国会質問

質問日:2006年 3月 17日 第164国会 厚生労働委員会

幼保一元化の問題点を指摘

日本共産党の高橋千鶴子議員は17日の衆院厚労委員会で、今年10月から実施するとされている「認定子ども園」(幼稚園と保育園の一元化)について厚労省の見解をただしました。

高橋氏は、都道府県知事が認定するとされる施設について、文科、厚労両大臣の策定する指針は、05年から実施されている「総合施設モデル事業」(全国35ヶ所)の実施要綱を基準とするのか、実施要綱では幼稚園型の場合、保育施設部分は認可外の保育施設指導監督基準に準じて取り扱うとしており、給食の外部搬入を可能にするなど緩いものになっていると質問しました。

厚労省の北井久美子雇用均等・児童家庭局長は、05年度実施事業は調査、評価するために試行実施し、この期間のみ特例で設けたもので、実施にあたっては「従来の保育所、幼稚園の基準であり、モデル事業の基準を土台にすることは考えていない」と答えました。

高橋氏は、04年の「規制改革・民間開放推進会議第一次答申」で、幼保一元化について「どちらか緩い方の水準」としていると指摘。多様なニーズなどを口実に、安上がりの保育への企業参入だと指摘しました。

(2006年3月19日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 民主党さんについて、一問だけお伺いをしたいと思います。限られた時間ですので、なるべく簡潔にお答えをお願いいたします。

 民主党の子ども手当法案は、全額国庫負担を財源とし、当分の間の経過した後でありますけれども、扶養控除や配偶者控除等を廃止して財源に充てると。ただ、不足する分について、歳出削減とかさまざまな工夫があるとは思いますけれども、その中で消費税を財源の中に検討されているのかどうか、その点について伺いたいと思います。

○郡議員 高橋委員にお答えいたします。

 将来的に、民主党では、子ども手当の支給に要する費用というのは国が全額負担すべきだということを旨としておりますけれども、そのための財源を補うためには、所得税にかかる扶養控除、また配偶者控除などの改廃によっておよそ二兆円を、またそのほかにつきましては、特別会計の見直しでありますとか、それからまた公共事業のあり方などを見直しまして、行財政改革を進めることによる徹底した歳入歳出の見直しによって捻出するというふうにいたしております。

 したがいまして、今お話ございました、消費税の増税というものを子ども手当の財源としては考えてはおりません。

○高橋委員 確認させていただきました。

 午前の議論でも、大臣自身が、消費税の議論は今後避けられないだろうということに言及をされていることや、民主党さん自身が、年金の問題で、基礎年金の財源に消費税を充てるべきだと主張しているという、そういうことがあって、やはり影響が及ぶと考えざるを得ないことから確認をさせていただきました。

 消費税は、あまねく国民、赤ちゃんのおむつ代から子供のささやかな小遣いにまで課税をするものであり、本当に、子育て世代の経済的負担を軽減するという趣旨からは逆行するものになることですので、これを消費税の増税には結びつけないようにということを、ぜひ政府にも、民主党さんにも指摘をしておきたいと思います。

 また、あわせてですけれども、一昨日以来ずっと議論がされているとおり、各種控除の廃止では、やはり子ども手当の対象とならない高校生以上の世帯は、どうしても増税となります。我が党も実は試算をしてみましたけれども、あえて紹介はいたしません。増税になるということ、また高校生、大学生、最も子育てにお金がかかる世代が重い負担をする、直撃するということであって、その点については賛成できないなということをお話をしていきたいと思います。

 続けて、政府にお伺いをいたします。

 認定こども園について、実は十五日の委員会で保育問題を質問させていただいたんですけれども、そのとき中身で触れられなかった部分について少し伺いたいと思うんです。

 二〇〇五年から総合施設のモデル事業が全国三十五カ所で実施をされ、ことし十月にも本格実施とされております。余りにも急速な動きではないかと思います。

 この総合施設認定こども園には、四つの類型があるとされています。つまり、幼稚園と保育所が連携し一体的な運営をする連携型が一つ。もともとは幼稚園であるというものを拡充する。もともとは保育所であるというものを拡充する。それと、プラス、地方裁量型、幼稚園、保育所、いずれも認可はないけれども、知事が認定をする地方裁量型というものがあると聞いております。

