検査員処遇改善/空港保安業実態訴え
高橋千鶴子議員は13日の衆院国土交通委員会で、空港保安検査業務の劣悪な待遇の実態を示して改善を求めました。
高橋氏は、国交省がが4月に発表した対策が検査員の待遇に焦点をあてたことは「重要だ」と指摘。佐賀空港では国家資格1級を持つ検査員の月収が手当を含め16万円台である実態を紹介しました。
また保安検査の現場で委託された警備会社社員が強制力を持たされないまま働かされていることをあげて、「保安検査は国が責任を持つべきだ」と主張しました。
赤羽一嘉国交相は、待遇改善に向けて継続して「検討していきたい」と答弁。「あるべき責任(体制)のあり方は議論していきたい」とも語りました。
(「しんぶん赤旗」2020年5月21日付より)
ー議事録ー
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
きょう、午前の部でも小宮山委員が少し取り上げていらっしゃいましたが、エッセンシャルワーカーという言葉をよく耳にするようになりました。
資料の一枚目に東京新聞の十日付を書いているんですが、各国での最前線の英雄へということで、医療、交通、食品、社会を支える職業として、あるんだよということで、これは、たたえる気持ちと同時に、偏見や差別があるということを問題視して記事にしているということであります。
それから、資料の二枚目、これは、先ほど紹介がありましたけれども、政府の基本的対処方針の中に盛り込まれているもので、緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者の一覧があって、改めてこれを見ますと、国交省はかなりの部分にかかわっているんじゃないかと思うんです。
三にあるように、国民の安定的な生活の確保、インフラ関係、飲食料品の供給関係、生活必需物資の供給関係、要するに物流や宅配の分野など、そして四に、社会の安定の維持ということで、物流、運送サービス、安全、安心に必要な社会基盤、季節的にも河川、ダムなどの管理もかかわると思うんですけれども、こうした方々をやはりエッセンシャルワーカーというのではないか、このように思っています。
そこで伺いたいのは、こうした方々は、極めてリスクが高い、そういう中で、不安と緊張も強いられながら社会を支えてくれている現場の方たち。こうした方々を守り、かつコロナと闘いながら社会を支えていくために何をすべきか、まずは大臣の認識を伺います。
○赤羽国務大臣 本日午前中、小宮山委員の質問にもお答えをさせていただいたとおりでもございますが、今お話しいただきましたように、国交省管轄の中で、国民の皆様の生活、また経済活動の維持、そして災害からの復旧工事、こうしたことで、大変重要なところを担っていただいている方々がたくさんいらっしゃいます。
しかし同時に、そうした方々は移動も伴うわけでありまして、新型コロナウイルスの感染症に対する感染のリスク、また不安、大変厳しい状況の中で相当無理をしてお願いしているという状況でございます。
こうした中で、本当に、とうとい使命と責任を果たしていただいている皆様方に心から改めて感謝を申し上げるとともに、こうした方々が現場で感染のリスクから防止できるしっかりとした支援を講じなければいけない、こう心がけているところでございます。
長距離のトラックドライバーの世帯のお子さんたちに対して、午前中も申し上げましたが、愛媛県の二つの市で、小学校の入学式には出てきてはならないみたいな措置がとられたことは、大変私は遺憾に思っておりまして、これは文科省を通じてこうしたことを是正するようにしていただきたい。また、トラックドライバーの皆さんも、大変、一番無理をしながら、日々の生活維持のために懸命なとうとい貢献をしていただいているんだということを、あえて教育機関の場で教えていただけるようにというようなことも申し上げたところでございます。
加えて、現場の皆さんの感染防止という観点からも、これは当初から言わせていただいておりますが、現場でのマスクの着用、手洗い、うがいの励行、そして毎日の検温をしっかりやっていただきながら、調子が悪いときには仕事をしない、そして休みがとれるような状況を徹底していただくということをタクシー業界、バス業界、現場にお願いをしているところでございます。
