障害者雇用促進法改定案が可決
衆院厚生労働委員会で10日、障害者雇用促進法改定案が全会一致で可決されました。日本共産党の高橋千鶴子議員は質疑で、障害者が働き続けられるための支援を国が率先して行うべきだと主張しました。
高橋氏は、8日の同委で根本匠厚労相が障害者雇用の支援制度に関し「合理的配慮指針にあるが、基本的には雇用する企業において行われるべき」と答弁したことに言及。「配慮指針すら公務には適用されていない。まず国が規範となった上で民間企業を支援するべきだ」と主張しました。
高橋氏は、障害者権利条約20条では「障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にする」ため効果的措置を講じるよう求めていると紹介。一方、自力での移動が難しい人にヘルパーやガイドが同行する福祉サービス「移動支援」が通勤を除外していることなどにふれ、「職業生活に『移動支援』が適用されないのはおかしい」と主張しました。
高橋氏は、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業でも通勤の支援は対象外だと指摘。橋本泰宏・障害保健福祉部長は全国27%の市町村が通勤の支援を事業化していると明らかにしました。
高橋氏が同事業での支援が「社会生活上必要不可欠」なものに限定されているとして「不可欠」の内容をただしたのに対し、橋本氏は明示できませんでした。
高橋氏は「障害者が長く働き続けられるよう権利条約に照らして支援していくべきだ」と主張。根本氏は「どのようなことができるか検討していきたい」と述べました。
(しんぶん赤旗 2019年05月11日付より)
―議事録ー
○高橋(千)委員 おはようございます。日本共産党の高橋千鶴子です。
委員の皆さんに便宜を図っていただきまして、きょう最初の質問をさせていただきます。
初めに、先週も統一試験のことを少し取り上げたんですけれども、それに関連して質問をしたいと思います。
統一試験並びに各省庁の採用試験についてなんですけれども、当初、一部の省庁の要項の中で、自力で通勤でき、かつ、介護者なしで業務の遂行が可能な者との条件がついているということで、DPIなどの団体からの指摘もあり、削除をされたところです。
先週も指摘をしたとおり、採用試験において就労支援機関の職員等の同席を認めることなどが合理的配慮指針には書かれているわけでありますけれども、今回、実際に補助者をつけるなどして統一試験を受けた方がどのくらいいるのか、また、その中から合格者がどのくらいいるのか、人事院と厚労省にそれぞれ伺いたいと思います。
○三田政府参考人 お答えいたします。
今回の国家公務員障害者選考試験の第一次選考におきましては、付添いの方の来場を認めておりまして、付添いを希望する受験者の方には申込時に申出をお願いしております。申込時に付添いの方の来場を申し出た方は百五十九名でございまして、これら全てについて付添いをお認めしたところでございます。
○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
今、人事院から選考試験に付添人の方が一緒に来場した数の御報告がありましたが、この方々のうち各府省において採用された方の数ということについては、恐縮でございます、厚生労働省として把握ができていない状況でございます。
なお、ちょっと異なる観点でございますが、既に御報告申し上げていますように、この四月一日までの採用数の合計は二千七百五十五・五人でございますが、このうち身体障害者の方は実人員ベースで千四十五人でございまして、このうち重度の方という観点では四百四十四人であったという状況でございます。
○高橋(千)委員 せっかくそこまでおっしゃってくださるのであれば、その方たちの中で付添いが必要だった方、通勤まで支援をされた方がどうだったのかということをぜひ調べていただきたいと思います。それはお願いできますか。
○土屋政府参考人 今後いろいろフォローアップをしていく中では、どういう状況で採用され、また定着をしているかというようなことについて、具体的に調べ、分析もしていく必要があると思っておりますので、そういったフォローアップの中で把握について検討してまいりたいというふうに思います。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
というのは、合格者がわからない。私は、今回、百五十九名全員が認められて、付添いがあったということはとても大事なことだと思うんです。ただ、受かったとしても、その後の職場の中での補助が認められなければ結局通えないよねと思うんです。そこはどう考えていらっしゃるのか。
