高橋氏/相談窓口設置求める/賃貸住宅管理業/レオパレス
サブリース業者を初めて規制する法案(賃貸住宅管理業務適正化法案)が22日の衆院国土交通委員会で採決され、全会一致で可決しました。
サブリースは賃貸用建物を一括借り上げし転貸するものです。業者がオーナーに「安定した家賃収入保証」をうたって勧誘しながら、後に家賃減額や解約を迫るトラブルが続出。日本共産党は一貫して法的規制を求めてきました。
日本共産党の高橋千鶴子議員は質疑で、最長30年で所得が1千万円超との過大な収支計算表まで示したレオパレス21社の勧誘の実態を紹介。「オーナーは専門知識や交渉力で業者と大きな格差がある。重要事項の事前説明義務は万能ではなく、契約時に業者の説明をすべて理解し、判断するのは困難だ」と指摘し、オーナーが相談できる専門窓口をつくることや、家賃減額の根拠とされる借地借家法の見直しを求めました。
高橋氏は、サブリースが広がった背景にある金融機関の責任に言及。「金融機関はサブリース業者に安易に融資を認めてきた。スルガ銀行のような一部の悪徳な金融機関の問題では済まされない」と述べ、金融庁の責任を指摘しました。
(「しんぶん赤旗」2020年5月26日付より)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
民間賃貸住宅は、住宅総数五千三百六十万戸の約三割、千五百三十万戸を占めているといいます。そのうち、任意ではあるが賃貸住宅管理業の登録業者、今は四千四百八十八件までわかっておりますが、その管理戸数は八百二十五万戸、約半数になっています。
賃貸住宅を転借して管理を行うサブリース事業は昭和六十年ごろから始まったと言われておりますが、民間賃貸住宅の所有者の八割が管理業務の全て又は一部を業者に委託をしているという中、サブリースをめぐる相談が年々ふえている、それが今回の法案の提出になったと思っております。
私自身は、アパートの引っ越しというのは何度も経験していますけれども、つくづく、大家さんが身近にいて、顔が見える関係が本当は一番いいなと思っているんですけれども、国としては、今後、民間賃貸住宅にあっては、やはり今のサブリース方式が主流になると考えていらっしゃるのか、大臣に伺います。
○赤羽国務大臣 私、個人的には、大家さんというのはやはり顔が見える、そういう世代でありましたので、そうしたものがなじみでありますが、先ほどから答弁していますように、オーナー自体が大変高齢者になっていて、なかなか、細かい、また難しい事務ができないとか、また、自分のふるさとでそうしたものが相続で発生して実質的には任せざるを得ないというようなこと等々あると、主流になるかどうかということはちょっと別にしましても、今後、高齢化が進む今の時代状況がこのままいけば、そうしたことというのは、そういうニーズは増加していくのではないかというふうに思っております。
○高橋(千)委員 ニーズは確かに、先ほど来大臣が答弁をいただいていたと。また、一方では、不動産投資ということがビジネスとして大きく取り上げられてきたということも背景にあったと思うので、その点をどう見るかということが一つあるのかなと思っております。
それで、話を進める前に一つ伺いたいんですけれども、国交省が三月三十一日付で、不動産関連団体に向けて、「新型コロナウイルス感染症に係る対応について(依頼)」とする通知を出しました。これはあくまでもテナントさんの問題で、住居の話ではなくて、飲食店を始めとする事業者の中で賃料の支払いが困難なテナントに対しては、支払い猶予に応じるなど柔軟な措置の実施を検討してほしい旨、書かれております。
本委員会でも繰り返し家賃問題が取り上げられ、与野党の家賃助成策が議論されてきたところなわけですけれども、何とか実を結びたいと思っているんですが、不動産関係では家主には支援がないのかと、この通知がかなり波紋を呼んだようであります。
大臣の答弁をずっと聞いていると、そのときは固定資産税という形で支援をするんだからと答弁をされているんだけれども、でも、それでも間に合わないという声が随分上がっていた。そういう背景もあって、居住用においても、賃借人から強気の値下げ交渉を受けて、長期ローンでアパートを取得している家主が困っている、こういうことが聞こえてくるようになったんですね。
それで、改めて考えたんですけれども、そもそも、サブリース契約という中で、一入居者からすれば、仕事がなくなり家賃を減額又は猶予してほしい、当たり前のことで、応援したいわけですよね。でも、こうした関係性の中で支援を打つとしたらどうすればよいのか。
