ハラスメント禁止〝不十分〟/高橋議員、法改定案に反対討論/衆院本会議可決
企業にパワハラ防止措置を義務付けることなどを盛り込んだ女性活躍推進法等改定案が25日の衆院本会議で賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。
日本共産党の高橋千鶴子議員は反対討論で、改定案にはハラスメント行為を規定し法的に禁止する規制がないため、「『ハラスメントがあった』と認めてもらうこと自体が困難だ」と指摘。改定案で被害者が事業主に相談したことによる不利益取り扱いを禁止したことは当然だが、現状を大きく変えるものではないとして、「独立した救済機関が必要だ」と強調しました。
また、女性活躍推進法にもとづいて、企業に公表が義務付けられている情報に、男女間の賃金格差をはじめとした項目を加えるよう主張しました。
そのうえで、高橋氏は「『セクハラ罪はない』『はめられた』などと開き直る大臣発言は、それ自体がセクハラだ」と指摘。国際労働機関(ILO)条約案では、ハラスメント禁止を明確にした上で、求職・離職も含む労働者、フリーランス、アルバイト、顧客、患者など対象を幅広く定義しており、法案は極めて不十分として、「世界に女性活躍をアピールする前に、まずILO水準の法案を出し直すべきだ」と述べました。
(高橋議員の反対討論要旨4面)
( しんぶん赤旗 2019年04月26日付より)
―議事録ー
○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました女性活躍推進法等改正案について、反対の討論を行います。(拍手)
セクハラ被害を告発するミー・トゥー運動の広がりやILO条約採択への動きなど、包括的なハラスメント規制が世界の流れとなっています。しかしながら、本法案は声を上げてきた人たちの期待を大きく裏切るものとなりました。
最大の問題は、ハラスメント行為を規定し、法的に禁止する規制がないことです。そのために、ハラスメントがあったと認めてもらうこと自体が困難です。今回、パワハラについて事業主の防止措置義務や行政ADRの対象としましたが、現状のセクハラ対策にパワハラを並べたにすぎません。
現に、防止措置義務があってもセクハラ被害は後を絶たず、都道府県労働局に寄せられたセクハラ相談のうち、行政救済に進んだものが余りにも少なく、指導に従わなかった場合の企業名の公表は一件もありません。被害者が事業主に相談したことによる不利益取扱いの禁止を規定したことは当然ですが、現状を大きく変えるものではなく、独立した救済機関が必要です。
また、パワハラは過労死や精神障害の大きな要因の一つです。厚労省は、業務上適正な範囲の指導かパワハラかの判断が難しいとして要件を狭めており、まるで許せるパワハラがあると言っているようなものです。
ILO条約案では、求職、離職も含む労働者、フリーランス、アルバイト、顧客、患者など、対象を幅広く定義しています。この点でも、法案は極めて不十分です。
次に、女性活躍推進法について、一般事業主行動計画の策定義務の対象を百一人以上に拡大したことは当然ですが、情報公表項目を一項目から二項目にふやしたのみです。国連の女性差別撤廃条約は結果の平等を求めており、その重要な指標が男女の賃金格差だということは厚労省も認めました。男女の賃金格差を始め、少なくとも厚労省が把握を必須としている基礎項目は全て公表するべきです。
セクハラ罪はない、はめられたなどと開き直る大臣発言は、それ自体がセクハラであることを知るべきです。世界経済フォーラムによるジェンダーギャップ指数は百四十九カ国中百十位にとどまり、たび重なる国連の勧告にも耳をかさない日本は、完全にハラスメント後進国です。世界に女性活躍をアピールする前に、まずILO水準の法案を出し直すべきであると指摘をし、私の討論を終わります。(拍手)