国会質問

質問日:2020年 3月 10日 第201国会 東日本大震災復興特別委員会

被災者に支援継続を

衆院復興特委/高橋氏「必要な人いる限り」

 日本共産党の高橋千鶴子議員は10日の衆院復興特別委員会で、東日本大震災でいまだ苦難のなかにある被災者の実態を示し、復興に国が責任を果たすように求めました。

 高橋氏は、NHKの被災者アンケート(7日報道)では「今も被災者だ」との回答が約6割と紹介。被災企業を支援する「グループ補助金」を受けた会社の倒産も相次いでいることを示し、「支援を必要な人がいる限り、支援を続けるべきだ」と主張しました。

 田中和徳復興相は「地元知事や市町村長をはじめ各方面からの要望には細かく対応してまいりたい」と答えました。

 高橋氏は、具体的には被災地の固定資産税の特例を取り上げました。津波で家屋が流失しても宅地とみなして税を減額する特例が、21年3月を期限としているからです。総務省の谷史郎官房審議官は、こうした特例で生じた自治体の減収に対して国は11~18年で総額862億円、ほかにも地方自治体の単独補助が401億円だと明らかにしました。

 高橋氏は、特例廃止で固定資産税が最大6倍になると指摘しました。特例期限に向け減税率が段階的に引き下げられるなかで、陸前高田市では住民から「なぜ税が上がったのか」との声が寄せられていることを紹介。土地区画整理事業や建築の遅れによって期限までに新居が間に合わない人もいるとして特例の延長を求めました。
(「しんぶん赤旗」2020年3月12日付より)

 

ー議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 日本原水爆被害者団体協議会、以降、被団協と言いますが、ニューヨークの国連本部で四月下旬から開く原爆展に対し、外務省が後援見送りを示唆してきたと報じられました。原爆展は、五年ごとに開かれるNPT再検討会議に合わせ、二〇〇五年から連続して行ってきたといいます。
 資料を配付できればよかったんですけれども、手元に資料をいただきまして見ましたけれども、チェルノブイリ原発事故、それからスリーマイル島の事故、これが一枚ずつ、そして、福島は二枚なんですけれども、事故直後の三号機の様子、そして浪江の捜索の様子の写真が、パネルが一枚、それから、道路をイノシシの親子が列をなして横切っている写真ということで、原発事故の余波と題したパネルでありました。
 今まで問題なく後援をしており、かつ、今回も国連本部はもう既に了解していると聞いております。なぜ今回難色を示したのか理解ができないし、これは不当な圧力だと言われても仕方ないと思います。もちろん、被団協は、見直しはせず、展示は行うと聞いております。
 三月五日の参議院の予算委員会で、我が党の井上哲士議員に対し茂木外務大臣は、今審査中と答え、被爆の実相に関する正確な認識を持つことは、核軍縮に向けたあらゆる取組のスタートとなると述べています。
 もし前回と今回で判断が分かれるとすれば何が理由なのか、外務省に伺います。

○加野政府参考人 お答え申し上げます。
 先般、外務省に対しまして、四月末から行われます核兵器不拡散条約運用検討会議の際に国連本部で開催予定の原爆展について、後援名義の使用許可申請がございました。
 今般、同協議会からなされました後援名義の使用許可申請につきましては、現在、外務省において審査中でございまして、許可又は不許可という審査結果を前提とした御質問にはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

○高橋(千)委員 これまでもそのくらいのスケジュールだったんでしょうか。また、示唆したということが報道されたのはなぜか、考えられることをお答えください。

○加野政府参考人 お答えを申し上げます。
 申請団体と現在やりとりをしながら、丁寧に審査をさせていただいているところでございますけれども、審査状況の詳細を明らかにすることについては差し控えさせていただきたいと存じます。

○高橋(千)委員 これはいずれ明らかにしていただきたいことだと思うんですね。一方の団体の側が主張していることでありますし、五年ごとに開かれて、今まで問題がなくやられてきたのにこうしたことが起こったということを、わざわざありもしないことを言っているわけじゃないわけですから、これはいずれ明らかにしていただきたい、そして、後援の取消しということがないようにお願いしたい、このように思うんですね。
 この点で、大臣にもぜひ伺いたいと思います。
 原発は、核兵器の原料であるウラン235やプルトニウムを燃料とします。特に、プルトニウムの分離については、余剰プルトニウムを持たないということで、厳格に報告が求められています。原子力の平和利用は、核軍縮、不拡散と並ぶNPTの三つの柱となっています。報道されているのは、だからだめだというふうなことが報道されているんです。だから、それはおかしいでしょうと私は言いたいんです。
 原発事故からの復興は特別の困難を伴うことであることは大臣も共有するのかどうか、そのためにも、原発事故がもたらした被害を国際社会に訴えていくことは重要であり、原爆と並んで展示することは矛盾しないと思います。認識を伺います。