 最初の三つについては、厚生労働大臣と文部科学大臣が示す指針を知事が参酌して決める基準が適用されること、四つ目の地方裁量型については、その基準には合わないけれども、知事の裁量で認定こども園の看板をつけるものだというふうな説明を受けております。そこで伺いますが、両大臣が示す指針、基準に盛り込まれるものとはどういう内容でしょうか。

○北井政府参考人 認定こども園でございますが、現在、就学前の教育、保育を一体的に提供する仕組みをつくるということで、関係法案を今国会に提出をさせていただいております。これから御審議を賜りたいと思いますが、その上で御説明をさせていただきますが、認定こども園、今御指摘のありました四種類の類型を想定はいたしております。

 そのいずれにつきましても、この認定こども園の具体的な認定は都道府県知事が行うことになりまして、そしてその認定基準は、文部科学大臣と厚生労働大臣が協議して定める指針、法案では基準と言っておりますが、その指針を参酌して、都道府県の条例で定めることになります。したがいまして、いわゆる地方裁量型のものも、条例で定められる認定基準に従って具体的な認定が進むということでございます。

 その上で、その条例で定められる基準の、参酌していただくことになる国の基準の内容でございますが、今月中の取りまとめを予定しております全国三十五カ所のモデル事業についての有識者の御評価を踏まえて定めることとなると考えております。

 具体的には、例えば、この認定こども園は、いわゆる保育に欠ける子と欠けない子供が同じ建物の中にいるだけではなくて、共通の理念のもとで一つの施設として活動が行われているといった一体的な運営のあり方であるとか、それから現在の幼稚園、保育所の基準を基本としながら、職員配置や施設設備等のあり方、それから幼稚園教育要領や保育所保育指針を踏まえた上で、子供、保護者双方の生活スタイルの相違といった認定こども園の特性に配慮した教育、保育の内容のあり方、それから、地域子育て支援の具体的な事業内容のあり方などを定めることになるのではないかというふうに考えております。

○高橋委員 昨年の四月六日に、総合施設モデル事業の実施要綱が発出をされております。

 つまり、三十五カ所のモデル事業をやるに当たってどのようなものをするかという中身であるかと思うんですけれども、それを見ると、例えば幼稚園の実施型、既存の幼稚園部分は幼稚園設置基準の適用を受けて、定員外保育施設部分については認可外保育施設指導監督基準に準じて取り扱うことを原則とすると書いております。

 これは、職員の配置やあるいは職員の資格要件についても、大体このような中身ではないか、イメージとすれば、幼稚園の部分は三十五人学級という、小学校よりも多いんじゃないかと私たちは思うわけですけれども、時間が、幼稚園の時間が過ぎたら預かり保育ですよ、しかしそれはもう認可外の世界ですよ、そういうイメージになってしまうわけです。そして、給食の部分については、外部搬入を可能にすること、こういうことまでが盛り込まれております。

 この実施要綱が結局両大臣の指針のベースとなるのか、この点いかがでしょうか。

○北井政府参考人 いわゆる総合施設モデル事業につきましては、平成十六年三月の閣議決定を踏まえて、十八年度からいわゆる認定こども園を本格実施するということに向けまして、平成十七年度に試行的に実施をしようということで始めているものでございまして、この趣旨は、職員配置であるとか施設設備、教育、保育の内容などの調査、評価を行うために試行的に実施をしているという趣旨でございます。

 したがいまして、試行事業の実施期間中に限りまして、児童福祉施設最低基準や幼稚園設置基準について、若干裁量の余地を認める特例を設けたところでございます。

 今後、本格実施をすることになりますと、文部科学大臣と厚生労働大臣が協議して定める指針につきましては、このモデル事業についての有識者の評価を踏まえて定めることとなるわけでございまして、その際、基本となるのは、従来の児童福祉施設最低基準と幼稚園設置基準でございまして、前提としてモデル事業の基準を土台にするというようなことは考えておりません。

