国会質問

質問日:2006年 5月 26日 第164国会 厚生労働委員会

年金未納 国保で制裁 筋違い

 日本共産党の高橋千鶴子議員は二十六日の衆院厚生労働委員会で、「国民年金事業改善」法案への質疑をおこないました。同法案は、市町村などからの情報をもとに、国民年金保険料の強制徴収(督促強化・財産差し押さえなど)を強化するためのもの。未納者にはペナルティーとして、国民健康保険証に代わり、使用期限が決まった「短期証」(三カ月ほど)を発行することなどが盛り込まれています。

 高橋氏は、「年金保険料の免除対象者にも短期証を出すのか」と質問。社会保険庁の青柳親房運営部長は「免除該当の人は(免除)手続きをすれば発行しない」とのべました。

 高橋氏は、「年金制度とは違う医療制度を使って、未納者への制裁の手段にしてはならない」と追及。青柳部長が「年金と医療の連携の一方策だ」などと答弁したため、高橋氏は「年金の未納は国の責任だ。強制徴収という嫌な役回りを市町村に押しつけてはいけない」と批判しました。

 また高橋氏は、各地の社会保険事務局が本人確認をせず、保険料免除手続きをした問題でマスコミが「不正免除」などと報じている問題を取り上げ、「障害者などの理由で免除されている人が心を痛めている。免除は国民の当然の権利ではないのか」と質問。川崎二郎厚労相は「今度のことは申し訳ない。免除は権利として行使してほしい」と答えました。

(2006年5月27日(土)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、最初に大臣に一つお願いがございます。別に通告はしておりませんが、とても簡単なことですので、ぜひお願いしたいと思います。

 今度のことで不正免除という言葉が新聞各紙に躍っております。そのことで胸を痛めている国民がいらっしゃいます。自分自身が責められているような、そういう気持ちになっているのではないか。

 いつもインターネットで私の国会中継を見て応援してくれている青年がいるんですが、その青年が、先日も、見たよというメールを下さいまして、実はこの方は精神障害で手帳を持っております。仕事に何度も挑戦してなかなか続かない、そういう中で自立と社会参加を目指して頑張っているわけですが、自分も年金保険料を免除されているので罪悪感を感じた、そういう感想を送ってきました。私は非常にびっくりして、また、自分たちの言い方にそういう誤解を生むようなことがあったのかもしれないと思って、あなたは悪くありませんということでお返事を送りました。

 私は、免除を受けている国民に対し、これは当然の権利であって、皆さんが責められるものではない、このことを大臣の言葉でおっしゃっていただきたいなと思うんです。このことをぜひお願いいたします。

○川崎国務大臣 そうした面でもしとらえられるとしたら、今度の不祥事を起こしたこと自体もまことに申しわけない。二重の申しわけないという気持ちでいっぱいでございます。

 当然、低所得者の皆さん方、また若い方々へしっかりとしたバックアップをしていかなければならない。学生時代は当然猶予がされる、そして働き出したら十年さかのぼって払うこともできる、こういう制度であります。そういう意味では、一方で障害者の年金問題がございました。やはり自分の将来、いつ事故が起きるかもわからない、したがって、権利だけはしっかり確立しておいてください。そして、その状況によって、例えば今回、四分の三、二分の一、また四分の一という条項もございます。状況に従ってお払い得るものだけをお払いいただく。

 そして、四十年間という長い道のりでございますから、それぞれの変化の中で、ある意味ではお互いさま、私も選挙で落選したことがありますから一年間収入がなかった時代があります、そんなことを考えたら、やはりお互いの助け合いが年金制度であるという形で、どうぞ、そういう意味では国民の権利として行使をしていただきたいし、私どももそれに対して丁寧な説明を繰り返していきたい、このように思います。

○高橋委員 ありがとうございます。

 今回の事案に対する責任についても触れていただいて、本当に国民の皆さんも受けとめてくれたのかなというふうに思っております。

 そこで、今度の法案は、ねんきん機構という組織の問題と、また収納対策を柱にした運営対策、運営のあり方という二本柱になっておりますけれども、先ほど来ちょっと話題になっております所得の区分の問題ですね、これもまた一つ大きな心配がございますので確認をさせていただきたいと思っております。