○田中国務大臣 未曽有の大震災だとか原子力災害からの復興には大変多くの困難が伴うと認識をしておりまして、私の方も、所信表明等、いろいろと過去にもお話を申し上げてまいりました。
 引き続き、国際社会に対して、長期にわたる取組の必要性だとか、復興が進む福島の姿を丁寧かつ正確な情報発信として努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
 原子力発電所の事故というものは大変重いことだと思っております。

○高橋(千)委員 精いっぱいのお答えをいただいたと思います。
 津波被災地域は五年、福島は十年という区切り方、これ自体も、今、きょうはそれを論じはしませんけれども、やはり、原発事故の特殊性ということを考慮して、今も避難指示が全て解除されたわけではないということを考慮してのことだと思っているわけですね。ですから、国際社会にこの現実をちゃんとアピールしていくことは何の矛盾もしないことだ、このことを重ねて指摘をしたいと思っております。
 そこで、次に進みますが、あすで東日本大震災と原発事故から丸九年となります。先ほど来議論があるように、新型コロナウイルス肺炎のために、慰霊式典が中央も被災地でもほぼ中止となったことは大変残念でなりません。私も、この後向かうつもりでありますけれども。
 そこで伺いたいのは、まず、三月二十六日には聖火リレーをスタートさせる予定でした、福島から。これは変更がないのか、伺います。簡潔に。

○諸戸政府参考人 お答えを申し上げます。
 国内における聖火リレーにつきましては、組織委員会は、政府の新型コロナウイルス感染症対策の基本方針を踏まえまして、三月四日に、聖火ランナー、観客、スタッフに感染症が広がらないための適切かつ必要な対応をしながら実施するなどの基本的な考え方を公表しております。
 福島のJヴィレッジからスタートをする聖火リレーにつきましては、この今申し上げました基本的な考え方を踏まえて、組織委員会などにおいて、実施に向けた具体的な検討が進められているところであると承知をいたしております。

○高橋(千)委員 沿道の対策などがけさのニュースでも言われていたと思うんですけれども、無観客試合をあちこちでやっている中で、同じことはできない、同じことはできないというか、要するに、沿道をにぎわして聖火リレーということはできないんじゃないか、当然そういう検討をされていると思いますけれども。
 そこで、私は、二〇一八年の十二月の四日の本委員会で、聖火リレーの質問をしています。そのときに、与党の第七次提言でこう書いてありました。「二〇二〇年前半には幹線道路沿いや身近な場所から仮置場をなくす」と書いているんですね。これは、身近な場所ってどこですか、聖火リレーの沿道だけきれいにするんですか、こう聞いたわけです。そうすると、答弁は、常磐自動車道、国道六号線などの主要幹線道路沿い、そして、身近な場所というお答えだったんですね。だからどこかと聞いているんですよと言ったら、身近な場所としか繰り返せなかった。リレーの、いわゆるルートが決まっていなかったということもあるんだけれども、やはりそれは、沿線が決まれば、ルートが決まればそこは中心にということにほかならないんじゃないかな、私はそういうふうに思ったわけなんです。
 二月二十九日付の朝日新聞の読者欄に、福島県の男性の投書が載っていました。
 双葉町、大熊町を含め、避難指示が出た全十一市町村を聖火ランナーが走ることになりそうだ。走る姿はテレビなどで全国に放映されるだろう。一見、明るいニュースだが、今のルートでは福島の現状が伝わらないのではないか。大熊町の移転、再建された新庁舎前、浪江町では、国や県が整備するロボットの研究開発拠点、水素製造施設を走るだけだ。そうした映像をつなげて放映すれば、避難指示は全て解除され、全被災者が普通の生活に戻っているように誤解する人も出てくるのではないだろうか。復興五輪という名のもとで原発事故が終わったような印象を与えるなら残念でならない。負の部分もしっかり伝えてほしい。
 これは、まさに、私が二〇一八年に質問した趣旨と全く同じことを指摘しているなと思うんです。
 今、ことし三月五日の環境省の数字で、中間貯蔵施設への汚染土壌の搬出量は、搬出計画量一千四百万立米に対して六百三十七・八万立米、四五・六%、まだ半分残っているんですね。仮置場単位で見ますと、七百六十カ所の仮置場、五割以上が残されているという状態なんです。
 その状態の中で、きれいに片づけられたところだけを走り、新しい施設だけを走るとなれば、見せかけの復興五輪と言われても仕方がない。負の部分もしっかりと伝えていくべきではないんでしょうか、大臣。