○高橋委員 モデル事業の基準を土台にすることは考えていないということをまずお答えいただいたので、そこは確認させていただきたいと思います。

 それで、今私がお話しした外部搬入の問題ですけれども、八カ所の特区でやっている給食の外部搬入をことしの八月には全国展開したいとしているわけですね。それは、本来なら昨年の八月には展開するつもりだったけれども、一年先送りせざるを得なかった、そういう背景がございました。

 それは、評価委員会が評価をするに当たって、アンケートをした。その中で指摘をされているのは、例えば、食物アレルギーに対するきめ細やかな対応、体調不良児等に対するきめ細やかな対応が行われていなかった。搬入元との委託内容にかかわる契約書を締結することや入所児童の栄養基準及び献立の作成基準を事前に明示することなど、遵守がきちんとされていないところが多かった。こうした指摘を受けて、さらなるデータの収集や取り組みの改善を求めたところだと思います。

 私たちが、保育関係者の皆さんも非常に心配されているのは、やはりこのことだと思うんですね。給食を義務づけなければならないその背景には、こうしたアレルギーだとか小さな世代の体調不良などに対してどれだけきめ細やかに対応できるのか、そのことが問われているときに、やはり指摘も、わずか八カ所ではあるけれども、やってみたらこういう指摘がされた、そういうことがあるわけですね。だけれども、八月には全国展開という、もうゴールは決まっているのか、それはいかがなものかと思うんですね。

 大臣にここはちょっと伺いたいと思うんです。

 この給食の問題というのは、外部搬入によって死亡事故なども起こっている。アレルギーというのは本当に、場合によっては命にもかかわる、非常にセンシティブな問題でもあるんです。そういう点で、ゴールを決めてしゃにむに進むということはあってはならないと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

○川崎国務大臣 御意見をお伺いしましたけれども、まだモデル事業の結果をしっかり見ながら、最終的に判断いたしてまいります。

○高橋委員 ゴールありきではないということでよろしいですね。

○川崎国務大臣 まだ最終判断に至っていない、こう申し上げました。

○高橋委員 では、私が聞いたことと同じ意味だというふうに伺いたいと思っております。

 次に、なぜ地方裁量型をつくるのかということと、それから認定こども園の入所児童数は待機児童に含まれるのか、伺います。

○北井政府参考人 まず、認定こども園法案と言わせていただきますが、その法案において、地方裁量型を位置づける理由でございますが、この認定こども園は、地域によっては従前の、既存の制度の枠組みだけでは多様化する就学前の子供の教育、保育に対するニーズへの対応が困難な状況がある中で、地方分権の流れも踏まえて、こうしたニーズに地域が自主性を持って適切かつ柔軟に対応できるよう、新たな枠組みとして設けることとしたものでございます。

 こうした基本的な考え方に立ちまして、認定基準につきましては、今御説明申し上げましたように、国の指針を参酌して都道府県の条例で定めることになるわけでございますが、現在、地方単独施策として保育ニーズへの対応に一定の役割を果たしておられるような認可外保育施設もございますので、こうした一定の認可外保育施設も含めて認定を行うことができることとして、都道府県の裁量を拡大することとしたものでございます。

 それから、いわゆる地方裁量型の認定こども園に入所をしている子供が待機児童にカウントされるのかという御質問でございますが、厚生労働省の今の待機児童につきましては、付近に保育所がないといったようなことで、やむを得ない事由により、保育所以外の場所で適切な保護を行うために、地方公共団体における単独保育施策を実施している場合には、その単独保育施策で保育されている児童は待機児童に含めないこととしております。

 そして、この地方公共団体の単独保育施策と申しますのは、認可外保育施設であって、都道府県あるいは市区町村が独自の基準を設定し、運営費などを補助されているものとしております。

 したがいまして、この地方裁量型の認定こども園に入所をしている児童が待機児童に該当するかどうかは、この認定こども園がこうした単独保育施策の定義に該当するか否かによることとなるものでございまして、一律に認定こども園の子供を待機児童の定義から除外することにはならないというふうに考えております。