 高所得層、中間層、低所得層の三つの所得に分けて、これは、先ほど来お話があるように、市町村からの所得情報が得られることになった、そのことによってこうした区分をするんだというお話であります。

 長官は前に、いろいろなところでおっしゃっていると思うんですけれども、例えば私は岐阜新聞で見たことがございますが、低所得層と言わないで免除対象者という呼び方をしていらっしゃいます。また、先ほどの青柳部長の表現も、低所得層ではあるけれども免除の資格がある者というんでしょうか、そういう認識だったかと思うんですね。

 私は、所得でいうといわゆる免除の資格がある者、そういう方たちが、もちろん、先ほど来あるように、知らないうちに、自分の意思とは、確認がないうちに申請事務がされたということは、あってはならないことですから、自分の意思で納付をされるということは当然であるけれども、同時に免除の資格があるということを知らせていくのは結構なことだと思っているんです。

 ですから、そういう方たちに対しては、よもや今度の法案の中にある国保の短期証、短期保険証というものは発行の対象にはならないということをまず確認させていただいてよろしいでしょうか。

○青柳政府参考人 ただいまのお尋ねの場合には、免除該当の所得の方が、そういう所得であるにもかかわらず免除制度を活用せずに保険料が結果として未納になった状態である、その状態のままで国民健康保険の短期証を発行する、今回の改正法案の対象になるというケースがあるのかというふうに私は理解をいたしました。

 まず、この場合には、その方が国民健康保険の保険料を払って、さらに残った所得の範囲の中で国民年金の保険料を未納になるという状態であったときに、これも結局、本来であれば免除制度を利用していただいて、未納ではなく免除という形にしていただければ、当然のことながら短期証の発行対象にはならないわけでありますが、この免除制度というのを活用せずに未納のままでいるという場合には、場合によっては短期証の発行対象になり得ると思います。

 そこで、短期証はあくまでも三カ月程度、これは市町村によって違うわけでありますが、その期間ごとに市町村の窓口に来ていただくわけでありまして、市町村との接触の度合いがそれだけふえるわけでありますから、その接触の中で、あなたは、あなたの所得であれば免除が利用できるのであるから、利用してはいかがかということをお勧めして、免除を最終的には利用していただいて、無事、国民健康保険の方も支障がないような利用の仕方になるというのが最もハッピーな形ではないかと考えております。

○高橋委員 最もハッピーなと今最後におっしゃいましたけれども、そこに行く前に地獄があるなと私は率直に言って思いました。

 医療保険と年金とは全く別建ての制度であります。それを制裁の手段に使うということは、あってはならないんです。勝手に免除申請をすることはあっても、短期保険証を制裁として使うということもあると。それでは余りにもひどいではありませんか。命にかかわる問題になぜそこまで踏み込むのか。少なくとも免除の対象になるような方たちにはこれは発動しない、発動しないための最大の努力をする、このようにおっしゃっていただきたい。お願いします。

○青柳政府参考人 本来、このような制度を今回法改正ということでお願いしていることの趣旨は、長期の未納者であって所得の高いような方が念頭にございます。この方々については、その意味では、国民健康保険にせよ、国民年金にせよ、保険料を払えないという状態にはない、にもかかわらず払わないという状態である場合に、市町村がこの方々に対しての接触の機会をふやす、すなわち短期証を更新するたびごとに接触をする、その接触の中で納付の勧奨を進めていくということを念頭に置いたものでございます。

 したがいまして、繰り返しになりますが、いわゆる低所得の方につきましては、その方々が、言ってみれば免除制度を、年金制度の場合には全額免除というのもあるわけでございますから、これをうまく活用していただいて、この方々はこういった形での御不便をおかけしないようにするというふうにしてまいりたいと考えておる次第でございます。

○高橋委員 ですから、最初にやはり念頭には置いていないとおっしゃってくださればよかったと思うんです。私はこのことは通告の段階で確認をいたしました。この低所得層は短期保険証を出す対象ではありませんねということを確認して、それをここでおっしゃっていただきたかったんです。念頭にないとおっしゃいましたから、それこそまた要らない不安を国民に与えないように最大の努力をするということで確認をさせていただきます。

