国会質問

質問日:2006年 6月 14日 第164国会 厚生労働委員会

男女雇用機会均等法等改定案

 男女雇用機会均等法(均等法)改定案を全会一致で可決した十四日の衆院厚生労働委員会で日本共産党の高橋千鶴子議員は、四月に和解勧告が出された住友金属による女性労働者への昇給・昇格差別裁判をとりあげました。
 「性中立的システムが構築されたかのようにみえるが、根深く男女差別があり、意識差別の遅れが新たな差別、間接差別を生み出す土壌となる」と和解勧告が指摘していることを紹介し、実効ある法律としていくことを求めました。
 北井久美子雇用均等・児童家庭局長は「この例を十分勉強させていただき審議を尊重して対処していく」と答えました。
 高橋議員は、雇用・均等室の権限を労基署なみに高めるべきだと指摘。女性の坑内労働を緩和したことについて母性保護は雇用における平等の当然の前提だとのべ、「緩和される範囲は拡大されることがあってはならない」とただしました。
 北井局長は、「(雇用・均等室の権限を高めることは)重要な指摘である」、「(坑内労働の緩和について)範囲は、女性の管理監督者の範囲である」と対象が限定されることを認めました。

(2006年6月16日(金)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨日参考人質疑を行って、改めて、立法府に身を置く者としての責務を痛感いたしました。

 均等法二十年。七九年の国連女子差別撤廃条約を初め国際的な流れと、日本の女性たちの闘い、それは企業を相手取っての裁判であり、国連に出向いて意見表明をする、そういう長い闘いの上に一歩一歩前進をしてきたものと考えます。そうした女性たちの成果を摘むようなことがないように、本当に喜べるものとなるように強く願って質問をしたいと思います。

 初めに、今回、いわゆる直接差別について、差別禁止の対象が、現行法では、募集、採用、配置、昇進、教育訓練、定年、解雇といった規定であるのに対し、これに加えて、降格、退職勧奨、雇用形態・職種の変更、雇いどめ、配置において権限の付与、業務の配分が含まれることが明確化されました。こうした直接差別の概念が拡大された背景には何があるとお考えですか。

○北井政府参考人 昨今の雇用管理の複雑化あるいは近年の厳しい経済情勢の中において、雇用均等室に寄せられます性差別に関する相談事案はさまざまでございますが、そうした事案の中で、現行の均等法の範囲だけでは対応できない事案が見られるようになってきたところでございます。具体的に申し上げますと、今御指摘のとおり、降格、雇用形態・職種の変更、退職勧奨、雇いどめといったステージでございます。

 また、現行の均等法で対象になっております配置につきましても、権限の付与とか業務の配分について含まれるかどうかが不明確であるという御指摘もあったところでございます。

 こうしたことにつきまして、今般の改正法案におきましては、性差別禁止規定に追加あるいは明確化をするものでございます。これによりまして、これまで対応できなかったステージでの性差別事案にも対応できることになるものでございます。

○高橋委員 直接差別の概念が拡大された、そのこと自体は大いに評価をしたいと思うんです。

 今その背景を伺ったわけですけれども、それに対して、雇用管理の複雑化、厳しい経済情勢という御認識があったと思うんです。

 やはり雇用の形態に大きく変化があった。それが、決して自然発生的に、いわゆる女性の労働者がふえたけれども、パートもふえた、非正規もふえた。それがあたかも何か厳しい状況の中でそうなったという話ではなくて、やはりこの間のさまざまな労働法制の流れの中で、派遣労働者が、例えば今二百二十六万人にもなっておりますが、十年間で三倍以上に伸びていることなど、そうした社会的な要因がある、労働法制の見直しなどもある、そうしたことをしっかりまず前提として考えて、そこにおいて求められる差別の克服ということに挑んでいく必要があると思っておりますけれども、こうした背景について、大臣にひとつ認識を伺いたいと思います。

○川崎国務大臣 今回、間接差別の禁止も含めて、男女雇用均等法の改正を出させていただきました。

 全体の認識でございますけれども、我が国の経済環境、先ほども御答弁申し上げましたけれども、この十年の競争というのは、十五年になるかもしれません、極めて厳しい競争を我が国はしてまいりました。ある意味では、もう日本の国はたそがれどきだ、先進国であった日本が中国等のアジアの国々との競争に敗れていくことになるかもしれぬ、その危機感の中でさまざまな努力が経済界において行われたことは事実でございます。

 しかし一方で、その中でリストラがあり、その間、若者の雇用というものが、ある意味では正規雇用としてはストップした時代がございました。また最近少しずつ雇用がふえてきておりますけれども、なかなか企業が長期的な雇用に結びつけない。すなわち、これからの経済競争をしていく中で、日本の産業基盤全体が長期的にもつであろうか、こういう心配を企業の経営者が持っておられることも事実だろうと思います。