○土屋政府参考人 各府省におきます障害者に対する通勤介助につきましては、昨年十一月に各府省に対しまして、障害者向けの求人においても、介助者の付添い等の社会的不利を補う手段を利用しないことといった条件はつけず、応募者と個別に話し合い、本人の障害の特性に配慮した合理的配慮ができるかどうか検討することが適切であると考えるといった厚生労働省としての見解をお示ししているところでございます。
また、各府省で採用された障害者に対する支援などにつきましては、昨年十月の閣僚会議で決定をした基本方針におきましても、施策の推進に必要となる予算については適切に措置するものとするとされておりまして、各府省におきまして、活躍の場の拡大に向けた必要な対応が行われるべきものだというふうに考えております。
これらを踏まえまして、障害者に対する通勤介助については、各府省において必要に応じて適切な対応がされるものと考えておりますし、また、それを促していきたいと思っております。
○高橋(千)委員 確認をさせていただきますが、七日の参考人質疑のときに、車椅子使用者などに対する駐車場の助成とか、職場介助者、手話通訳者といった人的支援に対する助成制度が十年に限られている、障害は基本的に一生涯続くものであるという指摘があって、八日、尾辻委員がこのことを指摘しているのに対して、大臣は、合理的配慮指針にそれはあるんだけれども、基本的には雇用する企業において行われるべきものと答えたわけです。
でも、合理的配慮指針すら公務には実は適用されていないという実態があるわけですよね。だから、今おっしゃったのは、事業主の責任において必要に応じてというところが、国が採用した場合はもう国が完全に責任を果たすんだ、だから、介助が必要な人に対しては予算もつけてちゃんと援助をしていくということでいいということですね。確認をさせていただきます。
○土屋政府参考人 御指摘のございました助成金については、納付金制度の中で対応しているということもございまして、助成金としての性格からくる一種の条件があるわけでございますが、基本的には、今御指摘がありましたように、職場における介助であるとかそういったものについては事業主が対応していくべきものということになりますので、国等の機関においては事業主たる国等が対応していくということを基本としているというふうに考えております。
○高橋(千)委員 今確認をしたのは、議論をやはりきちっと分ける上で、国が事業主になった場合はその責任を果たせということをまず確認いたしました。そうなんだということをきちっと見ていきたいなと思うんですが。
企業に対してはこれはやはりまた世界が違うわけで、企業がそれぞれ持ち出した雇用保険の二事業とかいろいろなものがあるわけですから、やはりそこは、支援のやり方というのは、期限を区切るというのではなくて、それが企業に対しても過度な負担の場合は支援をしていくというのは当然のことでありますから、今は国が模範となっていないからまずそこから始めようという議論を最初にしましたので、その上で、企業に対してはきちっと支援をしていくべきだということを重ねて言いたいと思うんです。
それで、資料の一枚目なんですけれども、同行援護と書いてあります。
対象者を見ると、視覚障害により移動に著しい困難を有する障害者等となっておりまして、本当は重度訪問介護とか同様の制度もございますけれども、わかりやすいようにこれだけをとりあえず紹介をいたします。
外出時に、移動に必要な情報の提供、援護、排せつ及び食事の介護、その他外出時に必要な援助ができるとあって、五千八百八十五の事業所、二万五千六百九十八人の利用者がいます。
問題は米印のところなんです。
通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除くとただし書きがあって、これによって通勤には使えないということになると思います。
それで、なぜ障害福祉サービスにおける移動支援が通勤に対する支援を除外しているのかということを聞きたいんです。大臣に聞きたいんですね。
権利条約の第二十条には、「個人の移動を容易にすること」という項目があります。「締約国は、障害者自身ができる限り自立して移動することを容易にすることを確保するための効果的な措置をとる。」と書いています。
最も自立した生活の象徴である職業生活にこのサービスが使えないのは、おかしいのではないでしょうか。
○根本国務大臣 今委員からいろいろとお話がありました。
