国会質問

質問日:2005年 2月 17日 第162国会 予算委員会

BSE問題

米BSE対策 米の検査官労組が告発

 輸入解禁へ日米両政府の協議が急ピッチで進む米国産牛肉の安全性について、深刻な疑念が浮上しました。日本共産党の高橋千鶴子議員が十七日の衆院予算委員会で、米国のBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)対策のずさんな実態を指摘した米政府の食品検査官の労組の告発文書を明らかにしました。

 高橋氏が示した告発文書は、米政府職員連合労組傘下の食品検査支部全国評議会のペインター議長が、昨年十二月上旬、米農務省に提出しています。

 文書は、米国政府が月齢三十カ月以上の牛について、BSEの原因物質であるプリオンが蓄積する脳、脊髄(せきずい)、目などの特定危険部位(SRM)を完全に除去するという対策を打ち出した後も、食肉加工場では月齢三十カ月以上の牛がきちんと識別されず、その特定危険部位が食肉に紛れ込んでいるおそれがあると指摘。「輸出する際、諸外国から課せられている義務についても検査できない」といいます。(別項参照)

 日米協議では、これまで全頭検査で安全を確保してきた日本が、月齢二十カ月未満の牛を全頭検査からはずす方向で決着しようとしています。告発文書は、こうした妥協が成り立たないほど、米国産牛肉の安全管理がずさんであることを示しています。

 高橋氏は、米国産牛肉について日本と同等の牛の全頭検査や生産履歴システムがとられることを輸入の条件にしなければ、国民の食品安全に対する不安解消にはならないと政府に迫りました。

 厚生労働省の外口崇食品安全部長は「(文書について)情報を入手している。このことを含め十分に情報収集していきたい」と答弁。尾辻秀久厚労相は「食の安全を守る立場で、科学的な合理性を基本に判断する」と答えました。 

○ペインター議長の告発文書から

 食品検査支部全国評議会の議長として、BSEに関する新しい検査手順についていくつか懸念されることを伝える。

 新しい規制がとられてから1年が経過したが、(現場の)検査官からは、依然として食品工場の検査の手順について有効な対処がなされていないと聞く。

 SRMとよばれる、人体にとって大変危険な物質の人間への影響を防ぐため、検査官に必要な権限が与えられていない。

 加えて、これら検査官は、食肉を輸出する際、諸外国から課せられている義務についても検査できない。

 懸念される現場検査官からの報告

 1、食肉加工場では、従業員は、すべての動物の頭数と30カ月以上の動物の死体について正確に識別をおこなっていない。その結果、その先の工程では、従業員や政府の担当官は、多数の部位がSRMとして取り除かれるべきことを知ることができない。そして高度に危険な物資が食品供給に入りこんでいる。

 2、検査官は、輸出に必要な要件を満たしていない製品を出荷しようとしていることを目撃しても、(止める)行動がとれない。

(2005年2月18日(金)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、BSE問題に絞って質問をさせていただきます。

 今月に入って、国内で初めての変異型クロイツフェルト・ヤコブ病患者の発症が確認されました。昨年十二月に亡くなったこの五十代の男性は、二〇〇一年十二月に発症しておりますが、八九年に英国に一カ月間の滞在歴があり、ここで感染した可能性が疑われております。

 二月八日付の東京新聞によると、外務省の調べで、八六年の永住者は約千六百人、三カ月以上の長期滞在者は一万八千人、その後も微増し、九〇年には長期滞在者が三万五千人。わかっているだけで、英国にこれだけの方がいたということがわかっております。治療法のない、悲惨な最期を遂げる病気であります。もしや自分がという不安がだんだん大きくなっている国民がいる。そういう中で、国の真剣な対応が問われているのではないでしょうか。

 最初に伺いますが、厚生労働省は、このクロイツフェルト・ヤコブ病患者の発生を受けて、電話相談窓口を緊急に設置しております。その相談件数、また内容の特徴などについて伺いたいと思います。

○田中政府参考人 御指摘の電話相談窓口でございますけれども、二月四日に症例を確認した当日の夜から二月十三日の日曜日まで、専用の電話番号を設けて開設いたしました。その期間の相談件数の総数は千四十二件でございます。

 電話相談窓口での相談内容でございますけれども、英国に滞在したことがあるが大丈夫か、あるいは、検査方法はあるのか、治療方法があるのかというような質問がほとんどでございました。

