誰も止められない / 尾身茂会長 /提案採用されなかった
日本共産党の高橋千鶴子議員は29日の衆院国土交通委員会で、新型コロナウイルス感染拡大のなか政府が22日に前倒しで始めた観光支援策「Go To トラベル」について「なぜ今なのか」とただし「責任の所在があいまいで誰も止められない事態になっている」と追及しました。
高橋氏は、事業の委託先となった「ツーリズム産業共同提案体」の企画提案書で、期間中に感染拡大が発生した場合は給付金の利用などを中断するとして4項目が記されていると指摘。その中の「感染拡大注意」とは「どういう基準なのか」とただしました。
観光庁の蒲生篤実長官は、「感染拡大注意開始日について具体的イメージは当該申請者の方は持っていなかった」「企画書には書いてあるが契約書にはない」などと答弁。高橋氏は「企画提案書を採用後に、観光庁と事業者が協議して具体化していくという話だった。イメージを持っていないものを採用し、契約書はシンプルすぎて何も書いていないではないか。これでは誰も止められない」と厳しく批判しました。
高橋氏はまた、政府の新型コロナ感染症対策分科会が、「Go To トラベル」事業の前倒し実施に賛成したのかと質問。分科会の尾身茂会長は、「拙速に結論は出さない方がいい」との意見だったと述べ「じっくり情報や感染状況を分析して、根拠を持った説明ができることが必要だと提案したが、採用されなかった」と答えました。
高橋氏は、イベント制限の緩和について分科会が「全国的な移動を伴うため一部地域の感染リスクが全国に拡散する恐れ」があるとして先送りを提言したのに、なぜ「『Go To』の見送りは提言できなかったのか」と質問。「聞かれたのは東京除外のみ」と釈明する尾身氏の答弁をうけ「意思決定のプロセスと責任の所在を明らかにすべきだ」と述べ、臨時国会を開き徹底審議するよう求めました。
(「しんぶん赤旗」2020年7月30日付より)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
初めに、このたびの令和二年七月豪雨で犠牲になられた皆さんに心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。救援と復旧に取り組む省庁、関係者の皆様に敬意を表します。
また、きのう、きょうは東北や新潟でも氾濫が起こっており、被害の全容はまだわかりませんが、その中に、数年繰り返し同じところで水害が起こっている、そういう地域もございます。こうした事情を踏まえ、河川整備の促進など、全力の支援をお願いしたいと思います。
さて、きょうは、災害とコロナ禍という中、なぜ今GoToか。七月二十二日に前倒しで始めたGoToキャンペーンについて質問をします。
まず、なぜ今かということなんですが、しかも、キャンセル料、若者と高齢者は遠慮せよとか、二転三転する説明など、混迷を深めております。世論を気にし、かつ、誰も責任をとらない構図なのではないのかと指摘をしたいと思います。
きょうは、まず最初に、お忙しい中、尾身茂分科会会長に出席をいただきました。
資料の二枚目に、分科会の提言ということで、七月十六日の提出された資料をつけておりますけれども、このときに尾身会長自身が西村大臣とともに会見をされて説明をされたのを動画で拝見をいたしました。
それで、趣旨は、結果として、先ほども少し議論があったんですけれども、分科会としては、二十二日から前倒しするということには賛成したという理解でよいんでしょうか。
○尾身参考人 お答えいたします。
私ども、私個人としても、分科会のメンバーの意見は、二十二日まで時間があるので、少しじっくりと情報、状況、特に感染状況を分析して、これはやるやらないを含めて、しっかりと説明ができる必要があるので、もう少し時間を使って情報分析をして、どちらにするにしても、しっかりと根拠を持った説明ができることが必要だということを御提案申し上げました。
○高橋(千)委員 済みません、今の答弁を聞いて、一遍に問いがいっぱい出てきちゃって困っちゃったんですけれども。
でも、既にここに、東京都からの、延期して、かつ、場合によっては、東京都、落ちついてきたらよいということも書いているわけですから、基本は、もう進めることを前提だというふうに受けとめるのが普通だと思うんですけれども、違うんでしょうか。
