16日の衆院災害対策特別委員会で日本共産党の高橋千鶴子議員は、三宅島の被災者支援について、住宅の再建支援が切実に求められているとのべ、家屋の被害認定は「居住機能が維持されているかどうかという観点から、実態に即した認定をすべきだ」と要求。内閣府の柴田高博政策統括官は「火山ガスやシロアリなどによる家屋への被害についても当然考慮する」と答えました。
高橋氏は、雪解けで地盤や家屋に対する被害の深刻な実態が明らかになっている新潟県で、4月30日までに、被災者生活再建支援法(国制度)に基づく補助金の支給が336件、2億2100万円に対して、同県単独の制度「被災者生活再建支援事業補助金」は7002件、34億2300万円と約20倍だと指摘。県の制度よりも多く活用されている原因についての検証と、国制度の「必要な見直し」を求めました。
林田彪内閣府副大臣は「(国と)新潟県独自の支援法との大きな違いは、所得制限があるため。(実態を」加味して、充実を図りたい」 と答えました。
(2005年6月17日(金)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
私も、先日、三宅島の視察に参加をさせていただきました。最初に見た、あの高濃度地区の真っ白になった山を見て大変驚きました。根本から枯れて流れてくる大量の木や土砂をとめるための砂防ダムが建設中でありましたが、しかし、その砂防ダムがあっても、この山がよみがえることがあるのだろうか、あるいは、手前の廃墟のような集落がどうなるのか、大変考えさせられました。
ガスマスクを常に携帯しなければならないという窮屈さがありますけれども、そういう中でも、小学校で見た子供たちの笑顔や診療所に集まるお年寄りの表情を見ていますと、やはり本当にこの村がいい、この村に住んでいたいという思いが伝わってまいりましたし、その皆さんの思いにこたえて、本格復興へ国会としても国としても全力で応援していきたい、このように思いを強くしたところであります。
そこで私は、この後新潟の問題でも触れたいと思うんですけれども、改めて住宅の再建というのが求められているなということを思いを強くいたしました。
二月一日に避難勧告を解除されたので、そこから被災者生活再建支援法の申請期間になるということで、先ほども数字でも若干報告がありましたけれども、全壊と大規模半壊を合わせて二百十三件という数字だったかと思いますが、そういう認定がされているということなんですけれども、帰島は四月から本格的に始まっており、集中しており、帰ってみて、改めて家の傷みのひどさに驚いている。ネズミに食べられている、雨漏りがずっと長く放置されていたために壁が傷んでいる、シロアリの入った床を全部起こさなければならない、そういう実態を見て、この家を修理する、補修するということがどんなに大変かということがあったり、また、さまざまな事情で、これから、例えば半年後とかに帰島するという方もおられるわけで、そういう方は全くこれからそういう実態と向き合わなければならないわけです。
そういう方も含めて、この被災者生活再建支援制度を最大限受けられるための認定や申請に向けての体制がどうなっているのか、それから、水害や地震とも違うこれらの実態に即して、るるこれまで議論されてきた、居住機能が維持されているかどうかという観点から実態に即した認定が求められていると思いますが、その点の対応がどのようになっているのか、まず伺いたいと思います。
○柴田政府参考人 住宅の復興関係でございますが、先ほど御答弁申し上げましたが、まず、住宅をなくされまして公営住宅等を希望される方には、村営住宅の建設、復旧ということでもう既に二百十戸村営住宅を整備いたしておりまして、百八十九戸がそこにお入りになっておりますし、自力により住宅再建を行うとされる方については、住宅公庫による通常よりも有利な融資を受けられます災害住宅復興融資、あるいは今御指摘の、被災者生活再建支援法による支援金の支給というものを行っているところでございます。
中身については既に御承知のとおりでございますが、現在、支援金につきましては、引っ越し費用で最大七十万円、これにつきましては請求がございまして出してございますが、これから住宅の復興等、お帰りになった後本格化してまいるわけでございますので、居住安定制度の申請等も出てくるんではないかと考えております。
