国会質問

質問日:2005年 10月 21日 第163国会 災害対策特別委員会

被災住宅への支援について

新潟県中越大震災や今年の台風14号など災害が続くなか、高橋千鶴子議員は21日の災害対策特別委員会で、被災住宅の再建に対する地域住宅交付金の活用について質問しました。同交付金は自治体を通じてなら個人住宅の建設・改修に国が補助できるもの。高橋氏は「自治体が計画に組み込めば、被災した個人の住宅の建て替えにも使えるのではないか」とただしました。国土交通省の山本繁太郎住宅局長は「被災住宅にも活用できる」と答弁。高橋氏は自治体に対し制度の周知徹底をはかるよう求めました。

(2005年10月22日土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 この間、米国南部を襲ったハリケーン・カトリーナやパキスタン北部地方の大地震、そして九州地方を中心に襲った台風十四号など、国内外で災害が相次ぎ、甚大な被害がもたらされました。この場をおかりいたしまして、これらの災害の犠牲者の皆さんに心から哀悼の意を表明するとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、負傷者の皆様の一日も早い御回復と被災地の復興を祈念するとともに、私たちが国会として果たせることを全力で取り組みたいと思っております。

 さて、本当に限られた時間でございますので、質問も端的に行いますから、答弁も簡潔にお願いいたします。

 台風十四号でありますが、土砂崩れなどで亡くなった方二十六名、負傷者百七十四名、床上浸水一万一千六百十九棟など、被害も大きく、仮設住宅などもこれからという段階であります。

 そこで、災害救助法の特別基準、いわゆる期限の延長や応急修理などを行うために国に協議をしている自治体やその中身について具体的に伺います。また、災害救助法には本来たくさんのメニューがあります。よく知られている避難所や食事の給与、医療、救出活動のほかに、応急修理、学用品の給与。本来、災害救助法は災害直後の混乱のもとでの応急救助でありますので、その際、被災者の所得は要件としない、こういうふうになっていることと思います。この解釈に変わりがないかについて確認をいたします。

○金子政府参考人 お尋ねのございました台風十四号の被害に関します災害救助法の適用の関係でございますが、御案内のとおり、一般基準ということに加えまして、それぞれ、厚生労働省と協議をいたしまして特別基準が設定できるということになっているわけでございます。

 今回の台風十四号災害によります災害救助法を適用した山口県、高知県、宮崎県、鹿児島県におきましては、避難所の開設期間の延長、あるいは住宅の応急修理の実施期間の延長など、特別基準を設定して、適切なる応急救助の実施に努めているところでございます。この点につきましては、今後とも、関係都道府県からの相談に応じ、十分な連携を図りながら進めてまいりたいと思っております。

 それからもう一点でございますが、災害救助に当たりましての所得要件といいますか、資力の問題でございますけれども、これにつきましては、災害救助法そのものは、災害に際しまして応急的に必要な救助を行って、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図るということを目的にしているわけでございます。こういったことで、災害の種類のうち、避難所の設置や炊き出しによる食品の給与など、被災者の生存そのものにすぐにかかわる緊急なものにつきましては、資力の有無に別なく応急救助を平等に実施するということとしているところでございます。

 ただ、住宅の応急修理などにつきましては、応急救助ではございますけれども、今申し上げましたような救助との比較で申し上げますれば、被災者の方の生存に関し直ちに緊急を要さないというふうにも見てとれるわけでございまして、こういった観点から、みずからの資力では住宅を確保することができない者を対象として実施をするということとされているところでございます。

○高橋委員 ありがとうございます。

 あえて当たり前のことを聞かせていただきました。やはり災害直後はだれも力がないわけで、その局面でその人に金があるかないかなどと言っている場合ではないということでのやはり災害救助法というものがあると思っております。

 昨年、三位一体関連で、大臣も出席をされて、国と地方の協議の場などが繰り返し持たれたわけですが、その中での発言の中でも、例えば香川の知事さんだとか、災害救助法で応急救助の種類について、障害物の除去とか住宅の修繕とか、被災の状況下において実務上みずから資力で対応できる人は対応しなさいと言うんだが、混乱しているところではなかなか判定が難しい、そういう指摘がされております。初動が肝心だという点では、自治体がやはり本当に現場で一番よくわかっている。そのところに足かせにならないように、できるだけ裁量を持たせるということが必要ではないかと思っております。