また、現場視察をしたタクシー会社のところから、やはり中長期的に見てマスクの用意が相当厳しいということもありましたので、これは政府の、厚生労働省、経済産業省との連携の中で、公共交通、物流にかかわる皆さん方にもマスクの調達の支援もさせていただいているところでございます。
また、バスとかタクシーについては、特に運転席の防菌シートですとか感染防止の仕切り板等の導入を、今般通していただきました補正予算で措置をしているところでもございますし、また、なかなかまだとられていませんが、バスの運転手さんの席の周辺の座席の使用禁止措置をするといったこともこれから、やっているところもあるんですけれども、全国に広く展開できるように、私も陣頭指揮をとれるように今準備をしているところでございます。
他方で、鉄道やバス、大手ばかりではなくて、こうした最低の、公共交通機関としてのお願いをしている一方で、経営的に大変無理を言っているというところもございまして、これも、御質問もありました、こうしたことについては、社会的機能の維持、また混雑の回避、一方で、職員の皆さんの感染リスクの低減の必要性等々を総合的に勘案して、しっかり対話をしながら適切に判断していこうということを訴えているところでございます。
いずれにいたしましても、国交省管轄の大変重大な使命と責任を果たしている皆さんが安心して国民の皆様に引き続きとうとい貢献をしていただけるような万全の支援をしていきたい、こう思っております。
以上です。
○高橋(千)委員 何度かこの委員会でもこの問題を指摘をしてきたと思いますけれども、予算をつけたりとか、取組が前進しているのかなと思っているのと、差別の問題は逆に表面化をしてきていて、まだまだ解決ではなく、いろいろなところで問題が起きているという状態ではないのかなと思いますので、これは引き続き私たち自身も声を上げていく必要があるのかなと思っています。
それで、今回は、政府自身が、もちろん専門家会議の提言を受けてなんですけれども、新しい生活様式を呼びかけた。その中で、外食や買物を控えて宅配にしましょう、こういうふうに政府自身が呼びかけている。
私、そのときにすごく思ったんですが、空気が運んでくれるわけじゃないですので、運んでくれる人がいるということ、それが、今だって、そういう呼びかけをする前に、自粛が始まってからかなりの部分がそうした、日用品も含めて宅配に頼るというところが広がってきて、大変宅配労働者の労働強化にもなっている。これ自体、非常に重要な問題じゃないかなと思うんです。
そういう中で、資料の三枚目に、これは日テレのニュースで最初に見ましたので、ウーバーイーツの問題。これはちっちゃい見出しに書いているんですよね。「街で見かけるウーバーイーツ 巣ごもりで人気」ということで、結局、全体として、とにかくおうちで食事をとなっているものですから、そのニーズに応える業態として非常に広がっているということで、ここに書いてありますけれども、扱う店が一月で約三千店ふえて、全国で二万店ほどになったと。配達員の事故が全国で、本当に直近だけでも三十一件もあり、四月には、杉並区で自転車と車が衝突して、配達員をしていた男子学生が亡くなる、そういう事件もあったんですね。昨日は、ウーバーイーツの自転車が何と首都高を走っていたという驚きのニュースがあったんですけれども。
多分、私が思うには、やはり失業やリストラで、なれていないけれども何かしなければということで参入した人たちが、慌てているのか、道を間違えたのか、あるいは急いでいるということもあるんですよね、かなりの距離なんだけれども次に行かなきゃいけない、そういうことが背景にあるのではないか、このように思っております。
一点、まず厚労省に先に確認をしたいんですが、二月四日の予算委員会で笠井議員がウーバーイーツの問題を取り上げて、個人事業主扱いになっているために労災がないことや団体交渉権がないとかそういう問題を指摘して、総理自身も一定の認識を示したと思うんです。
ただ、私はきょうは単純なことを聞きます。政府の進める多様な働き方の中でも、個人事業主は確かに労働法が適用されないんだけれども、だけれども、例えばウーバーの場合でも、注文主と請負事業主であるウーバーとの間に請負契約があって、その指示に従って配達をするという関係ですから、これはもう労働者性があって、こういう場合は普通に労働法規の保護を受けると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○松本政府参考人 お答え申し上げます。