就労のための移動、通勤の支援を個人給付である障害福祉サービスの対象とするかどうか、これについては幾つか課題があるわけであります。
一つは、個人の経済活動に関する支援を公費で負担するべきか、あるいは、障害者差別解消法の施行により事業者による合理的配慮が求められている中で、障害者を雇用する事業者が合理的配慮として対応すべきかなどといった課題があるため、通勤、営業活動等の経済活動に係る外出は認められておりません。
一方で、厚生労働省では、障害者総合支援法に基づき、市町村が地域特性や利用者のニーズに柔軟に対応する地域生活支援事業を行っております。この事業を活用して通勤の支援を行っている自治体もあります。また、事業主に対しては、今もう既にお話がありましたが、障害者の通勤支援を行った際の助成措置も講じられております。
障害者権利条約第二十条では、御指摘のとおり、「障害者自身が、自ら選択する方法で、自ら選択する時に、かつ、負担しやすい費用で移動することを容易にすること。」と規定されていると承知をしております。
一方で、条約第四条第二項では、ある程度の期間をかけて漸進的に達成していくことが許容される漸進性が認められていると承知をしております。
障害者の就労のための移動、通勤の支援をすることで障害のある方が活躍することのできる社会を築いていく、これは重要な課題であると考えております。障害のある方が活躍することのできる社会を築くためにどのようなことができるか、今後とも検討していきたいと思います。
○高橋(千)委員 今、漸進性があるとおっしゃいましたから、たった今できた条約ではないわけですから、もっともっと進んでいなければいけないと思います。
私、二〇一三年にこの権利条約に基づいて質問をして、そのときには、精神障害者の交通割引運賃の問題、なぜ精神障害者だけが対象にならないんだという指摘をいたしました。このときに、やはり、条約の条文自体は認めるんだけれども、国土交通省がそれに対してやっていることはバリアフリーですと言うんです。
バリアフリーが間違っているわけじゃありません。だけれども、この条約の趣旨は、今大臣も読んでくださったように、個人の移動の自由を認めるということなんですから、そこはやはり、全体に資することと、個人が自分で選択できてかつ動けるということとは全く別の問題ですから、その点においては進んでいないと指摘をしなければならないと思います。
それで、今大臣がおっしゃった障害者総合支援法の地域生活支援事業、この中に、確かに移動支援事業というのが必須事業として位置づけられているんです。だけれども、こちらも、今紹介した同行援護などとあわせて通勤は除外をしています。それどころか、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動に限定しているんですね、逆に。社会生活上必要不可欠というのは何ですか。
○橋本政府参考人 地域生活支援事業についてのお尋ねをいただきましたが、私どもの方で平成二十五年度におきまして全国の市町村の方に聞き取りをさせていただきましたところ、通勤の支援につきましては二七%において事業化しているというふうな御回答をいただいているところでございます。
○高橋(千)委員 ちゃんと答えてくださいよ。もう一回言いますよ。社会生活上必要不可欠というのは何ですか。
○橋本政府参考人 まさに社会生活上必要不可欠ということでございますので、さまざまな日常生活を行うそういう中での必要な外出ということでございます。
○高橋(千)委員 そもそも聞かれて答えられないこと自体が問題なんですよ。要綱にそれしか書いていないわけ。
それで、私が聞いたのは、役所、冠婚葬祭、金融機関、お金をおろしに行く、あと多分投票は入ると思いますが、それしか例を挙げていただけなかったんですよ。あと、余暇。それも、余暇もずっとじゃだめなんですよね、たまにでなければ。だから通院も入っていないわけですよ、病院通いも入っていない。
これでさっきの権利条約、自立して、選択できてと言えるでしょうか。もう一回。
○橋本政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、全ての市町村でこれを実施しているわけでは必ずしもございませんし、その意味で、完全にそれぞれの障害者の方々のニーズにこれで応え得るというふうなことはなかなか言えないだろうというふうに思っております。
いずれにしましても、少しずつ充実を図っていくということかと思います。
○高橋(千)委員 言っちゃったなという感じなんですよね。全てやっているわけじゃございませんしということは、結局どこでもやっていないということなんです。そういうことですよね。