 そこで、では、高所得層というのはどんな人なのか。確かに一千万、二千万、さらに億単位の方、いらっしゃいます。そういう方たちでも未納の方、いらっしゃいます。一万数千円払って何がしの、五万、六万の年金をもらってもほとんど意味がないと思っているかもしれません。そういう方に対しては、もっと別な、例えば口座振替の徹底ですとか、いろいろな方法があるかと思うんです。

 ただ問題は、そういう方たちと、そうではない、頑張っても払うのが困難な人たちもそれにひっくるめられては困るという心配なんです。そこに制裁が来ては困るということなんです。

 そこで、まず確認をします。高所得層と中間層の境目は幾らですか。

○青柳政府参考人 これはある意味では概念的な整理でございますので、具体的に線を引くということになりますと、例えば地域による物価等の違いみたいなものをどう考慮するかということで、ある地域では高所得層に十分該当するような所得の方でも、別の地域においては必ずしもそうでないというようなことがあろうかと存じます。

 その意味では、私どもは、基本的な概念としては、最終的に強制徴収まで念頭に置けば、比較的未納期間が長く、かつ所得の高い方というものを強制徴収の対象に順次していくということで取り組んでおりますので、この強制徴収の対象が、平成十八年度は全国で三十五万人程度を考えておりますが、最終的には年間で六十万人程度にこれを拡大するということを念頭に置いております。

 あくまでもこれは、その場合であっても、平均的な水準以上の所得を有する世帯というものが念頭にあるというふうに御理解をいただきたいと存じます。

○高橋委員 こんなにアバウトな境目で、結局今、はっきりわかりませんでした。そのことによって強制徴収されるかもしれないと。まさに天国と地獄の話ですけれども、そういうことを今決めようとしているんですね。確かに、沖縄や青森と東京の人の高額所得というのは違うかもしれないなどと、そういう説明は受けましたよ。

 では、今言った差し押さえ、最終催告状を出す対象をいずれ、今三十五万人が、六十万人まで出すとおっしゃいましたよね。その六十万人の数字の根拠を教えてください。

○青柳政府参考人 六十万人という一つのめどの数字は、例えば、これを具体的に未納者の方々の世帯所得に当てはめをしてみますと、大体世帯所得で五百万円以上というあたりが一つの目安というふうに考えております。

 ただ、これはお断りをさせていただきますが、先ほども申し上げましたように、地域によっても差がございますので、全国平均で見たら五百万円というのが一つの目安ということでありますので、絶対的な基準ということではないということについて御理解を賜りたいと存じます。

○高橋委員 今の答弁、高額所得者だと言っておきながら、一つの目安として世帯で五百万円。世帯でですよ。それが、五百万円といったって、税込みですよ。どれだけの額ですか。それが差し押さえされるかもしれないような対象になるんですか。こういうことを今皆さんは提案しようとしている。私は、それは到底あってはならないと思っております。

 ことし二月二十日の有識者会議で、鈴木年金保険課長はこのように述べております。例えば国民年金の保険料を払っていなければ、国保の給付をとめると申しますか、全額、窓口では一旦お支払いいただくということも政策論的にはあろうかと点々。まずは市町村の方の御判断で、国民年金の保険料の徴収率の向上に協力してやろうという方がいらっしゃった場合には、第一段階でありますところの短期証の交付を行うと。

 第一段階でありますところの短期証、これは当然、第二段階としての資格証明書、窓口では全額払わなきゃならない、そういう発行を念頭に置いているということではないですか。しかも、そういう制裁を肝心なときは市町村に押しつける。こんなこと、市町村の代表が納得いきますか。

○青柳政府参考人 この点については、先ほど来申し上げておりますように、目的は、何か国民健康保険の給付の制限をするということではなく、あくまでも、市町村と接触する機会をふやすことによりまして、仮にその方の所得が相対的に低い場合で、例えば免除基準に該当するようであれば、免除の制度の利用に結びつける、そして、高額の所得がある場合には、やはりきちんとその中から保険料を払っていただく、これがあくまでも目的でございます。