○田中国務大臣 お答えをいたします。
 復興五輪は、世界じゅうからいただいた支援の感謝だとか復興しつつある被災地の姿を世界にお伝えをすることが非常に重要なことだと思っておりまして、被災地としても、被災地の産品、食材の活用、PR等がなされ、風評払拭につながることを期待する声も強いものがございます。また、被災地での聖火リレーの多数の応募があるなど、期待も非常に大きいことは事実でございます。
 一方で、復興のステージに応じて生じる新たな課題だとか、多様なニーズへのきめ細かな対応、震災の記憶と教訓を後世にお伝えをする、こういうことも非常に重要でございます。
 いずれにしましても、道半ばでございますので、いろいろな課題が山積しておるわけでございますが、引き続き、被災地の方々に復興五輪の理念を実感いただけるように努めてまいりたいと思いますし、福島の復興と再生にしっかりと努力をして加速をしてまいりたい、このように思っておるところでございます。

○高橋(千)委員 全然聞いたことに答えていないと思っております。一般論じゃないんです。聖火リレーで本当に整ったところだけ見せるというのが正しい復興五輪のあり方かと聞いております。
 私が紹介した読者欄の前の日の朝日新聞にこういう記事が載っておりました。例えば大熊町、町民は百五十人しか今住んでいない、バスを出して沿道に人を集めるんだ、それでも五百人の目標は達成できないので、東電や関連企業にお願いをして集めるしかないねと。何というか、まさにそれ自体が現実なのかなと言わなきゃいけないけれども、内堀知事は、F1の近くやフレコンバッグのあるところを走るということも考えた、しかし、それではやはり余りにもじゃないかという町内の意見があって踏みとどまったということがあります。
 でも、本当にそうだろうか。知事がそこまで考えたのであれば、もう一度考える必要があるんじゃないでしょうか。今、コロナの対策で、やはり同じような計画ではできないんです。聖火リレーだけ人をいっぱい集めても大丈夫となったら、それはおかしいんですよ、今の政府の方針からいって。ですから、もう一度そうしたことも含めて検討していただきたい、このことを重ねて指摘をしたいと思います。
 大臣、もしか一言ありますか。

○田中国務大臣 私も、朝もテレビ報道がありましたし、拝見をしておりました。復興五輪に関する批判的な御意見も承知をしております。
 今私が申し上げましたとおり、被災地では復興五輪の機運を着実に醸成をされてきた、こういうことも事実でございまして、とにかく復興五輪がしっかりと成功するように、また、地元の皆さんの御期待に応えて、ひとつ復興が前進をするように、その契機となるように努めてまいりたいと思っております。

○高橋(千)委員 全然聞いていることと違うんですけれども、少し話を進めたいので、ここは指摘にとどめたいと思います。
 県政の復興に必要な取組のトップは、原状の回復、汚染土壌の撤去、これが一番県民が望んでいることです。そのことを忘れてはなりません。
 昨年十二月二十日に出された復興の基本方針は、十年間の総括と今後の課題、次の大規模災害に生かすべき教訓が前半に書かれているんですね。読んでいて、やはり違和感を感じました。あれもやったこれもやったと、リレーの話じゃないんですけれども、ほとんどうまくいっているように読めるからなんです。
 七日のNHK夕方のニュースで、NHKが被災三県の被災者に聞いたアンケート、これについて報じていました。一生被災者だという男性の声が入ってきて、どきっとしました。九年たっても、今も被災者だと感じている方が六割余りであること。例えば岩手県沿岸部の男性は、ハード面の整備は一定の展望が開けるが、減少した人口や縮小した地域経済、破壊されたコミュニティーはもとに戻らない状態が続いており、見通しは極めて暗いと述べております。
 宮城県石巻市でも、以前私が訪問したグループ補助金で再建した水産加工会社、残念ながら倒産しました。八日付の毎日新聞によれば、被災三県で、こうしたグループ補助金などを受けた被災企業の倒産が七十五社に上ると報じていました。自己負担分の融資返済や、販路の回復ができなかったのが要因と見られます。
 立派に道路や建物が立ち並んでも、人々の暮らしとなりわいが再建されなければ真の復興とは言えないと私は繰り返し指摘をしてきました。だから、今も被災者という言葉が出てくるんじゃないでしょうか。
 支援を必要とする人がいる以上、支援は続けていくと、大臣、約束ください。一言で。