結局、権利条約を批准して、それにのっとって、基本法も改正しましたし、雇用促進法も改正した。やはりそれぞれやっているはずだよと。見てみたら、自治体で二七%が通勤支援をやっているよと。でも、私が今指摘をしたのは、通勤支援どころか日常生活の支援だって十分ではないんです。そのことをやはりきちっと見なければ。
資料の2に、二〇一七年の障害福祉サービスの報酬改定検討チームに出された論点資料なんですけれども、丸の三つ目あたりを見ますと、時間がないので読みませんけれども、非常に限定的なものを変えてほしい、通知を削除してほしい、いろいろ認めるけれども原則一日で用事を終わっているものしか認めませんよとか、通勤も通学も認めないということに対して、いろいろな団体から意見が出ているんです。
それに対して、論点の結論のところは、「事業主や学校による支援が後退することが懸念される」と。「後退することが懸念される」というのは何ですか。あり得ないでしょう。国がサービスとしてそういう制度をつくってくれたら、受け入れる側は、もっと違うことで、職場環境の中でもっと支援を強めるとかできるじゃないですか。それで後退するなんてこと、あるわけないでしょう。
結局、いろいろな通知の中に出てきますけれども、ずっと支援し続けるのが嫌だということに尽きるわけですよね。たくさんの人にずっと支援を続けるのが嫌だ、そういうことじゃないんですか。
これじゃ全然議論してきた趣旨とは違うわけで、大臣、そろそろ見直しをするべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○根本国務大臣 先ほども申し上げましたが、確かに委員がおっしゃるようにさまざまな議論があるということは私も承知をしております。
先ほども申し上げましたが、就労のための移動、通勤の支援を個人給付である障害福祉サービスの対象とすること、これは、個人の経済活動に関する支援を公費で負担するべきか、あるいは、事業者による合理的配慮が求められている中で、障害者を雇用する事業者が合理的な配慮として対応すべきかといった課題があるために、今、現状のような取扱いになっております。
障害者の就労のための移動、通勤の支援をすることで障害のある方が活躍のできる社会を築いていく、これは重要な課題であると考えております。障害のある方が活躍することのできる社会を築くためにどのようなことができるか、今後とも検討していきたいと思います。
○高橋(千)委員 ぜひ、今最後におっしゃったように、検討していただきたい。余り時間をかけずに、これだけたくさんのヒアリングを既にやっていますのでそれを踏まえて、活躍できませんから、このままでは言葉だけになってしまいますから、よろしくお願いしたいと思います。
では、次に行きますけれども、今回、手帳などの確認方法を厳格化しました、これは公務の場合なんですけれども。正直言って、じゃ、これまでどうだったのかと思うんです。
聞きたいのは、ガイドラインはありましたよ、それを周知していませんでしたということは、報告書を見ているからわかります。そこが聞きたいのではなくて、採用行為がなければ雇用率が上がっていくはずがないわけですよね。採用しなければ、絶対、雇用率は上がらないです。だって、自然退職とかさまざまあるわけですから。
そういう中において、これまでは今回のような統一試験があったわけでもありません。障害者枠という採用試験、特別枠があったわけでもありません。しかも、障害者が毎年どれだけ合格しているかなどという報告も全くつかんでおりません。それで雇用率が毎年守られているということは、おかしいなと思わなければ逆におかしいのではないのか。なぜこれまで気づかなかったんでしょうか。
○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
各府省の不適切な計上につきましては、検証委員会の報告書でもさまざま御指摘をいただいているところでございますが、今お話のあった採用と雇用の状況についての関係という意味で申し上げますと、この検証委員会の報告の中でも、私どもの立場、制度を所管する官庁について、そういう立場であるにもかかわらず、国の行政機関における障害者雇用の実態に関する関心そのものが低かったと言わざるを得ないという厳しい御指摘をいただいているところでございます。
