国会質問

質問日:2006年 11月 15日 第165国会 総務委員会

地方分権推進法案参考人質疑

 衆院総務委員会は十五日、秋田市内で地方分権改革推進法案の公聴会を開きました。日本共産党からは高橋千鶴子議員が出席しました。

 同法案は、国と地方の役割分担と税財源のあり方を大枠で決めようとするもので、公聴会は浜松市と同時開催。斎藤正寧井川町長は、「分権と合併とは相いれない」と陳述し、自民党委員の質疑に、法案の「行政体制の整備」は「素直に読めば矯正合併をやる気かな思う」と述べました。

 高橋氏が「井川町の自立計画書を読んだ。課題とするものは」と質問したのに対し、斎藤町長は、「行財政改革はやっていかざるをえない。浮いたものを住民により近いところで政策投資していく」と話しました。

 高橋氏が「三位一体改革」の影響を質問したのに対し、寺田典城知事は、「地方の自由度が高まっていない」と答えました。

 高橋氏が、一般財源化されたため十分な予算化がされていないとして東北六県の商工会議所連合会が小規模事業対策の充実を求めていることにふれて要望を聞いたのに対し、寺田氏は「大きな課題。県としてワンストップセンターを開設した。低所得、格差問題も政治が取り上げるべきだ」と述べました。

(2006年11月17日(金)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 私は、青森県の出身でありますが、生まれは秋田県の能代市でございます。きょう、このような機会をいただきまして、皆さんからの貴重な御意見を聞くことができましたこと、本当に光栄に思っております。本日はありがとうございました。

 今回の地方分権改革推進法はプログラム法でありまして、具体的な中身については本当にこれからいろいろなことが決められていくんだろう。そうなったときに、これまでの地方分権というものが一体どうであったのかということをいろいろな角度から検証するということがやはり問われていると思っております。

 そこで、きょうは、二つの大きな課題ということで伺っていきたいと思うんです。

 法案の目的の一つであるのが、国と地方公共団体の役割分担の見直しを行うということであろう、もう一つが、財源のあり方を見直しをするということであろうかと思うのですけれども、秋田県は、先ほど来お話が出ているように、大合併で六十九市町村が二十五市町村に再編をされた。知事さんは強制はしていないよというお話でしたが、かなりのイニシアチブを発揮したということは先ほど来お話があったのかと思っております。

 一方、秋田市の方では、平成九年から中核市になっておる。もう既に九年の時点で二千二百七十五項目の事務が移管をされて、この間、昨年の六月に地方分権推進プロジェクトチームが、県からの権限移譲プログラムということで、どんなものが移譲の対象になるか、あるいは必要がないものということで、一定整理をされたという報告書が出されております。

 それで、私は知事さんと市長さんに両方伺いたいと思うのですが、知事さんは、中核市をもっとふやしたい、もっとふやして権限を移譲するんだということをおっしゃっておりました。そうなったときに県は何をするんだろう。国の仕事をもっと県がやるというふうになるかもしれませんけれども、そういう意味で県がやるべき仕事は何だろうかということを知事さんに伺って、市長さんには、県と市の役割分担、ではどんなふうに整理していこうとされているのか、伺いたいと思います。

○寺田典城君 県は、先ほど、九十二本ですか、要するに市町村の手挙げ方式で権限移譲していますので、それをサポートして、できるだけそれを早目に完成させる。そうすると中核都市並みの権限移譲になってしまう。

 そうなってくると、県は何をすべきかということはよく庁内で議論しているんですけれども、それはやはり秋田県全体の地域振興に対して、産業振興だとかそういう広域的な行政、広域観光だとか広域的な医療行政だとか、それから、雇用の関係も含めたこととか高等教育の問題、そういうことを含めて、秋田県として生き残れる場所というのはあるわけですから。ただ、とにかく今現在としては、市町村の自立に向けたことをサポートすることが県の一番大きな役割じゃないのかなと。

 ですから、県がこのようにあるべきだというよりも、国の制度がどう変わってくるかわからないし、非常にフレキシブルな考えで私たちは考えておるということなんです。

○佐竹敬久君 私どもの方で、いろいろと県と市町村の事務の関係、その間に県の方からも出されたわけでありますが、必ずしも全部県からのものを受けておるわけではございません。

 一つに、ある部分を受けたとしても、自己完結しないものがあるんです。どうしてもそこの部分は、国との関係、法律の関係で、ある部分は、同じ一つのルーチンの中でここまでは絶対県でなきゃならない。そうすると、そこだけ部分的に市に移しても、逆に、相手方からすると、例えば民間の方からすると非常に迷惑な場合もある。ですから、やはりこれは非常に単純ではないんです。

 物によっては、私ども、あくまでも行政だけのものではないんです。住民サービスとしますと、住民が利便性が逆によくならない場合もあるのですね。一本で全県のものを許認可できるものが二十五に分かれると、二十五の窓口へ行かなきゃならない。これは企業は嫌います。

