国会質問

質問日:2006年 3月 29日 第164国会 厚生労働委員会

公共職業安定所の役割について

日本共産党の高橋千鶴子議員は29日の衆院厚生労働委員会で、公共職業安定所(ハローワーク)の職業紹介事業について、厚労省の認識をただしました。

高橋議員は、職業紹介事業は、憲法に保障された国民の勤労権、職業選択の自由を直接保障するものだと強調。ILO(国際労働機関)条約の第88号(職業安定組織の構成に関する条約)からいっても、身分を保障された公務員でなければならないこと、全国に格差があってはならないことを指摘しました。

川崎二郎厚労相は、「国が責任を持つスタンスは変わらない。国が全国的なネットワークにより、無料の職業紹介サービスを実施する。雇用保険、職業紹介を一体にやるという意味から極めて国の仕事として重要だ」と述べました。一方で「ハローワークが基本的な仕事をする前提で、民間委託した方がよい部分は民間開放する」と述べました。

高橋議員は、四月実施の高齢者雇用安定法が、条文に各企業の実情に応じて基準を設けることを盛り込んだために、多くの企業が何らかの基準を設け、結局再雇用にあたり、労働者を選別していると批判しました。

ある会社は「献血を二回以上行った」「ラジオ体操を意欲的に行う人」など12項目もあげていることを紹介。定年を引き下げた上に非正規雇用にふりかえるなど、企業に都合のいいように労働条件が切り下げられている実例を示し、「基準が不適切な場合は指導すべきだ」と求めました。

鈴木直和職業安定局長は「希望する者全員を雇用するのが原則。その趣旨を徹底していきたい」と答えました。

(2006年3月30日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本承認案件は、千葉県の公共職業安定所を一つ新設するというものでありまして、いろいろ問題はあったとしても、ますます深刻な雇用情勢の中、窓口がふえるということは喜ばしいことではないか、このように思っております。

 そこで、まず質問は、今回新設される千葉南所の人員がどのように確保されるのか。現在ある千葉所の管内労働力人口と千葉南所の労働力人口はどうなるのか。また、全国で今最も多いと聞いておりますが、全国平均から見てどうか。それと、現在の職員数と、新設される千葉南所の職員数がどうなるのかについて伺います。

○金子政府参考人 お答え申し上げます。

 新設を予定しております千葉南公共職業安定所が所管をいたします地域の労働力人口、これは確定した数値がいささか古うございまして、平成十二年の国勢調査ということになるわけですが、これが二十九万五千九百五十八人となっております。千葉南の公共職業安定所の職員数につきましては、現在、千葉所の職員が六十五名でございますが、全体で一名増員をいたしまして、千葉南所には二十四名を配置する、こういう体制で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○高橋委員 厚労省の、いただいた資料によりますと、新規求職者数で、職員一人当たりどのくらい担当しているかという人数が、全国平均五百六十六人、それに対して、千葉南所では一人当たり九百二人であると。分割後の千葉公共職業安定所は八百四十一人だと。ということは、新規に増設された方が職員一人当たりの負担が大きくなるということになると思うんです。また、隣の駅という話が先ほどありましたけれども、身近にできたということで求職者数がふえることが当然予想されるだろうということを踏まえて、これ以上の増員が考えられないのか、伺います。

○金子政府参考人 公共職業安定所の全体の定員につきましては、政府全体の行政改革ということの中で、できるだけ効率的な体制を確保しつつ、厳しい定員事情の中で運営が行われているわけでございます。そうした中でも、全国的に、やはり千葉県につきましては、非常に人口もふえているというようなことで、定員をなるべく確保できるように努力をしているわけでございます。

 そういったことで、定員確保についての努力はしてまいりたいとは思っておりますが、やはり全体として大きく行政改革ということがございます。できるだけ事務の効率化を図って、サービス水準を落とさないような形で、そういった業務面での工夫、事務の効率化、こういった点にも取り組みながら、サービスの確保に努めてまいりたいと思っております。

○高橋委員 今、確保のための努力はしていきたいと、当然お願いしたいと思うんですね。

 ただ、一応確認は、さっき私お話ししたように、千葉においては、分割はされるけれども人はふえないわけですよね。新規になる分は負担がふえる。これは間違いありませんね。

○金子政府参考人 人員の問題については、基本的には今議員御指摘のとおりでございますが、この間一人増員をする、その上で分割をする、こういうことでございます。

○高橋委員 ですから、増員するんだけれども、千葉南所の方が、新しくなる方が負担はふえますねということを指摘したんですよ。ちゃんとそのことは踏まえた上で指摘していますから、ここは確認をさせていただきたいと思います。

