米国産牛肉の輸入再開諮問を審議する内閣府食品安全委員会に、米国二頭目のBSE(牛海綿状脳症)感染牛のデータが非公開資料として提出された問題で、四日、農水省の中川坦消費・安全局長は資料提供元の米国に公開を求めていく方針を表明しました。これは、同日の衆院農林水産委員会で、日本共産党の高橋千鶴子議員に答えたもの。
問題のデータは、感染牛のBSE一次検査や確定診断、ことし六月の再検査結果など。日本共産党の高橋千鶴子議員は、食品安全委員会のプリオン専門調査会の吉川泰弘座長も公開することをあげ、公開するよう迫りました。さらに、高橋議員は、米農務省担当者がが「十分なもの」としている米国のサーベイランス(抜き取り検査)は、「効果を発揮しているか疑わしい」と批判しました。
中川局長は「(米国で発見された)疑い例は強化サーベイランスとは別枠」で偶然見つかったものだったことを認めました。
(2005年8月5日(金)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
きょうは、三つのテーマでお話をしたいと思うので、答弁の方、よろしくお願いいたします。
最初に、輸入豚肉の差額関税制度の問題で、これまで二回、私はこれを取り上げてまいりました。その後も、生産者団体あるいは加工業界、それぞれからいろいろな御意見をいただいております。中には、我々業界は、ほとんどの企業が豚肉の輸入ができなくて、ブローカーから脱税豚肉を購入し企業活動しなければならない、このように、脱税豚肉を買っていることをみずから明らかにした上で、差額関税制度の改定を求めるある会社の陳情もいただきました。農水省にも同様のものが届いているはずであります。
私は、まず、制度の持つ意義や役割が正しく評価されるチャンスがないままに違法行為が常態化してしまったことを非常に残念に思います。財務省には重ねて全容の解明を求めたいと思うんです。
そこで伺いますが、この数年間で輸入豚肉の通関数量、通関金額がどのくらいで、そのうち差額関税が適用された割合が何%になるのか教えてください。また、この間、チェック体制で改善を図ってきたことがあれば、それを教えてください。
〔委員長退席、山田委員長代理着席〕
○青山政府参考人 お答え申し上げます。
通関の数字でございますが、私ども、いわゆる四・三%といいますか、差額関税じゃない部分でございますが、これが適用されたものと、差額関税が適用されたものというのに分けて申し上げますと、二〇〇四年度が約四千億、四千四億五千八百万です。二〇〇三年度が三千六百三十二億八千万、二〇〇二年度が三千七百七億円というふうになってございます。
差額関税が適用された数字でございますが、二〇〇四年度千九十四億五千二百万、それから二〇〇三年度でございますが、一千一億五千六百万、二〇〇二年度でございますが、七百九十二億六千万というような数字になってございます。
四月、五月の当委員会にも申し上げたわけでございますが、豚肉の差額関税を悪用しました不正輸入に対しましては、これまでも厳重な取り締まりに努めてきたところでございまして、引き続き、通関、事後調査、各段階におきまして厳重な審査、調査をやっておるところでございます。
さらに、通関時の審査あるいは事後調査の中で関税逋脱の嫌疑が発見されれば、関税法違反嫌疑事件といたしまして、その事実を解明するために犯則調査をやっているわけでございまして、検察当局ともよく連絡いたしまして、協力して事実の解明に努めたところでございます。
前回、五月以降でございますが、五月三十一日でございますが、フジチク、それから六月三十日でございますが、成幸という、伊藤ハムの関連でございますが、それぞれ告発させていただいているというところでございます。
さらに、農水省さんにおきましても、最近の状況を踏まえまして、食肉関係企業に対しまして法令遵守の徹底の指導ということに努めてきておられるというふうに伺っておりまして、私どもといたしましても、農水省との連携もより一層強化しながら、引き続き本制度の厳正な執行に努めてまいるということでございます。
以上でございます。
○高橋委員 今、割合を聞いたんですけれども、ちょっと答えがなくて、大体計算しますと、ここ数年でいわゆる差額関税を使っている、つまり、きちんと申告をして払っているだろうという割合は、一五%からよくて二〇%にとどまっているわけですよね。残りが全部というふうには言いませんけれども、しかし、残りの従価税を払っている価格を見ると、数量で金額を割ると平均が出ますから、二〇〇二年度からいって、五百九十四円、五百八十四円、五百八十円という形で、分岐点価格に極めて近い価格で集中されて取引されている。本来ならいろいろな価格があるはずなのに、ほとんどがその分岐点価格に集中して、明らかに作為的にされているということが十分わかるわけですね。