○尾身参考人 先ほど古川先生の御質問のときにも答えさせていただきましたけれども、私ども分科会の、私も含めて、意見が非常に明瞭でした。早く、そう拙速に結論を出さない方がいい、しっかりと状況分析をしてやった方がいいということでした。最終的には、我々分科会、あるいは当時の専門家会議もそうですけれども、我々の役割は、基本的には提言することであります。我々は提言をいたしました。しかし、今回の我々、少し延ばしてしっかり議論をした方がいいという提言は、必ずしも、残念ながら採用されなかったということであります。
そういう中で十六日の会議をしました。そのときに、実はもう、東京例外を含めて、これについて意見を述べてくださいというのがあれでしたので、我々は、先ほど申し上げましたように、東京例外は、繰り返しになるかもしれませんけれども、合理性がある、ただし、先ほど言ったように、三密を避けてくださいということもぜひ国民の皆さんに政府から伝えてくださいということと、それから、東京もこれから永久にそのままじゃなくて、感染症の状況によって解除することもいろいろあるということを申し上げたということであります。
○高橋(千)委員 わかりました。
ということは、二十二日に前倒しという政府の方針が伝えられた中でも、まだ決定は、そこまでもっと検討するべきだという立場だったんだけれども、東京例外ということを聞かれたことに対しての意見なので、必ずしも分科会の意見ではなかったということであったかなと思うんですね。
それで、私はちょっとそれがすごく残念に思うんです。というのは、もう皆さん御存じのように、資料の一枚目にあるように、十六日あるいは二十二日の時点ではまだちょっと読み切れなかったんですけれども、その後、東京で過去最多の三百六十六人、そして他の府県でも緊急事態宣言を超える数値が出された、そういう中でも、やはりもう少し、先生がおっしゃったように、様子を見るべきだったというのが正解だったんじゃないのかなと私は思うんです。
それで、資料の4には、この二十二日の対策本部で、イベントの大規模化に、五千人を緩和しようという議論をするはずだったんだけれども、それを見送りました。そのときに出された「リスク」について、一番は、全国的な移動を伴うために、一部地域の感染リスクが全国に拡散するおそれ。つまり、イベントの規模が大きくなればなるほど移動するんだと、逆にGoToとかみ合わせる人だって出てきますよね。そういうことを指摘しているんだと思うんですね。二つ目も、「イベント開催地への交通手段が限定されている場合、イベント前後の駅やバス等において密集が発生。」これはとてもよくわかる指摘だと思うんですね。分科会は、それで、イベント制限の緩和は当然見送るべきだと提言されたと聞いております。
改めて、この観点に立っても、あわせてGoToトラベルも今前倒ししてまでやるべきではないと言うべきではなかったかというか、なぜ言えなかったんでしょうかというふうに聞けばよろしいでしょうか。お願いします。
○尾身参考人 イベントのことは、今回、五千人のところを外すということで、外すかどうかということを意見を求められて、これは私は外すべきではないというのが、私も含めて分科会の、それはもう先生方には釈迦に説法ですけれども、大きなイベントがあれば、そのイベント自身は問題が必ずしもないかもしれませんが、その前後で必ず三密のような状況が生まれる可能性が強い。と同時に、大規模イベントの場合にはいろんな全国から来ますので、そこでまず感染があったときに波及の効果が、波及の影響が極めて重要だということでそういう提言をし、つまり、数の縛りを外すべきではないということを申し上げました。
それから、先ほどのGoToトラベルの話はどう思うかというと、私の考えはというか、私も含めた分科会の考えは先ほど申したとおりで、しっかりともっと議論をすべきだったというのが私たちの意見でございます。
○高橋(千)委員 今のお言葉に含意しているかなと思います。
それで、先ほどの提言の中で、東京都での感染が落ちついてきた際には、東京に関するGoToトラベルも実施して差し支えないとあるんですが、この落ちつくというのがどのくらいなのか。他県が少しこう上がってきて、東京がもし、これはクロスする場合もあると思うんですが、落ちつくというのはみんなの感触が違うと思うんですね。どのようにお考えでしょうか。
○尾身参考人 先ほど申し上げましたように、感染状況は日々刻々変化していますから、一番大事なことは、しっかりと感染状況を分析、モニターすることだと思います。
それで、今の状況は、もちろん十六日とは違っていまして、私どもが今状況を、きょうの現在どう分析しているかということですけれども、実は、先生方も御存じのように、これを一〇〇%正確に今の状況を分析、予想することは、至極、ほとんど不可能です。
