災害対策特別委員会は17日、地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業の特別措置法を5年間延長する改正案を、全会一致で可決。採決前の意見表明で高橋千鶴子議員は、地震防災対策を実効あるものにするため、観測・研究の強化、被災者の生活と営業の再建支援、住宅などの耐震化の推進、開発行為への防災上の規制などが不可欠と指摘しました。
(2005年3月19日(土)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋委員 ただいま議題となりました地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案の起草に関し、日本共産党を代表し、一言意見を表明します。
本案は、地震防災対策強化地域として指定された地域に係る地震対策緊急整備事業を推進するに当たって、当該地方公共団体に対する国の財政負担に関し、補助率かさ上げなどの財政措置を講じようというものであり、期限の延長は当然であり、起草案には賛成であります。
地震財特法の前提とされている強化地域の指定は、現状ではいわゆる想定東海地震地域のみですが、政府自身が、いつ起きてもおかしくないとその対策の緊急性を強調してきたものであります。政府の専門調査会は、最大で死者約九千二百人、建物全壊約二十六万棟などとする被害想定結果を公表していますが、問題は、被害をいかにして減らすかです。
また、阪神・淡路大震災を契機にして、それまでの予知を前提にした対策のあり方が反省され、日本列島のどこで起きてもおかしくない現状を直視し、被害の拡大を防止するとともに、被害を最小限に抑えるための防災対策の必要性が強調されてきました。
こうした点に照らして、現状は、大規模地震に対する備えとしては極めて不十分だということを指摘せざるを得ません。
第一に、大規模地震の発生を政府自身が指摘しているにもかかわらず、地震動や津波被害が想定されている海岸や軟弱地盤地域に人口や建築物、危険物施設が集中するなど、開発行為に対する実効ある防災上の規制が行われていないということであります。これらは、地震による被害を減らすどころか拡大することにほかなりません。だからこそ、当初、「五箇年で達成されるような内容のものでなければならない。」とされた地震対策緊急整備事業は、開発行為の後追いをするように新たな事業実施が必要となり、延長を繰り返さざるを得ないのではないでしょうか。
第二は、単純に期限を延長しただけでは不十分だということであります。例えば、災害が発生した際の避難所として指定されている公立小中学校の耐震補強をとっても、耐震補強の前提となる耐震診断そのものが進まず、各地方自治体の苦労は大きいものがあります。一体なぜでしょうか。耐震改修を含めた改築事業については二分の一から三分の二に補助率がかさ上げされていますが、そもそも、補助対象となる事業の範囲そのものが狭いという現実があります。耐震診断は、診断の結果補強工事を行う場合に限って補助の対象とされているのであり、補強工事は必要なしとなれば、あるいは補強工事は行わないという場合は補助の対象にはなりません。今回の期限延長に当たっても、関係自治体は、耐震診断そのものに対する財政支援や、幼稚園や高等学校を学校耐震化の対象とすることなど具体的な要望をされておりましたが、関係省庁の同意が得られず、単純延長とされた経緯があるということであります。実際に被害を軽減するために、現場が必要としている事業を必要とされる規模とスピードで進めることが求められており、各省庁が認める範囲の事業を計画にのせるあり方には限界があることを指摘せざるを得ません。
地震防災対策を実効あるものにする上で、地震や津波の観測、研究を強化し、住民への情報伝達や避難方法のあり方を見直すことはもちろん、住宅本体への支援を初め、店舗や中小事業所などを含めた被災者の生活と営業再建への公的支援を一刻も早く実現すること、住宅や建築物などの耐震化の推進や被害を拡大する開発行為の規制などを強力に進めることが不可欠であります。このことを指摘して、私の意見表明を終わります。