ですから、割合の問題、あるいは価格が固定しているという問題、そして、では市場価格は、実際現地ではどうなのということを比べれば、本来ならば容易に実態はわかる。ですから、いわゆる現場で、事後調査ではなく、会社の調査も含めて、もっと事前にチェックできる体制は可能かと思うんですが、その点について一言だけお願いします。
○青山政府参考人 お答え申し上げます。
どの程度とかいう議論でございますが、いずれにいたしましても、私ども、通関段階、事後調査段階におきまして徹底した審査、調査をやっているところでございます。海外につきましても、いろいろな価格情報等を収集する等々を含めまして、いろいろやらせていただいているというところでございますし、輸入通関段階におきましても、仕入れ書価格の妥当性をチェックするということで、現場はもちろん出かけていきますし、それから、仕入れ書と契約書の価格対査を行うということを鋭意やらせていただいているわけでございます。
そういうことで、たまたま、いろいろなことがございますが、昨今、この場での御議論以降、二件告発させていただいているというところでございます。
○高橋委員 農水省に伺います。
業界団体などは、分岐点価格に合わせた仕入れをするために、本来不必要な肉もセットにして入れてきたと主張しているわけですね。私は、そのこと自体が非常に不正常だと思うんです。つまり、不必要だと言っていながらそれを入れなきゃいけない、そのことが及ぼす影響というものもあるわけですよね。長期に冷蔵保存しなくちゃいけないんだとか、国内産業への影響だとか、さまざまあるわけですね。だから、そのこと自体、つまり、部位がどうであろうとワンセットで同じ値段だ、そのこと自体も見直ししなければいけないと私は思います。
それで、関税を免れて入った安い豚肉が市場に出回って国産価格に影響しているという指摘があります。まず、これについてどう考えるか。それから、六月二十四日の記者会見で、大臣は、この制度を見直すと明言しております。どのように考えているか、伺います。
○西川政府参考人 今、国内の養豚農家に対しての悪影響というお話が一点あったと思います。
委員御案内のとおりでございますけれども、豚肉の差額関税制度は、安価な豚肉の大量輸入による国内需給の混乱を防止するということによりまして、価格安定制度と相まって、国内の需給及び価格安定に寄与してきたものでございまして、国内の養豚農家の保護に一定の効果を発揮してきたものというふうに考えております。
国内の豚肉の枝肉卸売価格を見ますと、季節的な変動を繰り返しておりますけれども、価格安定制度で定められている価格安定帯の幅の中でこれもおおむね推移しているということでございます。
ただ、豚肉の差額関税制度を悪用いたしまして、不正に低価格の豚肉が輸入されるということは、制度の趣旨に反するものでございまして、国内の豚肉価格への影響が否定できないものがあるわけでございますけれども、これを定量的に把握するのはちょっとやはり困難であるというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、不正申告による脱税行為は許しがたい反社会的行為でございまして、今後とも適正に対処していく必要があるというふうに考えているところでございます。
それと、いろいろなこの制度に関するあり方について、これは大臣から御指示をいただきまして、本来、この差額関税制度の取り扱いというものは、WTO交渉の中で議論されるべきものではございますけれども、多様な意見があるということで、島村大臣の御指示によりまして、生産者、関係事業者からのさまざまな意見を聴取するために、まず七月十二日、一回目でございますけれども、養豚問題懇談会を皮切りに、関係団体との意見交換を行う、そういうことを今しているというところでございます。
○高橋委員 この点は、私、きょうは指摘にとどめたいと思います、次の質問がありますので。
やはり、違法行為がやめられないから制度をやめるということには決着をしてほしくないと思っているんですね。まず違法行為はきちんとやめさせる、その上で、制度がいかがなものかということをしっかり検討されるべきだと思っているんです。私は、本当の意味で、生産者がどうあるべきかということで出されたこの制度が、さっきお話ししたように、評価されるチャンスがなかったということを非常に残念に思っているわけです。
養豚経営は、一戸当たりの飼養頭数は大変拡大しておりますが、農家戸数は昨年度が八千八百八十戸、前年比五・八%減と減少し続けています。FTAの拡大で三割しか養豚農家は残らないんじゃないかという指摘もございます。ですから、単に生産者を守るというだけではなく、本来、農水省が掲げた自給率七三%という目標もあるはずですので、その点から見て、消費者も本来は納得できる制度なんだと胸を張って言えるようにしっかり対応していただきたい、そして、生産者のもともとの意義を本当に発揮できるように対応していただきたいということを、きょうは指摘にとどめたいと思います。