なぜかといいますと、そもそも緊急事態宣言と今とは検査のレベルが違うということがよく言われていることは、確かに。しかし同時に、いろいろ、我々が見ているデータも必ずしも完全ではない。毎日、我々が見ているのは報告ベースですよね、これが毎日、山にあることは、皆さん先生方御承知。それから、発症日ごとの方がより正確だということで我々は今提案していますけれども、発症日ごとのデータも実は限界があります。なぜかというと、発症日が必ずしも正確にモニターできないという限界があります。
したがって、どういうときに外すのか、外さないかというのも、そうした感染状況だけじゃなくて、PCRの陽性率、リンクの追えない率、あるいは、特に今重要なのは、私どもが今強く思っていますのは、感染状況に関して一番強く思っていることの一つは、感染の、少しずつ増加していることは間違いありません。しかし、そのことも懸念ですけれども、それと同様あるいはそれ以上に懸念しているのは、だんだんと感染者がふえると、当然、それに伴って重症者がふえますから、そうすると医療の、今もう既に負荷がかかっていますけれども、これが急速に医療の負荷が強まっていってしまう。
と同時に、保健所の方の機能がもう今ぱんぱんになっていることは、先生方、このことを、そういうトータルな、感染の毎日、日々のことだけじゃなくて、いろいろな、総合的に勘案すると、今は感染が間違いなく少しずつ上昇して、このまま放っておくと、ベッドが埋まり、保健所の機能が麻痺するということが目に見えているので、早く手を打つ必要があるというふうに私どもは思っております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。大変、先生、危機的な認識をされていると思うんですね。だからこそ、多分、臨機応変に、この日々の状況をつかみながら、それに対応してもらいたいという思いが込められているのではないかと思うんですね。
ただ、私が一番最初に言ったように、残念ながら、今、一体、西村大臣なのか赤羽大臣なのか。あるいは、専門家から意見を聞きましたと、言うときは必ずそうおっしゃるんですよね。そして、でも実際は総理なんじゃないか、責任が曖昧なんだ、じゃ、誰もとめられないじゃないかということが、今、本当に問われているんじゃないか、このように思います。
少し進みます。資料の3を見ていただきたいんですけれども、公募で採用されたツーリズム産業共同提案体が提出した企画提案書の一部であります。
これは、「期間中に、新型コロナウイルス感染の拡大が発生した場合は、感染拡大を防止するため給付金および地域共通クーポン券の利用を中断する。」とあります。それで、バツがついている場合が四タイプあるんですね、給付金もうやらない、割引しないと。これは、緊急事態宣言そのものが出れば、もう開始日から解除日まで、もちろんこれは有無を言わせず中止となります。
問題はそれ以外のところなんですが、緊急事態宣言はなしだけれども感染拡大注意という表現があります。これは一体何なんだと。感染拡大注意開始日から解除日までは中止とあるんですね、給付金は出さないと。どういう基準だと考えればいいでしょうか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
委員がお出しになられた資料は、今回の企画競争において用いられました企画提案書でございます。この中で、企画競争の入札の際に提案者から提出されたものでございました。審査の際に、それを評価の対象といたしまして、企画競争の過程において、どこを選ぶかという評価対象軸として使用しておる、そういう資料でございます。
その中で、こういうような段階的な形での区分けをしたということに関しまして再度確認しましたところ、感染拡大注意開始日ということにつきまして、具体的なイメージは当該申請者の方は持っておりませんでした。当時に使われておりました新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言など、そういった資料を一つの参考にしながら、自分たちの方でそういったものを入れる形で、段階的に状況が推移したことに対して対応できるという体制をとりたいということを提案してまいったところでございます。
結果的には、この企画書そのものというよりも、実際、我々の方で、契約という形で最終的にはどういうふうに進めるかということを決める形になっておりまして、今回選ばれた共同運営体と我々の方で契約を結んだところでございます。