 厳しい定員削減、定員の状況があると、さっきお話ありました。実際に、二〇〇五年には、十七の安定所を廃止しております。七カ所が降格であります。二〇〇三年度には、二カ所の廃止、一カ所の降格。こうたどっていきますと、この五年間で、プラスマイナスありますが、二十三カ所減少し、職員数も五年間で五百二十八人減っております。

 ですから、私はやはり、いろいろ無駄の見直しだとか効率的な運営だとか、当然必要だと思います。しかし、必要な公務はしっかり確保する、保障すべきだ、そういうふうに考えております。

 現場ではどうなっているかということは、やはり効率化にも限界があるわけですね。連日行列になる求職者への対応に追われているというのが実態ではないでしょうか。

 求人票の受け付け、そのこと自体も、単純にペーパーをはいという形で受け取る作業ではございません。例えば、一般事務としか書かれていないけれどもどのような内容なのかと、それは結局、求職者に対して、その仕事がどういうものなのかということを詳しくわかっている方が相談しやすいからということで、詳しくその条件を聞くとすれば、一定の時間はとられるんだということを聞いております。

 同時に、求職者の方も、今はパソコンがありますので、まず最初に検索をして、その上で自分に合った求人票を持って窓口にお願いするという仕組みになっておりますが、ただ、やはり機械だから、逆に機械的にはじかれてしまうわけですね。年齢を入れて、資格ありません、経験ありませんというと、本当に選べるものは何にもなくなっちゃう。だから、フリーターの人はやはりアルバイトの求人票を持ってこざるを得ない。何でか、もう少し違うのはないのかと言うと、そうはいっても、経験ある人という条件がついているから、最初から自分には無理だと。だったら、変わりようがないわけですね。だから、そういう現実がまずある。

 だけれども、そういう中で、職員の皆さんは、では、その人がこれまでたとえアルバイトでもいろいろな経験をしてやってきたことの中で売り込めるものがあるのではないか、あるいは、企業との相談の中で、もう少し、例えば三十五歳と言わずに四十歳までどうかとか、何かそういうことができるのではないか、いろいろそういう親身な相談に乗っているというお話でありました。

 私は、やはりここに公務員の役割というのがあると思うんです。職業紹介事業は、憲法に保障された国民の勤労権、職業選択の自由を直接保障するものであります。ILO条約第八十八号からいっても、身分を保障された公務員でなければならないこと、全国に格差があってはならないことを定めておりますが、この意義について今後も変わらない、このことを確認させていただきたいと思います。大臣、お願いします。

○川崎国務大臣 雇用というもののセーフティーネットをどこにしくかということが一番大事な議論であろうと思います。そういう意味では、国が責任を持つというスタンスは変わらないと思っております。

 今お聞きをいただきましたように、憲法に規定される勤労権の保障、ILO第八十八号条約を遵守する観点から、国が全国的なネットワークにより、最低限のセーフティーネットとして無料の職業紹介サービスを実施する。一方で、雇用保険、職業紹介というものを一体的にやるという意味から、極めて国の仕事として重要であろうと考えておりますし、欧米を見ていましても、大体一体な考え方の中でやっておる、このように考えております。

 一方で、ハローワークがそうした基本的な仕事をするという前提の中で、民間に委託した方がいい部分については、より効率的なものについては民間開放を進めている、このことについてもぜひ御理解を賜りたいと思います。

○高橋委員 一方での前で終わってくれればとてもうれしかったんですが、民間委託もあるよということで、民間の職業紹介所が平成十一年、九九年に原則自由になってから倍加されているという問題がございます。

 その点について、やはり私は、なくせとは言っておりません、しかし一定の歯どめが必要ではないかと。せっかく大臣がおっしゃった、公務員がやるべき、憲法に保障された権利を守るべき所管の仕事というのをしっかり維持する上で、民間との関係をどう保っていくか、あるいは、どう国が、労働行政がかかわっていくかということが問われるんじゃないかなと思うんです。ただ、この話は私は後でしたかったので、ここまでにしておきたいと思います。

 労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法など、労働者の権利やルールなどを定めた各種法律、制度についてわかりやすくまとめたパンフレットを、自治体独自で発行しているところが全都道府県の四五%、二十一都道府県あることがわかっています。そのうち、青年向けのものが十一府県あります。

