古米・古古米の匂いを消したり新米の味に近づけるために、食品添加物である「炊飯改良剤」や「精米改良剤」が使用されている問題が30日の衆院農林水産委員会で取り上げられました。
日本共産党の高橋千鶴子議員が「食品衛生法の表示義務違反であり、食の安全を守るため徹底した調査・指導を行うべきだ」と求めたのにたいし、外口崇厚生労働省食品安全部長は「表示義務があるのに表示がない場合は違反だ。適切な表示が行われるように関係業者に注意を喚起していきたい」と述べました。
添加物には表示義務がないものもあり、表示義務があっても一括表示などで消費者が気づかない場合も少なくありません。がん促進作用や、塩分が多く血圧が上がるなど健康に影響が出るものも含まれているため、適切な表示や必要な規制が求められています。
高橋氏は、精米段階で噴霧するなどして使われている添加物には、溶血作用が問題になったプロピレングリコールや、がnの促進作用が疑われる乳化剤(グリセリン脂肪酸エステルなど)が含まれていると指摘。「食の安全・安心にかかわる問題。しかも、主食であるコメに添加物が使われている。徹底した調査・指導を行うべきだ」と述べました。
外口氏は、「各自治体で適切な指導が行われるようにしたい」と答えました。
(2004年12月1日(水)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
きょうは最初に、厚生労働省に伺います。
古米や古々米を外見上も食味でも余り変わらなくする炊飯改良剤なるものが外食産業で広く使われているといいます。さらに、外食産業自身が知らないと言われていますが、精米業者の一部の中に精米改良剤というものが使われているようです。精米をする前の古々米に液体を散布すると、白くなり、光沢が増し、においが全くなくなり、新米そっくりになるということであります。
成分はプロピレングリコール、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどなど、非常に重大なものが入っているかなと思うのでありますけれども、これらの問題について厚労省として承知をしているのか。
また、当然、食品添加物として、食品衛生法に基づく表示義務違反になると思いますが、まずこの点を確認したいと思います。
○外口政府参考人 お答え申し上げます。
古米を精米する際に用いられる精米改良剤として御指摘のような食品添加物が使用された場合には、これは食品添加物一般のことでもありますけれども、栄養強化の目的で使用されるものや加工助剤やキャリーオーバーを除いては表示義務がありますので、もし表示されていない場合には食品衛生法に違反になります。
それから、御指摘の、違反があるかどうか承知しているかという御質問でございますけれども、これについては、具体的には承知しておりません。
したがいまして、適切な表示が十分行われるよう関係業者への注意喚起等を行ってまいりたいと考えております。
○高橋委員 まず、食品衛生法違反であるということは明確になったと思います。
ただ、承知していないというのが、ちょっと本当かなと思いましたけれども、まあ、そういうことにしたとして、きょうは実は、午前の参考人質疑に続いて新食料・農業・農村基本計画の中間論点整理について伺うつもりでありました。この基本計画の重要な観点の一つがこの食の安全、安心の問題だと思うんですね。それにかかわる重大な問題ではないのか。まして、主食である米の問題であります。その米が、消費者もあるいは扱っている業者すら知らない段階で添加物が使われ、新米に化けて市場に出されている。こんなことがあっては絶対にならないと思うんです。
この点について徹底した調査、指導をされること、また、厚労省がとられた措置について広く広報するべきだと考えますが、その点についてもう一度確認します。
○外口政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどお答え申し上げましたように、この件につきましては、実際どの業者がどこでどのような精米改良剤を使っているかという把握が、実際我々が得ている情報でなかなか難しゅうございまして、例えば、サンプリング調査等をしてもその率が少ないとき、では、それがネガティブであればそういう事態がないのかどうかということにもなりますので、まずは私どもの方といたしましては、その表示のあり方等について正確に理解されているか、誤解がないのか、正しいことが行われているか等について、まず、関係業者の方を含め、もちろん自治体もそうですけれども、注意喚起、正しいあり方をしっかりと広報したいと思います。