○高橋(千)委員 では、事業者が書いたけれどもイメージがないというんですよね、今の答弁は。では誰が決めるんでしょう。一応、内閣府にも聞いてみたいんですが。
○松浦政府参考人 お答え申し上げます。
内閣官房として、この企画提案書の内容の詳細については承知していませんので、感染拡大注意日の基準についても、お答えすることは困難でございます。
○高橋(千)委員 極めて、いや、誰がというよりも、そもそもこの企画提案書を観光庁と事業者が、要するに採用されてからもよく協議をして具体化をしていくと言ったんですよ。なのに、事業者がイメージを持っていない、だから我々も知りませんと。一生とまらないじゃないですか、それじゃ。こんな無責任なやり方がありますか。
○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
事業者からいただいた企画提案書の中身と実際に結ばれた契約書というのはまた別でございますので、契約書の中で、このような条を用いて段階的にこういうことをするという形が内容になっているところではございません。
○高橋(千)委員 そうなんですよ、契約書はもっとシンプルで何も書いていないの。では何もしないということですよね。
いや、ちょっと、提案書を出す前の最初の企画競争入札の観光庁がつくったものは、もっとちゃんとしていましたよ。それで、やはりコロナが、感染に応じていろいろキャンペーンがとまることもあると。それを想定してきちんと議論していくと言った。だけれども、イメージが湧かないというのを出されて、それは採用したけれども契約書の段階ではそれすら書いていません、だからいいんです、こんな話がありますか。これはもう、だから誰も責任をとらないということがはっきりしたと思うんですね。
ウイズコロナ、経済を回しながらという趣旨、やはりこれが根っこにあるんだと思うんですね、きょうも大臣も答弁されていました。
しかし、ウイズコロナを強く提唱している経団連も、大規模な感染拡大も見据えた体制強化をうたって、さっき尾身先生が指摘されたように、医療提供体制や検査の拡充、特に検査については、必ずしも陽性が疑われない場合においても検査が受けられる体制が必要だと。人の行き来をやはりビジネスでやりますから、国際的な往来という形からいっても、検体採取体制の強化を早急にと述べているわけですよね。これは十六日の提言。そこから見ても、そんな体制さえできていない中での見切り発車なんです。
鹿児島県の最南端の与論島では二十二日から感染が相次ぎ、人口約五千二百人の小さな町で感染者が三十六人、東京と比べても大変な比率ですよね。島に一つしかない総合病院で院内感染が発生し、町長は当分の間来島は自粛してと呼びかけていると昨日の日経が報じております。
なぜ今GoToなのか。政府は、経済を回すためにGoToは中止できないと。そのために今後幾ら感染がふえても緊急事態宣言も出さない、こんなことになっちゃうんでしょうか。もう一回、内閣官房に。
○神田大臣政務官 お答え申し上げます。
七月十六日に開催されました新型コロナウイルス感染症対策分科会においては、足元の感染状況、それからGoToトラベル事業の進め方、前提となる感染防止対策について、専門家の先生方に御議論をいただいたところでございます。分科会の見解といたしましては、当面の間は東京都を発着する旅行は対象外としながら、GoToトラベル事業を実施するという方針に御了解をいただきまして、これを踏まえまして、十七日、国土交通大臣から事業を開始することを発表したものでございます。
本事業の実施に当たりましては、観光関連事業者と旅行者の双方において新しい生活様式等に基づく感染防止策を徹底していただくことが重要でありまして、こうした中で感染拡大防止と経済社会活動の両立を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
なお、現在、東京を中心に、接待を伴う飲食店や会食を介した感染などの新規感染者の増加が続いてはおりますが、四月の緊急事態宣言の当時とは状況が異なっておると承知しております。こうした状況を総合的に判断いたしますと、現時点で緊急事態宣言を再発出する状況にはないと考えておりまして、七月二十二日の第三回分科会においても、専門家の分析、評価をいただいておるところでございます。