この間、サブリース業者とのトラブルで最も多いのが、家賃の減額を家主に迫るというものだったと思いますが、このコロナ禍を理由に減額を迫ってくる。しかし、さっきから言っているように、家主にとってはローンの支払いがあるというところで、だから、本当は一利用者に、サブリース業者じゃなくてですよ、一利用者に、家賃を払えないという方たちに補助する仕組みがすっきりすると思うんですけれども、今のような関係になっている場合どういう手が打てるのか、まず伺います。
○青木政府参考人 御指摘のように、現在、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、例えば飲食店などは事実上お店も開けない、売上げがもうゼロといった、そういったことで賃料の猶予、減免の依頼が来て、ただ、おっしゃるように、それに応じますと、オーナーの方が今度は例えば資金の返済などで行き詰まるというような問題、これはおっしゃるとおりでございます。
そういった観点からも、国土交通省として、猶予等の検討のお願いをすると同時に、御指摘ございましたけれども、固定資産税の減免であるとか、あるいは賃料減額分の損金算入、それから先ほど申し上げた、特に金融機関からお金を借りておられる方、こういったことも想定して、金融庁さんの方から金融機関に対する既往債務の返済猶予等の要請、これを行っていただいているところでございます。
いずれにいたしましても、こういった交渉の中で、テナントとオーナーが信頼関係を維持強化をして、そしてパートナーシップを維持強化してこの危機を乗り越えるということが大変重要と考えておりまして、国土交通省としても取組を更に進めてまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 それはいいことだと思います、そうやってほしい。
聞いたのは、問題は、間にサブリース業者が入って、家主がいて、利用者がいるという場合に、きちんとした支援ができるだろうかということを考えて聞いたんです。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘は、サブリースの住宅ということでございますね。
おっしゃるように、今回さまざまな経済上の問題が発生する中で、恐らく、入居される方によりましては家賃のお支払いがなかなか厳しくなるというようなことも生じてくる可能性はあるのかなというふうには思います。
そういった点につきましては、厚労省さんの方からもさまざまな支援策、こういったことも用意されているところではございますし、そして金融庁の方からも、先ほど言いましたようにさまざまな既往債務についての配慮、こういったこともいただいているところでございます。
○高橋(千)委員 全然かみ合わないんですけれども。
今の仕組みからきて、なかなか簡単な支援策というのが出てこないんじゃないかと。おっしゃるように、借りる、一個人の話ですよ、が、ちゃんと支援が行き届いていれば問題はないと思うんですけれども、やはり今のサブリース契約の仕組み自体がそういう矛盾を引き起こすんじゃないか、そういう問題意識を持って質問させていただきました。
ちょっと話を続けていきたいと思うんですね。
我が党の宮本岳志前衆議院議員がレオパレス21の問題を初めて取り上げたのは、二〇一三年四月十五日の予算の分科会でありました。それから、とうとう今回、法改正につながったと思っておるわけです。
このレオパレスが当初どんなふうに勧誘をしていたのか、これがわかるのが資料の一であります。
「一括借上げシステム レオパレス21の理念を確かな形にする、独創的なシステム。」、こううたっております。一括借り上げシステムとは何か。最長三十年間にわたって家賃を保証するシステム、入居者の募集からアフターケアまでの全てをオーナー様にかわって行い、アパートの資産価値を高いレベルで均一化すると。
資料の二は、これは三十年間の概算収支計算表です。
これを見ますと、一番左上を、一年目というところを見ていただくと、所得金額、マイナス八百七十三となっているでしょう。これは単位は万円ですけれども、最初の一年目だけが赤字で、翌年からは黒字になり、そして、だんだんだんだん、収支が合うのがようやっとというところが、所得がふえていって、最後は所得が一千万円を超えて安定してくるという夢のようなプラン表を示していたのであります。実際はどうなったのかは、皆さんも御存じだと思います。