○田中国務大臣 私ども、基本方針でも示しておりますように、地震、津波の被災地域については五年、あるいは福島の原発被災地域については十年という数字を示しつつ議論をさせていただいておりますけれども、状況に応じてそれぞれ対応をしていくということも一方で申し上げておるわけでございまして、地元の知事、あるいは市町村長さん始め、各方面からの御要望にはいろいろと細かく対応してまいりたい。きめ細かく対応することによって、いろいろな、先生の今のお話にも応えていけるものであると思っております。

○高橋(千)委員 一つだけ具体の例で質問します。
 資料の1を見てください。大震災にかかわる固定資産税の特例についての資料であります。
 避難指示区域にある土地及び家屋が免除なんですけれども、解除されれば、人が戻ったかどうかにかかわらず、三年過ぎて、半額になるというふうに、これは何種類もあるんですね。被災したもとの宅地、それから高台移転などの移転した先の宅地あるいは住宅、それぞれ細かい固定資産税の減免措置があります。どんなものがあるか説明する時間がないので、資料をつけておきました。固定資産税のしおり、絵で描いておりますので、こんなふうにいろいろなメニューがある。
 陸前高田市に聞きましたら、住宅を取得して三年間、あるいは四年目、五年目から六年目というように、減税の幅がちっちゃくなるというんでしょうか、それで、この難しい計算を理解できる人はなかなかいないので、何で固定資産税が上がっちゃったのかという問合せが今市役所に来ている、こういう状態なんですね。
 それから、来年の三月末までに住宅の取得が間に合わない世帯も出てくるだろう。そうすると、このせっかくの減免措置も使えない。これはやはり延長すべきじゃないか。まさに、必要とする人に対しての延長が必要だと思います。
 そこで、総務省に伺いますが、固定資産税の特例を補填してきた総額、どのくらいでしょうか。延長について見解を伺います。

○谷政府参考人 お答え申し上げます。
 東日本大震災に係ります地方税法等の特例措置や条例による減免により生じる地方団体の減収に対しましては、震災復興特別交付税により補填措置を講じております。
 この中で、地方税法等の特例措置による減収に対する補填措置のうち、固定資産税に係る算定額につきましては、平成三十年度は四十一億円、平成二十三年度から三十年度までの累計で八百六十二億円となっております。
 また、条例による減免の減収に対する補填措置のうち、固定資産税に係る算定額につきましては、平成三十年度は十六億円、平成二十三年度から平成三十年度までの累計で四百一億円となっております。

○稲岡政府参考人 固定資産税の特例措置の関係についてお答えを申し上げます。
 固定資産税の特例措置につきましては、特例期限が定められているものがございます。これらの特例措置につきましては、その期限到来の際に、復興施策の進捗状況や効果検証、被災地方公共団体の要望等を踏まえ、税制改正プロセスの中で検討がなされるものと考えておるところでございます。

○高橋(千)委員 客観的な答弁でございました。
 検討がされるということでありましたけれども、やはりその材料として、現実に、まだ、三月末までに新築が間に合わない、それは個人の理由だけではなくて、土地区画整理事業が終わっていない、あるいは建築工事が混んでいて間に合わないとか、そういういろいろな事情があるわけなんですよね。なので、そうした地域の実情をちゃんと踏まえて対応するべきだ、このように思いますが、いかがでしょうか。もう一声。

○稲岡政府参考人 お答えを申し上げます。
 繰り返しになりますが、期限到来の際に、さまざまな状況等を踏まえまして、税制改正プロセスの中で検討がなされる、こう考えております。

○高橋(千)委員 大臣に最後、要望だけして終わります。
 必要な支援は期限を区切らずにという話をしました。こういう問題がやはり現実に起きているんです。
 きょうは固定資産税だけの話をしましたが、さまざま、例えば再生特区の減税制度をやってくれとか、あるいは医療、介護の減免制度の問題とか、現実に必要としている支援というのをやはりつかむのも復興庁の仕事でありますので、それに対してしっかりと応えていただきたい。
 夏にいずれ検討すると思うんですけれども、そのときに、前に、せっかく被災地を回ってくださっているんですから、そこをつかんでいただいて、ぜひ現実的な支援に結びつけていただきたい。重ねてしっかり要望して、終わります。
 ありがとうございました。

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