労働基準行政に関しましては、従来より個別の企業についての回答は差し控えさせていただいているということを御理解をいただけたらと思っております。
その上で、一般論として申し上げれば、労働基準関係法令における労働者とは、労働基準法第九条に規定する、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」のことであります。
この労働基準関係法令の労働者に該当するか否かは、契約形態にかかわらず、三点ほど申し上げますが、一点目としましては、仕事の依頼や業務指示等に対する諾否の自由はあるか、二点目といたしまして、業務を遂行する上で指揮監督を受けているか、三点目といたしまして、支払われた報酬が提供された労務に対するものであるか、ほかにもありますが、等の実態を勘案して、総合的かつ個別具体的に判断されるというものでございます。
以上のように、労働基準関係法令の保護を受けるか否かにつきましては、労働形態にかかわらず、労働者としての実態があるか否かによって決まるものでございます。
○高橋(千)委員 個別具体にというお話だったんですが、私が聞いたのは基本的なことで、厚労省の資料を読み上げましたので、これは間違いがないことだと思うんですね。
結局、何か労働者じゃないかのように議論が進んでいくのは逆にまずいだろうということなんですよ。
実は、さっき大臣、マスクのお話をされましたけれども、ウーバーの配達員の一人がツイッターの中で、ウーバーからマスクが届いたというのでツイッターに載せていましたので、やはりそういう自覚があるわけですよね。当然、指揮命令になっているというふうな、そういう働き方が今すごくふえている。そして、国自身が宅配でやりなさいと言っている以上は、そういう事故もふえるだろうし、不安定な働き方、そういう形のアルバイトをせざるを得ないということはふえてくるだろうと思うんですね。
そういう意味で、調査をきちっと行うことや労働者性をしっかり尊重してやるということは、国交省としてもちゃんと見ていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○赤羽国務大臣 私たちの立場は、まず、今回の緊急事態宣言が延期をされた、その中で、今高橋委員言われたように、外出自粛、自宅にステイホームと言われる中で、五月四日には、新しい生活様式ということで、食事はデリバリーや出前を活用するといった実践例も公表された。こうしたことを受けて、私たちが所管でできることは、やはり、こういう小回りがきく、また安全にデリバリーができるということでタクシー事業者に対して特例を与えた。許可を受けた上で、有償でこうした飲料品とか食料品、お弁当みたいな類いのものを貨物運送として特例的に認めることとしたわけでございます。
実は、五月一日時点で約九百社、タクシー事業者が許可を受けてやっておりまして、本業の方も相当今厳しい状況でありますから、これはぜひ、また、ニーズもあるし、引き続き、期間も延長したことなので、五月三十一日までの延長に合わせてというようなこともございまして、いろいろ検討しまして、これは意味もあることだし、それなりの投資もしているので、五月で切るということもまたちょっといかがかというようなことで、九月三十日まで実は延長させていただいております。
ポストコロナということで、さまざまな生活様式が変わって新しいニーズも出てくると思いますので、そうしたことで、これは特例的ではありますけれども、九月三十日まではタクシー業界にお願いをする、それは、私たちは、安全というものが担保されているからこれはしっかりと支援をしてもいいだろう、そういう判断があるということでございます。
○高橋(千)委員 今、タクシーの話をされました。やはり、頼む側もニーズがあり、受ける側も仕事が必要だということでのニーズがあり、そういうことで新しい業態が生まれてくるんだろう、前回のタクシーの九月末という答弁を聞いていて、そのように思いました。