 ところが、そこが県と市町村との間だけで調整できるものであればいいんですけれども、必ず国との関係で、なかなか部分的にそこが隘路になっている。これが結構あるんですよ、個別にやっていきますと。私、昔県にいたときに、実際、権限移譲で相当いろいろやりとりしたんですけれども、やはりあります。

 ですから、今のところ、県と市町村との間は、この後も毎年いろいろやりながら、できるだけ権限移譲をしていただくということになるんですが、最後には国との関係で絶対残ると思います。

○寺田典城君 福祉パッケージなんかはやはり権限移譲していないですよ、余り。移譲を受けようとしません、市町村が。後でデータをお見せしますから、持っていってください。

○高橋委員 ありがとうございました。

 地方分権を進めるといいながら法律がまだまだネックになっているというところが、それは本当にいろいろな事務、現場の声を生かして整理をしていくことはさまざまあるのだろう、私もそういうふうに思います。

 そこで、三位一体の改革で、この間、例えば義務教育の国庫負担ですとか児童手当ですとか生活保護だとか、これを地方に移すということが非常に大きな問題になったわけです。その間、法律的には国が責任を持つと書いているはずなのに、そこまで地方に移すというのはいかがなものかという議論を、私などは厚生労働委員会におりますので、そうした議論もさせていただいたところであります。

 それで、例えば、一般財源化という形で整理をして、基本的には基準財政需要額に入っていますよというのですけれども、総額の交付税額も減額をされている。そういう中で、従来どおりの制度を維持できるのかということは常に悩む場面ではなかったかと思うんです。

 ですから、例えば県でいいますと、国の補助はやめたんだから県もやめますというふうになる場合、あるいは、市町村にしてみたら、これまでやってきて、国と県がやめたからといってそう単純にはやめられないという場合、いろいろな形での悩みがあるのではないかということを思うんですけれども、それぞれの知事さん、市長さん、町長さんに、三位一体改革によってそうした財政的な影響はどうだったのかということと、本来これは国として責任持ってやってもらうべきではないかと思うことは何かというのを伺いたいと思います。

○寺田典城君 簡単な言い方をすれば、地方の自由度というのはほとんど高まっていないということですね。補助金が交付金に名前を変えられたとか、あとは、三兆円を税源移譲したといったって、例えば、義務教育負担金の場合は二分の一が三分の一ですか、それから児童手当だとかは三分の二から三分の一になる。必ず関与が入っちゃって、国の官僚というのはおもしろいな、そう思っていますね。もう少し頑張れ、うちらでサポートするよということでやればもっと効率的にいくのに、なぜそういうものを持っていなきゃならないのかというのは、私たちにとっては不思議なんです。

 ですから、そういう点では、今回、改革推進法になりました。今まで分権推進法だから、改革推進法という言葉が一つ入ったから、本当にいくのかなと思ったりしてやっているんですけれども。あとは、政治家がやはりこれはあれしていただかなきゃ無理ですよ。県庁の中だって同じなんですよ。やはりトップが変えていかなきゃ制度は変わらないです。それは何とか頑張ってみてください。

○佐竹敬久君 三位一体のときのあの税源移譲あるいはそういう問題については、ありていに言いますと、特に厚生労働関係は、財務省から攻められているところについてどうやってそこを切るかということで、ある意味ではそれを地方に押しつけた、そんなところじゃないのかなという感じがします。

 もう一つ言わせていただくと、先ほど知事もお話がありましたけれども、おかしいんですね、法律のつくり方が。私どもの方でも福祉施設を木造でやるといったら、最初だめで、最後よかったんです。建築基準法でいいものを何でそっちでだめなんだという、非常に単純な議論が出たりするんですよ。建築基準法でオーケーな建物を建ててはならないという、そのとき私はそれで随分最後まで抵抗して、結局木造でなりましたけれども。

 いずれにいたしましても、そこら辺の物事の考えが少し整理されていない。ですから、我々も大変困るわけであります。

 以上です。

○齋藤正寧君 地方公共団体の今の、県は除くので、市町村の経常収支比率は九〇%を超えていますよね。九一・二か六か、そんなものでしょう。政策的に使える経費はほとんどない。ですから、県がやっていたことを廃止されて町で困るんじゃないか、こういうことは困りますよね、末端としては。

 ただ、現実問題として、お金がなければ、やはり秋田県もキャップ制だと。ただ、末端の住民と接している我々は直ちにそれをやめるわけにはいかない。ルールに基づいたものでやってきたつもりが県の肩がわりをしている実態、こういうものも物によっては出てくる、こういうことであります。

○高橋委員 今お話しされたことは、もっと自治体の裁量というのが本来あるはずなのに、交付金とかいろいろな制度になったけれども、国の関与の仕組みが残っているじゃないかというお話だったのかなと。仕組みが残っていながら財源はどうかということなどがあったと思いますし、ただ同時に、国が本来責任を持って、自治体に分担するというだけではなく、国としてきちんとやるべきことはあるのではないかなというふうに私も思って聞いておりました。

