国会質問

質問日:2019年 6月 11日 第198国会 東日本大震災復興特別委員会

水素エネルギーの課題

希望ある暮らしへ具体的対案を提示/かっ炭由来水素輸入/福島での事業で認める/高橋氏に国

 高橋千鶴子議員は11日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、政府が福島県浪江町で進める「福島水素エネルギー研究フィールド」についての多くの課題があることを指摘し、原発事故の被害者、町民の思いに応えた施策を求めました。
 「福島水素エネルギー研究フィールド」は、ふくしまイノベーションコースト構想の一つ。再生可能エネルギーから水素を製造・貯蔵・供給し、CO2を排出しない水素活用事業モデルの確立を目指します。造成地は、東北電力から、町が無償譲渡を受けた旧小高・浪江原発予定地です。
 高橋氏は、閣議決定された水素基本戦略に、「(水素)ステーションで1㍑あたり100円の価格を2030年までに30円に、さらに20円を目指す」とされていると指摘。「(価格を)下げるために、結局輸入するのか」とただしました。経済産業省の小沢典明調整官は「オーストラリアのかっ炭など安価な水素を大量購入するアプローチも考えている」と認めました。
 高橋氏は「原発事故の教訓からクリーンなエネルギーをうたい文句にしながら、化石燃料からの水素を輸入、かつ全国の原発は維持。これが町民の希望になるのか」と指摘しました。
( 2019年06月28日  特集1面 掲載 06頁 著作権=赤旗)

―議事録ー

○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
 私も、五月二十七日の委員会の福島視察に参加をさせていただきました。
 吉田数博浪江町長の言葉をかりれば、その日はちょうど発災から三千日目でした。とても二十五分の質問ではあらわすことができない、重い課題をしょってきたと思っております。今後も引き続き、被災者に寄り添って、皆さんと一緒に頑張っていきたい、そういう思いであります。
 視察では、初めて浪江町の福島水素エネルギー研究フィールドを訪問しました。資料の一枚目にイメージ図が出ておりますけれども、いわゆるイノベーション・コースト構想の一つであり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOの水素社会構築技術開発事業の一環として実施するものであること、水素の製造、貯蔵、供給、電力系統の需給バランス調整対応という二つの機能を持ち、年間水素製造能力は九百トンH2、トヨタのミライ一万台分に匹敵するという、まさに世界最大規模であるということを伺ってきたわけであります。
 まず大臣に伺いますが、世界最大規模というこの研究フィールドがなぜ浪江町だったのか、そしてなぜ水素なのか、伺います。

○渡辺国務大臣 お答えいたします。
 福島県における大規模水素製造実証につきましては、経済産業省の有識者ワーキンググループで示した実証設備等に関する基本的な仕様に基づき、二〇一七年四月に、経済産業省から福島県に対して、実証候補地点を推薦することを依頼したものと伺っております。
 福島県においては、県下の自治体の要望を踏まえ、検討を進めた結果、二〇一七年五月に、実証候補地点として浪江町の推薦を決定したとお伺いをしております。

○高橋(千)委員 なぜ水素なのかは、どうですか。

○渡辺国務大臣 まず、福島県では、福島新エネ社会構想のもとに、再生可能エネルギーや水素の取扱いを加速し、復興を力強く後押ししていこうということでありました。
 特に、御指摘の浪江町の福島水素研究フィールド、これは再エネ由来の水素を製造する大規模実証設備であります。そこで生産されたものを、まず、さまざまなところで活用していきたいわけでありますけれども、水素はまさにCO2フリーであります。これからの脱炭素社会を目指していく上でも大変重要なエネルギー源だというふうに思っておりますので、こういった観点から、福島県では、世界に発信するために、水素としたというふうに理解をしております。