 そういった中で、少しずつ経済環境が回復されてきて、我が国の雇用は改善の兆しが見えつつある。しかしながら、一方で、先ほど申し上げましたように、若者の雇用なり、また女性の雇用なりというのはまだまだの状況になってきている。特に、女性の雇用はふえてまいりましたけれども、やはり非正規雇用が極めて多い。その処遇という問題も含めて、さまざまな議論がされていかなければならないということが一つ背景にございます。

 もう一つは、我が国の社会全体を考えていったときに、少子化社会でございますから、これからの我が国の労働力というものをどう維持しながら、またより高めていくかということになりますと、やはり女性の労働というものが一番大きな部分を占めていくことは間違いない。その女性の働き方ということを考えていったときに、やはり男女雇用均等というものがより強く打ち出されていかなければならないだろう。その中のいろいろな阻害になっている要件、例えば結婚による退職とか、また出産による退職とか、そういうのをまず解消しなければならない。あわせて、大きな課題となっておりました間接差別という規定も出させていただいた。

 そういう意味では、いろいろ御批判もあると思いますけれども、そうした時代の変化の中で、私どもはとれるべき方向ということで今日出させていただいたところでございます。

○高橋委員 企業の行ったさまざまな努力をどう評価するかという点では分かれると思いますけれども、今のリストラや若者の雇用の状態、あるいは少子化社会の中で女性の活躍が期待されている、そういう認識においては同じかなと思って伺いました。

 そこで、次に伺いますけれども、ことし四月から施行となった改正高齢者雇用安定法では、年金の支給開始年齢が六十五歳までに段階的に引き上げられることに伴い、これに応じた定年の延長、あるいは定めの廃止、あるいは雇用継続制度、この三つのうちいずれかを選択することが義務づけられました。

 このうち、定年延長については、女性の年金支給開始年齢の引き上げは男性より五年おくれであります。しかし、高齢法の定めは、男女とも同一の六十五歳までとする、このようにされています。これは、年金支給開始年齢に合わせて女性だけ定年を早める、こうすると均等法違反になるからであります。しかも、直接差別であります。このことを確認してよろしいですね。

○北井政府参考人 男女雇用機会均等法は、第八条におきまして男女別の定年制の禁止を明確に規定いたしております。厚生年金の支給開始年齢に差があることを理由として男性の定年年齢のみ延長するといったようなことは、この規定に違反し、均等法上の直接差別に当たるものであると考えております。

○高橋委員 ありがとうございます。

 重ねて伺いますが、パート労働者においても同法は適用されると思います。また、その徹底はされているでしょうか。確認いたします。

○北井政府参考人 均等法は雇用の分野における男女差別の解消を図るものでございまして、いわゆるパートタイム労働者など非正規雇用の方々にも適用されるものでございます。今般の改正におきましても、雇いどめについて規制の強化などを図っているところでございます。

○高橋委員 ありがとうございます。この点は徹底をお願いしたいと思います。

 先ほどの議論を振り返っていくことになりますけれども、やはり、制度が変わり働き方が多様になることによって、求められる差別是正の措置、これも多様になると思います。問題は、それを混乱だととらえて差別の内容を初めから限定したものに絞り込もうとする、このことが、やはりそれでは前進しない、それではだめだということであります。

 既に大臣が触れておりますが、間接差別の問題について伺いたいと思います。

 間接差別の是正については、二〇〇三年の国連女性差別撤廃委員会から勧告を受け、ことし九月にはこれに対する報告が求められております。昨年十二月の分科会最終報告で最後までもつれ込んだ後、限定列挙という条件つきで間接差別の概念が入れられました。新聞各紙は、この最終報告を受けて間接差別の解消をという論説を張った、それは皆さんもそのように認識しているのではないかと思います。

 まず、確認ですが、あくまで今回の省令で列挙する要件は三つと決まったわけではない、いかがでしょうか。

○北井政府参考人 この改正法案が成立した場合に制定する予定の厚生労働省令においては、御指摘の三つの措置を規定することを予定しているところでございます。

 なお、三つの措置以外の措置については、その後の状況を見て適時適切に検討を行っていくことになると考えております。

○高橋委員 そうすると、手続的におかしいと思うんですね。やはり、立法府の責任が棚上げされている。初めから、審議会で局長が言うところのコンセンサスが得られた三つになるということが決まっている、委員会で何を審議しようとそれはもう決まっているということはおかしい。少なくとも、この委員会の審議を経て、国会での意見を受けて、改めて、この三つに確定するか否かを含めて、あるいはふやすか否かを含めて決定されるというのが正式の手続であると思いますが、いかがですか。

○北井政府参考人 御指摘のとおり、手続的には、この法案成立後、改めて労働政策審議会の審議を経て厚生労働省令を定めることになりますので、私どもの考えとしては三つの措置を予定しているということを申し上げておりますが、手続としてはそういうことでございます。