○高橋委員 認可外であっても、やむを得ない事由その他、自治体が補助を出しているとか、そういう施設であれば待機児童としないということで、定義を見直ししたのが二〇〇三年だったかと思います。それに準ずるということだったと思います。

 私たちは、やはりいろいろな地方の事情があって、やむを得ずもうほかに、ここしかないんだということが仮にあるかもしれない、問題は、そこをどうだと言っているのではなくて、やはりこの問題が起こってきた背景に何があるだろうかということを見なければならないのかなと思っております。

 この先、待機児童が仮に飛躍的に解消する、あるいは、認定こども園だ、それはもう知事のお墨つきを得たんだ、だったら安心して預けられるだろう、そう父母は思うかもしれません。でも、そこで安上がりの保育だったり企業が参入して期待とは違うものができていたらどうなのか。そうしたことに対して、しっかりと歯どめをかけてほしいと思っているんです。

 平成十六年十二月二十四日の規制改革・民間開放推進会議の第一次答申の中では、幼保一元化の問題について、多様なニーズや待機児童の解消という口実のもとで、適正な価格でのサービス、直接契約、応益負担、そしてどちらか緩い方の水準に合わせるべきだ、そうしたことを指摘しているところであります。

 同時に、先ほどお話をした給食の問題やあるいはスペースがなければ園庭がなくても近くの公園でもいいや、そうしたことまで具体的な提言をされております。私たちは、そういう姿はやはり本来の保育所の姿ではないだろうと思っております。

 これが一律にこうしたことにならないということで、今後も保育のサービスを守っていくんだということで、もう一度御確認をさせていただきたいと思います。

○北井政府参考人 いわゆる保育所の規制改革とそれから認定こども園の仕組み、両方のことを御指摘いただいていると思います。いずれにしても、教育、保育の質ということを考えながら、しかし、地域の多様なニーズに即した制度化ということもありますので、その両方のことについて大きな宿題がまだあると思っておりますので、今後、いろいろなことを考えながら方向づけをしていかなければいけないというふうに思っております。

○高橋委員 多様なニーズを口実としてないがしろにしないということを強く指摘をしていきたいと思っております。

 次に、きょうは児童扶養手当について伺いたいと思います。

 母子世帯が百二十三万世帯、うち九十一万千四百七十世帯が児童扶養手当を受給しています。平成六年に、十八歳に達する日以後の三月三十一日まで受給できるというように定義を拡大した。その最初の年は六十万三千五百三十四世帯ですから、一・五倍にもふえております。しかしこれは、単純に離婚が多いからとかそういうことだけではなくて、この間、所得制限を二度見直しをしておりますね。そういう中でもふえ続けているということは、やはり本当に深刻な今日の状況を反映しているのではないかと思っています。

 重大だと思うのは、平成十四年、母子寡婦福祉法の一部改正があり、児童扶養手当の考え方が大きく変わりました。離婚直後の一定期間に重点的に給付することにより、離婚直後の生活の激変緩和を図るものとして、一方では自立を促進する、そういう考え方、激変緩和という考え方に変わったのではないかと。そのことによって、二〇〇八年、平成二十年には、手当の受給期間が継続して五年を超える場合、半額まで削減をすること、母子家庭の母の就労の支援に関する特別措置法ができましたけれども、これも同じく平成二十年三月末までの時限立法とすること、こうしたことが決められました。私は、このこと自体重大な改悪であり、絶対にやめるべきだと考えています。

 まず伺いますが、就労支援を三年間実施してきて、実績はどうなのか、これをどう評価しているのか。思うように成果が上がっていないと思いますけれども、その理由について伺いたいと思います。

○北井政府参考人 法改正以来数年たつわけでございますが、その間の就業支援策の効果という御質問でございます。

 まず、母子家庭の母に対する就業支援策といたしましては、ハローワークが基本的にその職業紹介、就職相談を行っておる機関でございまして、そのハローワークの現状から申し上げますと、年間約五万件の母子家庭のお母さんの就職がハローワークにおきまして実現をいたしております。そして、とりわけ母子家庭のお母さんなど就職困難者を常用労働者として雇用する事業主に対して支給されます特定求職者雇用開発助成金を約二万件支給しておりまして、こうした助成金の活用によりこうした就職が実現しているのではないかというふうに思っております。