○高橋委員 わずか十日間で一千四十二件の相談があった。本当に明確に答えがないわけですね、事前に検査をする方法があるかとか。そうしたことを踏まえれば、本当に、不安があるのは当然であります。ただ、私はここで決して国民の不安をあおるつもりはございません。また、その必要もないと思います。まず、原因解明をしっかり行うべきだということは要望しておきます。

 しかし、絶対にあいまいにしてはならないのは、日本においても、九六年四月にWHOから肉骨粉の禁止勧告を受けるまでの間、あるいはそれ以降も十分に遵守をされなかったわけですから、二〇〇一年十月から全頭検査開始をするというそれまでの間は、日本におけるBSE感染の未然防止は完全ではなかったということであります。あるいは、二〇〇三年のクリスマスイブ、アメリカでBSEが発生するまで、EUでは既に輸入を禁止していた脳などの特定危険部位が日本の市場には出回っておりました。日本での感染例が今後ないとは言えない、今回の男性も含めて、これはないとは言えないと思います。

 厚生労働省によると、九六年に初めて英国で変異型クロイツフェルト・ヤコブ病患者が報告されてから、ことし一月十三日現在で、ヨーロッパ諸国を中心に百六十七の発生例があります。食品安全委員会の昨年九月の中間取りまとめでも紹介されているように、英国で報告されているクロイツフェルト・ヤコブ病患者の遺伝子型のほとんどがM・M型というものであり、この遺伝子型を有する人がほかの遺伝子型の人に比べ、潜伏期間がより短く、かつ感受性が強いと指摘があります。日本人の九一・六%がこのM・M型だというものでありました。もし、わずか一カ月間の英国滞在が原因で発症したのだとすれば、このM・M型の感受性の強さが証明されたと言わなければなりません。

 今回の米国産牛肉輸入解禁をめぐる問題は、そういう中で注目をされているわけですから、尾辻厚労大臣にまず決意のところを伺っておきたいと思います。

○尾辻国務大臣 二月の八日に、第三回目の牛の月齢判別に関する検討会におきまして、米国側の牛枝肉の生理学的成熟度に関する研究について専門家による検討結果が取りまとめられております。

 こうしたことなどを踏まえまして、今後、米国側と細部について実務的な協議を行うことになりますけれども、いずれにいたしましても、米国産牛肉の輸入再開条件につきましては、食品安全委員会に諮問をし、評価をしていただくことになります。

○高橋委員 もう検討会の話に行ってしまいまして、まず、二月八日のその検討会が結果を出す前提に、ことしの一月十九日の米国農務省の最終報告書が提出されたと思います。それが、昨年の十月の日米共同記者発表で、輸入再開に向けての双方のプログラムを確認され、その際に、米国から牛肉輸出証明プログラムというものが示されておりました。

 日本が二十カ月齢未満の牛は全頭検査をしなくてもよいという、これは結論ではありませんけれども、そういう方向が打ち出されているということを踏まえて、アメリカの牛にはトレーサビリティーのシステムがない、だからそれをどうやって月齢を判断するかという際に、肉や骨の成熟度を基準にし、赤色の強さ、軟骨の骨化の進みぐあいなど、いわゆるランク分けをして、このランク、格付と明確に月齢のわかっている牛のサンプルを照合していったらA40というランク、こういう牛の写真をもらいましたけれども、A40というランクは間違いなく全部が二十カ月齢未満だと。A50など、ちょっと上になるとそうじゃないのがまじっていてばらつきがある、そういうことが示されたわけですよね。それで、今大臣がお話ししたように、二月八日の検討会になりました。

 まず順番に聞きますけれども、中川消費・安全局長が昨年十一月二十七日の農林水産委員会で、私がこのアメリカから示されたプログラム、肉質などで月齢を判断するのはいかがかということに対して、不十分だ、現時点では、そういう見識を示されたわけですけれども、改めて、米国からこういう最終報告がされて、月齢が二十カ月未満であることを証明するに足るシステム、また、これが完全に機能するとお考えかどうか、伺いたいと思います。

○中川政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカが実施をいたしました牛枝肉の生理学的成熟度に関する研究、この結果につきまして、日本といたしましても、科学的な見地から専門家の方々にきちっと検証していただく必要があるというふうに私どもは考えたわけでございまして、そういう観点から、昨年の十一月以降、専門家の方々にお願いをいたしまして、三回にわたりまして、このアメリカの特別研究の結果について御検討いただいた、その結果が二月の八日に取りまとめられたということでございます。あくまでも専門的、科学的見地から御検討いただいて先般お取りまとめいただいた、このように考えております。