○高橋委員 ありがとうございます。そうでなければ国会が意味をなしませんから、そのことは強く指摘しておきたいと思います。

 局長は、参議院での審議の中で、衆議院に入ってからも幾つか説明されておりますけれども、間接差別の問題として一番国内外で指摘をされてきたのは、コース別の雇用管理における全国転勤要件であるとして、総合職について女性が事実上満たしにくい全国転勤を要件としている企業がかなりに上り、かつ要件としてもその必要性を十分検討されていないまま導入している企業が四割ある、今回の改正で全国転勤要件が禁止されると運用の改善が進む、そういう認識を示されました。

 では、この四割にもなる企業で、今回の法改正によって禁止措置が盛り込まれると、コース別雇用管理に名をかりた差別が改善されると考えてよろしいでしょうか。

○北井政府参考人 今回、省令で列挙する一つに考えておりますコース別雇用管理における総合職の募集、採用に当たっての全国転勤要件、これを盛り込むことになりますと、合理的な理由がない場合には全国転勤要件を付した措置は違法となることでございますので、その業務の遂行上の必要性もないのに、念のためといったようなことで全国転勤要件を課しているようなケースについては問題になるということで、運用上の是正、改善が進むものと考えております。

○高橋委員 ですから、今答弁の冒頭におっしゃられたように、合理的な理由がない場合、この言葉が問題なわけですね。現実には、その合理的な理由とは何か、これは新たに指針で定めることになると思います。しかし、その指針についても、分科会で審議をされてきました、昨日の川本参考人が述べたように、全国に支店や支社がない場合といった極めて限定的な要件となる。支社や支店がなければそもそも転勤する必要がないわけで、当たり前のことじゃないかと。そんな当たり前のことだけを要件として、それ以外は合理的な理由である、そうなれば、これは三つの要件を限定した上に、さらに指針をつくることによって狭められることになりはしませんか。

    〔委員長退席、北川委員長代理着席〕

○北井政府参考人 厚生労働省令で定める措置についての合理性の有無の判断の考え方については、この法案成立後、労働政策審議会におきます議論を経て、指針において具体的な例を示していく考えでございます。

 その際にまた議論をしていただくことになると思いますけれども、例えば、コース別雇用管理について言えば、今御指摘のように、支店、支社がない、あるいはその計画もないにもかかわらず総合職の採用基準に全国転勤が可能なことを掲げることは合理性がないと考えるという建議も出ておりますので、そういうことも参考になります。

 また、一方で、均等政策研究会の報告では、全国に支店、支社等がある場合であって、異なる地域の支店、支社等で管理者としての経験を積むことが幹部としての職務能力の育成、確保に必要である場合や、人事ローテーション上、転勤を行うことが必要である場合など、と認められない場合は、合理性がないと考えられる場合もあるんじゃないかというような御指摘もなされていることでございます。

 こうした建議や均等政策研究会報告書の御報告などを参考にしながら、改めて検討をしていただきたい、そして適切な指針を定めていきたいということで考えております。

○高橋委員 ですから、委員会の中では、四割の企業がやっている、そして、何かこれが一番の問題だからかなりの部分が救済されますよという印象を与えておきながら、終わった後の指針を決めてみたら、ほとんどそれは合理的な理由になってしまった、そういうことでは困るんです。しっかりと救済するつもりがあるのかということを聞きたいと思います。

 続けますから、それに対して答えてください。

 厚労省の平成十六年度コース別雇用管理制度の実施・指導状況を見れば、総合職女性の採用は一割未満にとどまっています。一般職女性の採用は八割。もう歴然としています。平成十二年六月のコース等で区分した雇用管理についての留意事項に基づき雇用均等室が助言を行った企業は八七・八%にも達している。これをどう受けとめるでしょうか。

 コース別雇用管理制度が新たな差別拡大の引き金、あるいは均等法違反を避けるための隠れみのになったと言えないだろうか。

○北井政府参考人 均等法で間接差別の規定を導入するに当たりましては、対象となる範囲を明確にする観点から、省令で対象となり得る措置を定めることとし、さらにその措置について、どういう場合に合理性があるのかないのか、その判断の参考となる考え方を指針で示すということにしているわけでございますので、これは、このやり方でもって、違法となる対象が狭まるという指摘は当たらないものと考えております。

 それから、コース別雇用管理につきましては、全国の雇用均等室におきましても、集中的に報告徴収をしてまいりました。その結果、その運用において、必要性の観点から改善が望まれるもの、あるいは法違反になるようなものもございました。そういう点でもって問題意識を持って取り組んできた結果、今回の法案の改正につながっているということであると思います。

○高橋委員 問題意識を持って、そして、本当に救済されるのかということが問われていると思うんですね。

 局長は、同じく参議院の質疑の中で、間接差別の規定を設けた趣旨というところで、非常に率直に述べておられます。

 均等法制定以降、外見的にすぐ分かるような明白な差別は減少をしてまいりました反面、事業主によりましては、内心の意思としては女性を採りたくない、登用したくないというようなことで、そうした、しなくて済むように、女性が満たしにくい要件を課すといったようなことなど差別事案が非常に複雑化する中で、形を変えた差別への対応が課題となってきた

