ー議事録ー
○高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、都市再生特措法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
昨年の台風十九号では、十四県四十二市町において、立地適正化計画の居住誘導地域で浸水被害が発生しました。立地適正化計画を作成している自治体のうち、浸水想定区域など災害時の危険区域を居住誘導区域に含めている自治体が九割を超えていることがわかりました。本法案で、まちづくり計画を防災優先にし、浸水想定区域や土砂災害危険区域など災害リスクを的確に反映して、開発許可などの規制強化が盛り込まれたことは当然のことであります。
しかし、以下の点で問題があり、法案に賛成できません。
反対する第一の理由は、民間都市再生事業が、大都市部の大規模開発事業を進める民間大企業、大手不動産、ディベロッパーなど特定の大規模事業者を容積率緩和、税制措置などで優先的に優遇するものであるからです。その事業計画の認定申請の延長は認められません。
二〇〇二年に都市再生特措法を制定した当初、都市再生政策は、バブル崩壊後の低迷する開発事業の打開策として打ち出されました。しかし現在は、都市再開発ラッシュで、大手建設、不動産、開発事業者は史上最高の利益を更新し続けています。その意味において、都市再生政策は役割を終えています。
ところが、アベノミクスの都市再生政策は、国際戦略特区都市再生プロジェクトや国際競争拠点都市整備事業など、特定の開発事業者等への手厚い支援を一層露骨にしています。
二〇〇五年から、民間都市再生事業計画の認定は百三十二件に上ります。免税等による優遇は、一三年度から七年間で四百億円を超える額に上っています。また、民都機構の支援対象をスマートビル建設での情報化基盤設備なども加えますが、優遇策の拡大であり反対です。
第二の理由は、一体型滞在快適性向上事業が、大都市部を中心にまちなかウォーカブル推進事業などと一体で行われる都市構造改変や、他の都市開発事業とともに特定の大手開発事業者を優遇する大規模開発事業を後押しする懸念があるからです。
歩きたくなる町中は、車中心のまちづくりから歩く人に重点を置いたまちづくりへの転換であり、方向性は賛成です。
しかし、本法案で推進するまちなかウォーカブル事業は、官民連携と称して、街路、公園、広場など公共空間を利活用した民間事業を集中的、一体的に支援するとし、民間事業者に行政の普通財産を時価よりも低い対価で貸し付け、補助金も公共と同率、税制優遇など、異例の優遇策となっています。さらに、大手開発事業者を含む都市再生推進法人に道路や都市公園の占用、使用の許可にかかわる事務を行わせ、民都機構から融資を受けられるようにもします。
予算措置においても、社会資本整備総合交付金の都市再生整備計画事業を再編し、個別支援制度として都市構造再編集中支援事業を創設、立地適正化計画を策定している市町村と民間事業者を集中支援しようというものであり、偏り過ぎていると言わなければなりません。
以上で反対討論を終わります。