 それで、町長さんにももう一度お話を伺いたいのですけれども、時間の関係があるので、先に辻名誉会頭にぜひ伺いたいと思います。

 先ほどの意見陳述は、インフラ整備を急いでほしいということだったと思います。また、秋田港の貿易が非常に頑張っているんだということも拝聴したかなと思っております。同時に、辻兵さんは秋田でも大変歴史のある会社でございますし、中小企業が秋田県の中では圧倒的に多いと思うんですね。そういう点で、地方分権と中小企業がこれから頑張っていけるかということとの兼ね合いで考えてみたいなと思うんです。

 東北六県の商工会議所の連合会からの要望書をいただいておりますが、やはり、三位一体改革の進展により、都道府県への小規模事業対策について十分な予算化がされていないということが要望の中に盛り込まれています。経営指導員等補助対象職員の人件費の問題や、相談窓口の支援体制の強化などの拡充、継続などが要望として挙げられておりまして、やはり小規模事業者への支援というのはきちんと担保されるべきものだと思っているんですけれども、そのことが今どうなっているのか、そして、どうされなければいけないのかという点で、ちょっと具体的に伺えればと思います。

○辻兵吉君 私ども一般の経済人からしますと、国、県、市、とにかく今非常に厳しい情勢にあるということで、特に今、県も市も大変な状態にあるということを十分に承知して、なるべく公共に頼らないで、自分たちで何とか稼ぎ出して雇用をふやしていく。一番の問題は雇用ですね。我々のところは今〇・六ですが、例えば愛知県あたりでは一・五とかいう数字が出ているようで、そういうのから比較しますと、とにかくまず職につくと。

 今非常に伸びているのが貿易なわけです。したがって、例えば、秋田市の総所得に対する港の関連の所得が大体三分の一を占め、それから、秋田港で仕事をしておる連中だけで県民所得の約一割を占めているという非常に大きな産業社会を、貿易を通じて秋田港をよくしていって、さらに進めていけば、そういう面で非常に手っ取り早く進んでいく。それから、零細企業が非常に貿易産業に従事しやすい仕事をたくさん港関連に持っております。

 そういう意味で、私は、秋田市の産業界としてはやはりどこまでも貿易を中心に、特にこれからの我々のターゲットとしては極東ロシア。これは資源も相当ありますし、それから、いろいろな意味で今ロシア自体が力がついてきていますので、いろいろなものを輸入しようとしている。とにかく東京港ばかりから出るというのじゃなくて、秋田港から、あるいは能代港から物を出せるというようなものが零細企業にとっても非常に展開しやすいものですから。

 ですから、これからは、秋田県の産業としてとりあえず貿易を盛んにして、そして、産業界として地方税の納税負担を少しでも多くしていこう、そういう気持ちで非常に今、逆に、貧乏であるがゆえに一生懸命頑張っているという情勢です。

 ですから、とにかく国が今やっていただきたいことは、早くそういう経済の効果があらわれるインフラの整備、特に港の整備と道路を早くやってもらいたい。あるいは、もしどうしても国ができなければ県にお金をやっていただければ、県は我々の言うことをすぐ聞いてくれますから、とにかく税金で戻ってくるものに対しては県も市も町も非常に敏感に反応してくれます。

 そういう意味で、秋田県がこれから伸びていくにはそれしかないんだということを確信を持って言えます。

 以上。

○高橋委員 せっかくですので、知事さんにこの点で一言伺ってよろしいでしょうか。

○寺田典城君 小規模事業所がやはりこれからの大きな課題だと思います、率直に。これは、どのように生き残りをしていけるような指導が県行政としてサポートできるか。私たちの県としてはそれを全面的に、ワンストップセンターとして企業活性化センターということで、県の職員からプロパーから入れて、七、八十人の人間が一つの活性化センターの中ですべての相談を受けるという、雇用から人材育成から金融から含めて、そういうことでしていますけれども、中小企業の問題というのは、所得も低いし、これからの格差問題としてのあり方で、やはり政治もある面では取り上げなきゃならないときに来ている、私はそう思っています。

○高橋委員 ありがとうございます。ぜひ期待をしております。

 齋藤町長さんにもう一度伺いたいと思うのです。

 井川町の自立計画、それと行革大綱の集中改革プランも拝見させていただきました。非常に興味深く思っております。もちろん、行革のためには思い切って職員の整理だとかそういうことが提起されている一方で、町民参加を重視していくですとか徹底したサービスという点で、やはり町ならではの独自性を出しているのかなというふうに思いました。

 そこら辺のところで、厳しいながらも、町としてこれをきちんとやっていく必要があるんだと思っていることは何かということと、そうはいえ、合併を選択しなかった町が自立するためにはやはり厳しい行財政改革を迫られているということもこれありだという点で、課題とするものは何かという点で伺いたいと思います。

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