と述べておられます。

 非常にわかりやすいですよね。間接差別とはどういうものかということがここに尽くされているのではないかと思うんです。まさに、本当は採りたくない、登用したくない、企業の内心はこうだということを認めておられます。

 きのうの参考人の質疑の中でも、経団連の参考人である川本氏は、もともと我々は間接差別には反対だったということを繰り返して発言されました。

 ここで、本当に、使用者側が本当は採りたくないのよとわかっている、だけれども、それではだめなんだという立場で救済する、間接差別をしっかりと是正する立場に立つのか、あるいは、やはり、使用者側にそこまで言われたんだから、使用者側がいいよというところでお茶を濁すのか、その態度が問われていると思うんです。大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 労使間の話し合いでいろいろな議論がされてきたことは事実だろうと思います。もちろん、委員の皆さん方に御提案いただいたような声もございました。しかし、今回の提案は、そうしたいろいろなものを踏まえながら、最終的に建議いただいたものを土台としながら法律を出させていただいたということでございます。

 経済界にそのような声があったことは事実でございます。

○高橋委員 事実だからということで、やはり、間接差別をなくす、ちゃんと救済できる、そういう制度にするという決意はありますか。

○川崎国務大臣 そうしたことから今回の法改正を出させていただいた。先ほども御答弁申し上げましたように、まだ国民全体も、間接差別というものがどういうものであるか、よくわかっていない人たちも多いだろうと思います。まさに、労働現場また採用の現場で仕事をされる人たち、現実に差別に遭った女性の方々、こういう方々は御理解いただいていると思いますけれども、国民全体はまだよくわかっていない。

 こうした中で、間接差別という概念を今回法改正に入れさせていただいて、そしてその後、柔軟に対応しながら足すべきものは足していきたい、このように思っております。

○高橋委員 これまでいろいろな女性たちの闘いがあったわけですが、最近のものとして、二〇〇六年の四月二十五日に、住友金属男女差別裁判、これが和解をいたしました。非常に教訓的な和解勧告をしていらっしゃいます。

 これは、住友金属が、従業員に知らせないまま、事務職の従業員を五段階に分けたやみの人事制度、これに基づいて能力評価、昇給、昇進について差別的取り扱いを行い、昇進、賃金の著しい男女格差を発生させたと認定をした裁判でございます。

 これは、イ、ロ、ハ、ニ、ホという五段階がございまして、女性は最初から一番下のホになっていた、そういう制度があることを従業員が全く知らされていなかったということがございました。

 このことを、和解勧告ではこのように言っております。

 過去の意識に支配された人事制度などが改正され、性中立的システムが構築されたかに見えながら、実際には、賃金、処遇等における男女間の格差が適正に是正されたとは言い難い現実があり、真の男女平等を目指す精神が、社会、とりわけ企業内に深く根付いていると楽観することはできない。

このように、まずここが一つの指摘ですよね。性中立的システムであるかのように見えるけれども、根深く差別というものはあるんだという指摘であります。

 それと、もう一つ大事なことは、続けて読みますけれども、

  このような現実は、真の男女平等に向けた意識改革が十分に深化することなく、均等法を受けて、表面的な整合性を追い求めることからくるものではないかと思われる。そのような意識改革の遅れが、新たな差別(間接差別や女性を中心とした非正社員化等)を生み出す土壌となることに十分な留意がされるべきであり、企業のみならず、社会においても、意識改革に一層真剣に取り組むことが求められる。

このような勧告をしておられます。

 この後段の方は、「均等法を受けて、表面的な整合性を追い求める」、これは、やはり行政に対して向けた言葉であろうと。法律ができた、しかし、その法律では救えないものがある。言葉だけ間接差別というものを盛り込んだというだけではなく、本当にそれが使えるものになるのかどうか、そのことが本当に行政に問われているのではないかと思っております。

 これを受けて、どのように行政として受けとめているのか、伺いたいと思います。

○北井政府参考人 男女雇用機会均等法の施行に当たりましては、常に課題が出てまいります。そうした課題に適切に対処しながら、日々の全国の均等室における是正指導、あるいは紛争解決の援助に当たっているわけでございます。

 今後とも、私どもは、今回も改正法案を出させていただき、成立をさせていただいた暁には、この法律の円滑な施行に向けて全力を傾けていきたいと思いますし、特に、間接差別の問題については、今国会での数々の御指摘を踏まえ、十分対処していきたいというふうに思っております。