 一方、地方自治体におきます就業支援でございますが、平成十五年度から、母子家庭等就業・自立支援センター事業や教育訓練に対する支援等を行ってまいりました。

 そして、母子家庭等就業・自立支援センター事業におきましては、合計で、例えば平成十七年の四月から十二月の就業実績が六千二百九十三人となっておりまして、これは前年同期と比べますと実績は一・五倍に増加しておりまして、年々伸びてきているということでございます。

 そして、自立支援教育訓練給付金事業におきましては、平成十七年の四月から十二月の支給者数が前年同時期の実績の約一・八倍、就業実績が前年同時期の約二・一倍ということでございまして、このように、出だしがなかなか、悪かったわけでございますが、伸びとしては大きく伸びてきております。

 今後とも、そこの充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

○高橋委員 私も数字をもらっていますので、伸びていることは確かにわかっております。しかし、求められる水準からいうとそれでいいのか、あと二年で本当にやめて、これでもう目的を達したと言えるのか、決してそうとは言えないと思います。当事者の皆さんに話を聞きますと、確かに母子家庭等就業・自立支援センターという窓口はできた、でも行っても全然求人はない、登録したからといって一度も連絡はこなかった、あるいは、研修会に行ったけれども満杯で受けられなかった、そういう実態が寄せられております。

 そもそも、母子家庭就業支援事業、関連五事業ありますが、実施率は一〇〇%ではありません。常用雇用転換奨励金事業は、都道府県では十七、指定都市などでは三十二が今後も実施をする予定がないと答えています。母子自立支援プログラム策定事業では、都道府県が二十三、指定都市などでは三十六が予定なしと答えております。つまりは、そもそも都道府県が独自のそういう取り組みをやろうと決めたけれども動かなかった。そういう受け皿がないという状況の中で進めていっているという中で、もうこれで時限を切っていいのかということが問われるのではないかと思うんです。

 ちょっと時間がないので、このことを踏まえていただいて、後で大臣にもう一度伺いたいと思いますので、これとあわせて答弁をいただきたいと思います。

 その上で、私は同時に、特別な財政措置をしなくてもできること、つまり、働きながらも子育てにちゃんと専念できるように、いろいろな面で環境づくりをしてあげることもあわせてやっていかなければならないと思うんです。

 その上で大事なことが住宅の確保です。家賃は、わずかなパート収入の半分が吹き飛ぶ大きな課題です。きょうは、国土交通省に来てもらっております。母子家庭優先入居の取り組みについてまず伺いたいのと、事実上は別居をしているけれども、養育費をもらっていないけれども、しかし離婚の協議が終わっていないために籍がある。そうすると、夫が公務員だからというなどして入居要件から除かれてしまう、所得があると。籍が抜けるまでは、本人の意思にかかわらずさまざまな事情があり、最も精神的にも経済的にも負担が大きい時期であります。実態に照らして取り扱うべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○和泉政府参考人 お答えを申し上げます。

 公営住宅法におきましては、公営住宅の入居者としまして、住宅に困窮する低額所得者を対象としております。公営住宅の入居者は、少なくとも入居収入基準、同居親族要件及び住宅困窮要件の三要件を満たすことが必要であるとしております。

 公営住宅を管理する事業者におきましては、母子の入居につきまして、原則として戸籍上離婚していることを必要としつつも、実態的に住宅に困窮する低額所得者の居住の安定確保を図る観点から、御指摘のような事実上母子家庭となっていることが明らかと判断できる場合は母子家庭として扱い、公営住宅への入居を認めているところでございます。

 この判断を事業主体が行うに当たっては、不自然な世帯分離等により本来住宅に困窮していないにもかかわらず公営住宅に入居する不正入居を防止する観点から、事実上婚姻関係が解消され、現に住宅に困窮していることが明らかであることが客観的に認められることについて、事業主体が的確に確認できることが必要とされております。

