能登半島地震による被災者への支援に関し、日本共産党の高橋千鶴子議員は4日の衆院災害対策特別委員会で、瓦や土蔵などの大きながれきの撤去が被災現地で重要な課題となっていることを指摘し、自治体による災害廃棄物処理への国の支援を求めました。
環境省廃棄物・リサイクル対策部の由田秀人部長は、「倒壊した家屋の廃材をはじめとした災害廃棄物の収集、運搬、処分は、被災市町村の自治体が特別な経費を必要としている」と答え、自治体の廃材などの災害廃棄物処理事業費用の二分の一を国が補助していることを明らかにしました。
高橋氏は、建築士などによる被災建築物応急危険度判定が3月30日までに終わったことを踏まえ、居住が危険であることを意味する赤紙を自宅に張られた被災者が、先の道筋が見えず「途方に暮れている」現状を紹介。仮設住宅や公営住宅に入居するなど、住宅再建への選択肢が複数あることを指摘し、「不安をかき立てるのではなく、再建の道筋を示すべきだ。被災者には決断するまでに一定の時間も必要だ」と提起しました。
また高橋氏は、被災者生活再建支援法の対象外である半壊住宅にも支援対象を拡大した石川県による独自支援策を紹介。国による支援法見直しに反映させるよう迫ると、溝手顕正防災担当相は、「被災者、被災自治体が使いやすい制度を作ることは重要なポイントだ」と答えました。
(2007年4月8日(日)「しんぶん赤旗」より転載)
――― 議事録 ――――
○高橋委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
私からも、今般の能登半島地震において亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、負傷された方々の一日も早い御回復をお祈りしたいと思います。
二日の委員派遣に参加をさせていただきましたが、被害は予想以上に大きく、再建への道のりの困難さが思われました。被害の集中した門前では、高齢化率四九%にもなり、輪島市の梶市長が述べていたように、八十歳の老夫婦が今後どう生活を再建していくのか、こうした課題が突きつけられていると感じました。
そこでまず、国土交通省に伺います。
三十日までに被災建築物応急危険度判定が終了していると聞いております。現地でも赤紙が非常に目立ち、かなり対応が早かったということがうかがえました。ただ、避難所で会った男性が、自宅に赤紙が張られて立ち入りができなくなった、ボランティアが来ても片づけも頼めないと訴えられました。赤紙を張られたために、何をどうしていいかがわからなくて途方に暮れているのです。
これまでの災害でも、この問題は随分混乱がありました。赤紙は全壊判定ではありません。むしろ中越のときは、赤紙が張られ地盤がずれてもいる、そういうのに半壊と認定されて何の支援も受けられない、こういう訴えもございました。
不安をかき立てるだけで終わりではなく、間髪を入れずに、危険度判定から災害認定あるいは住宅再建への幾つかの選択肢があるというように、再建の道筋が示されるべきだと思います。金銭的なめどやさまざまな家族の条件を考慮するなどして、決断するまでには一定の時間も必要であります。
そこで、危険度判定と住宅再建へのプロセスを被災者がよく理解できるようにどう援助していくのか、伺います。
○榊政府参考人 お答え申し上げます。
まず、危険度判定でございますけれども、基本的には、地震後直ちに、自治体の職員やボランティアの建築士等が被災した建築物の調査をいたしまして、その後発生する余震などによる倒壊の危険性、外壁、窓ガラスの落下、附属設備の転倒などの危険性を判定いたしまして、人命にかかわる二次的災害を防止するという目的で行っております。このために、地震発生後速やかに自治体職員なりボランティアの建築士が危険を顧みず実施して、居住者はもとより、付近を通行する歩行者などに対してもその危険性について情報提供するということにしております。
被災した住宅の再建に向けてはどうするかということでございますけれども、住宅の改修に関する相談につきましても、例えば穴水町におきまして、既に三月三十一日と四月一日の両日で、住宅金融支援機構及び地元の建築、住宅関係団体によりまして実施をいたしたところでございますし、輪島市におきましても同様に、四月四日から十五日まで住宅相談を実施するというようなことをやっておりまして、三月二十六日から、住宅金融公庫によりまして、災害復興住宅融資なり既往の公庫融資利用者による返済の特例措置を実施いたしておりますので、そういったことも含めて住宅相談を現地で実施しておるというところでございます。
多分、この住宅相談を受けた形で、この後、皆さんがどういったような住宅再建をするとか、例えば災害復興住宅をつくるとか、そういった具体的な話になっていく、こういうことかと思っております。
○高橋委員 二次的災害を防止するという点で非常に大事なことだと思っております。おっしゃるとおりだと思います。
問題は、今お話をしたように、避難所で皆さんが途方に暮れている。やはり高齢化があることや資力の問題だとかいろいろな問題があるというときに、単線的に仮設住宅に入るか入らないかとか、そういうふうに選択が迫られるとどうしていいかわからなくなってしまう、そういうことがございますので、その点は十分に、選択肢は幾つかあるんだ、しかも時間は、一定ちゃんと猶予を与えるんだというメッセージを出していくことが大事だということを重ねて指摘したい。