○高橋(千)委員 少しエネ庁にも聞きますけれども、確認といいますか、造成地は浪江町の請戸、棚塩地区で、浪江・小高原発の予定地だった約百二十ヘクタールを東北電力から町が無償譲渡を受け、造成したものと聞いております。
 三・一一の直後に浪江町は原発建設計画を中止したわけでありますので、まさに広大な土地、無償譲渡ということが決め手だったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○小澤政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のように、この福島水素エネルギー研究フィールドにつきましては、平成二十九年一月に、浪江町から、旧浪江・小高原子力発電所用地について、東北電力に対して無償提供の依頼がございまして、それについての協定書をその後締結し、活用する、そういったことになったわけでございます。

○高橋(千)委員 決め手だったのではという問いに対しては直接お答えにならなかったわけでありますよね。
 原発をやめるという決断を町が即座にしたわけです。ただ、それが水素に生まれ変わることが、言ってみれば、これから議論していきますけれども、水素の開発研究のために、広大な土地、あるいはコストを下げる必要があった、そこに対しての非常に都合がいい土地だったのではないか、そういうことを私は指摘しているわけであります。これは、後の質問の中でまたお答えをいただければいいかなと思うんです。
 後半の水素の方なんですけれども、昨年一月二十二日の施政方針演説で、安倍総理はこのようにおっしゃっています。「浪江町では、この夏、世界最大級の水素製造工場の建設を開始します。再生可能エネルギーから水素を生み出す、まさにCO2排出ゼロの新しいエネルギー供給のモデルです。オリンピック・パラリンピックでは、福島産のクリーンな水素を使って、復興五輪を世界に向けて発信してまいります。」沖合では浮体式の洋上風力発電の本格稼働と続くんですが、そっちが既に撤退したことは周知のことだと思います。
 そこで、浪江町でつくる水素が東京オリンピック・パラリンピックで活用されるというけれども、具体的にどのような計画でしょうか。

○十時政府参考人 お答えいたします。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における水素の利活用につきましては、大会組織委員会が東京都等と連携しつつ検討を進めていると承知をしております。
 現時点では、主に水素を燃料とする燃料電池自動車での活用が想定されていると伺っております。具体的には、大会関係車両として使われる乗用車の一部に燃料電池自動車の利用が予定されているほか、選手村内の巡回バスや観客用シャトルバスでの利用などについて検討されているとのことであります。これらの活用について、浪江町でつくられた水素の利用も検討されると認識しております。

○高橋(千)委員 大変簡潔な御答弁だったと思います。
 あくまでも一部であると。さまざまな車両やバスが走るんだけれども、その一部に浪江町の水素が活用されることが検討されているということなわけであります。
 水素社会実証プロジェクトの最大の場が東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会だと言われています。水素関連企業にとっては最新の技術や製品をお披露目する見本市会場ともなると環境エコノミストの西脇文男氏は解説しています。
 東京都は、水素社会の実現に向けた東京戦略会議を立ち上げ、二〇二〇年にはFCV六千台、バスは百台以上、水素ステーションを三十五カ所整備、家庭用燃料電池十五万台を整備するとしています。競技施設や食堂施設などには大型燃料電池、選手村の宿泊棟各戸に家庭用燃料電池を使用、それで、資料の二枚目にあるように、オリパラが終わると、この使ったシステムが次は水素タウンとして活用されていくというふうになるそうであります。これは、二〇一五年一月五日付の読売新聞です。
 オリパラが終わった後、一万二千人規模の住宅街ができるとして、東京都は、二〇四〇年ごろまでに銀座から築地を通って豊洲の新国際展示場まで真っすぐ五キロの地下鉄を建設する計画を発表しています。まさに大型開発計画。まあ、きっかけは水素から始まるんですけれども、三井不動産、住友不動産、三菱地所レジデンス、日本を代表するマンション事業者十一社と、東京ガス、JXTGエネルギー等のエネルギー事業者が参加をすると聞いています。
 これは資料の最後に経産省の第五次エネルギー基本計画があるんですけれども、この(5)のところ、つまり左下のところにこう書いている。「東京五輪での“水素社会”のショーケース化」と表現している。まさにそのとおりではないか。つまり、西脇氏は見本市という表現を使っているけれども、これはショーケース化と言っている。まさにそのとおりなんですね。
 ですから、ここまで来ると、復興五輪というのはかけ声だけで、世界から集まる方たちにとって、復興が見えているのか、アピールできているのか。たくさんある、いろいろな新しい開発の中に、一つ、福島のエネルギーが使われているよということにどれだけ目が行くのか、疑わしいと言わざるを得ないわけです。
 そこで、浪江町に話を戻します。
 私は、現地で、なぜソーラーをそのまま発電に使わずに水素にするのですかと東芝の方に聞きました。本当に素人ですから素朴な疑問を言ったわけですが、ソーラーだと発電しか使えませんと答えました。蓄電や燃料としても使えるんだと。
 水素は地球上にほぼ無尽蔵に存在しているわけですが、単体、分子としては存在していませんので、何らかのエネルギー源から変換して取り出さなければならない二次エネルギーなわけです。
 しかし、最大十メガワットの入力が可能という、水素のために、ソーラーパネルは、まだ私たちが見たときは半分しかできていなくて、あと半分つくると二十メガワット分、つまり、倍のパネルを使って十メガワットの電力を入力するということになるわけです。
 その後、一千度という高温による水蒸気改質あるいは長距離輸送するための圧縮、さらに燃料タンクへの圧縮充填など、幾つものプロセスがあると思うんですけれども、そのプロセスごとにエネルギー効率がどうなっていくのか、あるいは、例えばFCVに活用するとしたら利得率がどうなっていくのか、御説明いただきたいと思います、エネ庁。