ただ、それは本当にあり得るんですけれども、だからこそ、やはり、だからやむを得ないという形で、何か事故やトラブルがあったときにそれが守られない、要するに、利用者が守られない、あるいは働く人が守られないというようなことがあってはならないと思いますので、そこはよく厚労省とも連携をしながら見ていっていただきたい、そのことを強く訴えたいと思います。
それで、次に、これもある意味エッセンシャルワーカーに当たると思うんですけれども、空港の保安検査員について伺いたいと思います。
資料の四枚目についているんですが、四と五、六ということで資料をつけておきましたが、国交省の航空局が、保安検査員の人材確保・育成を図るための今後の対策取りまとめ、これを発表しました。二〇一六年の十二月の十五日、第一回をやりまして、ワーキンググループで検討を重ねてきたと思いますが、これを設置した目的と取りまとめのポイントを簡単にお願いします。
○和田政府参考人 お答え申し上げます。
昨年秋以来、大阪、伊丹空港等におきまして保安検査トラブルが相次いだことから、国交省では、個別事案ごとに原因究明と再発防止策に取り組んできましたが、保安検査を適切かつ確実に実施するためには、保安検査の抜本的な運用改善が必要という認識を持っております。そのため、今委員から御指摘がありましたワーキンググループを開催いたしまして、検査員を含む現場の声を聞きながら課題や要因の分析を行ってまいりました。
今般、関係者がそれぞれの立場で何をすべきか明確にした上で、四点を柱といたしまして、一点目が労働環境面の改善、二点目が待遇改善や人材確保、三点目が検査能力や効率性の向上、四点目が旅客への働きかけという四項目でございますけれども、対策を取りまとめ、四月十七日に公表したところでございます。
○高橋(千)委員 簡潔にありがとうございます。
実は、これは資料の四枚目が昨年もらったものなんですね。資料の四枚目の論点は、検査員への教育、訓練とか、求人活動における協力策の検討云々ということだったんですよね。ところが、四月十七日の発表を見ますと、今答弁いただいたように、労働環境改善、待遇改善、人材確保云々ということで、やはり待遇の問題、労働環境の問題、このことにフォーカスが当たってきたということなんじゃないか。これはすごく重要なことだと思うんですね。
これをちょっとめくっていただきまして、資料の七枚目に昨年十二月四日付の産経新聞がつけてありますけれども、今紹介があったように、事故がすごく続いたわけですね。
もともとは、二〇一六年度、成田空港で大量離職がありましたよね。九百人のうち二百九十人も保安検査員が離職したということがまず大きなきっかけだったのかなと思うんですが、昨年の十月から、伊丹空港のナイフを見逃しちゃったという事件があって、そのときは大変なニュースになりましたよね、大分とまったので。ただ、その乗客は、見つかったんだけれども、羽田空港で全日空のジャカルタ行きに搭乗してしまって、そこでも見逃しちゃったという事件だったんです。その後も、十月十七、十一月九日ということで、伊丹で見逃し事件があった。そこの背景に、今言ったようなやはり待遇の問題があるのではないか、このように思うんですね。
航空法の八十六条では、今言ったような危険なものがあった場合、持ち込んではならないということがまず書かれてあって、第二項で、航空会社は、相当な理由がある場合は、持込みを拒絶し、取卸しを要求できる、ここまで書いているんですね。
だけれども、聞きたいのは、保安検査業務の責任は航空会社にあって、実質、現場に出ている前線の人たちは、警備会社の社員が委託を受けて行っている。つまり、その保安検査員は、乗客に対して協力を求めることはできるけれども、結局、それはだめですよというふうな強制力がないというのがやはり背景にあるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○和田政府参考人 お答えを申し上げます。
我が国では、委員御指摘のとおり、航空会社が一義的に保安検査の責任主体となっておりますが、実際の保安検査業務は、一部の離島空港等を除きまして、航空会社から委託を受けた警備会社が実施をしております。
保安検査は旅客の同意を得た上で行われるものでありますけれども、同意が得られない場合には、また検査で旅客の手荷物等から凶器等が発見された場合には、航空会社の運送約款に基づきまして航空機への搭乗拒否が行われることになります。このような形で、航空利用者に対して保安検査の実効性を確保しているところでございます。