そこで伺いますのは、今回の法改正で、家主が管理受託契約をサブリース業者と結ぶ前にどれだけの情報を説明するのか。こうした表を見せられて、すぐに判断できるものか。今後どんなトラブルが起きるかを見通して、全部、リスクを契約に盛り込むとか、これは極めて無理があると思うんですね。どこまで説明するべきなのか、定期報告はどのくらいの頻度でされるのか、これをお答えください。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
提出しております本法案におきましては、賃貸住宅管理業者に対しまして、管理受託の内容そしてその履行に関する重要事項について、契約の締結前に説明と書面交付を義務づけることといたしております。
具体的な内容につきましては、下位法令そしてガイドラインにおきまして明確化することといたしておりますが、説明すべき事項といたしましては、管理業務として実施する事項、実施方法、入居者への対応に関する事項、定期報告の内容、管理業者の免責に関する事項等を想定してございます。
これらによりまして、オーナーの方がこのような契約締結時に把握しておく事項を事前にしっかり認識することができることとなると思います。
さらに、管理受託契約の内容といたしまして、事前に契約書に明記しておくべき事項を標準契約書として明確化し、その利用を推奨してまいりたいとも考えてございます。
御指摘ございました定期報告の頻度についてでございますが、これは、管理する賃貸住宅の規模、実施する業務など、管理受託契約の内容によって報告すべき事項の実施頻度が異なると考えられますために、個別にオーナーとの契約等で定められたものを義務づけることといたしますが、少なくとも年一回以上の報告は必要というふうに考えてございます。
また、ガイドラインにおきまして、例えば、管理業務として家賃等の収受を行う場合には毎月の報告、それ以外の場合にあっても四半期ごと以上の頻度で報告を行うことを推奨することを予定してございます。
○高橋(千)委員 だとすれば、今私が紹介したような、三十年間で確実に所得がこんなになります、こういうことを説明するというのはどうなるんでしょうか。これは逆に過大広告になるかと思うんですが、どうですか。
○青木政府参考人 御指摘の点につきましては、サブリース業者に対しまして、文書でもちまして、今御指摘のあった賃料の減額リスクなども説明義務を課しているところでございまして、このことによりまして業務の適正化を図ってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 答えていないんですけれども。
○土井委員長 もう一度、では、高橋委員。
○高橋(千)委員 過大広告になりませんかと聞いています。
○青木政府参考人 失礼いたしました。
例えば、家賃の十年間あるいは三年間保証ということで、家賃の減額リスクを説明しないということになりましたら、そういった広告は誇大広告にもなります。あるいは、現場でそういう説明をいたしますと、不実告知ということになって、禁止対象になります。
○高橋(千)委員 問題は、一般的な広告であれば過大広告だと思うんですが、今後半でおっしゃった、不実の問題だと思うんですよね。
契約を結ぶ段階で、本当はこんなに高い家賃を取らないはずなのに、これで三十年間うまくいきますよ、しかも、下がることは絶対ないですよということを言うのは、あくまでも不実な説明だと思うんですよ。
ただ、それをいきなり全部のみ込めるか。おじいちゃん、おばあちゃんのところに、突然やってきて、隣の土地に今アパートを建てれば節税対策になりますよと言われて建てちゃった人はいっぱいいるわけですよ。
そういう中で、途中で気がついて、やはり大家さんが訴えることができるのか、救済する仕組みがあるのかということ。いきなり裁判に行かなきゃだめなんですよとなったら、これは余りにもリスクが高過ぎますよ。それを聞いています。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、サブリース方式の賃貸住宅のオーナーの方には、経験、専門知識に乏しい個人の事業者が多いということでございまして、事業者との間に、経験、専門知識に大きな格差がございまして、サブリース業者の中には、いわばこういった格差を利用して、十分な説明を行わずに、契約内容を誤認させたままで契約を締結させるという悪質業者が存在して、トラブルに発展する事案が多発しているというふうに考えております。
このため、先ほど申し上げましたように、この法律案では、マスターリース契約締結前の重要事項説明を義務づけることによりまして、契約の適正化を図ってまいります。