○小澤政府参考人 お答えいたします。
 実際に、福島水素エネルギー研究フィールド、これは現在は運転前でございますので、一般的な装置を想定しましてエネルギー効率を試算しますと、まず、電気から水素を製造する水電解装置のエネルギー効率、これは七〇%程度とされてございます。次に、製造した水素を圧縮して水素ステーションまで運搬をし、FCVに充填するまでのエネルギー効率、これは一般的に八〇%程度とされてございます。
 このため、電気を水素に変換し、その水素をFCVに充填するまでの全体のエネルギー効率につきましては、これは七〇%と八〇%を機械的に掛け合わせて算出をいたしますと、トータルで五〇から六〇%程度の試算となります。
 なお、今後、水素エネルギーの利用を拡大するに当たりましては、やはりエネルギー効率の向上、これが大事でございます。ことし三月に策定いたしました水素・燃料電池戦略ロードマップにおきましては、福島水素エネルギー研究フィールドと同じアルカリ型の水電解装置のエネルギー効率、これを、二〇二〇年に約七九%相当、二〇三〇年には約八三%相当まで高めることを目標に掲げてございます。これの実現に向けてしっかりと取り組んでまいりたいというように考えてございます。

○高橋(千)委員 私の手元には四つのプロセスを書いていたんですが、今、二つしかおっしゃいませんでした。八掛ける七掛ける九掛ける五で〇・二五二になるんじゃないかなと思っていたんですが。要するに、まず、FCVへの充填のところが御説明がなかったかなと思います。
 再生可能エネルギー由来のステーションの場合、今、充填圧力が三十メガパスカルであって、なので、七十メガパスカル必要なFCVへの満充填はできないという指摘があることを確認したいのと、当然、水素は漏れる、漏れるから爆発するリスクもある。それは当然、対策をとりつつという、織り込み済みなんだという話なんでしょうかね、一応そこは確認を。

○小澤政府参考人 お答えいたします。
 今委員御指摘の水素の圧縮の効率、このときの数値でございますが、これが、先ほどは申し上げてございませんでしたが、水素の圧縮の効率、これが九〇%程度、それから水素ステーションでの充填の効率、これもリーク等もございますので、これは九〇%程度、これを掛け合わせて、先ほど申し上げました八〇%程度という数字が出てくるというものでございます。

○高橋(千)委員 どうして掛け合わせると効率が上がるんでしょうか。五〇から六〇と最初におっしゃったですよね。ちょっと今の説明はわからなかったです。

○小澤政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたのは、製造した水素を圧縮して、水素ステーションまで運搬して、FCVに充填するまでのエネルギー効率、これが八〇%程度というのを最初申し上げました。
 この内訳を御説明したわけでございますけれども、運搬のための水素の圧縮の効率、これが九〇%程度でございます。それから、水素ステーションでの充填の効率、これが九〇%程度でございますので、この九〇と九〇を掛け合わせますと、正確に言うと〇・八一という割合になりまして、これは八一%程度、おおむね八〇%程度という数字になるわけでございます。