○高橋委員 この間、間接差別については判例がないというようなことをおっしゃっておりました。確かに、その言葉が条文上にはまだこれまでなかったわけですから、裁判の中で、判例という、厳密に言えばなかったかもしれません、しかし、このように、和解という形で間接差別の精神がしっかり盛り込まれたものがある。今の局長の答弁を聞いていますと、これを重く受けとめてやっていくというふうに認識してよろしいですよね。

○北井政府参考人 一つの和解の例、あるいは裁判例も十分勉強させていただくことは当然でございますし、今国会における審議を十分尊重して、私どもは対処をしていきたいということでございます。

○高橋委員 毎回毎回、女性たちが何年も時間をかけて、多くのものを犠牲にして裁判をしなければ、一つ一つが証明されないのかということでは、やはりだめだと思うんですね。この成果を本当に現行法に生かして使えるものにするようにということを強く望みたいと思っております。

 さて、大臣は、この間、何度か説明の中で、男女間の賃金格差が依然として大きいと繰り返し述べておられますが、本法案でその趣旨がなぜ盛り込まれなかったのか、伺います。

○北井政府参考人 雇用均等法は、賃金というステージを規定しておらないわけでございます。したがいまして、賃金の問題を間接差別として均等法上入れていくことについては、何度か御答弁を申し上げているところでございますけれども、直接差別のステージに入っていないものを間接差別に入れていくことは整合性の観点から難しいことと、そもそも、賃金について間接差別として入れていくということについていまだコンセンサスが得られていないという状況から、均等法上、賃金の問題を間接差別に導入していくということはしなかったわけでございます。

 しかしながら、もとより男女の賃金格差の問題は大きな問題だと認識しておりますので、ポジティブアクションの推進であるとかあるいはパート対策の強化等によりまして、男女間の賃金格差の解消に努めていきたいと考えているところでございます。

○高橋委員 ここでもコンセンサスという言葉が出てくるわけですが、何度も指摘をされておりますけれども、やはり賃金というのは直接、間接による差別の帰結として起こってくる差別だと思うんですね。ここを本気で変えようとしなければ、やはりこの均等法改正の意義も生きてこないのではないかと思っております。

 平成十四年十一月の男女間の賃金格差問題に関する研究会報告では、この「はじめに」のところで、「職場における女性の進出が着実に進展しているが、男女間の賃金格差は依然として大きい。本研究会は、男女間賃金格差の本格的解消に向け、行政として初めてこの問題を真正面から取り上げたものである。」このように書いているんですね。各種研究会というのはありますけれども、「真正面から取り上げた」、研究会自身がそのようにうたっているというのは非常に珍しいのではないか。その覚悟がどこで生かされるのかということが改めて言われると思うんですね。

 例えば、ここで具体的に指摘をされているのは、さまざまありますけれども、「職能給、職務給等の基本給に係る賃金制度そのものは一般的にみて性に中立的とみられるが、職業能力や職務の評価の判定方法や業務の与え方、教育訓練等の運用面で公平性が保たれない限り、どの制度でも男女間賃金格差を生成する。」こういう指摘、あるいは「コース別雇用管理制度が男女間賃金格差を生み出している面があるため、雇用管理を点検するべきである。」こうした指摘がされております。

 これを受けて、厚労省としては平成十五年の四月二十二日にガイドラインというものも出されておりますけれども、これを本当に実効あるものにするために、やはり差別の帰結として来る賃金差別にしっかり取り組むというところがどこかに盛り込まれなければならないと思いますが、もう一度伺います。

○北井政府参考人 今御指摘がございましたように、一つは、男女間の賃金格差を解消するために企業の労使で取り組んでいただくガイドラインをつくっておりますので、この周知に一層努めていきたいと思っております。

 また、法律上の問題としては、ケースによりましては労働基準法第四条の問題として、賃金における男女差別の問題として対処できるものもございますから、そうした場合は労働基準法の適切な施行によって対処をしていかなければならないと思っております。

 それから、均等法上の問題としては、配置、昇進に関して男女差別が起きた場合に、それに起因して賃金の格差ということも生ずることが多いわけですが、そうした場合については、均等法の六条なり七条において適切に行政指導をしていく、あるいは個別紛争の解決の援助を図っていくということで努めてまいりたいというふうに思っております。

○高橋委員 指導の問題は後でもう一度伺いますけれども、労基法の四条があるじゃないかということが繰り返し答弁をされているわけですが、しかし、実際にはその四条が非常に厳し過ぎて送致まで至っていないということになっておりますし、それはILOの専門家委員会からも指摘をされているわけですよ。では、どこかで実効あるものにしなければならない、そういう問題意識はございますか。

○北井政府参考人 労働基準法の施行に当たりましては、全国の労働基準監督官の監督指導によって制度の適切な改善や法の履行確保が図られるものと考えております。

○高橋委員 答えになっていませんね。一件も送致をされていないのに適切な履行がされているだろうというふうにはちょっと答えにくいのではないか、その程度の認識だということが問題ではないかと思います。