また、先ほど、大臣の方がお答え申し上げましたが、支援法の運用に当たって使い勝手をよくしようということで、生活安定部分の百万円については、それぞれの項目の金額等を撤廃し、必要なニーズに応じて使用ができるということ、またあわせまして、三百万円の部分につきましては三百万円まで前払い制度ができるということ、これらを積極的に御活用されることによって被災者支援につなげていきたいというように考えております。
○高橋委員 居住機能が損失しているということがこれまで水害のときも随分指摘をされてきて、弾力運用になるということも検討されてきたわけです。それから、私は、昨年の三月の本委員会でも、シロアリの被害と住宅の問題ということをお話をしたつもりであります。それで、そういうことが十分加味されて認定もされるし適用もされるということを確認したいということです。
○柴田政府参考人 住宅の被害認定は、先ほど御答弁いたしましたように、避難指示、避難勧告が終わった段階で、村の調査に基づきまして行うものでございまして、長期に避難いたしておりました期間の火山ガスの影響やシロアリ等の被害についても、当然考慮することといたしております。
○高橋委員 そこで、先ほど、使い勝手のいいようにということで今回省令改正を行うのだ、また、昨年の災害についても遡及適用するのだという御報告があったわけで、私は、やはりそういう形で、実態に即して弾力的な運用、省令の見直しということで要望にこたえていくということはいろいろできるんだろう、そういうふうに思うわけですね。ですから、今これから幾つか紹介いたしますけれども、そういう住民の実態にこたえて、できるところは大いに見直していくということをお願いしたいと思うんですね。
三宅の場合は、東京都が単独で百五十万円までの三宅島被災者帰島生活再建支援金を創設したということが大変大きな力になっていると思っております。予想以上に長い、四年半という歳月を待たされ、その間、我が家の傷みを心配して、一時帰島などを生かして自力でこつこつと修理を行ってきた方が大変多うございます。そういう自力再建に対しても、支援法も、対象条件に本来合っているのであれば、後からでも適用できる仕組みを検討されたい、このように思います。これは、後の話ともつながりますので要望にとどめて、次に行きたいと思っております。
今月の初めに新潟に行ってまいりました。雪が解けてからあらわれた地盤の被害を見るとともに、住民の皆さんと現地を見ながらいろいろ懇談をしてきたわけですけれども、その地盤災害の大きさと、また同時に、住宅再建に対する支援の要望というのが非常に大きいということを改めて実感しました。
そこで、四月三十日現在、新潟県で被災者生活再建支援法の支給が決定されたのは、三百三十六件、二億二千百万円です。それに対して県単独の制度は、七千二件、三十四億二千三百万円であります。実に二十倍であります。大臣は先般の委員会で、雪が解けたら申請もふえるだろうとおっしゃっておりましたが、結果は歴然であります。もちろん若干はふえてはいますけれども、圧倒的に県制度が歓迎されている。
ここを、なぜかということをしっかり検証して、必要な見直しが迫られていると思いますけれども、まず、これをお認めになるかどうか、大臣に伺いたいと思います。
○林田副大臣 委員、従来よりこの問題については御熱心に論議していただいておるわけでございますけれども、国が持っておりますこの被災者生活再建支援法の根本は、いつも大臣が言っておりますように、被災を受けられた方で、みずから復興できない方を支えるということでございますものですから、新潟県独自の支援法との大きな違いは、いわゆる所得制限というか、これが入っているんではなかろうかと、この違いが大きく響いているんじゃなかろうかと思います。
それにつきましても、斉藤委員の御質問に村田大臣が冒頭答弁いたしましたように、あしたになりますと正式になろうかと思いますけれども、委員も常々言っておられたことを極力加味したような形でこれの充実を図っていきたいというふうに考えておりますと同時に、それぞれ各党超えてのいろいろな要望がございます。我々も、これができ上がってから四年後には見直すというのをもう既に一年過ぎておりますし、そういう面では、いろいろな場面でそれぞれの委員の先生方が勉強していただいておると思いますので、それを受けて、内閣府としても誠意を持って取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○高橋委員 今、要因の一つに紹介されました所得制限の問題、これは大きいとお認めになりましたので、やはり、ここも一つ検討の余地があるだろうということをまず指摘しておきたいと思うんですね。
