日本共産党の高橋千鶴子議員は二十一日の衆院災害対策特別委員会で、七日に北海道・佐呂間町で発生した竜巻被害の問題を取り上げ、被災者生活再建支援法の見直しについて政府の姿勢をただしました。溝手顕正防災担当相は「すぐに検討にかからなくてはならない。やる以上後ろに下がることはない」と、前向きな答弁をしました。
高橋氏は、竜巻被害に対する有効な手立てとして、「災害救助法に基づく応急修理制度」を活用せよと求めました。宮島俊彦・厚生労働省大臣官房総括審議官は、九月十七日の宮崎県延岡市の竜巻被害では半壊住宅の百九十九件が同制度を活用したが、実はそのうち二十七件は全壊住宅の適用だったことを明らかにし、「佐呂間町でも住宅の応急修理の実施に努めたい」と答えました。
高橋氏は、二〇〇四年の支援法改正にかかわった内閣府の元防災担当企画官が「(再建の)スタート時に住宅本体への支援などで背中をポンと押してあげる政策があってもいい」と発言していることを紹介。「誰しもが(支援の)ポイントは住宅本体だと分かっている」と指摘し、重ねて大臣の決意を促しました。
(2006年11月22日(水)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
私自身は、十五日の佐呂間の竜巻被害調査に、ほかの委員会日程と重なったために参加することができませんでした。我が党としては、発生の翌日の八日に紙智子参議院議員が現地入りをして、地元の議員団と連携をして要望活動に取り組んできたところであります。また、私は、九月には延岡市の調査に参加をし、竜巻の破壊力のすさまじさに圧倒されるとともに、一瞬で人生が変わったという被災者の声が忘れることができません。
佐呂間は既に雪が降り、まさに復興は時間との勝負であります。何よりも、繁雑な事務や認定、査定などが障害とならないように特別な体制が求められると思いますが、この点で内閣府の考えを伺います。
○増田政府参考人 今、関係省庁と連携をとりまして、現在、被害状況の把握、それから政府として、それぞれの省庁で対応できることのまとめをして、関係省庁において鋭意取り組んでいただいていると思います。
それに加えて、先ほど来ございますように、相談窓口をワンストップで設けておりますので、今後、地元の要望、要請を伺いながら、政府一体として連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○高橋委員 先ほど来紹介されているワンストップの相談窓口、今回これが初めて設置をされたということで、先ほど指摘をさせていただいたように、時間との勝負だという点で各省庁との調整が円滑にいくように、相談が来たらたらい回しにされるということがないように、内閣府がその中心となる役割を果たすということに大いに期待をしたいと思います。残念ながら、きのうの時点でまだ相談がないということでしたので、逆に大いに宣伝をさせていただいて、円滑に動くようにしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
竜巻は帯のように細長く被害をもたらします。大変局地的であるがゆえに、私は、むしろ思い切って重点をかければ早く復興が可能なんだということを考えています。延岡に行ったときも確信を持って考えたことでありますが、まずは災害救助法に基づく応急修理制度、これが非常に有効ではないかとも考えました。
そこで、延岡での竜巻被害による住宅の応急修理制度の実績を教えてください。また、佐呂間においても同じように活用するべきと思いますが、いかがでしょうか。
○宮島政府参考人 お答えします。
災害救助法に基づく応急修理、これは、建物が半壊で、そのままでは住めないので、応急修理すれば住居可能という場合に資力の少ない方に行うという整理になっております。
延岡の場合は、半壊した世帯、三百六十五世帯のうち、応急修理件数は百七十二世帯となっております。佐呂間のケースにおきましても、厳しい冬を迎えておりまして、半壊は今のところ八ぐらいと聞いております。住宅の応急修理の実施に努めたいと思っております。
○高橋委員 きのう伺った数字では、延岡百九十九と聞いておりますけれども。
○宮島政府参考人 少しはしょって申しわけありません。
延岡の場合は、全壊という基準に該当するんですが、全壊でも応急修理を行えば住居可能なケースがあったということで、二十七世帯についてはそういう扱いを行いまして、二十七世帯は全壊でも応急修理の対象としたということで、先ほどお答えした百七十二世帯に二十七を加えて百九十九世帯ということでございます。済みません。
○高橋委員 ありがとうございました。
今、全壊でも修理の対象となったというお話だったと思います。これは新潟でも中越地震のときにやった経験でありまして、たとえ全壊であっても修理をすれば住めるんだ、それが住民の非常に強い要望であったということを踏まえて実施がされた。県単の制度があって、セットで、タイアップで一定の再建ができたという経験がございましたので、それが生かされたということは非常に重要なことではないかと思います。ぜひ佐呂間でもそうしたことが可能であるようにお願いしたいと思います。
佐呂間町では、今月十七日の臨時町議会で、最大三百万円の独自支援策を全会一致で可決をしたと聞いております。その内容は、一部損壊家屋に補修費二十万円、全壊家屋に最大三百万円の、先ほど来話題になっている本体支援も含む建築費にも補助をするというものであります。また、店舗や倉庫、空き住居、物置、車庫なども、解体撤去費に限りますけれども対象となる。これらは国の支援法にないために町独自で決めた支援策でございます。また、所得制限もありません。
