国会質問

質問日:2007年 3月 28日 第166国会 厚生労働委員会

一般質疑(災害救助法の応急修理)

日本共産党の高橋千鶴子議員は28日の衆院厚生労働委員会で、能登半島地震の災害対策で国の一刻も早い被災者の生活再建を求めました。

災害救助法では、被災家屋の応急修理の申し出の期間延長も電話一本でできることなど、手続きの簡素化が可能です。高橋氏は被災者の多くが情報不足で混乱していることから、住宅の応急修理制度の有効活用とともに手続きの簡素化を求めました。厚労省の中村秀一社会・援護局長は「現地に担当官を配置した。応急修理について迅速に対応していく」と答えました。

また高橋氏は、中越地震の際に応急修理を受けられる被災者に適用された被災者生活再建支援法に準じた所得要件が、その後の震災でも運用され、基準が固定化していることを指摘。「日常に不可欠な生活を取り戻すための応急的な修理には、本来は所得の差など考慮している場合ではない」として、自治体の判断で柔軟な支援ができることを強調しました。

(2007年3月29日(木)「しんぶん赤旗」より転載)

 

――― 議事録 ――――

○高橋委員 次に、三月二十五日に発生した能登半島地震について伺います。

 私からも、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈りするとともに、負傷された方々の一日も早い回復をお祈りしたいと思います。

 被災地の復旧復興と生活の再建に政府も国会も全力を挙げるべきだと考えています。現時点では、まだ余震が続いていることもあり、安全の確保が最優先であります。避難所生活が長引けば、厚労省が既に通知をしているように、民間宿泊施設の借り上げ等安全な居住施設の確保、あるいは被災者の心のケアや健康面での対策も求められています。同時に、現場では、必要な情報が被災者に行き渡らず、非常に混乱をしています。使える制度がわからなかったり、わかっていても、手続が煩雑では困ります。

 そこで、まず、災害救助法の活用についてですが、自治体の特別基準の問題など、例えばこれらの手続については、電話一本でとりあえず手続できるようになっていると思いますが、こうした簡素化を徹底するべきと思います。この点についてどうか。また、あわせて、住宅の応急修理制度の有効活用を積極的に考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。

○中村(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のありました、高齢者、障害者等、特に被災者は高齢者の方が多いということで、避難所の問題、廃用症候群関連の問題、心のケアの問題、きちんとやる必要があると思っております。

 災害救助法につきましては、三月二十五日十六時三十分に石川県で知事が決定をいたしておりまして、七市町について災害救助法が発動されております。今委員からお話がございました、そういう災害で困っておりまして救助法の手続をとる場合には電話一本で対応していただいて構わない、こういうことで、まさに災害時でございますので、きちんとやっております。

 また、災害救助法では、住宅の応急修理がございます。災害のために住家が壊れたということ、全壊されたお宅もあるわけですが、特にこの応急修理につきましては、半壊等、そういったことがあるわけで、現在のところ百八十六戸半壊いたしておりますが、この応急修理をきちんとする必要があるというふうに考えております。この点につきましては、市や町において被害の調査が実施されているところでございます。住宅の応急修理制度の利用を希望されているかどうか、被災者のニーズを踏まえて、応急修理を実施するかどうか検討中であると聞いております。

 私どもも、県とよく連絡をとるということで、厚生労働省の担当官も、現地の本部のほか、こういう現地の事情を聞いて応急修理等についても迅速に対応してまいりたいということで、石川県の方にもきょうから派遣しておりますので、今後この仕事はふえてくると思いますので、きちんとやってまいりたいと考えております。

○高橋委員 担当官を現地に派遣して、相談に応じて迅速に対応したいという答弁がありました。この点については本当にありがたいと思っております。

 そこで、重ねて伺いますが、私は、〇四年の新潟、福井の豪雨災害のときから、この住宅の応急修理の活用について質問を重ねてまいりました。その後、中越の地震のときには、県単事業と合体して、この制度が大変広範に活用されました。

 ただ、中越では、被災の規模が大変大きかったこと、またスピードが求められる、そういう条件があったものですから、住宅の応急修理を受けられる被災者の要件は、被災者生活再建支援法に準じた要件を課しました。このことによってかなり条件が狭められてしまったわけですけれども、新潟においては、この基準に満たなくても、所得制限のない県単制度がカバーしておりました。

 ただ、問題は、このときの中越につくった基準がずうっとその後も、その後の宮崎ですとかいろいろな被災地で運用されて、固定化してしまったわけですね。

 本来、災害救助法は、その運用と実務において、みずからの資力をもってしては応急修理ができない者であることとのみ書いているのであって、所得が何万以下とかそういう細かいことは書いておりません。まして、被災者が一日も早く日常の不可欠な生活の部分を取り戻すために応急的に行う修理でありますから、本来、その際に、所得が何百万以上であるかないか、そういうことは考慮している場合ではないというのがこれまでの解釈だったと思うのであります。

 そういうことを確認させていただきたい、自治体が判断すればよいことだと思いますが、いかがでしょうか。

○中村(秀)政府参考人 お答え申し上げます。

 災害救助法の住宅の応急修理の概要でございますけれども、みずからの資力で応急修理することができない者、こういうことでやってまいりまして、中越地震前は、生活保護世帯、特定の資産のない低所得世帯等、こういうことでございました。

 しかし、新潟の中越地震におきまして、被災者生活再建支援法の所得要件と整合性をとった運用をしている、そういうことでございます。これは、災害救助法に基づく応急修理が、被災者生活再建支援法による支援と一体的に実施する、こういうことでございますので、制度間の整合性を図るという観点から、こういう運用をさせていただいているところでございます。

 また、新潟県の中越地震以降の災害におきましては、新潟県中越地震でそういう取り扱いをさせていただいたということ、被災者の間で同一の災害や災害ごとに所得要件が変わることはある意味で不公平ではないかと考えまして、被災者生活再建支援法に準拠した要件とする運用を行わせていただいているところでございます。

 基本的には、年収の合計が五百万円以下というのが基本の制度でございまして、これがいわゆる中越地震前は、生活保護世帯あるいは特定の資産のない低所得世帯という定義でございましたけれども、その定義のものは今の被災者生活再建支援法の所得要件で大体カバーされている。また、世帯主の年齢が上がりますと、五百万円というのが七百万円に四十五歳以上ではなるとか、特に六十歳以上または要援護の御世帯は年収八百万円というような要件でございますので、大体、そういった意味で、みずからの資力で応急修理することができない者ということで整合性がとれているのではないかと認識しているところでございます。

○高橋委員 時間がなくなりましたので指摘にとどめますが、今の答弁は大変不満であります。

 自治体が判断できるということをちゃんと厚労省がこれまで説明してきたわけです。それを、被災者生活再建支援法に準ずるということは、応急救助の性格を曲げてしまったということになります。

 十六年度の指摘からは所得制限の幅が大きく広がった、それは評価したいと思いますが、これを支援法と重ねてしまったことによって、今までなかった枠をはめてしまった、これは非常に重大な問題だと思うんですね。

 これはまた、引き続いて次の機会に指摘をしたいと思います。終わります。

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