それに加えまして、各自治体で適切な指導がなされるよう必要な対応をとってまいりたいと思います。
○高橋委員 この点については徹底してお願いします。その後の経過はまた時を見て伺いたいと思います。
それでは、中間論点整理について伺いたいと思うんですが、午前の質疑の中でも、担い手の問題について随分論議がされておりました。
私は、今の、例えば米でいうと、農水省の資料でも、主業農家、いわゆる米生産によって生業をなしている主業農家が農業産出額の三七%、その残りの部分は兼業農家や零細農家が支えているという現実があると思います。この上で担い手に土地と施策を集中させる今のやり方を進めていけば、全体として生産力を本当に維持することができるだろうかと。あるいは、耕作放棄地が年々ふえ、平成十二年度で三十四万ヘクタールと言われておりますが、これがさらにふえていくのではないかと思いますが、この点について見解を伺いたいと思います。
○須賀田政府参考人 担い手の問題でございます。
私ども、少子高齢化のもとで担い手が脆弱化している、このままでは日本農業の将来が危ういという危機感を抱いておりまして、どうしても将来に向かって持続的に農業をしていただけるような経営、それは、やはり農業で他産業並みの所得を上げて、その所得で家計を充足し得るような経営が広範に育成されることを目指すべきであろうというふうに思っているわけでございます。
こういう観点から、中間整理におきましては、一つは認定農業者を基本とし、さらには、認定農業者じゃなくても経営実体を有している集落営農、こういったものを担い手として位置づけていこうというふうにしているわけでございます。
先生がおっしゃいますように、そういうことになれば小さな農家がどうなるのかというお話でございます。
私ども、これは概念整理でございますけれども、リタイアを希望されている、あるいは兼業所得で十分家計を充足しておられるような農家は、担い手の方へ農地の出し手になっていただきたい、これは一つの道でございます。そうでなくて、やはり兼業農家でも農業所得がないと家計費を充足できないような農家につきましては、集落営農の中へ参画するという形でみずから担い手になる道もあるわけでございます。
そういうことで、中核的な従事者とそうでない人たちが地域の資源を適切に管理をする、そういうことによって耕作放棄地の拡大を防ぎ、生産力の維持強化につながるようなそういう構造を描いていきたいというふうに考えている次第でございます。
○高橋委員 そうはいっても、国が目指している方向は、担い手に六割の土地をまず集中する、担い手がすべてを耕せるわけではないということはお認めになりますよね。では、その残りの土地をだれが耕すのか。それを放置して、あるいはそれを耕す小規模な農家を全く支援の対象から外して本当に生産力が維持できるのかということなんです。重ねて伺います。
○須賀田政府参考人 ただいま先生おっしゃいましたのは、今の構造展望、平成二十二年を展望しております構造展望のお話をされております。
現在の「農業構造の展望」ができまして以降、集落営農という新たな概念を私どもはつくり上げました。そういうこともございまして、新たに平成二十七年を目標年次とする構造展望を作成すべく努力をしていく必要があると思っておりますけれども、私ども、その中で、やはり集落営農なりあるいは認定農家なりの担い手が相当部分を占め、その周りを自給的、生きがい的に営農活動をされるような方々が取り巻いておる、さらには、認定農家から委託を受けて資源を管理している農家が存する、そういう姿を漠然とではありますけれども描いていきたいというふうに考えているわけでございます。
○高橋委員 そこで、私たちもこの集落営農にかなり注目をしておりまして、この間、例えば、かなり有名でありますけれども、群馬県のJA甘楽富岡あるいは長野の佐久平など、耕作不利地あるいは放棄地などを切り開いて頑張っているグループの姿に学んできました。例えば甘楽富岡農協などでは、多品種少量で産直やあるいは量販店へのインショップを展開して、直販部会は千人を超えたそうでありますけれども、非常に生産額をふやしております。高齢者や女性がその中心となり生き生きと活動する中で、医療費自体が減った、そういう効果もあったそうであります。