 したがいまして、お尋ねの中にございましたような制裁といったようなことを目的とするものではないと御理解を賜りたいと存じます。

○高橋委員 私たちは、制裁そのものだと思っています。

 先ほど説明いただいたように、短期保険証の場合は、百歩譲っても、窓口では三割負担で済みますので、そのときは保険と同じように使えます。また、短期といってもいろいろあって、一カ月とかそういうのもあるんです。それ自体大変問題ですが、一応、その保険証を出したことによって接触をふやすという理屈は通ります。

 しかし、資格証明書は、出たらそれっきりです。窓口との縁は絶たれます。病院との縁も絶たれます。そして、前回の医療のときも紹介をしましたけれども、本当に命危ういような状態になって窓口に駆け込むような、幾らかでもお金を払いに行って、やっと短期保険証をもらえるような、そういう状況が生まれているわけです。

 でも、もちろん年金を払いたくないとか払わなくていいと思っているのではなくて、このわずかな収入の中で、せめてやはり病気にかかったときに困るから国保の保険料だけは払っている。そこに目をつけて、これをリンクさせるということは、これはやるべきではないと思います。もう一度お答えいただけますか。

    〔北川委員長代理退席、委員長着席〕

○青柳政府参考人 現在、介護保険においても、御存じのように、介護保険の一号被保険者の保険料は、年金の中から源泉徴収をするという形になっております。また、今般、既に参議院の委員会の方で御議論をいただいております医療保険の改革法案の中でも、後期高齢者の保険料はやはり同様に年金から源泉徴収する、そして、国保の被保険者と重なるところの前期高齢者につきましても同様のことをさせていただきます。

 このように、医療保険と年金、いわゆる社会保険の仕組みの中で相互に、いわばお互いのメリットというかそういったものを活用して、また、そういって、きちんと年金が受給されることによってそれぞれの医療保険制度の財政基盤というものにも大変に大きな寄与がされる、こういう仕組みが現にとられておるわけでございますので、その限りにおきましては、この国民年金と国民健康保険の短期証のように、あくまでもそういった連携を強化する一方策として、市町村が接触をする機会をふやすという形でこの機会を活用させていただくということは、私どもぜひお願いをしてまいりたいと考えております。

○高橋委員 違う制度をリンクさせて、年金の対策で国保の制裁をやる、このことは断じて認められません。

 また、国の政策によって年金の収納がうまくいかない。そのための努力をいろいろしなければならないけれども、一番嫌な役回りを市町村に押しつける、このようなやり方は絶対に許せません。見直しを迫りたいと思います。これはここで指摘にとどめます。

 次に、きょうせっかく総務省においでいただいていますので、一つだけ確認をしたいことがあります。

 今回、住基ネットを活用して、住所変更届の省略ですとか、あるいは三十四歳到達者のうち国民年金未加入者への適用勧奨を行うことなどを盛り込んでおります。

 これは、厚労省に言わせると、二度手間が省けるじゃないかなど、サービスの向上だと言われているわけですけれども、しかし、これも、先ほど来言われているように、自動的に、自分が届けたという自覚がなしに、ネットでつながっているから年金も全部済んでいますよということに対して、やはりそれは納得いかない、説明をしてほしいという方もいらっしゃるわけです。個人情報保護という問題については、非常に強い懸念が国民の中にあります。このことは慎重に扱うべきではないかと思っているんです。

 そこで確認したいことは、平成十四年の八月から住基ネットワークがスタートしておりますが、これにアクセスが許されるのは行政機関、国や地方公共団体等になっております。何かこの「等」の部分がだんだんふえてきた、いろいろな法人ができたものですから。ねんきん機構や全国健康保険協会もこれに含まれるという説明でありますが、しかし、その後の民営化が仮にあったとして、民間法人が参加することは厳密に禁止されていることを確認してよろしいでしょうか。これが一点。