 同時に、今お話しされた応急修理の問題では、新潟で取り組まれた、一定の所得要件を設けて、実施要綱を出して応急修理をやるという方向が今宮崎などでも検討されていると聞いておりますが、そうした方向が一定前進してきた、要するに、応急修理というものがもっと使えるということがこの間実証されてきたということは、私は貴重なことだと思っております。この点を大いに総括されて、ふさわしい形にさらに整理をしていただきたいということを要望しておきます。

 次に、国土交通省に伺いたいんですが、一周年を迎える新潟では、いまだ仮設住宅生活者の一割、三百世帯がその後の居住先が決まっておりません。宅地が崩壊し再建場所が決まらないという、非常に地理的な特徴もございますが、同時に指摘をされているのは、何といっても住宅再建のための資金がないということが大きいと思います。この間、公営住宅については、災害公営住宅が三百二戸、そのほか、栃尾市や魚沼市では、地域住宅交付金を活用して一般よりは補助率の高い公営住宅を建設する計画もあると聞いております。

 同じように、この地域住宅交付金を活用し自治体が計画の中に組み込めば、被災した個人の住宅の建てかえにも使えると思いますが、この点について伺います。

○山本政府参考人 地域住宅交付金は、さきの通常会で定めていただきました地域住宅特別措置法に基づきまして、従来の公営住宅等建設費補助金が、公営住宅の建てかえでありますとかその住戸改善に厳密にそれにのみ使われるという制度でありましたものを、公共団体が地域住宅計画というものを立てることによりまして、従来の補助対象であったものは基幹事業として、従来、補助対象でなかったために地方単独事業でやらざるを得なくなったものについては提案事業として地域住宅計画に位置づけていただければ、全体を丸ごと地域住宅交付金で応援するという制度でございます。今も三位一体改革の議論の最中でございますが、従来の補助金と交付金は名前が違うだけじゃないか、どこが違うんだという御議論よくありますけれども、事公営住宅建設費補助金と地域住宅交付金はここが明確に違うわけでございます。

 したがいまして、御質問のケースでございますと、公共団体の首長さんが復旧公営住宅を一生懸命やって、これに自力再建が不可能な方々にきちんと入っていただくということに努める傍ら、自力再建の方々に対して、豪雪地帯でもあるから特別助成したいという意思決定をされて地域住宅計画の中に提案事業として位置づけられた場合は、地域住宅交付金でこれを支援することができるものでございます。

○高橋委員 ありがとうございます。

 実は、八月の委員会では、この同じ交付金の中に個人の住宅の耐震改修も含まれますねということを確認させていただいたんですけれども、同じ理屈で、被災した住宅の再建にも交付金というのは使えるんだ、それは、自治体として全体を再建するという計画をしっかり盛り込めばできるんだということがわかったわけであります。全体の枠は小さいかもしれないけれども、非常に貴重な制度だと思いますので、大いにこれを周知させていただいて、なかなか今、再建の気持ちはあるけれども救えない、そういう方たちに使っていただけるようにぜひPRもしていただきたい、そのように要望したいと思います。

 そこで、最後に大臣に伺いたいと思うんですけれども、大変毎度失礼いたしますが、大臣が固執している、個人の私有財産形成に税金は使わないという考え方は、まず、自治体が独自に補助するのは地方自治だから構わないということを前の国会で大臣はおっしゃいました。今回は、自治体を通してという形ではありますが、国費を直接投入し、個人の住宅再建にも使えるんだ、もっと一歩進んでそういうことはもうやられてきたわけです。ですから、時代の要請という中で大きく変わってきたということが言えるのではないかと思います。

 被災者生活再建支援法だけが、名前のイメージとは逆にハードルが高いのではないか。四年以内の見直しを附帯決議で決めて一年半たちました。あと二年半です。大臣の問題意識を伺いたいと思います。

○村田国務大臣 自力では住宅の再建が困難だ、そういう法律の基準でもって被災者生活再建支援法というのは住宅本体以外の対象事業に対して支援をする、そういう仕組みでございますが、今、住宅局長からお答えしたような新しいメカニズムというのは、その施策の目的に従って新たにできた施策でございまして、そうした観点から大いに使われるということが私は望ましいというふうに考えておりまして、施策はそれぞれでございますので、そういう意味では、私ども内閣府が担当している被災者生活再建支援法というのは、累次の改善を経ながら今のような状況になっておりますけれども、あくまで住宅本体には広げない、そういう形で私どもやるのが本筋ではないかというふうに、委員の御指摘にもかかわらず、今のところは考えているわけでございます。

○高橋委員 国民が大変注目をしておりますので、いろいろな官庁が知恵を絞るけれども、やはり防災担当統括大臣は村田大臣でございますので、ぜひ前向きな検討をお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

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