やはり、私、非常に重要だと思うんですね。これらの要望は、繰り返し全国の被災地や被災者団体から要望されてきたことと合致するものだと思うんです。内閣府として、こういう佐呂間町の独自の支援策の意義をどう考えるか、伺いたいと思います。
○増田政府参考人 お答え申し上げます。
災害対策、これは予防から始まりまして、発災時の応急対策、それから被災地の復旧、被災者支援ということであるわけですが、そのいずれの分野におきましても、公助、共助、自助の連携した対策というのをバランスよくとっていくことが必要だと思っております。
その際、やはり、例えば住宅ということであれば、先ほど来申し上げましたように、一つ基本は自助だと。ただ、自助だといっても、非常に大変な被害を受けた方について地元の公共団体がいかなる対策をとるかという、地元公共団体が何らかの公的な支援をどのように行うかという問題が次に出てまいると思います。ただ、地元公共団体を超えるような一定規模以上の甚大な被害について、国としてどういう公的な支援を政策的にとるかというような流れでやはり考えていく必要があると思いますので、今、先生御指摘あったことは、そういったバランスの中で、今後、災害対策として、公助、特に国の支援というものをどういうふうに位置づけるかということで検討をしていきたいというふうに考えております。
○高橋委員 今、国の支援について見直せという話はこれからしますけれども、まずは、町としてこうやって独自に踏み切ったということについてどう思いますか、評価していただけますかということを伺っています。
○増田政府参考人 地元公共団体としてさまざまな公的支援をとることは、災害対策としても非常に重要だと思っておりますし、内閣府としても高い評価をしているところでございます。
○高橋委員 ありがとうございます。
私、この問題は繰り返し指摘をしてきましたけれども、どんな問題でも、地域で初めに必要性に迫られて取り組んだことが、全国でどんどん広がっていき、国の制度になっていく、この間の被災者生活再建支援法が九八年に成立をする契機もまさにそうではなかったかと思うんです。このことを非常に大事にしていただく必要があるのではないか。
佐呂間町は、雪が降り、時間との勝負ということで決断をされた。このことは、二〇〇〇年の十月、鳥取県の地震のときの独自の制度、これは発災から十一日後に支援を決めた、あのときの決断と同様の早さだと思うんですね。そのときに片山知事が早い段階でメッセージを出したことが、住民の流出を防ぐことができた。そのことは、やはり政府も認識できているのではないかと思います。
大臣は、九日の本委員会でも、また本日もお話しされておりますけれども、被災者の皆さんがどういう形で住まいを見つけていただけるかということが最大の課題と述べておられました。〇四年、法改正時からこの二年間、豪雨、台風、地震、豪雪、そして竜巻と、災害が日本列島を襲いました。そのたびに地方から被災者生活再建支援法の見直しを求める要望が上がってきたと思います。全国知事会も今要望をまとめていると聞いております。国会が四年後の見直しまであと一年ちょっとであります。改めて、支援法の見直しについて大臣の決意を伺いたいと思います。
○溝手国務大臣 お答え申し上げます。
きょう、各党、各先生方からその点についていろいろ質問を受けております。統括官が何とも言えない返事をしておりますが。見直しはすることになっておりますから、これはやらなくちゃいかぬ。検討はそんな短期間で済む問題ではないと思いますから、それはすぐにでもかからなくちゃいけない、検討しなくてはいけないだろうと思っております。検討するからには後ろに下がることはないと思っております。
以上でございます。
○高橋委員 心強いお言葉と受けとめたらよろしいのでしょうか。検討するからには後ろには下がらないということでしたので、それは本当にお願いをしたいと思います。
中越地震から二周年が過ぎ、仮設住宅で三年目の冬を迎えようとしている方たちがまだ大勢残されています。新潟日報が精力的にこの間特集記事を書いてまいりましたが、ことしの二月二十八日、本委員会にも多数出席されております地元の選出の国会議員の皆さんの調査なども載せておりまして、どなたも、どなたもと言えば語弊がありますが、与野党問わず多くの方が住宅本体への支援が必要だと述べていらっしゃいました。
また、野中広務元自民党幹事長が同紙のインタビューに答えて、支援法は住宅本体を再建できるようにするべきかとの問いに対し、「そうだ。」と。「被災者の息遣いに心を傾注して、その中から方法を考えていけばいい」と述べております。支援法の成立にかかわった与党の代表の方として、やはり今それが問題だと指摘をしていると思いました。
また、当時、内閣府の防災担当企画官、〇四年の支援法改正にかかわった渋谷氏は、六月十九日の新潟日報の中で、「家庭や生業、地域を再建する道のりは長い。そのスタート時に住宅本体への支援などで背中をポンと押してあげる政策があってもいい」と述べております。
だれしもが……
○木村委員長 申し合わせの時間が過ぎておりますので、御協力をお願いいたします。
○高橋委員 これが見えませんでした。ごめんなさい。
だれしもが、本体だということをよくわかっている。それで、それが終わってから、自分の任が解けてからそうだと言うのでは困るということで、今の大臣の決意をしっかりとやっていただきたい、こうした声にこたえていただきたいということを要望して、終わりたいと思います。
ありがとうございました。