 指導の問題はちょっと後でやりますから、続けますけれども、正規と非正規の問題ということも、さっき、午前の部で大臣が答えているわけなんですね。いわゆるパートの問題を指摘されたのに対して、それは男女の性差別の問題ではないというふうなことをおっしゃっているわけですね。

 しかし、例えば、今、三年前に比べて非正規の社員の比率が上昇した事業所が一九・一%で、パートがその中でも最も多いわけです。その理由に、賃金の節約のため、これが五一・七%。これは、ここにもう集約されていると思うんですね。働く中身は同じでもパートに置きかえることによって賃金を節約する、こうした傾向がこの間強まってきたのではないか。

 いろいろな相談がございますが、例えば、男性が今仕事が非常にない、だからパートでもいい、せめて短期でもいいから仕事がないかといって職安に行くと、表面上は男女となっているけれども、うちは女性しか採りません、こういうふうに明らかに、パートは賃金の安い女性にお願いする、そういう傾向が強まっているということも指摘をされているところです。

 大臣が言うように、切り口は賃金でも正規あるいは非正規でもいいけれども、いずれにしても、こうした形で賃金の格差を生じるということに対して救済できる道をつくるべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○北井政府参考人 均等法におきましては、例えば、非常に賃金の低い職に女性だけ求人をするというようなケースになると、まずそれは募集、採用についての女性差別ということで均等法違反となりますし、それから、求人は男女に出していながら、実は女性が採りたい、あるいは男性が採りたいというようなことで男女異なる取り扱い、例えば求人情報の提供であるとかさまざまな採用手続の過程において男女異なる取り扱いをして、実質女性を採る、あるいは男性を採るというようなことになっても、これは男女異なる取り扱いとして均等法上違反になります。

 そういうようなことで、かなりのところにおいて、女性について男性と異なる取り扱い、あるいは女性だけを対象とするとか女性だけを排除するというようなことについては、均等法違反として対処できるものであると考えておるところでございます。

○高橋委員 ですから最初にお話をしたんですけれども、最初からパートだから女性募集といっているのはもう明らかに違反ですよ。そうじゃなくて、行ってみたら女性だけよと言われた、そういう事例が圧倒的に多いでしょうということを指摘しているんです。ここをしっかり受けとめていただいて、そうしたことがないようにしていただきたいということを言っているんです。

 パートであるということが間接差別になるかどうかということを、先ほど、コンセンサスが得られていないという局長の答弁が午前の部であったと思います。ただ、パート、アルバイト、派遣を問わず均等法は適用になりますよね。これは、厚労省が出しているQアンドAの中に明記をされています。

 しかし、昨日の参考人質疑の中でも紹介をされていましたように、例えば転勤要件が課されて、それによって労働形態が変わってしまう、パートを選ばざるを得なくなってしまう、それで結局、賃金の格差に結びつく、そういうように、パートであっても間接差別となることは十分ある、このことは確認してよろしいですか。

○北井政府参考人 パートのさまざまな問題が間接差別の法理の対象からあらかじめ外れるということはないわけでございます。しかしながら、私どもとしては、パートの処遇格差の問題は、むしろ、性差別というよりも、正規とパート労働者との均衡処遇の問題として対策を講じていった方がいいと考えているところでございます。

○高橋委員 ですから、民主党さんもパートの労働法を出しているように、それは十分やっていくべきなわけです。ただ、こっちでやっているからこっちは必要ないよと言ってしまうと、どこかにすき間ができるから、それはそうではなくて、間接差別となり得るのであればきちっと対応するべきだ、私はこのように言っておきたいと思います。

 そこで、先ほど来出ている指導の問題なんですけれども、やはり私は、均等室の権限を高めるべきではないのか、あるいは、独立した救済機関をちゃんと設けるべきではないのかと思っております。

 全国に四十七の均等室があって、一般の国民から見て、非常になじみが薄いわけですね。でも、実際には、労基署に相談に行くと、労基署が紹介をして、均等室に紹介がされるということを聞いております。

 ただ、やはり、均等室には労基署のような司法の権限がございません。そのために、いろいろ事業所を回っても、どこにそんな条文が書いてあるというような形で指摘をされたり、あるいは、被害者にとって非常に大事な差別を立証するための証拠書類などを、いわゆる証拠保全というんですか、そうした権限なども、あるわけではございません。そうすると、やはり、書類を置いてくるとか、行って、何とかお願いしますと言う程度にとどまらざるを得ないわけですね。ここを変えなければだめなんです。

 どのようにして権限を強化いたしますか。

○北井政府参考人 男女雇用機会均等の実効性の確保を図るということは、重要な御指摘だと思います。この均等法におきましては、何よりも、労働者が継続をして勤務できるようにするということが重要であると考えておりまして、この法律の体系の中では、助言、指導、勧告といった行政指導という手法によって、粘り強く事業主に理解を求め、是正を促し、そして雇用管理の改善を図っていくということにしているわけでございます。