○高橋(千)委員 搭乗拒否を行えるのは検査員じゃないでしょう。ちゃんと答えてください。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
まさに保安検査は航空会社の一義的な責任ということでございまして、この約款に基づいて搭乗拒否を行えるのは航空会社になります。
○高橋(千)委員 そこなんですよ。だから、目の前で検査員が気がついたとしても、そこまでの、もちろん、これはお断りしますと言うけれども、万が一それが問題になったときどうするかといったときには、やはり航空会社の社員が来て、ちゃんと手だてをとらなきゃいけないんですよ。
まして、質問主意書も、昨年六月に松平浩一さんが出したのが出ていますけれども、それに対しても、本当に凶器が出てきたら警察を呼ぶというふうに書いているんです。だから、現場ではそこまでの権限がない、権限もないし不安定な働き方だというところに問題があるんだということで議論してきたんじゃないかと思うんですね。
そこで大臣に伺いたいんですが、まず、この前線の保安員の方たちの賃金がどの程度になっているか。いろいろ違いはありますけれども、相場、御存じでしょうか。
○赤羽国務大臣 保安検査員の賃金というのは、いわゆる警備全体、ガードマンというかと一緒になっているので、さまざまなその中でも職種があって、随分そこの賃金幅があるという前提なので、ちょっと正しくはないかもしれませんが、いわゆる一般の平均月収から見ると六割ぐらい、相当厳しい状況であるということはお答えできると思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。全体の六割ぐらいというお答えでした。
産経新聞のこの右端にもちょっと書いているんですけれども、「昨年度の平均月給は約二十三万七千円。」と書いているんです。だけれども、そういうのはまだ高い方なんですね。
私は、昨年末、佐賀空港で働く保安員から話を聞きました。これは警備業法の資格なんですけれども、空港保安業務一級の国家資格を持っている勤続七年の労働者でさえ、所定給は十二万六千六百三十六円です。勤務手当、精勤手当を足しても十六万四千六百三十六円と、驚く事態なんですね。
彼らは、自分たちのところが特別なのか、全体もそうなのかということで、ほかの地方空港の求人票で調べました。残念ながら、自分たちのところが一番低い。だけれども、やはり十三万円台から十七万円台と、いずれも低賃金なんです。これは航空会社からの請負料に支配されているからだというふうに思うんですね。
働き方も、これはコロナの前ですよ、月二百五十時間を超える長時間労働です。早朝、深夜もあります。もともと休憩室もなくて、一つの便の保安検査が終わって次が始まるまでの間、結局、旅客と一緒のロビーで座って待つしかない、そういう働き方をされて頑張っているわけなんです。
せっかく、さっきの検討会の報告書にあったように、課題がわかっている、処遇改善しなくちゃいけない、待遇が悪い、人も足らない、そういう状況で、わかっているのに処遇改善に今回踏み込まなかったのはなぜでしょうか。
○和田政府参考人 お答えを申し上げます。
今般まとめました対策につきましては、短期的に実施できるもの、これを中心にまとめさせていただきました。
この対策の取りまとめで議論が終了というつもりではございませんで、今後も、労働環境のさらなる改善等による人材確保、育成、また保安検査の高度化につきまして引き続き検討を進めることとしており、航空保安対策に万全を期してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 資料の最後のところに主な空港の警備会社一覧を出しておきました。全部委託でございますからね。
それで、ちょっと時間がないので、まとめて質問します。
そもそも、ハイジャックやテロ対策のための保安検査という重要な位置づけなので、やはり、アメリカなどのように、国家が保安検査に責任を持つ、そういう立場に立つべきではないかと思うんです。