○高橋委員 局長の今の答弁は御自身の考えがなかったと思われますけれども、専門家の評価はさておき、消費・安全局長という部門に携わる者として、十一月の時点では不十分だとお話しされましたけれども、今は専門家の意向を受けて不十分ではないとおっしゃるんですね。もう一度。

○中川政府参考人 お答え申し上げます。

 この点は、やはり科学的な見地に基づいて判断していくことが何よりも大事だというふうに思っております。

 二月の八日に取りまとめいただきましたこの検討会におきましては、このA40という基準を採用するに当たって、米国産牛肉のBSEの感染リスクの程度等も考慮して判断する必要があるというふうなお取りまとめをいただいたところでございます。最終的には、アメリカから入ってくる牛肉のBSEのリスクについて、あるいは安全性につきましては、食品安全委員会に諮問をいたしまして、その答申の結果を踏まえて対応していきたいというふうに考えております。

○高橋委員 やはり御自身のお答えがなかったなと、非常に残念であります。

 リスク評価は食品安全委員会に諮問するということはまず確認をされておりますので、ただ、それが、これでお墨つきをもらったとされることを、非常にこれはまた後で疑問が生じてくるわけですね。

 一つずつ聞いていきたいと思います。

 まず、今回の格付ですけれども、米国が示した格付方式は、あくまでも米国式であり、世界標準ではないはずです。このことをまず確認したいと思います。それと、牛肉の格付と月齢判別をリンクさせた学術論文などはありますか、伺います。

○中川政府参考人 アメリカから今回の特別研究の結果として示されましたAの40といった格付、この方式自体はアメリカにおいて行われているものでありまして、世界のどの国でも使われているというものではございません。

 ただ、今回のこの特別研究を行うに当たりましたその経緯でございますけれども、昨年の十月の局長級協議におきまして、牛枝肉の生理学的成熟度を用いて牛の月齢を判別する方法がある、それについては、肉質あるいは成熟度と、月齢との関係を直接に示す学術論文がないなど、十分な知見が当時はなかったということで、我々としては疑問も呈したわけでございます。それに対して、アメリカ側から、客観性、有効性を証明するために特別研究を行うということ、それが十月二十三日の日米間の局長級協議の共同記者発表の文書の中にも書かれているとおりでございます。

 こういった特別研究の結果につきまして、先ほど申し上げましたように、日本の専門家の方々に、三回にわたり、また公開の場で議論をしていただいて結果を取りまとめられたということでございます。専門家がアメリカの研究について科学的見地から検証を行った、そういった結果である。その結果につきましては、私どもとして尊重すべきものというふうに考えております。

○高橋委員 質問に答えていないんですね。学術論文があるかと聞いているんです。

 今、最初にお話ししたように、米国式ですよね。世界の標準ではないわけです。ですから、日本には日本の格付がある、オーストラリアにはオーストラリアの格付があるわけですね。そもそも、それを、月齢と判断の基準ということをリンクさせて考えたということはかつてなかったわけでしょう。今回は初めて、何とかどこかで月齢を判断する方法がないかということで、苦肉の策として、たった一カ月ですよ、そういう実験をしてこれが行われた。

 学術論文はないですね。もう一回、一言で言ってください。

○中川政府参考人 学術論文がないというのは、私どもそのように認識しております。

○高橋委員 ないということがはっきりしました。当然だと思うんですね。

 格付というのは、やはり、流通の段階において肉の値段を決める、消費者にとってどの程度の肉が、値段とその質の折り合いで決めるために、職人のわざといいましょうか今まで磨かれてきたものなのではないでしょうか。さまざま、例えば保存の方法だとか、あるいはえさがどんなものがあるだとか、それによって微妙に違うものを長年の経験によって見分けるわけですよね。それをリンクさせるということ自体に無理があると言っておきたいと思います。

 アメリカで屠畜されている牛は年間三千五百万頭、うち格付があるのは二千七百万頭であります。ただし、このうち、A40だと月齢が二十カ月未満だから入れてもいいよと言っていますが、それが一割未満なわけですね。そうすると、通常、日本が米国から輸入していた牛肉には全然足りないということがまず一つ言えます。

 そこで、伺いますが、そもそも枝肉によって月齢を判断するわけですよね。そうすると、枝肉からさまざまな部分肉が分かれて、それでパッキングされて日本には入ってまいります、部分肉という形で。そうすると、その一つ一つの部分肉までA40の表示がついていくということなんですか。