 そして、それを担保するものとして、勧告に従わない企業に対する企業名公表制度という社会的制裁措置を持っておりまして、これを伝家の宝刀としながら、行政指導を進めているところでございます。

 今回の改正法案では、一つは、この企業名公表制度の対象となる措置を、セクシュアルハラスメントや母性健康管理も対象に加えました。それから、この助言、指導、勧告をする前提として、必要な報告を求めなきゃなりませんけれども、御指摘のように、十分協力をしていただけない事業主もあったわけでございますが、今回の改正法案では、正当な理由なく報告徴収に応じないとか、虚偽の報告をするといったようなケースについては、罰則といいますか、過料を創設するといったことにしたわけでございます。

 こうした規制の強化も図りながら、行政指導によって、事業主に雇用管理の改善を促すということにしていきたいと思っております。

○高橋委員 今回、過料を設けたこととか、一定の規制の強化をしたということは、多としたいと思います。しかし、それでもまだ足りないだろうという点では、やはり本気な取り組みとして、権限の強化、あるいは独立した機関について引き続いて検討していただけるように、指摘をしたいと思います。

 これと裏と表の関係になると思うんですが、事業所の側として努力をするべきポジティブアクションの問題ですけれども、これについては義務づけがないわけです。例えば、今、五千人以上の企業でこれを持っているところは七四%、三百人から一千人未満の企業で四六・七%にとどまっています。問題なのは、取り組む予定がないと答えたところが、五千人以上でさえも一〇%、一千人未満では一九・七%と、予定がないと言い切られてしまったわけなんですね。それではやはり前へ進まないだろう。ここを、この間、ポジティブアクションに対しての支援措置というふうなやわらかい表現をされていましたけれども、もう一歩進んで、義務づける、もっと強い措置をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○北井政府参考人 ポジティブアクションの進め方については、いろいろなやり方があるわけでございます。確かに、計画を出させる、あるいは義務づけるという方策もございますし、自主的な取り組みを援助によって促すという方式もございます。我が国の均等法では、事業主の積極的な、自主的な取り組みを促す、これによって、強制ではなくて、真の意味でみずからお取り組みをいただいて、女性の活躍を促すということにしているわけでございまして、今回の改正法案でも、そうした枠組みは維持することといたしたわけでございます。

 具体的な援助の内容といたしましては、個々の企業に対する相談はもとよりでございますけれども、経営者、トップに集まっていただきましての女性の活躍を促す協議会の開催であるとか、企業表彰の実施、それから、いわゆるベンチマーク事業と申しまして、個々の企業が実情に応じた目標を立てる際に活用できる情報提供事業といったものを進めているところでございます。

○高橋委員 やはり、もう一歩進んで、企業がポジティブアクションを設ける、そして本当に前に進むという方向に、先ほど来言っているように、企業の言い分は取り入れるけれども、女性たちの願いはなかなか聞き入れられないということがないように、ここは強く指摘をしておきたいと思います。

 さて、最後に伺いたいのは、坑内労働の規制緩和の問題であります。

 今般、女性技術者が行う管理監督業務について、坑内労働が行えるよう規制を緩和するとしております。均等法の制定とともに、労基法の改悪、規制緩和がされてきたのが、女性の深夜労働の禁止など母性保護に関する規定であり、坑内労働は最後のとりででありました。残されたのは、文字どおり、妊産婦そのものであります。これではやはり、少子化対策というその背景にある女性の健康状態というところを本当にどう見るのかということが言えると思います。そもそも、雇用における平等とは、母性保護を当然の前提とするものであり、国連の女性差別撤廃条約においても、母性保護を目的とする特別措置を締約国がとることは、差別とみなしてはいけない、そういうふうにしていると思っております。

 そこで、まず伺いますが、坑内労働の規制がある背景には、粉じんなどの有害物質の飛散する場所での作業は、一般的な人体に対する影響以上に、子宮や卵巣などの妊娠、出産機能に対し有害な影響が大きいということが医学的にも認知をされてきた、そうしたことがあったからだと思いますが、見解を伺います。

○北井政府参考人 今般の改正に当たりましては、学識経験者によります専門家会合において十分議論を尽くしていただいたところでございます。坑内労働については、施工技術の格段の進歩、それから法規制の充実などに伴いまして、安全衛生水準が向上いたしておりまして、現在では、女性の坑内労働を一律に排除しなければならない事情は乏しいとされたことを踏まえたものでございまして、母性保護につきましては、十分な検討が行われたものと承知をいたしております。

○高橋委員 いや、まさかそこまでおっしゃるとは思いませんでした。

 現実に、第六次粉じん障害防止総合対策が進行中でありますが、じん肺根絶を願う関係者の運動は、引き続いて今も闘われております。今も、原告は提訴をしております。じん肺はなくなっておりません。