また、あわせまして、オーナーの方を含めて、サブリース業者等が行う不適切な行為、こういったものを確知された場合には、国土交通省に対する申出制度を設けることといたしてございまして、不当な勧誘等のマスターリース契約締結前の行為から、申出を端緒として、私ども、報告徴収、立入検査等の必要な調査を行い、必要に応じまして、指示処分、勧誘の停止などの措置を講じることといたしているところでございます。
○高橋(千)委員 そうしたらそれを、契約するときに、困ったらここに相談すればいいんだということをしっかり義務づけるようにしたらいいんじゃないでしょうか。
これは、相談がふえているといっても、消費者庁に行くわけですよね。そうすると、消費者じゃないとかそういう議論になっていて、現実にたどり着かないわけですよ。それで結局、訴訟するしかない。でも、それは、さっきから言っているようにリスクが高過ぎるでしょうということで、きちんと重要事項の中も全部理解して、あなた、書いてあったでしょうと言われても困るんだと。
そこを最初にやっておくべきだと思いますが、いかがですか。
○青木政府参考人 お答えいたします。
御指摘のように、知識経験に乏しいオーナーの方が、今回の法律の規制の内容、そういったことについてもきちんと認識していただくために、例えば、消費者に近いところにおられます消費者庁であるとか、あるいは、多くの場合、先ほどから申し上げていますように、投資に当たっては金融機関が入ってきますので、金融庁の御支援もいただきながら、金融機関の方でオーナーの方にさまざまな情報を与えていく、そういったことによりまして、不適切な行為の防止、そしてオーナーの方々を支援する、こういったことをやってまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 だから、消費者庁に、一番身近で行くんだけれども、消費者じゃないと言われるということを今問題にしているわけでしょう。
今、そう言った以上は、ちゃんと窓口を、受けられるように、ちゃんと対応できるようにしてください。それは要望します。
それで、さっき矢上委員も指摘をされておりましたけれども、サブリース業者が、みずからも借り主であることを盾に、家賃の引下げを要求してくる、こういうトラブルが多かったんですね。だから、そこに線引きがないのか。一人の学生だったり、そういう入居者と業者が同じ、私も借り主ですといって要求してくる、これはやはり線引きをするべきだ。借地借家法の見直しということも当然念頭にするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○青木政府参考人 お答え申し上げます。
お話ございました借地借家法三十二条、この規定を適用することで思わぬ減額請求を受ける、こういったオーナーの方がおられる、こういったトラブルが発生している、御紹介申し上げたところでございます。
一方で、この三十二条は、先ほど申し上げましたように、さまざまな経済事情の変動など、こういったことで賃料が不相当になったときに、当事者双方が賃料の増額、減額の請求を行うということができるものでございまして、この趣旨は、社会経済事情の変動によりまして、一度合意された賃料であっても不相当となることもあり得ることから、賃貸人と賃借人の公平を図り、契約を結ぶ双方の当事者に対して賃料の増減を請求できる権利を、民事上の一般原則である事情変更の法理に沿って認めたものということでございます。
また、一方の当事者が賃料の増減の請求を行った場合においても、その請求を受け入れるか、どの程度の金額を増減額と位置づけるかは、当事者同士での合意で決まるものということになってまいりますので、御指摘ありましたようなサブリース業者による賃貸減額請求できる権利自体に制約を加えるということには、なかなか困難が伴うのではないかというふうに考えてございます。
一方で、この問題につきましては、こういった規定の存在を知らされていないオーナーがサブリース経営に参入していること、また、空室が発生あるいはみずからの経営状況が芳しくないといった、それだけでは本来なら減額請求が認められないような場合にも、知識経験が乏しいオーナーが受け入れてしまうというところに問題の所在がございますので、本法案におきまして、重要事項説明でそういった減額リスクなどにつきましても説明を義務づけるといったこと、それから、今申し上げたような借地借家法の減額請求の適用の考え方につきまして、関係省庁、業界団体と連携しながら周知に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○高橋(千)委員 重要事項説明が万能薬みたいにさっきから御答弁をされていますが、やはり立場が圧倒的に弱いんだという立場に立って言っていただかなければ、原則はそうだからとか、同じ権利は残しておかなくちゃというだけでは済まない。やはり、トラブルがあって今回こうした法案を出してきたのに、結局同じことが繰り返されるのではだめなんだと指摘をしたいと思います。