 それから、ネットワークでは四情報、氏名、住所、生年月日、性別に限られておりますけれども、ただ、そこにアクセスしている自治体のサーバーにはもっと多くの情報が盛り込まれております。また、社会保険庁のオンラインも同様に重要な年金個人情報が含まれております。そのそれぞれの間にはファイアウオールが設けられているから大丈夫だという話がありますけれども、アクセス法人がふえることやその先のリンクしている情報がふえることで、個人情報にかかわるリスクは大幅にふえるのではないかという懸念が当然わいてまいります。

 そこで、本人に住基ネットの活用に当たってはやはり拒否権をちゃんと保障するべきだと思いますが、この点について伺います。

○高部政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず一点目でございますけれども、委員御案内のように、住基ネットからの本人確認情報の提供につきましては、情報提供を行う行政機関等の範囲及び利用目的を住民基本台帳法で、法律で限定して提供先を決めるという仕組みになっておりまして、これはそういう仕組みは変わっていないところであります。

 それから、セキュリティーの問題あるいは個人の拒否権をということでございますが、本人確認情報の提供につきましては、住基ネットサイドから申し上げますと、セキュリティーといったような観点から、住基ネットから本人確認情報を受領した者は、本人確認情報の漏えい、滅失及び毀損の防止その他の適切な管理のために必要な措置を講じなければならないという仕組みになっておりますし、また、委託を受けた者につきましても、秘密保持規定あるいはこれに係る罰則といったような体系でセキュリティーの確保を図るという仕組みになっているところでございます。

 こういう仕組みの中で、私どもは、法律に基づいて本人確認情報が提供されるということで、特段の問題が生ずるものというふうな考え方は持っておりません。

 それからまた、個別に自分がこの情報を提供していいかどうかというようなことについて定めたらどうかというようなお尋ねもございましたけれども、これはまた、今申し上げましたような全体のセキュリティーを確保しつつ、行政あるいは住民の利便という観点からの仕組みが構築されているところでございますので、現時点で個別に希望するものだけの情報を提供するというふうな仕組みはとっておらないところでございます。

○高橋委員 秘密保持が決められております、また罰則もあります。ただ、罰則が発動するかどうかというのは、本人が個人情報が利用されたかどうかということを知る由がないんです。そこには大きな問題があるわけですね。だから、私は、今でも三つの自治体が住基ネットに参加していないということがありますけれども、そういう選択の余地を残すべきだということを指摘したいと思うんです。

 このことを、社会保険庁もこの住基ネットの活用ということが盛んに言われておりますけれども、私は、勝手につないでほしくないということに対して拒否権を認めるべきだと思いますが、社会保険庁に伺います。

○青柳政府参考人 住基ネットをつなぐかどうかの拒否権については、私の方からちょっとお答えする立場ではなかろうかと思いますので、私の方に御指名があったということは、社会保険庁が住基ネットと接続をしているということについて、ちゃんと個人情報の保護は大丈夫なのかという御趣旨でお尋ねがあったのかなというふうに受けとめさせていただきたいと思います。

 社会保険庁における住基ネットの活用につきましては、被保険者や受給者に御負担をかけることなく、年金個人情報に、例えばその方々の住所の変更、あるいは亡くなった場合の死亡というようなことの情報、これが正確かつ適時に反映されるということを目的にするものでありますので、住基ネットの側が何か保有する情報がふえるというのではなくて、あくまでも、年金の個人情報にそういった住基ネットを活用して即時の状態というものを投影する、これが本来の目的でございます。

 あくまでも、社会保険庁が住基ネットから本人確認情報を受けるということは、先ほど総務省の方からも御説明がございましたが、住民基本台帳法の規定に基づくものでありますので、その利用に当たりましては、住民基本台帳法に定めるところの例えば目的外利用の制限あるいは守秘義務違反に対する罰則規定、こういったものが適用されます。このことによって、まず第一義的には個人情報の保護の措置が講じられるものと考えております。

 また、社会保険庁自身で住基ネット情報を含む年金個人情報を業務に使用しておるわけでございますが、この場合におきましては、社会保険庁保有個人情報保護管理規程、こういった規程が定められておりまして、この規程に基づき情報の漏えいを防止するなど適切な管理をする。そして、この管理規程に反するような行為があった場合には、公務員法等に基づくところの処分の対象になるという形で安全を担保しているところでございます。