 今、適用事業場は四万四千五百十、有所見者の割合は確かに減ってはおりますが、現在でも、平成十五年の数字で七千三百四名、治らない病であります。健診を受けているのは十八万三千九百六十一名。影響を取り除くための措置、今おっしゃった安全衛生水準なるものかもしれませんが、さまざまな、いわゆる事業者に義務づけられております。それらに対して遵守違反は、建設現場で五七・五%、土木現場で五〇・二%に至っております。これが現実であります。

 これを私は、一般の労働者の健康自体がまだ守られている状況にはないと見るべきであるし、さらに、そこに女性の労働者も加えてリスクを高めるべきではないと思いますが、まず、現状の認識と、リスクを高めるべきではないということに関して伺います。

○北井政府参考人 もちろん男女共通に粉じん対策ということは重要なことでございますが、女性の坑内労働に関する専門家会合では、坑内労働特有の状況、例えば落盤、落石、ガス爆発等のリスク、有害化学物質についての影響、それから高温、気圧、粉じん、筋肉労働についての影響等をもろもろ御議論いただきまして、そして、結論としては今申し上げましたように、一律に女性の坑内労働を排除しなければならないという事情は乏しいという結論になったわけでございます。

 今回の改正も、その女性土木技術者、これは坑内で管理監督業務に当たられるわけでございますが、この職域の拡大の観点から、女性土木技術者の方々から、それから関係業界も含めた強い御要望もあって、女性の職域の拡大の視点、その一方で、坑内労働の労働条件等の観点、それを十分踏まえて、科学的にも専門家による検討を経て、今回の改正法案では女性の土木技術者の管理監督業務についての規制緩和を図ることとしたものでございます。

○高橋委員 まず、もう一度確認したいのは、リスクはまだあるということをちゃんと認めてくださいますかというのが一点です。

 それから、土木技術者の女性の会から要望があったことは承知をしております。女性の社会進出が進む中で、坑内労働の分野であっても、やはり技術を生かして職域を拡大したい、キャリアアップを目指したい、そういう方たちがいるということを決して否定するものではありません。しかし、使用者のねらいは全面解禁でありますから、これが引き金となっては困るんです。

 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害なものは除く云々という条項がございますけれども、かつて炭坑に多くの女性が上半身裸で入っていた、そういう時代とは決して違います。しかし、今回のことによって規制から除かれる範囲が拡大するということはあってはならない。先ほど来言っているように、管理監督に限定するということで確認してよろしいでしょうか。

○北井政府参考人 今回の報告書では、安全衛生に関する管理が適切になされていれば、通常、女性がじん肺を発症することは想定されない、安全衛生の水準が保たれていることを前提とすればということで、現在では女性の坑内労働を一律に排除しなければならない事情は乏しくなってきていると考えるということでございますので、やはりじん肺の対策というのは重要なことであるという認識に立っております。

 それから、二点目の御質問の規制緩和の範囲でございますが、御指摘のとおり、女性の管理監督者の規制緩和だというふうに理解をいたしております。

    〔北川委員長代理退席、谷畑委員長代理着席〕

○高橋委員 限定するものだということが確認をされたと思います。この点はよろしくお願いします。

 何か最初にお話しされた、安全対策を前提とすればなどという表現は、どうもプリオンの専門調査会の報告書に非常に似た書きぶりでありまして、そんな言い方をしないで、しっかりと安全確保をする、それで大丈夫であるとなった上でのことであるというふうに確認をしたいと思います。

 私は、今の母性保護の問題もしかりでありますけれども、最後までなかなか一致を見られなかった、仕事と生活の調和、これを盛り込むということ、このことがやはり本当に大事なんだなと改めて思っております。

 これまでの答弁は、雇用の場における性差別の禁止と切り口は違うものだというふうな表現で、別の法律に書いているからということを言っておりました。しかし、やはり抽象的な表現に思えるかもしれませんが、これは非常に大事な意味を含んでいる。分科会の中でも、労働側の委員が、男性の働き方に女性を合わせてはならないのだと主張してきた、そのことをしっかり受けとめるべきではないかと思います。

 男性並みに働くことが平等だとされて、それができない人は退職するか、あるいは短期労働者になりなさい、そういう形の差別が横行してきた。そして、そのことが男性にとっても働き過ぎの社会をつくってきたのではないか、こういうことが指摘をされてきたんだと思っております。

 均等法の中にこの仕事と生活の調和という具体的な措置が入っているか否か、そのことが問題なのではなく、このことが理念に据えられている、据わっている。そのことがすべての条文にかかわる大きな根拠となって、男性も女性も仕事と生活の調和がとれる本当に人間らしい働き方が保障される、そういうことにつながっていくのではないかと思っております。

 大臣は、かつて答弁の中で、その気持ちについてはにじませたいというような表現をされておりましたので、にじませたいではなくて、やはりもう一歩踏み込んで書いてほしいということを指摘して、時間になりましたので終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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