○高橋(千)委員 液化プロセスの問題だとか、途中がどうしても抜けていたんじゃないかなと思いますので、これは改めてちょっと説明をいただいて議論したいかなと思います。
 効率が悪いということはもう認めながら議論を進めてきたと思いますので、こうした問題や、それからどんなリスクがあるのかということをきちんと説明しながらやっていかないと、何か、最大規模であります、これだけ使えますというふうなことを言っても、実はまだ何も進んではいないわけでありますから、そうしたことを少し、一つずつ確認をしたかったということであります。
 それで、資料の四にもう一度戻るんですけれども、第五次エネルギー基本計画における水素において、括弧のところで、低コストの水素利用実現に向けた国際的なサプライチェーンの構築と水素発電の導入というタイトルがついています。
 これは、三に、ちょっとその前に戻っていただくと、二〇一七年十二月の閣議決定、水素基本戦略のシナリオによれば、現在は水素ステーションが百十三カ所、ステーションでの価格はリッター百円、これを二〇三〇年には三分の一の三十円に下げる、その先、二十円を目指すということが目標になっているんだけれども、しかし、下げるためには、結局輸入だと。何か、表現は国際的なサプライチェーンと言っているけれども、要するに輸入だということですよね。
 具体的に、どこからどのくらいを考えているのか。自給率との関係でお答えください。

○小澤政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のように、エネルギー基本計画では、海外の安価な水素、これを大量調達するアプローチというものも考えているということでございます。
 この中では、現在NEDOのプロジェクトで行っております、例えばでございますけれども、オーストラリアで、褐炭から水素を取り出して、それを液化いたしまして、輸送して日本に持ってくる、こういったプロジェクトの実証を行ってございます。
 あるいは、ブルネイ国におきまして、未利用ガス、これを改質いたしまして、改質した状態で日本まで運んできまして、日本で水素を取り出す、そういったプロジェクトも実証プロジェクトとして実施しているところでございます。
 例えば、具体的な調達元としては、こういったオーストラリア、ブルネイなどが候補になり得るものと考えてございます。
 ただ、実際の量につきましては、今後の技術開発あるいはコスト低減の進捗次第でございますので、現時点で具体的な定量的な数値というものを申し上げるのは難しいかというように考えてございます。

○高橋(千)委員 今読み上げているのは水素基本戦略に書いていることなので、確認になりますけれども、紹介された褐炭、オーストラリアの場合、まだ豊富にあって、未利用化石資源なわけですよね。なので、当然、CO2フリーにするためにはCCSの技術が必要である、それがどこにでもあるわけではないということが一つ書いてあると思いました。
 それから、輸送するときの船ですよね。船も結局、それが水素を使うとか何らかの再エネとかでなければ、結局CO2を使って、しかも長い距離を載せるということになりますよね。それも当然織り込み済みであるということを確認したいと思います。
 その上で、東京オリパラの後の浪江町の研究フィールドの計画はどのように進んでいくんでしょうか。