○中川政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、このA40を最終的に使うかどうかということは、食品安全委員会の答申もいただいた上で決まるものでございますが、仮にそのA40という格付の基準を使うとした場合の具体的な、今先生がおっしゃったような屠畜場での作業の過程におきます確認の手法等につきましては、これから実務者の間で議論を詰めていくというものでございます。

○高橋委員 確認はまだされていないと思うんですね。これからだと思うんですね。日本の輸入の形態が部分肉という形になっているから、そこが実は今後に非常に大きな影響を与えると思うんですね。

 例えば、タンは牛一頭から一枚しかとれませんので、今までの実績でいうと、大体千八百万頭くらいの牛が必要になるということになるわけですよね。まずそこで絶望感があります。それから、枝肉で判定するわけですから、枝肉の時点、ぶら下がっている時点では頭はもう既に切り分けをされているはずですよね。頭はついてこない。そうなると、タンを判別する仕組み、あるでしょうか。

○中川政府参考人 アメリカから牛肉の輸入を再開いたします際に重要な条件であります二十カ月齢以下というところの確認の方法でありますけれども、今先生がお尋ねになっておりますA40という手法ということのほかに、昨年の十月二十三日の局長級協議では、書面によって、生産記録によって月齢が確認されるものも用いるということがはっきりと書かれております。そちらの方法であれば、具体的な月齢がわかります。それは屠畜の前の段階でわかりますので、おっしゃったような部位についても確認ができるものというふうに思っております。

○高橋委員 かなり無理があると思いますね。私は、突き詰めていけばあり得ないシステムだと思うんですね。

 なぜかというと、昨年一月十二日の連邦官報に米国農務省の報告が載っております。牛の年齢の確認について。どうやってやるかということですが、当時は、年齢を特定する文書が添付されているか、あるいは歯ですね、永久歯が生えているかどうかで月齢を分けるとされていました。これも大変驚きであります。

 次に、部分肉に対応する表現があります。牛の屠体及び一部を加工するだけの施設においては、FSISはその屠体を持ち込んだもとの施設にある牛の年齢に関する記録を使って、多分今おっしゃったのがこれだと思いますね、年齢を確認する。屠体を持ち込んだもとの施設に牛の年齢に関する記録がない場合、すべての屠体及びその一部は、三十カ月齢以上の牛のものとして扱わなければならないと。

 要するに、一部だけを加工する、部分肉にしちゃう、そういうところでは歯の判別も不可能なわけですから、もうあきらめちゃう、輸出には出せない、こういうことを言っているわけですよね。こんな割の悪いことをアメリカは本気で考えているんでしょうか。

 二月九日付の日経新聞、「牛肉判別法受け入れ 米が歓迎声明」という見出しがありました。米国食肉協会財団のホッジス理事長は、今のままでは一〇%未満しか輸出できないとして、全面的な輸出再開に向けて今後も働きかけを続けると言っております。日本は、格付で、月齢判断したというアメリカの言うことを信じるしかないのか。あるいは、余りにもそれでは無理がある、もっと日本側が自分たちの条件を緩和せざるを得ない、そこに追い込まれていくのではないかと思うんですね。

 島村農水大臣、どう対応するつもりか、伺います。

○島村国務大臣 この問題が起きましてから、また、私が大臣に就任して以来、アメリカ側からも私どもにいろいろな交渉もございました。大統領選挙を控えて、日本側がいわば好意的に一気にこれらを解決してくれるんじゃないか、そんな期待を持った人もいないではなかった。

 しかし、我々は、何遍も御答弁申し上げているように、あくまで日本がとっている措置と同じことをしていただく。そして、あくまで食の安全、安心を大前提として我々はこれからの輸入再開に向けての努力をしなければならない。そのことの確認ができるまでは、だれが何と言おうとこれはどうしようもないことだということをはっきり向こうに申し上げて、理解をしていただいた。

 その後の結果が今いろいろあなたが御質問なさっていることにつながっておりまして、今、専門の役員の方、役員構成、ここにございますのはなるほどと思う方々が、昨年十月十五日に諮問して以来ずっとこれはいろいろ検査していただいている。首が抜けるぐらい私どもは待ちかねておりますし、消費者からも再三催促を受けておりますものの、やはりこれだけは、きちんと検査を終えないことには国民に対する本当の責任は負えないという姿勢を貫いているわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。