これは内閣府にも質問したいのですが、時間がないので要望にとどめます。これは踏まえていただいて、後の質問に答えていただければと思います。
次に、環境省に伺いますが、水害のときも何度も問題になった災害廃棄物の問題ですけれども、土砂や泥まみれの家具、家電が大量に発生をして、自治体はこの処理に非常に苦慮するわけですが、それに対して、国の財政支援を受けて処理を何とかやってきたという経緯がございます。今回も、地域的な特徴、ぐしゃぐしゃになったかわらだとか土蔵のかけらだとか、非常にいろいろなものがございまして、やはり災害廃棄物処理対策としての支援が強く求められていますけれども、どのように考えていらっしゃるでしょうか。
○由田政府参考人 倒壊した家屋の廃材を初めとしましてさまざまな災害廃棄物が発生しておりますが、これの収集、運搬、処分につきましては、被災市町村が民間事業者に委託して処理をいたしましたり、あるいはその作業員を臨時雇用するなど、特別な経費を必要とすることになります。
御指摘のように、災害等廃棄物処理事業費の補助金によりまして、災害廃棄物の処理に要する費用の二分の一を補助しているところであります。また、国庫補助金以外の市町村が負担した費用につきましても地方財政措置が講じられております。
環境省としましては、関係府省とも連携をいたしまして、災害廃棄物の処理が円滑に進むようにできる限りの支援に努めてまいりたいと思っておりまして、一日も早い復興を目指して取り組んでまいりたい、このように考えております。
○高橋委員 ありがとうございました。できる限りの支援と言っていただきました。
やはり、私は、今回現地に行って、特徴として非常に感じたのは、家が傾いているということなんです。全部つぶれているわけではないけれども、やはり木造の家という特徴なのか、建ってはいるんだけれども猛烈に傾いているというところがございまして、そうなると、余震が今もずっと続いているということもあって、その余震の影響でいつ倒れるか、あるいは梅雨どきになって二次災害も起きるのではないかということが非常に心配されて、やはり一刻も早く解体撤去が必要なのではないかと思っております。
それで、少なくとも、家も土蔵もかわらもごちゃごちゃに崩れているわけですから、撤去は廃棄物としてやっていただければいいなと。そこまでは自治体が判断をしてやっていって、その後の支援についてはやはり国も支援法を有効に活用できるというふうになるのがいいのではないかなと私は思っているわけです。
それで、被災者生活再建支援法では解体撤去の費用が、全壊の場合最大で二百万円まで出ますけれども、所得制限や建てかえが前提であるために大変対象が狭まる、あるいは対象になっても、今回の場合は解体だけでどうも二百万いっちゃうんでないかという危惧も考えております。
例えばこういう声が出ているんです。隣の家に倒れかかっている家を解体してもらおうと思って連絡したら、いつになるかわからないと言われました、隣の方に迷惑をかけたくありません、早くお願いしますとの声が、現地で何人かが寄せられております。内閣府はこういう声にどうこたえるべきか。個々が解体屋を呼んで、来ないななんと悩んでいるというところを、もう一歩押し出していって、自治体の裁量に応援をするということを考えるべきではないか。
時間の関係で続けますけれども、そういう点で、石川県が独自の支援策をつくりました。資料として配ってございます。全壊の場合は上乗せの百万円。特徴は、半壊。これは支援法が対象外としている半壊も対象として、これによって、国の支援法とトータルによって最大で四百万円、対象外だと半壊は二百万円まで保障されることになります。解体撤去の問題、引っ越しの費用などが入ることや、本体支援までも入ることや、上乗せ分は所得制限がない、そうしたことも含まれていて、かなり前進したのではないかと思います。
こういうのを踏まえて、大臣に、自治体のこういう取り組みをどう見るか、それを踏まえて、やはり今見直し作業に既に入っていますので、ここをどうやっていくのかということを伺いたいと思います。
○溝手国務大臣 石川県の独自の制度については、先生がおっしゃったとおりでございますが、大変思い切った制度を提示されたと思っております。我々が管理しております被災者再建支援制度では、住宅の本体の建設費や補修費というのは支給対象となっていないのが現状でございます。
そういった中で、被災者再建支援法につきましては、平成十六年の法改正の審議を行ったところですが、その施行後四年を目途として制度の見直しなど総合的な検討を行うということが附帯決議されております。そのため、先日、制度の実施状況を勘案しながら総合的な検討を行うため、学識経験者や自治体関係者などをメンバーとする検討会を設置したところでございます。
第一回の検討会におきましては、委員からお話があった住宅本体の建築費や補修に充当すべきであるという御意見とともに、融資や保険などの総合的な住宅再建支援策の中で検討が必要だというような意見とか、さらには支給要件等が煩雑で使い勝手が悪いとか、さまざまな御意見がございました。
我々といたしましては、被災者あるいは被災自治体が使いやすい制度をつくっていくというのは非常に重要なポイントであると考えておりまして、さまざまな意見をお聞きしながら、この検討会でさらに議論を進めていただきたい、このように思っております。
○高橋委員 ありがとうございました。終わります。