 いずれにいたしましても、これらの規定がきちんと実効あるものとなるよう、監視体制の強化など個人情報保護対策の措置を徹底するとともに、あらゆる機会を通じて個人情報保護に関する周知徹底と意識の啓発を職員に対して働きかけることによりまして、個人情報保護対策に万全を期してまいりたいと考えております。

○高橋委員 それが余計なお世話だというときもあると、そこはしっかり受けとめていただきたい。私は、市役所に住所を届けたけれども、勝手に年金まで届けられているということは知らなかったよ、そういうことまで本人にお知らせしないということはあってはならない、選択の余地を残してほしいということを言っているんです。

 この問題は、単に、今は利用が非常に制限されているし情報も制限されている、だから利便性が図られていいじゃないかということがあります。しかし、きょうは余り時間がありませんけれども、この後来る外部委託の問題だとか、個人情報に非常に密接にかかわる問題が、民間とのかかわりで扱いをするということに今度踏み込んでいくわけなんです。ですから、そういういろいろな懸念がされていることに対して真剣に受けとめていただきたいということをお話ししておきました。

 それで、きょうは、残り、確認をしておきたいことがあるんですけれども、今回のねんきん事業機構が独立してできた場合に、意思決定機関である年金運営会議と特別監査官の設置、あるいは業務執行機関に外部専門家の登用など、民間企業の受け入れを積極的に行うとされております。同時に、今市場化テストが、徴収業務、年金相談、事業所への保険適用の問題で試行もされています。この本格導入が当然検討されていると思います。

 いろいろな民間人の入った機関もある、外部委託も進む。これらはそれぞれに独立していなければならないと思います。それぞれの仕事を、同じ会社とか、あるいは系列会社だとか、そうした利害関係などが絶対にないようにするべきだと思いますが、その点、いかがでしょうか。

○小林政府参考人 年金運営会議の委員ですとか、特別監査官、これらの方々についての利害関係の御質問でございます。

 まず、特別監査官につきましては、公平公正な立場から監査業務を遂行する。ねんきん事業機構の事業運営に関しまして適切な判断を行うことができる者であるということが大前提でございますので、法案におきましても、ねんきん事業機構と特別の利害関係がないことということをその資格要件とさせていただいております。

 また、このため、御指摘のケースのように、ねんきん事業機構と一定額以上の契約を締結している民間事業者の役員等につきましても、ねんきん事業機構の予算執行によって私的な利益を得る地位にあるという方につきましては、特別の利害関係を有するということから、特別監査官の職務を担うことはできないという考え方をとっております。

 また、年金運営会議の委員につきましては、特別の利害関係ということに着目した資格要件を定めているわけではございませんけれども、ねんきん事業機構の事業運営に関しまして、みずからの専門知識に基づいて適切な判断を行うことができる者であることということが必要であります。業務の性質上、御指摘のような事業者の役員等が委員に就任することは適当ではないというふうに考えております。

○高橋委員 監査官は利害関係のない者、これは十一条に定めてありますけれども、運営会議には今おっしゃったように定めていない。これはやはりおかしいと思うんですね。いずれにもきっちりと定めるべきではないかと思います。

 これは、すぐれた識見のある者、経験のある者などというと、例えば、監査官などは企業の財務管理をやっているフィナンシャルプランナーとか、そういう方たちがなるわけでありますから、これはかなりの形で影響力があるわけですよ。ここは本当にきちっと独立をしなければならない。

 つまり、国の特別機関という形をとってはいるけれども、やっていることは民間だ、国の責任で民間の仕事をしている、そこにだれが責任をとるのかということが今後起こってくるのではないか。

 私は、まだまだこれは続きがあるんですけれどもこの次の機会に譲っておきますが、やはり、国民が年金行政に対し強い怒りを持っている、不信感を持っている、無駄遣いがあるとか、不祥事があるとか。そこから発したはずの改革なのに、いつの間にかそれが国民の目指すところとは違う、国民が喜ばしい改革とは逆の方向に行っている。そういうことはあってはならないのだということを指摘して、次の機会に譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

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