 きょう少し持ってきたんですが、大変わかりやすく、またそれぞれが大変工夫しています。

 鹿児島県の「キャッチワークナビ」、長野県のルールブック、あるいは奈良県の「ろうせいハンドブック スピードマスター編」、それから熊本県の「働く若者のハンドブック」、山口県は「働く若者ハンドブック 社会人一年生になられるあなたへ」という形で書いていますし、栃木県のハンドブック、大阪もありますし、徳島、それからこれが新潟であります。

 それで、まず共通しているのは、最後に必ず相談窓口、困ったときにどこに行けばいいのかということで、ハローワークや労基署やあるいは職業訓練学校とか、そういうところを全部書いていることと、社会人としてのマナーですとか、あるいはこれからカードを持って生活するときにカード被害に遭わないようにとか、そういう基本的なことを書いている。そのほかに、労働基本権の問題などについて非常に具体的に書いていて、なるほどなと思うことが多いんですね。

 例えば、奈良県では「パートタイム労働」というページがございますが、「解雇」というところがあって、「パートタイマーだからといって、いつでも解雇できるものではありません。」期間の定めのない雇用契約の場合も「正当な理由がある場合でも少なくとも三十日前の解雇の予告又は三十日分以上の解雇予告手当の支払いが必要です。」とか、あるいは「パートタイマーも労働者であり、事業主は労働基準法により年次有給休暇を与えなければなりません。」こうしたことが書いてあるわけですね。

 あるいは、全く基本的なことなんですが、長野県の最初のところに「労働法とはどんな法律ですか。」と。実は、労働法という名前の法律はなくて、労働基準法や最低賃金法や、それぞれ働く人たちの暮らしや権利を守るためにこういう法律があるんですよということを詳しく書いていることや、私がとても参考になったのは鹿児島県のなんですが、労働時間というのがどういうものかということで、例えば「労働時間が六時間を超える場合は少なくとも四十五分、八時間を超える場合は少なくとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければいけません。この休憩時間は労働者が自由に使うことが認められています。」

 これは基本的な権利なんですね。だけれども、若い人たちはそれを知らないでいる。知らないでいるから、休みもない、あるいは一方的にリストラされた、どうしていいかわからない、こういう状況に置かれているわけです。

 我が党としても求めてきたところですが、このような労働者の基本的権利やルールについて、国としてちゃんとこういうパンフ、リーフでもよろしいですけれども、青年向けにつくる考えはないのか、伺いたいと思います。

○鈴木政府参考人 労働関係全般、その中には労働法令等も入っておりますが、そういったものにつきまして、厚生労働省としても、例えば賃金とか労働時間等、重要な事項につきましていろいろなパンフレットをつくって、これを配布して周知を図っているところでございます。

 特に今、若年者というお話がございました。

 若年者につきましては、高校生を対象に全国的に就職ガイダンスというものを実施しております。その中で、労働市場に関する知識等と並んで基礎的な労働法令等についても項目を入れて、ガイダンスを実施しております。それから、ハローワーク、ジョブカフェ等におきましても、各種パンフレットを準備して、いろいろな相談に乗れるという体制にしております。

 この問題につきましては、これからもいろいろ工夫を凝らしながら実施していきたいと考えております。

○高橋委員 やはり、知っていれば解決できたのに知らなかったがために泣き寝入りをしている、そういうことが少なくともないように、国の責任を果たしていただきたいと思うんです。

 逆に言うと、いろいろあり過ぎるんですね。法律が変わるものですから、そのたびに立派なパンフレットができるわけです。だけれども、それを全部見なきゃわからないというのでは逆に困るわけですね。だから、スピードマスターじゃありませんけれども、このような簡易なものが特に必要であろうということを重ねて指摘したいと思うんですね。

 労働基準法の百五条の二には、「厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、この法律の目的を達成するために、労働者及び使用者に対して資料の提供その他必要な援助をしなければならない。」このようにあるところであります。ですから、当然あるべき権利を知らせるという点で国の責任を果たしていただきたい、このことは重ねて要望したいと思います。

 さっきもお話の中にハローワークのお話がありましたけれども、やはり、国民に開かれた窓口であるハローワークの役割は大きいと思うんですね。資料の三枚目にもありますけれども、総合労働相談がふえ続けて、平成十六年度で八十二万三千八百六十四件になっている、見事にふえ続けているわけですね。こういう実態があるということがあります。

 また一方、予算委員会でも繰り返し指摘をされているように、労働者派遣事業が伸びていること、その中で偽装請負などの違法も問題になっているということも重ねて指摘をされてきたところだと思うんです。