それを踏まえて答えていただきたいなと思うんですが、今、コロナの影響で、航空機の減便、極めて深刻な状況になっています。佐賀空港は国際線の全面運休、一日五往復あった羽田便は一日一往復に、成田便は一日二往復あったんですが、週一回、日曜日の一往復だけになってしまいました。これは全国に共通する問題だと思うんですけれども。ですので、所定給が物すごく低くて、それプラス、一定の時間外があって何とかなっていたものが、それもばさっとないような状態なわけです。コロナで団交も拒否されているという形なんです。
そういう中で、伺いたいのは、今、コロナの出口戦略を政府は考えていると思います。前回の物流のときも議論がありましたけれども、空港が当たり前に再開できるようになったときに、保安業務は絶対必要ですよね。ないわけにいかないですよね。この保安検査員の方々が、このまま減便や休業状態が続くと、もうやめようかという気になっているんです。回復期に備えてしっかりと雇用を維持することが必要じゃないでしょうか。大臣に伺います。
○赤羽国務大臣 そもそも、昨年、伊丹空港を始め同じようなトラブルがあったときに、高橋さんの資料みたいな形で、一体現場はどこがやっているんだ、この会社が大体問題があるんじゃないか、ちゃんとそういうことを、いわゆるブラック企業じゃないのかどうかとか、そうしたことは徹底的にちゃんと調査するようにという指示をさせていただきました。
その中で、やはり待遇が低いというようなこともあり、今、中間報告でありますので、項目は出ていて、そこから踏み込んでいないという御指摘だったと思いますけれども、やはり、私も現場へ行きましたら、若い人が多いんですね。そこは、定着しない、離職率が高い。中部だったかな、年配のというか、私たちぐらいの女性がてきぱきやっているところでうまくいっているような例もある。
そうしたことも考えながら、また同時に、国家資格というか、大変な業務なので、それはやはり、誇りを持てる、誇りを持って、処遇も改善できる。その中で、実情を聞いてみますと、クレーム対応もさせられたりとかということで、とても対応できないということで、今回の中間報告の中では、クレーム対応は全然別の、ちゃんと専門的な専門官を置くみたいなことを整理していこうと。
そうしたことを一つ一つやっておりまして、今、こうした時期ですので、それを徹底しながら、航空需要が戻ってきたときに、保安検査員がいないから便をふやせないとか、また、航空業界自体もそうなんですけれども、大変な状況を今支援しなければいけないことはちゃんとやりながら、大きな問題だということはよく認識をしておりまして、そうした検討会もつくっているわけですから、この中間報告に終わらずに、そうした議論をしっかりともう少し詰めて、きのうも局長と答弁しながら、責任体制もどうあるべきかということも踏まえてしっかり検討していきたいということが国交省の思いでございますので、今後、いい御報告ができるようにしていきたいと思っております。
○高橋(千)委員 最後の一言のところなんですが、責任体制はどうあるべきか、もう少し踏み込むということでよろしいんでしょうか。
○赤羽国務大臣 各国によって、国が直接している例もあれば、航空会社じゃなくて空港会社がやっている国もありますし、そうしたことも踏まえて、私はちょっと、国が直接やるというのは、そういう国に滞在していたことがありまして、非常に嫌な思いをして、平気で人のものをぶっ壊すみたいな、それが果たして本当にサービス業としていいのかなというようなことを感じたのも事実でして、それはちょっと余談ですけれども。
私は、今の航空会社がしっかりとした責任を持って、その責任の中で、しっかりとした会社で人材を育てることをサポートするということも本当はあるべきなんだと思いますけれども、そこは予断を持たずに、あるべき責任のあり方というのはしっかり議論をしていきたい、こう思っております。
○高橋(千)委員 国によっていろいろあるとは言いましたけれども、私がアメリカの場合を言いましたけれども、実際は、国際民間航空機関、ICAOの、日本もそれに準拠してやっていると言っているわけですよね。それにふさわしい責任を果たしているかということがやはり問われていると思うんですよ。
委託料が最賃を割るかもしれないような処遇をやっている、それでいいのかということが問われていると思いますので、ちゃんとした報告を出すと言ってくださいましたので、そこに期待をしたいのと、そこまでやはり雇用が維持できるような支援もお願いして、終わりたいと思います。
ー資料ー