次に、火傷病の問題で、先ほど木村委員の方からも詳しくお話があったんですけれども、私も先般、弘前市で一千名の生産者、行政、関係団体が結集した集会に参加をして、改めて侵入阻止という思いを深めているところであります。
それで、地元関係者の中には、検疫措置は実質ゼロに等しい、丸裸で入ってくることになるんだ、そういうふうな指摘がございます。これでは報復関税を受け入れてでも現行措置を維持した方がいいのではないか、こういう意見さえ出ています。これについてまずどう考えているのか、伺いたいと思います。
○中川政府参考人 先般行いました生産者の方々への説明会あるいはパブリックコメントの中で、今先生が御指摘になりましたような意見があったことは私どもも承知をしておりますが、WTOの再パネルの議論の中で、これは専門家によります議論の中で、成熟した病徴のないリンゴ果実であれば火傷病を伝搬するリスクは無視できるという、そういう専門の学者の知見に基づいて今回判定がなされたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、我が国の国境措置、植物防疫措置につきましては、基本的には、やはり国際ルールに基づいてSPS協定に整合した措置に改める必要があるというふうに思っております。
もちろん、その中で、日本に入ってくる火傷病のリスクというものを高めることがあってはいけないわけでありますので、そこは、病徴のない成熟したリンゴということをきちっと確認をする、その手法を担保するということで、私どもはこういったリスクがふえないようにやっていきたいというふうに思っております。
○高橋委員 ルールに沿ってというお答えでしたので、関税を受け入れるのではなく、検疫措置を改定するという意味だと思うんですね。
私はもちろん、前にも指摘をしましたが、この百五十五億という関税は全く不当な根拠のないものであり、受け入れられない、まずこのこと自体を争うべきだと思っているわけですけれども、しかし、受け入れられないからといって、検疫措置が丸裸では、結局、その犠牲が生産者であり、関連業者にかかってくるわけですよね。これは本当に承服できないと。
私はやはり、もともと、SPS協定自体が輸出国の論理が優先される大変不合理な制度だと思っています。未発生の国がそもそも発生のリスクを証明するにはおのずと限界があって、発生国でこそリスクは無視できるんだということを科学的に証明しなければならないわけですよね。そういう点では非常に不合理ではないか。あるいは、この後、牛の話もしますけれども、この決着が、ほかの産業にも非常に影響してくる最悪の決着ではないか。まず、こういうSPS協定のあり方、輸出国の論理が優先されるあり方について、そういう認識をお持ちですか、伺います。
○中川政府参考人 私は、それぞれの動物にしろ植物にしろ、日本の国内にさまざまな病害虫あるいは疾病が入ってくることを防止する、そういった措置というのは、科学的な知見に基づいて必要にして十分な措置をきちっととっていくということが大事でありまして、この点につきましては、SPS協定においてもそういったことを主張する権利は認められているというふうに思っております。
したがって、今回のことについて申し上げますと、専門家が議論した結果、成熟した病徴のないリンゴというものは火傷病の伝搬のリスクは無視できる程度であるというふうに判断された以上、そのことにつきましては、そこを踏まえた上で、かつまた、そうだからといって、日本の国内に火傷病が入ってくるリスクを高めない方法でもってこの問題をきちっと解決するというのが私どもとしてとるべき道ではないかというふうに思います。
報復関税の話がありましたけれども、まずは、日本がとっているさまざまな措置というのは、やはりSPS協定上も整合したものであるということをきちっと担保していくということが、それ以外のことに対する諸外国の信頼を確保する上でも大事な点であるというふうに思っております。
○高橋委員 私は、その認識自体が非常に問題だと思うんですね。それだけの十分な措置を、日本はこれまで何度もやりとりはしてきたけれども、しかし、十分なデータが得られないという条件のもとでのアメリカとの協議をしてきたわけですから、そういう点でやはり不十分だと言うべきではないかと。そうでなければ今後も負け続けるわけですよ。そういうことを指摘したいし、協定の改定を求める姿勢をぜひ要望したいと思います。
それを視野に入れつつ、現時点でまず、ではどうするのかということが問われてくるわけですから、初動防除も含め、国の責任は確実に果たしてもらえるかどうか、これをもう一度確認をさせてください。