進みたいので、資料の三枚目を見ていただきたいんですが、先ほどちょっと話題にもなりましたが、二〇一五年一月の相続税法改正で基礎控除額が引き下げられたのを契機に、相続税対策になりますよと勧誘され、アパート経営に乗り出す地主が急増したといいます。その多くがサブリース契約を前提にしたアパートだった。土地と建物を一緒に売るランドセット商法ということで進んできた。その後、土地を持たないサラリーマンにも、安全な老後の備え、三十年間家賃保証といううたい文句で迫ってきた。先ほど話題になったかぼちゃの馬車のスルガ銀行のように、銀行が積極的に貸し出している。普通はそう簡単に組めないローンを安易に認めていく、そうしたことがなかったのかと思うわけですね。
これが資料の三枚目の、金融庁の昨年三月に出した投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果の一部ですけれども、ここにあるように、融資の構図が、一棟建て、土地も建物も、向け融資が紹介業者を通して持ち込まれていたということで、これが、さっき言ったように、まさか組めないようなローンが安易に組めていった。これは、一つの地方銀行がそういうことをやったとか、そういう問題では私はないと思うんですね。
そこで、金融庁の問題意識と調査結果のポイント、どう対策をとってきたのか伺います。
○堀本政府参考人 お答え申し上げます。
委員御質問のアンケート調査についてでございます。
これは、投資用不動産向け融資のうち一棟建て土地建物向けの融資の一部について、委員御指摘の、金融機関が中長期的視点からリスクの検討が不十分なまま、高額かつ高利回りの担保つき融資を積み上げるといったことがないか、あるいは、お客様の掘り起こしや、お客様からの審査関係資料の受領といったお客様との接点、これについて不動産関連の紹介事業者に依存することで、金融機関とお客様との間のリレーションが希薄になりまして、事業や顧客の状況を把握しづらくなっているのではないか、そういった問題意識からアンケート調査を実施したものであります。
このアンケート調査の結果、金融機関の一部には、長期的な事業、収支計画の妥当性を見きわめることが徹底できていない、あるいは、顧客財産、収入の状況を紹介業者に依存し過ぎず金融機関みずから実態を把握する、こういった点で改善の余地があるといった事例が見られました。他方で、融資後も賃料や修繕費等の実態を確認するなどの期中管理を行ったり、あるいは、将来に備えた余剰資金の積立てをお客様に提案しているという事例も見られました。
金融庁としては、このアンケート調査に対する回答の分析を踏まえまして、一部の金融機関に対して、立入検査も含めまして詳細な実態把握を行っております。また、適切な投資用不動産向けの融資慣行、これが金融機関に浸透するように、また投資家に対して十分な注意喚起がなされるように、所管業界との意見交換とか、あるいは個別の金融機関とのモニタリングの機会を通じて、問題意識を幅広く発信をさせていただいているところであります。
今後とも、金融庁としては、金融機関が顧客の状況について主体的に把握をするとともに、顧客との直接のリレーションを構築する、こうしたことで顧客の投資に対するリスクに対する理解を促進しまして、かつ、金融機関自身も融資業務を適切に行う、こういったことの対応を促してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 顧客の顔を見ずに、紹介業者が持ち込んできたものを認めてしまう、一棟建ての土地建物つきの本当に大きなローンを認めてしまう。ただ、これを、一部の銀行が不十分だったというだけでは済まないと思うんですね。
金融庁自身が、その後のマイナス金利の問題ですとか、やはり前のめりになってきたことがあったんじゃないか。これは部分的な問題ではないという反省もあるんでしょうか。
○堀本政府参考人 今般のアンケート調査に関してでございますけれども、アンケート調査の背景としまして、金融機関の業務について、さまざまな融資を適切にしていかなきゃいかぬということについて課題があるというふうな前提のもとでアンケート調査をやらせていただいております。
その上で、このアンケート調査も踏まえまして、繰り返しになりますが、立入検査も含めて詳細な実態把握及び金融機関に対する指導等をしてまいっているということでございます。