一方で、新規感染者の増加に伴いまして、高齢者の新規感染者も増加傾向にありますから、感染者が報告される都道府県の数も増加しております。都道府県と緊密に連絡をしながら、特措法第二十四条九項に基づく協力の要請等、めり張りのきいた対策を集中的に実施してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 私は、今出せという質問じゃなくて、今後、やはりウイズコロナだから、ふえても出さないというつもりですかと聞きました。それに対して、特措法二十四条九項ということで、自治体任せ、簡単に言えばそういうことですか。
○神田大臣政務官 再度のお答えになるかと思いますが、自治体任せということでは決してなくて、都道府県と日々、今も、現在、緊密に連絡はとっておりますし、また、連携もしておるところでございます。この連携の中で、めり張りのきいた対策を集中的に実行してまいる所存でございます。
○高橋(千)委員 何がめり張りなのか、全くイメージができないですよね。
新経済連盟は十八日に、GoToトラベルの延期を、総理、西村大臣と赤羽大臣に申し入れておりますよね。代表の三木谷氏は、ツーリズム産業共同体に参加した楽天の代表であるわけですが、今はGoToを募集しないと御自身が述べているわけです。今からでもストップをかけることはできる。あるいは、さっき被災地枠を後ろにというお話もありました。一遍にやろうとしなくてもいいんじゃないか、私はそう思うんですね。
例えば、大臣、全体としては、今を逃すと、夏休みを逃すとあれだからという話がされましたよね。だけれども、オフシーズンを埋めていたのは、まさにインバウンドだったわけですよね。国を挙げてやってきたと。ここが完全に穴になっちゃっている。本来、GoToで応援すべきは、そういう、もともと客が見込めないところに足が向くような需要喚起策だったんじゃないでしょうか。
クーポンだって九月以降にやっと整うんですね。このクーポン、QアンドAに書いておりますけれども、今、八月いっぱいは、クーポンはまだできておりませんから、三五%の割引でしかないんですよ。先にGoToで旅行する人はクーポンがない、その分割引が少ないわけ。
本当は、だから、オフシーズンでも行きたいなとか、泊まるだけじゃなくて、地域のお土産屋さんも全部利用してと、そういうセットの考え方だったでしょう。そんなのも全部壊れているんですよ。やはりこれは見直した方がよかったんじゃないですか。今でもできると思います。大臣、どうですか。
○赤羽国務大臣 もちろん感染症に対する安全対策というのは大前提でお答え申し上げますが、地域共通クーポン、確かにこれは、三億枚近く刷る、それもにせ札をつくられたら困る、相当な経費をかけて、また対象が約百万店舗ということで丁寧に説明もしなければいけないということで、時間がかかるということは御理解をいただけると思います。
だからといって、それでは、じゃ、九月のしかるべきときにフルセットで旅館宿泊割引をそのときに始めるべきかというと、私はそれはどうなのかなと。旅館割引を最初に先行することによって、お泊まりに行かれる、観光の流れが出る。そこで割引がなくても消費を行っていただけることが、その地域にとっての経済的なメリットに資するというふうに私は思っております。
でき得れば、もちろん同時にやるのが、当初から、七月二十二日のときからフルセットで行えればよかったのでありますが、それまでのいろいろな経緯があって、残念ながら準備が整わなかったというのは大変申しわけなく思っておりますが、そうしたことで、少しでも観光地というのが地域経済に資するための次善の策として、今行わせていただいているということでございます。
○高橋(千)委員 ですから、それだって、先行予約をして、今まで指摘されているように、実際にそれが対象になるかどうかもわからないで予約していた、そこにキャンセル料を払うわけですよ。今度は、いや、もう直にできますよといって、半額なのかなと思ったら三五%だったと。二重、三重に混乱、現場の人は、そんなのはわからないですよ、旅行者が。それで、そういうことを聞かれると、フルセットでと。それは、じゃなくたっていいんですというんだったら、ちゃんと筋を通すべきですよ。
十日から十七日までの先行予約は、登録業者はおろか、事務局すら決まっていないんですよね。そういう中でのキャンセル料をなぜ払う必要があったんでしょうか。大臣自身が払わないと言っていたのに、急に変わったのはなぜなんでしょうか。
きのうのヒアリングでも要求がありました。これを決裁したのは誰なのか。その決裁文書を出すように求めておりますが、大臣の意見をお伺いします。