○高橋委員 だれが何と言おうとという強いお言葉がございましたので、本当に国民が納得できる態度、決意を示していただきたいということを御期待したいと思うんです。

 それで、今私がお話しした月齢判別、格付とか、どうしてこんな議論になっているのか。そもそも、日本が二十カ月齢未満は全頭検査しないということが決まったかのように論じられて、アメリカは、日本がそれを決めればすぐ輸出できる、そういうふうに、同時スタートしたいというふうに迫ってきているからだと思われます。

 そこで、きょうは、大変お忙しい中、食品安全委員会の寺田委員長においでを願っておりますので、大変ありがとうございます、伺いたいと思います。

 食品安全委員会は、農水省と厚労省から諮問を受けて、二十カ月齢未満の牛は全頭検査をしないということで結論を出されたでしょうか。お願いします。

○寺田参考人 お答えします。

 結論は出しておりません。ただいま検討中でございます。

○高橋委員 ありがとうございます。今、結論は出していないということでありました。

 この間、食品安全委員会プリオン専門調査会あるいは全国各地での意見交換会、市民も集めての意見交換会もされております。意見の集約はまとまる方向に来ているでしょうか、今の段階、お伺いいたします。

○寺田参考人 言われましたように、十月十五日に諮問を受けまして、それから五回にわたりまして専門委員会でいろいろ検討してまいりました。それから、その間にリスクコミュニケーション五十回、全国四十七都道府県の五十カ所でやってまいりました。

 今の御質問の、意見の集約ができるか、これは専門調査会に任せているところで、逃げるわけじゃございませんけれども、科学者が、そこの専門の方が議論していただくということを非常に私大事に思ってこの委員会を運営してまいりました。しかし、もうぼつぼつ集約できるんじゃないか。たとえ集約できなかった場合には、少数の意見も付記するという形になるのではないかというふうに感じております、これは結論じゃございませんけれども。

 だから、質問に関しましては、ぼつぼつ集約できるころではないかというふうに感じております。

○高橋委員 委員長、大変御苦労されていると思いますが、今、ぼつぼつ集約されるということですけれども、少数の意見が付記されるということでありましたので、プリオン専門調査会の委員会が今、少数というか、そういう段階で言えるのか。むしろ、座長案が出されて、意見が出されて、また振り出しに戻ったというのが実態だと聞いております。

 きょう、委員の皆様に資料を出させていただきましたのは、一月二十一日にプリオン専門調査会の中に出された資料から、大変申しわけありませんが、切り張りして資料にいたしました。つまり、専門調査会の座長から案が示されたのに対してたくさん出た意見をここに書いているわけであります。後でごらんになっていただきたいんですが、一部読ませていただきます。

 二と書いてあるところに、「委員会からの依頼・論議もないまま作製されたものであり、また、内容には独断と誤りも見られたので指摘したが、中立ではなく何か”ある種の意図”のようなものを感じる。白紙から作り直した方がよいのでは?」めくっていただきまして、五と書いてあるところに、「なぜ年齢(月齢)にこんなに拘るのか?」ちょっと飛んで、「厳密には年齢とは無関係」「こんな指摘は不見識」つまり、月齢を一定区切ろうとしていることに対してのこういう危惧の声が出ているわけです。「今回は二十ケ月が対象になっているが、次は二十四または三十ケ月で線引きするための伏線?」という指摘もあります。その隣、七というところに、「いい加減な推測で数字を出さないこと!科学でもなんでもなくなる。」「数値を仮定した根拠が不明。」こうした指摘がされております。

 つまり、専門調査会の中で一緒に議論を交わされてきた委員の中からこれだけの意見が出ておる。まだ全部は紹介できませんけれども、これはもうしっかりと生かして当然なるわけでありますよね。少数意見ではないかと思いますが、一言確認させていただきたいと思います。

○寺田参考人 これはこの前の専門委員会でいろいろと御意見をいただいて書いたものを抜粋されたものだと思います。これに沿いまして、それからこの前の意見も添えまして、今新しい、新しいというか、こういうのを入れた案を今つくっております。その案を皆さんに、予定としましては委員の先生方に二回にわたってお送りして、それで次の二十四日の会のところでその意見を集約していく。ですから、先生がおっしゃいましたこの意見は、ぜひ取り入れられるものは入れていく。

 それからもう一つ、自慢みたいなことを言いますが、これは透明性、すべて公開してやっておりますから、こういうことは全部出るので、その点を非常に私たち重視していますし、いろいろな意見が出るのはちょっといらいらするところが本当のことを言うとございますが、それはしようがないものだと思っております。