 そうした点で、やはり職安と労基署、あるいは雇用均等行政の連携、これが大変重要だと思いますが、この点ではいかがでしょうか。

○金子政府参考人 今議員から御指摘いただきましたように、労働関係の行政、公共職業安定所、労働基準監督署、それから雇用均等室ということで、三系統あるわけでございますが、こういった労働問題をめぐる問題が非常に複雑化している折でございます。それぞれの系統の機関がその専門性を発揮して連携を密にしていくということは、行政を展開していく上で大変重要な点だろうというふうに考えております。

 具体的には、派遣労働の問題でございますとか、仕事と子育ての両立支援対策、募集、採用も含めた労働条件の確保、改善対策、こういった分野などにつきまして相互に関連する諸対策の推進に当たりまして、個別事案についての情報の相互提供をするとか交換をする、こういったことを行いまして効果的な行政展開を現在図っているところでございます。

○高橋委員 その上で、次に高齢者の雇用問題で一つ伺いたいと思います。

 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の改正、高齢法と略するようですが、四月から施行になります。厚生年金の支給開始年齢が段階的に引き上げされることにも伴い、定年も六十五歳まで延長する、あるいは再雇用する、あるいは定年の定めを取ってしまう、この三つのうちいずれかの措置をとることが決められました。原則、希望者全員が雇用されるという説明でありますが、現実にはかなり違うのではないかという訴えが聞こえております。

 まず、四月施行を前に周知徹底状況がどうなっているのか伺います。

○鈴木政府参考人 今御指摘ありましたように、改正高齢法、改正高齢者雇用安定法の高年齢者の雇用確保措置の部分が、この四月から義務化されるということになります。

 この法律の改正法の円滑な施行に向けまして、現在、企業に周知徹底方しているところでございますが、現時点での状況を申し上げますと、本年一月一日現在で、三百人以上規模企業では約九八%が雇用確保措置を導入しているか導入する見込み、そういう状況になっております。

○高橋委員 今、雇用確保措置を導入しているか見込みの企業が九八%というお答えだったと思います。

 ただ、その内訳は、今私が三つの条件を言いましたけれども、そのうちの定年の定めの廃止とか引き上げではなくて、九三・六%が継続雇用制度の導入であるというふうに同じいただいた資料には書いてあります。つまり、これはどういうことかというと、条文の中に、各企業の実情に応じて労使の工夫によって柔軟な対応がとれるよう基準を持つことを盛り込んだために、ほとんどの企業が何らかの基準を設けて再雇用とした。継続雇用制度というのは、つまり再雇用、一たんは退職扱いと同じなわけですね。条件が全然違う。こういうことで、結局は労働者が選別されることになるのではないかという指摘があるわけです。

 資料の一枚目をごらんいただきたいと思うんですが、全労連の国民春闘共闘委員会が調べた、企業の調査をまとめたものを資料にいたしました。大変有名な会社ばかりですので、別にA、B、Cとやらなくてもいいのかなと思ったけれども、一応は遠慮して、厚生労働省には直接渡しているのでどういう会社かは御存じのはずではないかなと思っております。

 見ていただきますと、勤務条件が極めて悪化するということはわかると思うんです。週三日から五日、隔日、半日、パートなど、週五日七時間半とか。あるいは、賃金水準、Dのところを見ていただきますと、通信で一番大手の会社ですけれども時給八百七十五円、最賃すれすれというような状況であるわけですね。しかも五十歳定年とか、こういうふうな条件になっていて、かなりの基準で選別をされていく、あるいは労働条件が悪化していくということが言えるのではないかと思います。

 Bの会社に「十二項目の選任基準」というふうに書いているので、具体的にどんなものかというのをちょっとめくっていただきたいんですね。

 かなりあるんですが、十二項目の中の十二のところに10)まであって、「五項目以上に該当する」ということで、かなり詳しいんです。例えば、「会社等で献血を二回以上行った人」「社内報「ふれあい」に二回以上寄稿した人」「社内のラジオ体操を意欲的に行う人」、どういう基準なのかな、これが本当に求められる基準なのかなと思うわけですね。また、献血とかは体質によってどうしてもできない事情などがあるわけですよ。こういうことまで書かなきゃいけないのかということを非常に疑問に思うわけです。

 ですから、結局は、こうやって基準を設けさせたことが、条件を狭め、雇用機会を狭めるものだと思うんですね。具体的に国は何をするのか。基準がもし不適切な場合、あるいは不適切かどうかを確かめたり、あるいは指導したり、そういう権限を発揮できるのか伺いたいと思います。

○鈴木政府参考人 継続雇用制度、これをとる場合に、労使間で協議をして、労使間協定による場合には、全員ではなくて一定の基準のもとに特定の人ということができることになっております。これは法律上そういった仕組みになっております。