それから、侵入警戒調査においては、園地や港のみならず、樹園地帯ですとか、樹木地帯というんですか、街路樹ですか、そういうところなども含めてポイントをもっとふやすこと、そして何よりも水際対策を飛躍的に拡大するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○中川政府参考人 万が一にも日本の国内に火傷病が侵入しないように、先生も今具体的におっしゃいましたが、主要な港あるいは空港、さらにはまた生産地におきまして、これまでも定点観測的にやっております箇所を大幅にふやしまして、侵入警戒調査をきちっとやっていきたい、そういう監視体制を強化していきたいというふうに思っております。
その上でさらに、万が一にも侵入した場合には、できるだけ早くそれを見つけて、かつ蔓延をしないように、きちっとした撲滅のための緊急防除をやっていくと。当然、その緊急防除に必要な経費、それからまた、場合によっては生産者の方々の樹木等の伐採それから焼却ということも必要になりますが、そういった場合のさまざまな経費についての支援、そういったものは、先ほど大臣からも御答弁いたしましたけれども、国の方できちっと責任を持ってやっていきたいというふうに思っております。
○高橋委員 何とかこれはしっかりとお願いいたします。
次に、BSEの問題で引き続いて局長にお伺いをいたしますけれども、先ほど岡本委員から、今回の食安委員会の資料の非公開の問題が出されました。私も非常にこれを不満に思っております。座長自身が資料の公開をすべきだと主張していることもありますので、速やかにこれは公開をするべきだと。
一点確認しますけれども、この問題に関しては、アメリカの方から非公開にしてくれと言われたのではなくて、日本から、公開してもいいですかと対応を伺ったことに対して、アメリカが、だったら非公開にしてくれというふうなやりとりだったというふうに聞いておりますが、事実でしょうか。
○中川政府参考人 事実ではありません。むしろ、食品安全委員会で、提出資料につきましては、これはもう審議自体が原則公開でもありますし、提出をいたします資料につきましても基本的に公開ということでやってきたわけでございます。
今回、八月一日に提出をいたしました資料につきまして、事前にこういう資料が欲しいということをアメリカ側に要求いたしました際に、これは東京で在京の大使館と担当者が打ち合わせをしたわけでありますけれども、こういう項目についての資料が欲しいということをアメリカ側に伝えました際に、そういう項目の中には、本国に照会をしてみるけれども、公表、いわゆる一般公表は難しいものもあるかもしれないというふうなことを担当官が言い、いずれにしても本国に照会をするということでありました。
そして、現実に資料が参りました際に、幾つかの資料については、まだ国内でも公表していないとか、また食品安全委員会に提出するために特別に集計をしている等々の、先ほども答弁をいたしました、そういう理由によりまして公開にしないでもらいたいという、アメリカ側からそういう意向の表明があったということでございます。
○高橋委員 これは、それ以上やりとりすると仮定の議論になりますので。しかし、食品安全委員会が今後非公開になるんじゃないかとか、そういう懸念が逆に深まるわけですよね。そういうことがないように対応をお願いしたいと。
それから、委員長も、山田委員も同席されていたので御存じだと思いますが、アメリカの農務省と我々調査団とのやりとりの中で、今回非公開とされた資料のうち、アメリカのサーベイランスを実施した牛の年齢分布、カテゴリー別、乳肉別、地域別、この内訳の詳細な資料を欲しいということをその場で求めているんですね。だから、食品安全委員会だけではなく、我々が国会として行った調査の中で求めている資料さえも非公開にされた、これはどういうことなのかということが本当に問われてくるわけですね。その点を強く主張して、今後の議論に当然必要な資料ですので、出していただきたいと思っております。
そこで、今回出された資料の中で、クリフォード米国首席獣医官が七月十一日付の書簡で、疫学的な調査により米国で二例目のBSEが確認され、米国で実施されているサーベイランスシステムはBSEを見つけ出すために十分なもの、こういう認識をされているんですね。
私は、そもそも日本とアメリカの検査の出発点が、スクリーニングとサーベイランスという違いがあるということでの、なかなか抜きがたいギャップというのを非常に感じていますけれども、しかし、少なくとも、そのサーベイランスが十分なものであるか、合理的に評価できるものであるかということに疑いをまず持っているんです。
それで、まず局長に確認しますけれども、出発点に違いはあっても、サーベイランスが正しく効果を発揮しているかどうか、この点はアメリカ牛肉のリスク評価においては検証されなければならない重要な問題だと思いますが、どうですか。
