衆議院農林水産委員会は8日、農林漁業体験民宿業者の範囲を農林漁業者以外にも拡大するなどの改正案を全会一致で可決しました。
高橋千鶴子議員は、登録民宿が97年をピークに減少している原因をただし、川村秀三郎農村振興局長は民宿業者(農家)の高齢化をあげ、今回の法改正で新たな参入を見込んでいると答弁。高橋議員は、手続きの簡素化や食品衛生法に対応する施設改良への補助など具体的な支援策を求めました。
(2005年6月9日(木)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋委員 次に、グリーンツーリズムの法案を残る時間で少し伺いたいと思うんです。
私どもは、先ほど来ヨーロッパの話もされておりますが、やはり日本固有の農村の景観を生かしながら、都市との交流あるいは農業と地域振興に貢献していくグリーンツーリズムというのは大変意義あることだと思っておりますし、その振興のためにはぜひ応援をしたい、賛成をしたい、このように考えております。
その上で伺いますけれども、登録農林漁業体験民宿軒数が、平成九年の八百六十二軒をピークに、現在五百五と減少をたどっておりますが、その要因をどう考えているのか、今回の改正によって新たな参入などの見通しをつかんでいるのか、伺いたいと思います。
○川村政府参考人 農林漁業体験民宿の登録数が減少しているというのは、議員御指摘のとおりでございまして、私どもも非常に残念に思っておるところで、これを何とかしたいというところでございます。
その原因を見ますと、まず、経営者が非常に高齢化をしておるということでございます。そして、現在、この体験民宿の登録は、農林漁業者とその団体に限っておりますと、農林漁業者が経営する民宿が全体として減少傾向にあるものですから、これはそういった傾向にならざるを得ないという面があるということは意識をしております。
ただ、最近、Jターン、Iターン等で開設をされました民宿、またNPO等が運営する宿泊施設というものも非常に出てきておりますので、それもまた農業者がやられるものと変わらない効果を上げておられますので、そういうものも登録の対象にしたいということでございます。
今、登録の割合からいきますと、営業者のやっている数が五千程度あって、そのうちの五百でございますので一割程度ということでございますが、範囲を、母数を拡大するとともに、もうちょっとその加入率も上げていきたいということで努力をしてまいりたいと思っております。
○高橋委員 今ありましたけれども、農家が高齢化が進み、後継者が不足している、あるいは農産物の価格の低迷など、農業経営が非常に厳しくなっている中で農家民宿だけがうまくいくということはあり得ないので、これは当然という結果ではないかと思っております。
これを、登録業者の枠を広げるということで新たな参入に活路を見出すというのは、やはり非常に甘い見込みだと思わなければなりません。逆に、参入が加速するというのならば、向かう方向が本来のグリーンツーリズムとは違うものだと言わなければならないと思います。
時間が来てしまいましたので、要望だけを述べたいと思います。
今回の特区で農家民宿に取り組んだ各県の計画書を見ますと、本当に耕作放棄地を何とか解消して、少子高齢化を解決し、地域資源を生かしていきたい、そういう思いが込められております。そういう自治体の取り組みをしっかり生かす、そういう点では、大いに必要な、例えば手続の簡素化ですとか、先ほど来出ている食品衛生法上必要な設備の改良など、そうした点での援助は大いにするべきだと。しかし一方では、そのことを別な形での、今回の特区の全国展開などもございましたので、そのことでの参入ということには大いに注意を払う必要があるだろうと。基本である農業の振興ということがやはり中心に据わるということを要望しておいて、終わりたいと思います。