こうした地域に果たしている集落営農などの取り組み、社会的役割、貢献を大いに評価して、こういう形態の担い手もある、それはつまり、規模要件や所得要件には合わないかもしれないけれども、地域に果たしている役割をしっかり評価するという考え方もこれありと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○須賀田政府参考人 私ども、担い手といいますのは、先ほども言いましたように、やはり経営体でございますので、所得の概念でございます。他産業並みの所得を目指す経営でございまして、経営規模だけをチェックポイントにしているわけではございませんで、やはり先生言われたような技術力とか経営能力だとか、こういうものも重要であるというふうに思っております。
要は、その集落営農なら集落営農の中に中核的な従事者がおられまして、その人が将来に向かってずっと営農をしていけるような所得を確保しているというようなことが、やはり集落営農が経営体として認められる不可欠な要件ではないかというふうに考えている次第でございます。
○高橋委員 時間がないですので、一気に今二問聞きますので、先に局長に答えていただいて、後で大臣にお答えをお願いしたいと思うんです。
今、やはり経営体ですので他産業並みの所得が必要だというふうなお話ですけれども、それをどんなふうにイメージしているかということなんですね。
品目横断、直接支払いが今回の大きな目玉である、それをやるためにも担い手を限定しなくちゃいけないという考え方があると思うんですけれども、その中で、他産業並みといったら大体所得は五百三十万だろうという、それは一つの目安が示されているわけですね。それはあくまでも現行の米の値段、一万六千円くらいがベースだと言われています。でも、もう生産調整がなくなる、関税はどんどん下がっていくだろう、ゼロもあるというふうに皆さんがお考えになっているのか。もしそうなったときに、米の値段は一体どこまで下がるのかというふうにシミュレーションされていますか。
もし、そういう上で、価格に歯どめがなくて、市場と争う、売れる米づくりというだけで本当にそれが成り立つのかどうかということをどのようにお考えなのかを、まず局長にお伺いしたいと思うんですね。
それで、大臣に聞きたいのは、同じことではあるんですけれども、きのう配られた調査室の資料の中に、東大大学院農学生命科学研究科の教授、本間正義氏の意見陳述がございますけれども、この問題について、農家の所得だけを補てんするのであれば二兆円未満の支出で済む、だけれども、多くの農家は国際価格では採算が合わずに所得補償だけを受け取るようになっていくんじゃないか、だったら、この所得補償は期限つきの暫定措置とすべきである、三年ないし五年に限り所得を保証するが、その後は市場競争で勝ち抜かなければ残れない、一時払いではないが、いわば他産業における早期退職手当と同じである、こういう言い方をしています。
私は、何か妙に納得してしまうような、ここに追い込んでいくのかなというふうな気持ちになってしまうんです。そうではない、しっかりと守っていくんだという立場に立っているのかどうか、伺いたいと思います。
○須賀田政府参考人 先生言われました五百三十万円、これは、現在の他産業並みの生涯所得を四十年間農業をすることによって毎年確保するとしたらどのぐらいの所得かということで、五百三十万円を出しました。そして、それは一つのめどでございまして、それを達成する規模はどのぐらいかを出すためのものでございまして、水田作でいえば北海道では二十ヘクタールぐらいだろう、内地の二毛作地帯では十ヘクタールぐらいであると。こういう、それを達成するための規模を目安として出したわけでございます。これは現在の価格で出したわけでございまして、将来どうなるかということを念頭に置いたものではございません。
そういう規模を目指す、現時点でどの程度の要件を課すかというためにそれを出したわけでございまして、現時点で担い手でどのぐらいの要件を課すかというのは、これから議論をして決めていきたいというふうに思っております。
そして、市場価格にさらすのかというお話でございます。そういう市場価格の変動が担い手の経営に大きく変動をいたしますので、その経営のセーフティーネットといたしまして、担い手を対象として、直接的な定額払いと、収入が変動した場合の補てんという二つの経営安定対策を講じて担い手の経営の安定というものを図るための政策でございますので、市場原理から担い手を守るための政策でございます。
○島村国務大臣 突然の御質問で、どういうことをおっしゃりたいのかわかりませんが、少なくも、私どもは、やる気と能力のある農業の担い手に関しては、これからもきちんといろいろな援護の手を差し伸べて農業を続けていただく、この基本姿勢に立っております。
○高橋委員 時間ですので終わります。ありがとうございました。