○赤羽国務大臣 済みません、ちょっと質問の確認なんですけれども、高橋さんの御趣旨は、十日から十七日の間に予約された対象外となる案件について、キャンセル料は国が払うべきではないという趣旨でしょうか。
○高橋(千)委員 払うべきじゃないとか、そうじゃなくて、本来は成立していない契約ですよ。それに対してどうしてキャンセル料を払うんですか。根拠がないと言っています。それを誰が決めたのか。(赤羽国務大臣「誰が払うか」と呼ぶ)払う必要ないでしょう。
○土井委員長 もう一回聞いた方がいい。
お願いします、高橋さん。
○高橋(千)委員 私にそれを聞くのはおかしいと思いますよ。
本来、そういう状況になる、決まっていないのに先行予約をとらせる、そういうキャンペーンを政府があおったことが、今、こんな問題になっているんでしょう。本来なら、厳密に言うと払う必要はないと思います。大臣はそう言っていたじゃないですか。でも、それで被害が生じたというのであれば、その責任は誰がとるんですか。決裁文書もないと言っているんですよ。それを聞いています。
○赤羽国務大臣 ちょっと済みません、私が確認したいのは、キャンセル料を払う必要はないと言われる。払う必要がないというのは、その旅行者が払う必要がないという主張なのか、そうではない、国が払う必要がないという、ちょっとそこの……(高橋(千)委員「国がでしょう、当たり前」と呼ぶ)国がですか。(高橋(千)委員「トラベルのお金で払うのよ」と呼ぶ)
だから、私たちの申し上げたことは、本来筋的に言えば、高橋さんが言われるように、予約を申し込まれた時点で、その泊まられる宿泊施設がこのGoToトラベル事業の対象になるかどうかはわかっていない事態でした。ですから、私も、記者会見というか、当初の我々が発表している案内では、二十二日からの四連休については、当該宿泊事業者が対象になるかどうかわかりませんので、当該宿泊事業者となった暁には還付をさせていただきますということで、そういう御案内を出させていただいているわけです。
ということでいうと、突き詰めていくと、契約が成立していないからキャンセル料自体もオウンリスクだというような話も成り立つかと思いますが、しかし、さはさりながら、感染拡大が急に変わって、そして東京に関する旅行を対象外にしたというのは、これはある意味では政策の変更ですから、それに伴って、期待をしていた旅行者の皆さんが、そのキャンセル料を支払う義務を負わせるべきではないし、そのことによって感染が、拡大防止とは逆の方向で行うというのは慎まなければいけないということで、キャンセル料を旅行者が支払う必要はないというふうに申し上げて、そして、もう既に支払った方が万が一いれば、それはお返しをしていただくということの指示もさせていただいたわけでございます。基本的にはそういうことです。
○高橋(千)委員 だから、払え払うなという議論をしているんじゃないんです。そうなった責任を問うているんです。そのプロセスを問うている。そんな、旅行者が気の毒じゃないかという話をしたら、緊急事態宣言が突然起きて旅行がたくさんキャンセルになったのを、もらわなかったでしょう、ほとんどの旅行者は。そうでしょう。そのことはもうしようがないといって、何で政府のこの失策で、ここだけ払うというんですか。そのつじつまが合わないところが問題だと言っているんです。そこをちゃんと明らかにしなさいと言っています。
もう残念ながら、ちょっと時間がなくなってしまったんですが、六ページに、今回のツーリズム産業共同提案体の、誰が参加しているかというのを書いています。ほとんどです、ほとんどの、みんなが思いつく大手の旅行業者、みんな入っています。大手じゃないところだとおっしゃいますが、全国旅行業協会、二階さんのところもしっかり中心になっております。
これが圧力だったんじゃないかというのはあるんだけれども、結局、その大手の旅行社が瞬時に一万二千もの登録業者をチェックして、感染対策をちゃんとやっているという話で進んでいるわけなんですよね。本当にそのやり方でいいんですかということ。では、私たちがずっと言ってきた、地域の、そういう旅行社にも結びつかないようなところが救済されるんだろうかということなんかがすごい問われると思うんですね。
なので、今回ちょっと閉会中審査という形でありましたけれども、今回のプロセスについて、前から野党は予算委員会の集中審議、総理出席のを求めておりましたが、やはり臨時国会を開くべきだ、このことを指摘して、終わりたいと思います。
ー資料ー