○高橋(千)委員 金融庁に対してはここまでにしますけれども、やはり全体として、最初に委員の皆さんがおっしゃっていたように、これをビジネスとして見たときに、前のめりになってくる、その中で悪質なものが出てきて、ただ、それが、悪質な業者がいたというだけの話にしてはだめなんじゃないかという問題意識から指摘をさせていただきました。今後も見ていただきたいと思います。
もう一つ、どうしても言わなきゃいけないのが、資料の四が、四月二十九日付の毎日新聞です。「レオパレス改修工期虚偽」とあります。
傍線にあるように、「同社が二〇一九年十月末、不良物件の改修時期について、実際には二年半以上かかる可能性があると認識しながら、「二〇年十二月末をめどに完了させる」と意図的に楽観的な見通しを公表した疑いがある」というふうに書いています。
年表が下についていますけれども、二〇一八年四月に、住居を仕切る壁が天井裏に設置されていないなどの施工不良が見つかったと発表された。ここからスタートしているんですけれども、この四月というのは、レオパレスがプレスリリースをやった日なんですね。
だけれども、国会の答弁をずっと追っかけていきますと、国交省は、同じ年の一月十九日に、オーナーさんから指摘をされてこのことを知っていますということを答弁をされています。
次の段、続きがあるんですけれども、外部調査委員会を経て、昨年十月三十一日、対象物件の何と九八・二%で調査が終了し、明らかな不備のある物件が、一万三千二百五十二棟が不備があった。ことしじゅうに終わらせると言っていたわけだけれどもそうなっていないということで、傍線を引いているところ、石井前大臣が会見で、国として指示してきた期限までに完了しない旨の報告があったことは大変遺憾と批判をしていたということもあります。
これは、国交省に報告をしてやってきた、けれどもそれが守られていない、進んでいないという問題なんですね。この点についてコメントをいただきたいと思います。
○眞鍋政府参考人 お尋ねいただきましたレオパレス21でございますが、昨年十月末に、ネイル六シリーズの明らかな不備について完了する、軽微な不備のみの物件の改修計画を報告する、こういったものを本年六月中に行うことを公表しております。また、その他のシリーズで明らかな不備のある物件の改修を本年十二月中に行うこと、こうしたことを公表しておりました。
これに対して、本年四月の三十日時点の改修工事の進捗でございますけれども、ネイル六シリーズの明らかな不備のあるものについては、約八割、六千二百十二棟で工事着手したものの、まだ工事完了は一割強の九百九十四棟にとどまっておりまして、十分な進捗が図られていないことは、私どもも極めて遺憾というふうに考えてございます。
一方で、四月の三十日、同社から、コロナウイルスに関するさまざまな影響を受けまして、四月以降改修工事の実施を見合わせていることから、期限を延長する旨の報告が再度ございました。
私どもの方からは、改修工事の再開について、所有者、入居者の意向を最優先させるとともに、感染予防の対応を徹底させること、遅延の原因を分析し、その改善策を報告すること、事態の推移、それから影響を見きわめて、できるだけ早期の改修完了を図るべく、改修計画を見直して報告すること、以上のようなことをあわせて指示してございます。
残された不適合の改修については同社が責任を持って確実に実施すべきであることは言うまでもございませんけれども、私どもは引き続き同社の取組状況を厳しく監視、指導し、入居者の安全、安心を守ってまいりたいと考えてございます。
○高橋(千)委員 残念ながら時間が来てしまったんですが、聞きたかったのは、こういう問題に対しても今回の法律が役に立つんだろうかという問題意識なんですよね。
さっきから重要事項説明の話ばかり出てくるんですが、どちらかというと、お金の話。だけれども、実際に、こういう物件の違法建築だとか不良だとかというのは、オーナーさんがそばにいるわけじゃないので、なかなか気づかないわけですよ。気づいたときには時効になっているわけなんですね。言った言わないはたった三年ですから、もうそれで時効になっちゃっているとか、あるいは、ゴールドネイルシリーズ、これは二十年たっちゃって顕在化して、やっとわかった、そうしたら、もう時効ですよと威張られちゃう、こういう事態になっているんですね。
やはり、三十年契約だったら三十年は保証するとか特例を設けるとか、そういうことをぜひ検討していただいて、こういう物件の問題でもやはり家主の保護ができるように検討していただきたいということを要望して、終わります。
ー資料ー