国会質問

質問日:2006年 5月 18日 第164国会 本会議

健康保険法及び医療法の一部改正案に対する反対討論

高齢者に患者負担増を強い、保険がきかない医療を拡大する医療改悪法案が、18日の衆院本会議で自民党、公明党などの賛成多数で可決されました。日本共産党、民主党、社民党、国民新党は反対しました。論戦の舞台は参院に移ります。

反対討論にたった日本共産党の高橋千鶴子議員は、与党が厚生労働委員会で強行採決をしたことに強く抗議しました。

高橋氏は、法案が「医療給付費の削減を至上の命題」として、患者負担を拡大する一方、産科や小児救急をはじめとする地域医療の拡充など、国民が切実に求める医療供給体制の充実とは「程遠い制度改悪だ」と批判しました。

患者負担増による受診抑制と疾病の重症化、療養病床削減による患者の病院からの追い出し、「混合診療」の解禁による保険外負担の拡大の危険を指摘し、「国民のいのちと健康を守る医療の分野にまで『営利優先・弱肉強食』を持ち込み、公的医療制度を土台から破壊・解体しようとする暴挙は、断じて許すことができない」と述べました。

本会議では、民主、社民も反対討論に立ちましたが、与党は賛成討論を行いませんでした。

(2006年5月19日(金)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、健康保険法及び医療法の一部改正案に対し、反対の討論を行います。(拍手)
 まず最初に、本法案は、国民の命と健康にかかわる極めて重大な法案であるにもかかわらず、昨日の厚生労働委員会において、自民、公明の与党が審議を打ち切り、採決を強行する暴挙を行ったことに、満身の怒りを込めて抗議をするものであります。(拍手)
 小泉構造改革のもとで、国民健康保険の保険料を払えない世帯がふえ、保険証の取り上げが三十二万件に達するなど、国民の命と健康は重大な危機に直面しています。
 本法案は、医療給付費の削減を至上の命題とし、高齢者を中心に患者負担を拡大する、都道府県には入院日数の短縮目標を義務づけ、高齢者医療制度を創設して新たな負担増を打ち出すものであり、しかも、産科や小児救急を初めとする地域医療の拡充、医師の確保や看護師の充足など、国民の切実な声である医療供給体制の充実とはほど遠い制度改悪となっています。
 本法案に反対する第一の理由は、高齢者や重症患者への情け容赦ない負担増と医療の切り捨てが強行されることであります。
 ことし十月から、高齢者の窓口負担は現行の二割から三割になり、療養病床の食費、居住費も保険適用から外されました。また、新設される高齢者医療制度では、年間六万円もの保険料が年金から天引きされ、滞納すれば保険証の取り上げもするというものであります。
 この負担増が、医療を必要とする患者の受診を抑制し、疾病を重症化させることは明らかであり、断じて容認することはできません。
 反対の第二の理由は、療養病床を、現在の三十八万床から六年間で二十三万床も削減することです。
 この病床に入院している高齢者の多くは、もともと受け入れ条件がないために退院が不可能な人たちです。政府は、病床削減では入院患者の追い出しにはならないことが大原則と弁解しておりますが、特養老人ホームの待機者が三十四万人を超え、療養病床にすら入れない高齢者がいる中で、医療や療養を必要とする多くの高齢者が施設から締め出されることは明らかであります。
 しかも、受け皿をふやすために、老健施設の基準を緩和したサテライト施設を認め、医師や介護職員を初め、調理室なども置かないことができるとするのでは、入所者の安全も安心も全く保障されないことになります。
 反対の第三の理由は、保険のきかない医療を拡大し、安心してかかれる保険医療を揺るがす仕組みを導入したことです。
 低い医療費は保険適用から外すという保険免責制度は今回見送られました。しかし、特定療養費制度を改変し、高度先進医療だけではなく、必ずしも高度でない先進医療にも混合診療を拡大します。また、差額ベッドはもちろんのこと、制限回数を超える医療行為なども保険がきかない医療とします。これでは、高額な医療費を払えない人は、結局、満足な治療も受けることができず、所得の格差が命の格差を広げることになります。
 本法案では、生活習慣病の健康診断や保健指導を義務づけますが、これもアウトソーシングを可能にしました。このような、国民の命と健康を守る医療の分野にまで営利優先、弱肉強食を持ち込み、公的医療制度を土台から破壊、解体しようとする暴挙は、断じて許すことができません。
 すべての国民は、貧富にかかわりなく医療を受ける権利を持っており、国はその権利を保障する義務を負うべきです。この立場に立って日本の医療を立て直すことこそ今強く求められていることを強く指摘して、反対討論といたします。(拍手)

▲ このページの先頭にもどる

高橋ちづ子のムービーチャンネルへ
街宣予定
お便り紹介
お問い合わせ
旧ウェブサイト
日本共産党中央委員会
しんぶん赤旗
© 2003 - 2024 CHIDUKO TAKAHASHI