実は、国制度でも大変活用されているのがございます。内閣府の所管ではございませんが、災害救助法に基づく応急修理制度と、これを活用して拡充した県単の被災者住宅応急修理事業補助金制度、これは、国制度の範囲でも五千九百八十八件、新潟で採用されております。三十二億三千九百万円です。県制度は八千五百九十三件、四十四億八千五百万です。これは、やはり新潟県の英断が非常に歓迎された証拠ではないかと思っております。
ただ、あくまでも災害救助法の範囲でありますから、期限の問題などさまざまあります。ここに本当に学んで、本来なら住宅再建というのはこの支援法のスキームであるだろう、そう考えたときに、修理をすれば住めるという方に支援することは、やはり費用対効果という点でも大変すぐれておりますので、支援法の中にやはり半壊、一部損壊も含めて修理を入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○柴田政府参考人 今、災害救助法の応急修理の御説明がございましたけれども、災害救助法の応急修理につきましても、所得要件は被災者生活再建支援法の所得要件と同じでございます。件数がたくさん出ているのは、直ちに修理をしてそれに帰っていただくということもあるものですから、かなりの数が出たのではないかと考えております。
被災者生活再建支援法はこれから本格的な復旧に入ってくるわけでございまして、三十七カ月期間があるわけでございまして、複数、何度も申請されることも可能でございますので、これからふえてくるのではないかというぐあいに考えてございます。
また、県の単独の事業につきましては、半壊世帯まで対象にされているというふうなこともございます。
それからまた、補修費用の問題でございますが、被災者生活再建支援制度については、これは法律の「目的」でもって、「自然災害によりその生活基盤に著しい被害を受けた者」を対象といたしてございます。従来は住宅が全壊した世帯のみを対象といたしておりましたが、昨年の通常国会における法制度改正によりまして、大規模半壊となった世帯に対してもその対象とするところにいたしました。
しかし、一部損壊ということにつきましては、法律の目的でございます「著しい被害を受けた」ということには言えず、この要件には当てはまらないというぐあいに考えております。
○高橋委員 この問題も、検討をしていただきたいと要望にとどめておきたいと思っております。
続けますけれども、解体撤去費が同じ場所に建てかえることを条件としていることは非常に不合理であるということが出されております。これまでも議論をしてきたんですけれども、改めて思ったのは、地すべりがあって、自分の家が前の家に接近して、このまま放置すると前の家をつぶしてしまう、そういう状況に置かれているんですが、そこの家の方は、もう自分はそこには住めないということで引っ越しを決意している、なのに解体撤去費用も出ない、こういう状況に支援法が使えないのはおかしいんではないかという声が上がっていますが、その点はいかがですか。
○柴田政府参考人 被災者生活再建支援制度におきまして住宅の解体撤去費用が出る場合でございますが、住宅が全壊または半壊し、やむを得ない事由により解体する場合で、原則としてその宅地に住宅を再建設する場合に支給対象となりますが、今おっしゃいましたように、隣接する宅地が危険で住めず、やむを得ず移転する場合等は支給対象となります。
しかしながら、隣接する宅地ががけ崩れ等により危険な場合には、それをやはり放置しているというのは問題でございまして、今回、がけ崩れの対策事業等の活用によりまして、擁壁等の復旧を公費で行うこともできる制度も拡充したわけでございますので、そういう制度を使っていただきまして、その隣接する宅地をまず修復していただくというのが原則ではないかと思います。
○高橋委員 今回、今最後におっしゃいました、がけ崩れその他の事業でも救えない事例がいろいろあるということを実はこの後質問したかったんですが、残念ながら時間が参りましたので、引き続いてまた要望して、改善方をお願いしていきたいと思います。
ありがとうございました。