 これ自体、労使間で十分話し合って決めていただくということが原則でございます。ですから、企業の実態を踏まえて基準をつくっていただくということが原則でございますので、その点については、企業内の実態を一番把握しているのが企業内の労使でありますから、労使間で十分話し合っていただきたいと考えております。

○高橋委員 そういう答えが返ってくると思ったからこういう質問の仕方にしたんです。労使間でといっても、労働組合には、一組も二組もあったりとか、あるいは組合そのものがなかったりとか、いろいろなことがあるわけです。それだけでよしとはできない事情があるのは十分御承知だと思うんですね。ですから、それを踏まえて、基準としては適切じゃないというときにどう指導しますかと聞いたんです。

○鈴木政府参考人 この問題、企業内の労使間で十分話し合って決めていただくということですので、余りにこれに介入するというのはいかがなものかと思っております。ただ、具体的にこの基準に関してこういった問題がある等のお話がハローワークにありますれば、これにつきましてハローワークとして関係の労使からお話を聞いてみたいと考えております。

○高橋委員 お話を聞くだけですか。その後、どうですか。

○鈴木政府参考人 ハローワークでお話をお聞きし、具体的にそういった基準の中に、例えば法違反があるとか、あるいは私どもは基準を決める場合には具体性、客観性がなければならないというふうに周知をしておりますので、そういった点がどうかという点については十分見張らせていきたいと思っております。

○高橋委員 あわせて、さっき見ていただいた資料でわかるように、五十歳定年とか五十五歳とかというように定年を下げている企業があるわけですね。そして、定年を下げて、その後は再雇用ということでパート扱いだ。これは、逆に言うと、企業にとっては経験もある高齢者を安いお金で雇うことができる、始まりは定年延長の話だったのに。年金が遠ざかる、だから高齢者をちゃんと年金がもらえる年になるまで雇用を続けてもらおうという趣旨で始まったはずなのに、何かこの機に乗じて企業が定年を早めている。これは、本末転倒というか、趣旨からいっても反するのではないかと私は思うんです。

 ですから、これは本来の高齢法の趣旨からいっても、不利な乱用はさせないと徹底するべきではないか、この点についていかがですか。

○鈴木政府参考人 この高年齢者の雇用確保措置は、年金の支給開始年齢に合わせて、その間、高齢者が職場内でできるだけ働くことができるようにという趣旨で設けられたものでございます。その中身については、企業のそれぞれの実態に応じて取り組んでいただきたいし、また労使間でも十分話し合っていただきたいと考えております。

 ですから、個別の問題、これは中身を十分見ませんと、今お話しのような指摘だけでは中身について何とも申し上げることが難しいわけでございますが、いずれにしても、この点については労使間で十分に話し合っていただくように私どもも周知徹底をしていきたいと考えております。

○高橋委員 企業の事情というその一言が盛り込まれたために、結局は企業にとって都合のいい人事政策がされる、人は絞られる、しかも定年は早まるでは、本来の趣旨から全く違う、これを放置していいのか。一方では年金は支給開始年齢がどんどんおくれていく。それがわかっていてこの制度をやった以上は、これがきちんと機能するように、原則全員雇用ということ、原則ではありますけれども、これがしっかり担保されるような指導が当然必要だと思うんですね。今は指摘だけではわからないと言いましたので、だったら、行って調査をして適切な対応をすることをお約束いただけますか。

○鈴木政府参考人 この問題につきましては、いろいろなパンフレットで、継続雇用制度につきましては希望する者全員が原則であるということを明示したパンフレットもつくってPRをしております。

 ただ、その上で、労使間で相談して基準を決める場合にはそれはそれで高齢法の趣旨に合うということでやっているものでございますので、この趣旨をこれから十分徹底していきたいと考えております。

 また、具体的な相談がハローワークにありましたら、具体的な問題についてはその都度対応していきたいと考えております。

○高橋委員 趣旨を徹底していきたいというお話でしたので、これについては、残念ながら時間がなくなりましたので、調査もして、国の責任をしっかり果たしていただきたいと思います。

 その上で、やはり、きょう私が最初にお話しした、職安の果たす役割ということが改めて大きいと思うんですね。今も何度も繰り返しハローワークに相談があればということがありました。これはやはり、逆に言うと、民間の職業紹介所は相談があっても対応できないわけですよ、派遣元と派遣会社という関係があったりするわけですから。そういう関係の中では、相談に乗ったりとか、あるいは声を上げたりということはできないわけです。だからこそ、公平中立な公務員でなければならない、そのことをしっかり担保していただきたいということを強くお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

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