○小澤政府参考人 お答えいたします。
 オーストラリアのプロジェクト、これは委員御指摘のように褐炭からとりますので、そうなると、それでCO2が発生しますので、これについてはCCSとあわせてやることが大事だと思ってございます。したがって、そういったコストも下げていく努力ということが必要になります。
 それから、液化水素にした形での運搬ということでございますので、これも、水素が漏れないような形での対応、そういったものもかかわってきますし、もちろん運搬の中では、それにかかる燃料、CO2が発生するということもありますので、そういったものも含めて総合的に、コストがどうなるか、CO2フリーの形になっているのか、そういった検証をしながらやっていくことが大事だというように思います。
 その上で、福島水素エネルギー研究フィールド、これについてでございますけれども、これはまず、二〇二〇年に向けて、水電解装置の耐久性、あるいはその応答性、あるいはエネルギー効率の向上等に関する実証を行いまして、再生可能エネルギー由来の水素製造技術開発を着実に進めていく。さらに、先ほども御指摘がございましたけれども、製造された水素につきましては、福島県内のみならず、東京オリンピック・パラリンピック競技大会での活用ということを目指していきたいというように考えてございます。
 その上で、二〇二一年度以降につきましては、このフィールドにおいて引き続き水電解装置の耐久性、応答性、エネルギー効率の向上等に取り組みながら、製造される水素につきまして、浜通り地域等を中心に、県内でモビリティー分野あるいは産業分野での幅広い活用、そういったものができるように、関係自治体、事業者、関係省庁ともしっかり連携しながら検討していきたいというように考えてございます。

○高橋(千)委員 結局、来年が終わればその先が、まだこれからだということなんですね。非常にそこは、すばらしい計画だとおっしゃる方は多かったですけれども、しかし、本当に町民にとってどうなのかなと思うんです。
 つまり、世界最大規模のスケールですよ、それは原発から撤退をしたことによって生み出す新しいエネルギーですよ、だけれども、自給ではないんだな、改めて輸入もするんだなと。しかも、コストが下がるからだと言っているんだけれども、まだまだコストは高いんだよと。さまざまな課題があるんだということを本当にあからさまにしていく必要があるのではないか。
 その上で、三・一一以降、全国の原発が全て停止をし、その後、再稼働を入れても一%程度、今はエネルギーの中で原発の程度はそのくらいかなと思うんですが、これが、第五次エネルギー基本計画では二〇から二二%、二〇三〇年までに引き上げたい、こう言っているわけですよね。そうすると、こっちも結局維持していくというか、原発自体は結局、エネルギー源としてもこの割合を保つつもりでいるということなんでしょうか。

○小澤政府参考人 お答えいたします。
 資源に乏しい我が国にとりまして、原子力につきましては、安全確保を大前提とした上で、安定的かつ安価な電気の供給、あるいは気候変動問題への対応、これは二〇三〇年、二〇五〇年へ向けて大いに取り組まなければならない課題でございます。それからエネルギーの海外依存度、こういったものを考えれば、責任あるエネルギー政策を実行するためには、やはり原子力は欠かすことはできないものというように考えてございます。

○高橋(千)委員 非常に残念な答弁だと思うんですよね。
 結局、福島第二原発はほぼ廃炉になっていくんだろうけれども、その原発で本当にふるさとを追われた方たち、家族をばらばらにされた方たち、そういう人たちに希望をということで、この新エネルギー戦略、福島として進めてきたわけですけれども、でも結局、原発は今までどおり再稼働して、欠かすことはできないんだと言っている、それがやはり町民や県民にとってどうなんだろうということをあえて提起したかったんです。
 水素は、再生可能エネルギーが季節だとか昼夜だとかでなかなか調整が難しいから、蓄電をすることによって調整ができるすぐれた能力がありますよと言っているけれども、最も調整ができないのが原発なわけですよね。だから、原発にどうしても依存せざるを得なかったということがこれまでもあったわけですから、そこを本当に脱していくというふうにしなければならないと思います。
 もう時間がないですので言い切りにしますけれども、ことし三月に報告書として出された浪江町の意向調査では、帰還しないと決めている、四九・九%。三十代が最も多くて、六五・八%に上ります。この世代が帰らないと言えば、子供たちが帰るわけないんですよね。本当に町の将来がかかった問題だと思います。
 震災発生時の居住地域に望む将来の姿として、再生可能エネルギーの研究開発、供給、活用、これに答えた方は十件だけでした。トップは、もとどおりの地域の姿に戻っていること、被災の形跡がなくなっていること、これが百二十九件。生活基盤の復旧整備、九十件などと比べても、やはり町民の意識からは少しかけ離れているのではないか、町民の希望と本当になり得るのかということを少し問題提起をしたかったんですが、時間がなくなりましたので、この次またやりたいと思います。
 ありがとうございました。

―資料ー

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