の耐震については、内閣府の資料で、昭和五十六年以前の建設の社会福祉施設の耐震化率は一七・七%であります。ですから、今言った学校よりもまだ悪い、体育館よりちょっといい、そういうことですね。小さい子供たちやお年寄り、体の不自由な方たちを預かる施設がこのような状況では危険過ぎます。

 厚生労働省として、耐震率を高めるための取り組みがどのようになっているのか、伺います。

○小島政府参考人 社会福祉施設の耐震化等、地震防災に対する配慮は大変重要なことだと考えておりまして、厚生労働省におきましては、社会福祉施設を整備する際には、各都道府県に対しまして、地震防災等に十分配慮するよう毎年度指導しているところでございます。

 また、先生御指摘のように、古い社会福祉施設ほど耐震化が図られていない現状がございまして、老朽施設の改築整備におきましては、耐震化対策を行う施設につきまして国庫補助を優先的に採択するとともに、独立行政法人福祉医療機構の融資についても金利の優遇措置を講じているところでございます。

 さらに、老朽施設に該当しない場合についても、地震防災対策上必要な補強改修を行う大規模修繕につきまして、国庫補助の対象としているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、社会福祉施設の耐震化の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。

○高橋委員 今お話ししてくださったこと、平成十五年の一月七日付の通知、あるいは九月二十六日の通知などで、例えば、「地震等の防災対策にも十分配慮する。」ということが書かれておることや、「入所者の安全性を確保する必要があることから、」「優先的に採択する。」ということなど、さまざまなことをおっしゃっていられるんだと思うんですね。

 それはよくわかるんですが、問題は、「防災対策にも十分配慮する。」だれがそれを判断するかということなんですね。

 それで、先ほど来、学校問題をお話ししてきましたけれども、学校の場合は三年計画というものを持っている。だけれども、社会福祉施設の場合は、では、耐震診断をいつやるのかとか、何カ年でやるのかとか、計画を持つとか、そういう仕組みそのものがないと思うんですね。なければやはり進まないだろう、自主的にこれは危ないよでは済まないだろうと思うんですが、その点いかがでしょう。

○小島政府参考人 御指摘の点でございますが、社会福祉施設には古い施設も随分ございまして、耐震化の地震対策だけではなくて、火災も大変心配をしているところでございます。

 そういう老朽施設について改築が速やかに進むようにということで、先ほど申し上げましたように、国庫補助を優先的に採択するとか、金利の優遇措置というものを講じてございますが、都道府県に対しまして、ぜひそれを優先的に補助申請を上げてほしいということで、できるだけ私どもの方としては国庫補助で対応してということでございますので、これからもそういった方向でやっていきたいというふうに考えております。

○高橋委員 仕組みそのものがないということについてはそのとおりなんですよね。ですから、そこはぜひ検討していただきたいと思います。

 最後に大臣に伺いますが、学校にしても社会福祉施設にしても、最も安全でなければならない場所がまだまだ耐震性が確保されておりませんので、そういう点で、関係省庁と連携を図って公共施設の耐震性を確保するべきと思いますが、その決意だけ最後にお願いいたします。

○井上国務大臣 学校なりあるいは社会福祉施設の耐震化工事という、これは単なる耐震化工事じゃなしに、建てかえのことを皆さん想定して言っておられると思うんでありますが、そうなりますとこれは大変なお金がかかりますし、また時間もかかるわけでありますので、やはり、小学校とか社会福祉施設の耐震化というのは、これは優先的に取り上げるべきでありますので、私は、どちらかといいますと、大きな建てかえじゃなしに、耐震化の工事、やはりそういうようなものをできるだけ早くやっていくべきじゃないのかな、こんなふうに思います。

 いずれにしても、非常に大事な問題でありますので、よく文部科学省の方とも連絡を密にしまして、積極的に取り組んでいただきますようにお願いをしていきたいと思います。

○高橋委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 以上でございます。

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