 国土交通省としましても、真に住宅に困窮する低額所得者に公平に公営住宅を供給していく観点から、こうした的確な入居資格の審査を行った上で入居を認めていくことが適切と考えております。

 なお、御指摘のように、入居資格を満たす母子家庭につきましては、従来より優先入居の取り扱いも行っておりまして、今後ともしっかりと取り組んでまいりたい、こう考えております。

○高橋委員 現に住宅に困窮をしていて、また実態上婚姻が解消されているという場合は、母子家庭として扱っていただけるというお話だったと思います。この点をぜひ周知徹底していただいて、やはり、国はそう言っているけれども現場では全然受け入れてもらえないんだということがないように、周知徹底の方をよろしくお願いいたしたいと思います。

 また、あわせて母子家庭優先入居の問題ですが、優先というところにちょっとみそがありまして、実際には抽せんであることに違いがありませんね。抽せんのときに一定確率を高めるために優先という意味であって、必ずしも入れるわけではないし、そのために何年も待たなければならないという現実がございます。その点では、やはり、公営住宅の有効活用と同時に、民間への家賃の補助なども含め、住まいの確保へ支援を強めるということは要望しておきたいと思います。この点で厚生労働省としても同じく対応していただきたいと思いますが、伺いたいと思います。

○北井政府参考人 住宅に困窮している母子家庭のお母さん方が困らないように、厚生労働省としても努力していきたいというふうに思っております。

○高橋委員 では、大臣に伺いたいと思います。

 母子家庭の所得が一般より極めて低いのは、この間議論されてきて、もう十分承知だと思っております。二〇〇二年の十一月に、児童扶養手当の改正があったときに、参議院の委員会で参考人に立って母子家庭の窮状を訴えた小山田さんという方がいます。

 この方は、履歴書を二百枚書いても正社員として受からず、昼も夜も働きました。三百六十五日眠いということがどんなことか、つまり、昼も夜も働いているからとても眠いんですが、子供が寝る前にうちに帰れるのは週に一回か二回だ、そして、しかし、どんなに眠くても、また疲れていても、病気のときや不安そうな子供に対して、やはり母としてこたえなければならない、そういう実態をお話ししてくださいました。また、この方は、その後百回の面接を経てついに正社員になるわけですけれども、しかし、そのために、結局児童扶養手当が引き下げられる、また、会社の給料も減って、この先本当にどうなるのか、そして、二年後には半額になってしまう、今でも一部支給なんですが、どうなってしまうのかと本当に不安に思っています。

 就労支援が成功すれば、黙っていても受給者は減ります。ですから、このことは引きかえにするべきではないと思うのです。この問題がしっかりと確立していないうちに時限立法とし、また、二年後には半額、こんなひどいことは絶対にやめるべきだと思いますが、大臣の見解を伺います。

○川崎国務大臣 母子家庭への支援については、平成十四年の児童扶養手当法等の改正により、児童扶養手当ばかりでなく、就業、自立に向けた総合的な支援を実施するとともに、受給期間が五年を超える場合の児童扶養手当の一部支給停止措置を導入したところでございます。これは、減額は手当額の二分の一を超えることはできない、三歳未満の児童の養育者、障害者など自立困難者への配慮を行う、こうなっております。

 一部支給停止の具体的内容については、平成十四年改正時の附帯決議に、今後、子育て・生活支援策、就労支援策、養育費確保策、経済的支援策等の進展状況及び離婚の状況などを十分踏まえて決めることとされており、この決議を踏まえて、十九年度中に結論を出していくことになると考えております。

 現時点では、母子家庭の就業、自立に向けた支援の充実強化に全力を挙げたいと考えております。日本経済全体が雇用に少し明るさが増してきたところでございます。就業支援に全力を挙げてまいりたいと考えております。

○高橋委員 繰り返しますが、就労支援がうまくいけば、当然受給者は減るわけです。ですから、そういう実態がまだ伴わないうちに打ち切るということはないように、そのことを重ねて要望して終わります。

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