 どうも失礼しました。

○高橋委員 厚労省に伺います。

 二十四日にこの案を踏まえてまた案が出されるということでありましたけれども、十分な、食品安全委員会にこれらの案が出されて、またもまれて、先ほどリスク評価のお話がありましたけれども、格付システムによる月齢判別方法、アメリカからの方法について、まずリスク評価を諮問しますね。その後にもう一度、月齢判別だけではなく、それは一つの要素ですので、飼料規制の問題やSRMの除去という問題などもあります、あとサーベイランスの体制などもあります。牛肉輸入再開に当たっては、もう一度リスク評価が必要になりますね。ここを確認させてください。

○外口政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、食品安全委員会で審議中の案件は、国内評価の見直し措置についてであります。この結果が出てから、米国の輸入再開の問題について改めて諮問をして答申をいただくことになるわけであります。その米国の輸入再開の問題の中では、先生御指摘のいろいろな案件、いろいろな前提条件を含めて、例えば、こういう条件の輸入される牛肉が国内と同等の安全性が保てるものであるかどうか、そのリスク評価をお願いすることになる、そのように考えております。

○高橋委員 二段階のリスク評価が必要だということが確認できたと思います。

 それに対して、非常に大事な要素になるかと思うんですが、きょうお配りさせていただきましたもう一つの資料であります。

 英文ですので、後でじっくり見ていただければと思うんですが、アメリカ政府職員連合労組傘下の食品検査支部全国評議会のペインター議長が米国農務省に出した文書であります。米国政府は、生後三十カ月以上の牛のSRMを完全に除去するとか、検査数を大幅にふやすなどの対策を打ち出している。それに対して、現場の検査官から、現場はほとんど変わっていないという、いわゆる告発であります。幾つかの食肉加工場では、月齢三十カ月以上の牛がきちんと識別されないまま処分されており、これらの牛のSRMが食肉に混入しているおそれがあるとしている。また、そのおそれに対して、これを処置する明確な権限が検査官にはないということも指摘をされております。

 厚労大臣に伺いますが、日本政府は、この間、アメリカに調査団を送ったり、現場の実態も見ておるわけですけれども、現場からのこうした声に対して、アメリカ政府が、一刀両断に事実無根とするのではなく、この告発を受けとめ改善されたか否か確かめる必要があるかと思いますが、その意思があるかどうか伺いたいと思います。

○外口政府参考人 御指摘の労働組合の指摘につきましては、昨年十二月に、全米食品検査官合同評議会が、食肉処理施設において特定危険部位の除去が適切に行われていないという内容の警告書簡を米国農務省に提出したとの情報を入手しております。

 本件につきましては、米国農務省に照会したところ、問題が生じている施設が明確でないことや、事実関係も含めて調査中との回答を得ているところであります。

 いずれにいたしましても、食の安心、安全にかかわることでありますので、こういったことも含めて、私どもは十分に情報収集をしていきたいと考えております。

○高橋委員 厚労大臣に伺いましたので、もう一度伺います。

○尾辻国務大臣 今もお答えいたしましたけれども、私どもは、国民の食の安全を守る立場でございますから、まず基本的に、科学的な合理性を基本として判断すべき問題だと考えております。

 そこで、今御指摘のようなことにつきましても、その科学的な判断というのは食品安全委員会にお願いをしておるところでございますから、その諮問して出していただく答え、まず審議結果に基づいて対応してまいる、これが私どもの基本的な立場でございます。

○高橋委員 きちっと調査をして、リスク評価を材料として、現場の声ですから、それをちゃんと受けとめていただきたい。

 二〇〇二年、日本のBSE問題に関する調査検討委員会報告では、BSE問題にかかわる行政対応の問題点、改善すべき点について、危機意識の欠如と危機管理体制の欠落だったと厳しい指摘をしています。こういう反省と生産者の血のにじむ苦労の上に日本の牛肉に対する信頼をかち得てきたはずです。今こそ、同じ轍を踏まない、厳しい国の姿勢が求められています。

 亀井前農水大臣が一月二十五日付の日本農業新聞で語っておりますが、米国は非科学的だと言い続けたが、日本で牛肉の消費が回復したのは全頭検査のおかげだと言って、「全頭検査が決定的な安心感を与えていると思いますね。」と述べていらっしゃいます。

 本当に、これまでの教訓と、また国民の信頼、このことにしっかりこたえて厚労省も農水省も対応していただくことを強く要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

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