○中川政府参考人 日本に輸入される牛肉の安全性という点について申し上げますと、サーベイランスかどうか、BSEテストについて日本とアメリカ側で見解の違いのあるのは一応横に置いた上でのお話でありますけれども、アメリカから輸入される牛肉の安全性については、現在、アメリカがとっているサーベイランスの状況、あるいはその他さまざまなBSE対策の現在とられている状況、そういったものを踏まえて、その上で上乗せ措置を加えて輸入されるものが日本の国内で流通しているものと同等かどうか、BSEリスクの点において同等かどうかということを聞いているのであります。
サーベイランスについての見解はいろいろあるかと思いますけれども、食品安全委員会に現在私どもが諮問をいたしておりますのは、その上で安全の程度はどうか、リスクの程度はどうかということを聞いているという、事柄は二つのことであるという点については御理解をいただきたいというふうに思います。
○高橋委員 簡単な確認ですけれども、今アメリカで三例目の感染が疑われている、まだ確定はしていませんけれども、これについてはアメリカの強化サーベイランスとは別枠で発見されたということですが、それでよろしいですね。
○中川政府参考人 昨日、アメリカ側で、今回の三例目のものについては、さらに詳細にイギリスの研究所にも検体を送って調査した結果、陰性であったというふうに発表されました。
○高橋委員 陰性、わかりました。だけれども、私が聞いたのは、強化サーベイランスと別枠ですねということです。
○中川政府参考人 済みません。
その点につきましては、アメリカ側の発表によりますと、ボランタリーにやったものであった、獣医師が任意でやったものであったというふうに聞いております。
○高橋委員 厚労省に伺いますけれども、アメリカの検査について、二例目ですね、IHCの検査が一たん陰性になったのがウエスタンブロットで陽性になったじゃないかという指摘、それから、英国に送ったときはIHCでも陽性だったんじゃないかと。ですから、アメリカの検査の信頼性というのが問題にされていると思いますが、その点について見解を伺います。
○外口政府参考人 アメリカの従来までのやり方は、確認検査はIHCだけで、その点では、日本が行っているIHCとウエスタンブロット法による確認検査の方が十分な検査だと認識しております。
それでは、強化サーベイランスがどの程度不十分なのか、あるいは十分と言えるのかということにもつながると思うんですけれども、本年六月に、米国農務省監査局の勧告によりまして、今まで強化サーベイランスの中でELISA法で疑陽性とされた三例すべての検体についてウエスタンブロット法で追加検査を行って、一例陽性、二例陰性という判定になっているわけでございます。それで、今後ウエスタンブロットもやっていくことになっているわけでございます。
それで、強化サーベイランスの結果がどうだったかということを振り返ってみますと、ELISA法は一通りやっておりまして、後づけではありますけれども、ウエスタンブロット法の確認もしておりますので、強化サーベイランスでELISA法を経たものについてのデータについては、今後、ウエスタンブロット法をやるときと、精度、感度面では変わりはないというふうに認識しております。
○高橋委員 今、技術的な面でELISAがあるからというお話をされたと思うんですけれども、私が今この二つのことを聞いたのは、かなりの偶然が重なって二例目が発見され、そして三例目が陰性だったとなっていますけれども、ウエスタンブロットが結局検査できないわけですから、今回の三例目に関しては。それは本当にそれでよかったかどうかはわからないわけです。
それに、仮に陽性だとしても、この強化サーベイランスの外で発見されたものだと。ボランタリーによる発見だったということを考えると、本当にアメリカが言うようにサーベイランスとしては十分なものなのか、信頼性が置けるものなのかということにみんなが疑問を持っているんですよ、国民が。そのことを言いたかったわけですね。
逆に言うと、ボランタリーで検査をしたいと言っている米国の中の企業だとかそういうのに対しても、抑制するような、過去されてきたわけですよね。あるいは、検査のピックアップの仕方が問題があるんじゃないかという指摘もされてきているわけですよね。
だから、そういうのに対して真剣にこたえてもらわなければ、やはりリスク評価はできないということを指摘せざるを得ないんです。委員の中からも、リスク評価の、輸入再開に向けた諮問を取り下げるべきという指摘さえも出てきていると思います。
大変残念ですが、時間がなくなってしまいましたので。
今回、二例目が発生しても貿易の再開には支障がないとペン農務次官がおっしゃいました。その前提に、やはり昨年の十月二十三日の日米の合意があると。そこが結局決め手になっちゃって、日本の姿勢、アメリカの姿勢を決めているんだということに強い憤りを持ちますし、そうした点で、日本の政府の対応が改めて問われているということを大臣にぜひきょう聞きたかったんですが、時間になりましたので、そういう立場で臨んでいただきたいと指摘をして、終わりたいと思います。
以上です。