民間に対する指導に重点が置かれていて、他方、国の行政機関については、自主的に適切な対応がなされるであろうという期待があったせいか、毎年の実雇用率の把握は行うものの、各機関の実雇用率が法定雇用率を超えていれば、それ以上に、適切に対象障害者が雇用されているのか、計上されているのかなどの実態把握を行うことについてはほとんど視野に入っていなかったと考えられると、検証委員会の報告でも御指摘をいただいているところでございまして、この点、大変重く受けとめ、反省をしているところでございます。
○高橋(千)委員 今、民間に力点があったということをおっしゃって、それは後で質問しますけれども、単純なことを聞いています。
例えば、管理職の登用率を五割を目指し、とりあえず三割を目指しといったときに、そもそも採用の時点で三割に満たなかったら、どんなに頑張ったって三割、五割にはいきませんよね。そうやってやはり最初からちゃんと点検をするじゃないですか。その視点がなかった。本当はわかっていたことだったと言わざるを得ないんじゃないか。どうですか。
○土屋政府参考人 御指摘の点については、先ほど申し上げたように、毎年の実雇用率の把握以上に、それが法定雇用率を超えているという状況の中で、適切に雇用がされているのか、計上されているのかという中には、採用がされているのかということも含むと思います。
そういった実態把握が視野に入っていなかったというのがやはり実情だと思いますし、実は私もかつて担当課長をやっている立場ですけれども、そのときの私自身の考えもそういうことであったと今反省をしているところでございます。
○高橋(千)委員 認めていただいたと思います。
それで、資料の3を見ていただきたいんですが、改めて、どう見るべきかというのを本当に思ったわけなんです。国、地方公共団体への適用と民間事業主への適用を一覧にして、現行と改正案を比較したものなんです。
問題は、これからやりますよというのはそれはいいんです。だけれども、左側、現行のところ、国は一つもやっていない、何もやっていないということなんです。納付金を取っていないねというのは誰でもわかっています。でも、それだけではなくて、障害者雇用推進者もいなければ、報告徴収もないし、書類の保存義務さえなかった。民間企業に対しては、三年に一度、賃金台帳による調査までしておきながら、本当ならすぐ気づくはずの雇用率の申出をうのみにして、チェックもしない。本当に他人に厳しく身内に甘いと言わなきゃいけない。
厚労省の問題として言っています。水増し問題については、各省庁のやり方は本当にひどいなという指摘をしました。それはそのとおりなんだけれども、それ以前の問題として、障害者雇用促進法を所管する厚労省としての姿勢そのものが問われる問題ではないでしょうか。
○土屋政府参考人 これまでの障害者雇用促進法の法の規定に関して申し上げますと、考え方としては、国や地方公共団体は、民間の事業主に率先して障害者を雇用すべき立場にあるという考え方のもとで、法定雇用率も民間よりも高く設定をし、また、法定雇用率に満たない場合には、民間企業とは異なり、直ちにみずから障害者採用計画を作成するというような法体系にしていたところでございますけれども、一方、御指摘のあったような、表に掲げている各規定に関して申し上げれば、例えば、報告徴収であるとか推進体制の整備という意味での雇用推進者などの規定については、その規定がなくともおのずと適切に障害者雇用に関する取組がなされるというふうに考えていたということではないかと思っております。
今般の事態を踏まえて、検証委員会からも厳しい御指摘をいただいているわけでございますので、再発防止の観点から、この法案において規定を新設させていただき、的確に雇用状況を我々も把握し、また、各府省の取組を促し、官民問わずの雇用が一層進むようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 そもそも、昨年七月三十日に在り方研究会の報告書が出されているんですけれども、五月のころから既に問題がわかっていたのに、結局、研究会には報告が一切なく終わってしまっているわけですよね。それでこの水増し問題の対応が今回の法案の主役になってしまった。そうすると、研究会の皆さんが議論してきたことがほとんどペンディングになってしまったというのが実態なわけですよ。
きょうも本当であれば、この後、納付金との関係をどう見るかとかいろいろ議論したかったんですが、時間がありませんけれども。やはり、厚労省の本気度が問われる、大臣、お願いしますね、本気度が本当に問われるんです。それで民間には厳しくと言ったり、どんなに促進しようと言ってもそうはいかないんだということを改めて指摘しまして、今後またあり方について一緒に議論していきたいと思います。
終わります。
―資料ー